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COLUMN シーンの中にいる人たちの言葉

思春期プラスティネーション

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ライター兼作家 影井公彦

愛知県在住。昼間は会社員、夜はカタカタと小説・シナリオ・レビュー等の文字書きしてる人。90年代ヴィジュアル系のことを語らせると朝までノンストップで話しまくってしまう。現在は音楽をジャンルレスに聴くため、CD棚がえらいことに。

2017.10.27

再会と血の薔薇の幕は再び上がるのか?/影井公彦

前回前々回とヴィジュアル系四天王を取り上げてきました。
今回は、その中でも『究極のヴィジュアル系』と呼ばれたバンド『MALICE MIZER』について書いていきたいと思います。
彼らの結成は古く、1992年。
ここで勘違いされる方が多いのですが、初代のヴォーカルはGackt氏ではありません。
初代ヴォーカルは現在ZIGZOやTHE BLACK COMET CLUB BAND、nil等々数多くのバンドで活躍をしている高野哲氏。(当時はtetsu名義)
あのゴシックで耽美な世界の中に高野哲氏がいたとは今では信じられないですね。
哲氏はアルバム『memoire』に参加をしますが、その後に脱退。
『MALICE MIZERを抜けた人はどんな人なんだろう?』
と思って、ZIGZOの噂を聴きつけて写真観てビックリしましたね。
だって、そこにはMALICE MIZERとは真逆の位置にいる人がいましたから。
曲を聴いてまたビックリ、やってるのはラウドなロック、こちらもMALICE MIZERとは全然違う物でした。
勿論、その後にZIGZOのかっこよさに気付いて聴いていくことになるのですが、それはまた別のお話。

ZIGZO「衝動」

そして、2代目にヴォーカルとして加入するのはGackt氏。
この方については説明不要かと思います。
彼が加入した後からMALICE MIZERは以前よりも大きな人気を得ていきます。
『麗しき仮面の招待状』『Voyage Sans retour』『ma cherie~愛しい君へ~』といった作品をインディーズで発表。
この中でもお気に入りなのは、ma cherie(マ・シェリ)。
その後に出たベスト盤でも収録されているインディーズ期の名曲。
Gackt氏の語り掛けるような歌声と、秋風が吹く街を歩いているような旋律……そして最後にパッと明るくなるようなギターの絡みがたまらない曲となっています。

ma cherie

その後1997年に彼らは『ヴェル・エール ?空白の瞬間の中で?』でデビュー。

ヴェル・エール ?空白の瞬間の中で?

その後『au revoir』をリリースした後、Gackt期のMALICE MIZERといえばこの曲!という人も多い『月下の夜想曲』をリリース。

月下の夜想曲

この頃からヴィジュアル系ブームの流れの中で一番目立っていた彼らに多くの注目が集まります。
音楽番組以外にも、有名人の物をオークション形式で売るという『ハンマープライス』にも出演。
その後、アルバム『merveilles』を完成させ、シングルカットも出してライブも順調……と思われた矢先に、Gackt氏が失踪。
色々な噂が流れました。
今でも覚えているのは、MALICE MIZERが表紙の雑誌なのに、メンバーはGackt氏を抜いて撮影が行われていました。
インタビューでもその事実に触れられていないものもあり、不安は募り、一縷の望みを持っていましたが、やはり脱退。
彼らは活動を一旦停止。
次のヴォーカルを探し始めていた矢先、ドラムのKamiさんが急逝。
正直な話、僕はこの時点でもう復活はあり得ないであろうと思っていました。
メンバーもかなりダメージを受けていたようで、彼らはさらに沈黙してしまいます。

しかし、メンバー3人でも彼らはインディーズに戻って復活!
ヴォーカルはいない形でシングル『再会の血と薔薇』を発表し、その後アルバム『薔薇の聖堂』をリリース。

再会の血と薔薇

『再会の血と薔薇』が出た当時はやはりヴォーカルがいないことに違和感がありましたが、今聴けばこれはこれでかっこいい。
メジャーにいた頃の華やかさを黒と赤で塗りつぶしていくのが彼らの決意に思えます。

その後、サポートヴォーカルだったKlaha(クラハ)氏を正式メンバーに迎えて、彼らはメジャー期よりも深化を遂げていきます。

Beast Of Blood

今聴くと、ほぼメタルです。
この後でギターのMana様が結成するMoi dix Mois(モワ ディス モワ)に近いと言った方がいいかもしれません。

そんな彼らも2001年いっぱいで活動を停止。
その後、ヴォーカルKlaha氏はソロ活動へ(現在は不明)、ベースのYu~kiさんはその後表立った活動はしていません。
ギターのMana様は、ゴシックメタルバンド『Moi dix Mois』を結成し現在も活動中。
もう1人のギターのKoziさんはソロ活動、ZIZ、DALLE、XA-VAT等で活躍。
特にこの『DALLE(ダル)』『XA-VAT(ザ・バット)』はたまらない!
『こんな音もできるのか!』とびっくりすること間違いなし。

DALLE / ASPHALT (Short ver.)

XA-VAT / VAT-DANCE

DALLEはゴシック感があるのでわかると思いますが、XA-VATはほぼダンス・エレクトロ中心なので『そんな引き出しもあったのか!?』となります。

彼らの世界観で一番好きなのは『別れ』『死』といったところを表現していたところ。
特に僕が好きなのはシングルカットされた『Le ciel ?空白の彼方へ?』。

Malice Mizer- Le Ciel

詩を読めばわかる通り、別れの歌です。
アルバムヴァージョンではなく、シングルで発売された物の方が静かさと儚さが増しています。
不思議な偶然ではあるのですが、この曲を最後にGackt氏は脱退しています。
あまりに現実にハマりすぎていて怖い。

『悪意と悲劇』という意味のMALICE MIZER。
また再び、その幕が上がることを今でも僕は望んでいる。

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