1. HOME
  2. COLUMN
  3. 思春期プラスティネーション

COLUMN シーンの中にいる人たちの言葉

思春期プラスティネーション

c_b_kagaykimihiko

ライター兼作家 影井公彦

愛知県在住。昼間は会社員、夜はカタカタと小説・シナリオ・レビュー等の文字書きしてる人。90年代ヴィジュアル系のことを語らせると朝までノンストップで話しまくってしまう。現在は音楽をジャンルレスに聴くため、CD棚がえらいことに。

2017.5.9

古くてニューアルバム?/影井公彦

エアロスミスのスティーブン・タイラーがテレビに出て『Jaded』を披露したという。
懐かしいなー、と思って調べたら、もう16年前の楽曲だそうだ。

Aerosmith - Jaded

16年前の2001年。
ちょうどその頃に僕は『洋楽』に興味を持ちだしていた。
ヴィジュアル系ばかりを聴いていて、少しその世界から抜け出したくなったのと、自分の好きなアーティストが洋楽アーティストの名前を出しているが目につくようになったからだ。

「XXさんがかっこいいって言うならかっこいいんだ!」

そう確信して、よくCD屋に走った。
ハードロック・ヘヴィメタルへからの影響を語る人が多く、
・メガデス
・モトリー・クルー
・ガンズ・アンド・ローゼズ
こういったバンドの中にエアロスミスも入っていた。

折しも映画『アルマゲドン』で使われた『I Don't Want to Miss a Thing』がヒットしている中での出会いだった。

Aerosmith - I Don't Want to Miss a Thing

僕が最初に触れた彼らのアルバムはこの曲が収録された『JUST PUSH PLAY』だ。
このアルバムを最初の出会いというと、
「アルマゲドン観て興味持ったの……?」
と思われてしまうのだが、いまだに僕はアルマゲドンを観たことがないし、このアルバムで好きなのは『JUST PUSH PLAY』『Jaded』だったりする。

さて、インターネットが発達していない頃の音楽の探し方の1つに、先ほど述べた
「好きなアーティストが影響受けたバンドを片っ端から聴く」
というものがある。
これで、
好きなアーティストの影響受けたアーティストを聴く→その影響受けたアーティストの影響受けたアーティストを聴く→……を繰り返していくことになったのだが、そのうちにとあるバンドに行き着いた。

「ビートルズでしょ?」
と思う方がいるかもしれないが、違う。

ローリングストーンズである。

The Rolling Stones - Jumping Jack Flash

何故か必ずといっていい程、ビートルズと共に彼らの名前を見るのだ。
なので、さぞや演奏が重くて速いのであろうと勘違いした。
だって、ガンズのスラッシュがプッシュするぐらいですから、そう思うのも無理はないですよ。

で、聴きました。
ドコドコドコギュイーン(ドラムとギターの音)みたいなのを期待して。

最初、ズッコケましたね。

「え!?何これ!?遅いし演奏軽いよ!?」
ってなりましたね。

ちなみにこれと一緒のことが起きたのがセックスピストルズです。

Sex Pistols - Anarchy In The UK

「スピード遅いやん!モトリー・クルーのカヴァーの方が速いしかっこいいやん!」
って。

Motley Crue - Anarchy in the uk
こちらがモトリーの方。

なので、ストーンズもピストルズも一回聴いてそのままCD棚に眠りました。

しかし、今ではその2つのバンドの曲がいいと思えるのです。

それは何故か?

そこには、とある漫画との出会いがありました。

その名は『BECK』(https://www.amazon.co.jp/)

BECKの1巻 犬の名前も『ベック』です。

超が付くほど有名なこの漫画、皆様もどこかで読んだり聞いたりしたのではないでしょうか?

この漫画の作者であるハロルド作石先生は愛知県春日井市の出身なんですね。
なので、ハロルド作石先生の作品ではちょこちょこ愛知県の風景が出てきます。

さて、そんな『BECK』の中でローリングストーンズの楽曲が出てきます。
ローリングストーンズを聴いてガックリしてた僕はそれを読みながら

「作品の中でこんなに持ち上げているのに自分には響かないなんて……自分の耳がおかしいのか」
とまで考えてしまった。

そして、ある時BECKの中に出てくるアーティストを紹介してくれる
「BECK MUSIC GUIDE」
が出たので、なんとなく買ってみたのです。

(https://www.amazon.co.jp/)
BECK MUSIC GUIDE 扉絵の元ネタも教えてくれるのでとても楽しめる。

かなり読み応えのある本で、その中でハロルド作石先生とローリングストーンズの出会いについて書かれていました。

なんと、ハロルド作石先生も最初にローリングストーンズを聴いた時にズッコけたそうだ。

「全部同じ曲じゃないか!」
と憤ったそうで、
「なんだ一緒じゃないか!」
と、自分も安心してしまった。

先生は何度か聴いていくうちに
「うわかっこいい!」
と思うようになっていたと書いてあり、僕はもう一度彼らの楽曲と向き合うことにした。
タイミングのいいことに、ローリングストーンズは最新アルバムの『A Bigger Bang』を出していたので、最新の彼らに触れる為にYoutubeでその中の一曲を聴いた。

The Rolling Stones - Rain Fall Down

「あ、かっこいい」

率直にそう思った。
スリップノットやインフレイムス、フーバスタンクにリンキンパークといったラウドロックを聴いてた自分がかっこいいと思えたのが不思議だった。
そこで、ある結論が出た。

「そうか、アーティストごとに自分の耳や感性を合わせればいいのか」

スリップノット等のラウドな音を吸収する耳ではなく、ストーンズに合わせた耳を作る……それが僕の出した結論だった。
それが出来るようになってくると、過去の楽曲も気になってきた。
先ほど述べた『BECK MUSIC GUIDE』を何度も読んで、ストーンズのCDを買って聴いた。
かっこよかった。
初めて聴いた時は何も思わなかったのに、今ではかっこよく聴こえる。
耳の作り方を覚えた僕は、前にも増してCD屋に通うようになり、昔のバンドに触れていった。

時折、
「なんでそんな古いバンドを聴くんだ?」
と言われることがある。
以前なら
「なんとなく」
と答えていたが『BECK MUSIC GUIDE』を読んで、そこにある文章を発見してからというもの、それを気に入ってしまい、たびたび使うようになった。

「触れたことのない音源はすべて新譜」

だから、古いなんてのは無いのである。
自分が触れたことのない物は全て新しい物なのだ。

さあ、今日も新しい音源を探しましょうか。
……嫁さんに買ったことがバレないように!

Sid Vicious - My Way

Sex Pistols - Anarchy In The UK

  •  
  •  

他のコラムを読む

▲トップへ戻る