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INTERVIEW 旬のアーティストインタビュー

2017.8.10

ADAM atとPHONO TONESがスプリットEPで仕掛けたインストの面白さ

「これを機にいろんなインストバンドに興味を持ってくれたらうれしい(ADAM at)」

インストシーンの最前線で活躍するADAM atとPHONO TONESがコラボレーションして、7月26日にスプリットEPをリリースした。しかも1枚ではなく、ADAM at盤『Dr. Jekyll』とPHONO TONES盤『Mr. Hyde』の2枚。どちらの盤にも収録されているコラボ曲をはじめ、収録曲全て新録という意欲作だ。その作品について、ADAM atとPHONO TONESの飯塚( Key)、伊地知(Dr)の3人に話を訊いた。

取材・文 坪井

—まずはADAM atとPHONO TONESの出会いからお聞きしてもいいですか?

飯塚純(Key):僕の地元にあるライブハウス横浜F.A.DにADAM atが出演したとき、インストバンド同士でやってみたら面白いんじゃないかと引き合わせてくれた人がいて、2016年1月に一緒にライブをしたんですよ。そして、その同じ年の10月に八丈島で行われたフェスで一緒になるタイミングがあって、打ち解けて話すようになりました。結構早く打ち解けましたよね。

ADAM at:離島へ行くと心を許しますよね(笑)。仲良くなれて良かったです。

伊地知潔(Dr):僕たちはインストバンド界隈に友達がいなんですよ。元々みんなロックバンドをやっているので、ジャズのイベントに呼ばれても話す人がいなくて。でも、TAMADA(ADAM at)さんは仲良くなってくれそうな雰囲気をすごく醸し出していて、すぐに仲良くなっていただきました。初めてのインスト友達です(笑)。

ADAMN at:僕も友達いないんですよ。お酒を飲まないと人と話せないんですよね(笑)。

一同:笑

ADAM at:インストバンドって、自分の個性を出すのがすごく難しいんです。テレビやラジオで流れても、ボーカルが入っていないので誰の曲か分からないんですよ。インストバンドは、その中で自分の個性をどう出すか必死なんです。PHONO TONESさんって、出音で「PHONO TONESだ!」って分かるから以前から素晴らしいなと思っていました。

—八丈島でのフェスは昨年の10月でしたが、その時点で今回のスプリットの話が進んだんですか?

ADAM at:どちらかというと、その時は社交辞令的な感じだったと思います。

飯塚:やろうという気持ちはもちろんありましたが、実現するにはクリアしなければいけないことがたくさんあるので、やりたい気持ちを持ち帰って探り合おうという感じでしたね。

ADAM at:それから意外と早く具現化してくださいました。

—確かに早いですよね。曲はいつ頃から作り始めたんですか?

ADAM at:ADAM atは1月にリリースがあったので、今まで作った曲はそこに詰め込んでいました。それでも、まだ形になっていない曲のストックはいくつかあったので、江ノ電や湘南の方を見に行って、4月の後半に曲のイメージを固めました。レコーディングは5月の半ばでしたね。

—そのレコーディングは一緒に行ったんですか?

伊地知:別々です。

—そうなんですね。では、2曲あるコラボ曲はお互いでイメージを共有しながら作られたんですか?

ADAM at:ほとんど情報共有はしていなかったと思います。お互いプリプロの状態でデータを渡して作っていった感じでしたね。

飯塚:そうでしたね。ここでTAMADAさんのピアノが入るとどうなるだろうという想像をしながら曲を作っていきました。

ADAM at:お互い全部新曲のレコーディングでしたし、納期も決まっていたので、すり合わせをする時間が多くなかったのもありましたね。

—今回のタイトルは『Dr.Jekyll』と『Mr.Hyde』という有名な小説から引用されていますが、最初からお互いの盤がリンクするようなタイトルを考えられていたんですか?

飯塚:タイトルは最後に決めました。

ADAM at:タイトルに関しては長いディスカッションがありましたね。

飯塚:一晩考えました(笑)。タイトルもジャケットも2枚が合わさって意味を成すようにするにはどうすればいいんだろうと、レコーディングが終わった日の夜にお酒を飲みながらみんなで話をしました。

ADAM at:ADAM atが好きな人はADAM at盤だけしか買わない、PHONO TONESが好きな人はPHONO TONES盤しか買わないんだったら、スプリットで出す意味がないので、どうやって2枚を手に取ってもらうかをみんなで話し合いました。そして、2枚だけど元は一つのものにしようとなり、タイトルもジャケットも2枚合わせると一つになるようにしたんです。

—そういう経緯があったんですね。ジャケットを2枚並べるとイラスト繋がります!収録曲についてお聞きしたいのですが、ADAM atさんはPHONO TONESさんの地元である湘南、鎌倉をイメージされて曲を作られたんですよね

ADAM at:そうですね。江ノ電から見える景色からイメージを膨らませました。だから、PHONO TONES盤に入っている『シエノとレイン』は、江ノ電という意味なんですよ。「エノ・トレイン」という…。

飯塚:エノ・トレインで江ノ電…。なるほど。

伊地知:本当だ!今知りました。

ADAM at:いま初めて言いましたので(笑)。この曲は、七里ヶ浜の砂浜と海をイメージして作りました。

—タイトルにそういう言葉を隠すなんておしゃれですね。お互いの盤に入れる曲はどう振り分けたんですか?

飯塚:この2曲を渡すからそっちの2曲をくださいみたいな(笑)。

ADAM at:コラボ曲が1曲ずつお互いの盤に入るので、それマターで考えた気がします。コラボ曲も自分の曲も生かせる曲をと。今までADAM atのリード曲はアップテンポが多かったんですが、今回はミドルテンポなんですよ。それを生かすために、自分の盤にはその前後に結構アッパーな曲を入れています。

伊地知:昔からライブでやっていた曲を今回音源化したので、大事な曲は自分たちの盤に入れておきたい気持ちがあって(笑)。それが僕たちの盤の1曲目に入っている『Yogi mountain breakdown』という曲で、ライブの最後でよくやっていた曲だったからマストで1曲目に入れたいというやりとりをしました。

—では、ADAM atさんの盤の2曲はどういった曲になるんです?

伊地知:そちらは別にいらない曲ではなくて(笑)。

一同:笑

ADAM at:個人的に思ったんですが、すごくピアノがフューチャーされている曲をいただけたなと。

伊地知:どちらも純くんの曲なんですよ。

—『2nd Moon Landing』はすごくキレイな曲だと思いました。物語のような展開で壮大な感じがします

ADAM at:僕、あのピアノがすごく好きなんですよ。

飯塚:ありがとうございます。PHONO TONESの曲の作り方がだんだん広がっていく中で、ADAM at盤に入ったのは今まであまりやっていなかった鍵盤から作った曲が入っています。そういう意味でも今回はいい機会だったと思います。

—お互いの盤に収録されているコラボ曲についてお聞きしたいのですが、ADAM at盤の曲『Dr. Jekyll』からは陽の光を感じました

ADAM at:うれしいですね。インストバンドの良さだと思うんですけど、歌詞がないのでタイトルにはっきりとした時間を書かない限り、聴いている人がシチュエーションを勝手に決めてくれる。それがありがたいですよね。その中で、僕が思っていた陽の光とかを分かってくださるのはすごくうれしいです。

—曲からすごく伝わりました。PHONO TONES盤のコラボ曲『Mr. Hyde』はエレクトロな音が入っていて、これまでなかったような曲ですよね

飯塚:鍵盤の個人的な話になると、エレクトロっぽい音は初めて使いました。いいチャレンジができた気がします。

—今作を作るにあたって新しい発見もありました?

飯塚:いっぱいありました。TAMADAさんのピアノのソロを聴いて、自分は思いつかないフレーズだなと思いましたし、エネルギーや表現の部分でもすごく刺激的でワクワクしました。アプローチの方法も含めて勉強になりました。

伊地知:PHONO TONESはリズムパターンのバリエーションがすごく多いので、いろんなリズムパターンを入れようと思って作っているんですけど、今回はいつも以上にいろんなパターンが入ったなと。それで曲の色がカラフルになっていくんですよね。

ADAM at:PHONO TONESさんからコラボ曲をいただいた時、やられたなと思いました。メロディラインがすごく良くて、伊地知さんがおっしゃったように頭のドラムパターンが面白いんですよ。そこからシンセの音が入ってくるので、今までのPHONO TONESらしくない入りだと思うんですが、聴き進めていくとPHONO TONESの音になっている。裏切りつつも最終的には自分のフィールドに持っていってるところにやられたと思いました。僕はそんなに攻めていなくて、ADAM atというバンドをPHONO TONESの好きな人に知ってもらう名刺交換的な曲にまとめたので、ちょっと悔しかったのはありますね。

—確かに今作でお互いのバンドを知るきっかけにもなると思います。そして、今回の作品が実現するきっかけになったツアーも実現しますが、どのようなツアーにしたいですか?

ADAM at:この1回で終わらない、次に繋がるツアーにしたいですね。11月26日(日)の横浜F.A.Dでツアーは終わりますが、それで終わりではなく、例えば10年後にもう1枚CDを出せたらいいなと思いますし、何かしら続けていけたらいいなと思います。

—是非これで終わるのではなく、続けていきインスト界を盛り上げていって欲しいです。最後に、このスプリットCDを買ってくれるインストファンへ向けてメッセージをお願いします

飯塚:今回2バンドでスプリットを出しますけど、他にもいろんなインストバンドがいるので、今作で共有できる場面がどんどん増えていくと思います。そのきっかけにもなりたいし参加もしていきたいので、これを機にいろんな人に会えるといいなと思います。よろしくお願いします。

伊地知:そもそも今回音源を作ったのが一緒にツアーを回りたいねという目標から作ったものなので、是非ツアーを観に来てほしいです。一緒に演奏する曲もたくさんあるので、後半になったらその曲が増えていったり、もしくは一切やらなくなったり(笑)。

一同:笑

伊地知:とても楽しい感じになると思うので、是非ツアーに来てください!

ADAM at:CDを買ってライブに来ていただきたいのはもちろん、これを機にいろんなインストバンドに興味を持ってくれたらうれしいです。今後ともインストバンド業界をよろしくお願いします。

ADAM at × PHONO TONES『Dr. Jekyll』Music Video

PHONO TONES × ADAM at『Mr. Hyde』Music Video

■リリース情報

ADAM at × PHONO TONES
『Dr. Jekyll』
スプリットEP
2017.7.26 発売
1,500円(+tax)


PHONO TONES × ADAM at
『Mr. Hyde』
スプリットEP
2017.7.26 発売
1,500円(+tax)

■LIVE情報
「ジキルとハイド」ツアー
10月28日(土) 東京 代官山UNIT
11月10日(金) 愛知 名古屋JAMMIN’
11月11日(土) 静岡 磐田FMステージ
11月18日(土) 長野 伊那GRAM HOUSE
11月19日(日) 石川 金沢GOLD CREEK
11月24日(金) 京都 京都 磔磔
11月26日(日) 神奈川 横浜F.A.D

■オフィシャルWEB
ADAM at http://adamat.info
PHONO TONES http://phonotones.net

■プロフィール
ADAM at
キーボーディスト、ADAM at(本名のTAMADAを逆から読むとADAM atになることから命名)を中心に、2011年静岡県浜松のライブハウスでセッション・バンドとして活動を開始。ボサノヴァ、ジャズ、テクノ、スカなどの要素を取り込み、ひたすら踊れるバンドとして話題となり、全国のライブハウスからのオファーが殺到。国内のみならず海外でもライブを行なっている。これまでにリリースした3枚のアルバムはいずれもiTunesジャズチャートで1位を記録。2015年5月よりNHKプロ野球放送(総合テレビ・BS1 ラジオ第1)のテーマ曲『六三四』を書き下ろした。また、2017年2月から放送されたキュービー「キューピーマヨネーズ」のCM「野菜は、踊る。」編の音楽などを担当。

PHONO TONES
2012年『PHONO TONES has come!』でデビューを飾って以降、『LOOSE CRUISE』(2013年)、『Along the 134』(2015年)とコンスタントにアルバムを発表。「FUJI ROCK FESTIVAL」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「RISING SUN ROCK FESTIVAL」と、大型フェスにも多数参戦しインストバンドの枠に留まらないキャッチーなメロディと、ジャムバンド的ダイナミズムを融合させたサウンドで、全国の音楽好き達を唸らせている。

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