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INTERVIEW 旬のアーティストインタビュー

2017.9.14

15周年を迎えたアルカラが『KAGEKI』に込めた理屈じゃない遊び心

「20周年を迎えた時、15周年で僕がいま言ってたことがすごく青かったなと思いたい(稲村)」

今年バンド結成15周年を迎えたアルカラが、7月26日にフルアルバム『KAGEKI』をリリースした。そのリリースから約2週間後に行った今インタビューでは、作品の内容はもちろんのこと、アルカラの楽曲の元を生み出す稲村(Vo/Gt)の深い部分、本質に迫った。そこから見えてきたアルカラ結成15年で培ったものとは。稲村と田原(Gt)の2人が語る。

取材・文 坪井

—7月26日にリリースされたアルバム『KAGEKI』は12曲入りですが、フルアルバムは初だったんですね

稲村太佑(Vo/Gt):そうなんですよ。8曲でも十分聴き応えのある作品を作ってきたなというのはあったんですが、ひとつのコンセプトを持ちながら12曲入れるとなると、何となくではただの曲の集まりになっちゃうので、テーマ性を考えるという点で音楽的なバランスの取り方をいつもより考えさせられました。自分たちのもっと深いところも含め、今までのアルカラとは違う一面を見せられたと思います。

田原和憲(Gt):今までは8曲でアルバムだったんですけど、そこから4曲増えるだけでいろんな表情を出せて、世界観の幅が広がるんだなと思いました。完成した後に全部聴き直してみたら、その広がりを感じて新鮮な気持ちになりました。

—今回のアルバムに前回のシングル曲『炒飯MUSIC』は入っていませんが、どうして入れなかったんですか?

稲村:今回のアルバムは、自分たちが15年やってきたものを出す硬派な作品という位置付けなので、タイアップ用に書き下ろした『炒飯MUSIC』は本アルバムのコンセプトとはまたちょっと違った作品だと思っています。

—なるほど。そのシングルに収録されていた『LET IT RIDE』だけアルバムに入っているのは、今回のコンセプトに合うからということですか?

稲村:そうですね。あの曲は今回の作品寄りの曲だったので。シングルの中では、『LET IT RIDE』が一番『KAGEKI』にハマるかなということで入れました。

—今作は最初からアグレッシブな曲が続く展開ですが、曲間を詰めているところにこだわりを感じました

稲村:パンキッシュで尖っていきたい気持ちを、早いテンポの曲の曲間を詰めることで表しました。3曲で10分ぐらいなんですけど、ど頭でかき混ぜ、そこから曲の深い部分をゆっくり聴いてもらいたくてそうしました。

—その深い部分になるのかは分かりませんが、4曲目の『如月に彼女』は2月という意味の言葉が入っています。収録曲12曲の歌詞を改めて見ると、季節感のある言葉がちょこちょこあるので、そこは敢えて入れたのかなと思ったんですが、いかがですか?

稲村:よくぞ気付いていただきました。今回は12曲なので、季節感が分かるように季語を使う奥ゆかしさを散りばめています。今作は、その季節感や四季を感じながら一周回って輪廻するところがドラマチックで、実は歌劇(KAGEKI)になっているんだよというところに展開できたらいいなと。でも、あまりこれを謳い文句にすると面白くなくて、聴いた人がもしかするとそうなんじゃないかと思える方が面白いと思うんです。そういう深みを、既に聴いた方は歌詞を見ながらもう一度聴いてもらって、これから手に取っていだだける方はそこも踏まえて聴いてもらえたらうれしいですね。

—季節感ではありませんが深みという点で、『コンピュータおじさん』は深いでね

稲村:SCSI(スカジー)という言葉が出てくるんですけど、18歳の頃SCSIってすごい機能だなと思っていたんですよ。今は無きMOを導入したければ、SCSIを使って外付けしなければいけないシステムがすごく好きで。今はUSBで一発なので、なんて大変な時代だったんだろうと思うんですけど、そのパソコンを捨てる時がくるじゃないですか。今ではガラクタのように見えるけど、こいつあの時は最新やったのに可哀想やなという気持ちを歌にしています。ちなみに、バラバラにしますという意味と、あなたのデータを持ったままやからバラしますよというダブルミーニングになっているんですよ。昔のコンピュータって今では使いものにならん箱ですけど、そういう時代があって今があるなというのを感じてほしいですね。コンピュータが回収されていくシーンに胸をグッとされる心をみんなに持ってもらえたら、捨てることに対しての気持ちも変わるんかなと思います。

—特に古いコンピュータを“おじさん”と例えているところに哀愁を感じます

稲村:『コンピュータおじさん』というふざけたタイトルから、そこまで膨らまされているのに気付けるアンテナは立っていますか?ということです。僕はそれに関わらずそういう発信をしていくという象徴のような曲ですね。

—深いですね。個人的にアルバムの中で最後の曲『さすらい』が好きで、アルカラの真骨頂な曲だなと

稲村:『さすらい』は石川五右衛門の歌なんですよ。何で歌にしようと思ったかと言うと、僕には石川五右衛門の精が付いていると、霊能力を持っている知り合いに言われたからで。その方が、「太佑くんはいろんなことをいっぱいしても、すぐにみんなに分け与えるタイプでしょ。石川五右衛門もそうで、奪ってもそれをみんなにバラまくよね。それでは、あなた自身の身にならないよ」と言うんですよ。それから石川五右衛門について調べたら、子供と一緒に釜茹でにされるんですけど、子供をちょっとでも生かすためお湯の上に上げる行為があって、それが人間臭くていいなと思ったんです。天下の大義賊が自分の子供のためにそこまで人間臭いんやと。そういう人間臭さを伝えたいと思って書いたのが『さすらい』です。でも、この曲を五右衛門って言ってもうたらあかんのですよ。五右衛門の歌なんじゃないかと気付いてほしくて、という歌詞の最後だけを<殺って>と漢字に変えたんです。ひらがなの方が意味の広がりがあっていいんじゃないかと言われたんですけど、むしろ限定する方がこの曲は生きるなと思ってそうしました。

—今の話もそうですが、これまでの話で実はこういう意味があるという部分がたくさんあって、そういうところをもっと深く聞けたらと思います。既に聴いた人も、このインタビューを読んでCDを手に取る人も作品の中にある深みを聴き取ってほしいなと思いますので

稲村:まずは一通り早送りせんと全部聴いてほしいですね。ボーナストラックまで全部。それから、1曲目に戻るようリピート再生で聴いてもらったら、すごく伝わると思います。1曲目の『3017』は今から1000年後に歌ってる歌で、僕はこの作品ですごく生き死にを気にしたんです。自分たちが死んだ先の来来来世のタイミングで、自分の曲に出会いたいなと思ったんですよ。そういう曲を書いて自分の来来来世で出会った時に、「この曲なんか知ってる」と思いたくて『3017』というタイトルにしました。1000年後に、「1000年前の名盤です」という紹介をされて聴いた気になりたいなと。そのギミックがボーナストラックにあるんですが、変な話これってただの遊び心じゃないですか。その遊び心を最初聴いた時、自分で自分に鳥肌立った感覚があったので、そういう理屈じゃないところに辿り着けたらいいなと思ってますね。それって、ロマティックやなと思いません?

—そう思います。1曲目の『3017』ってどういう意味なんだろう?って最初は思うんですけど、ボーナストラックを聴くと「おー、そういうことだったのか!」って理解できるんですよね

稲村:そういうのが面白いと思いますね。もちろん1曲1曲は大事ですけど、そういうギミックをちゃんと考えているかどうかは、CDを作らせていただいている側の責任でもあると思うし、そこを曖昧にするとCDを買う意味がなくなってくるんかなと思いますね。CDを買わなあかんと思わせていないのは、僕らでもあると思うんですよ。もちろん配信という、コンビニエンスで労力も荷物もなくデータとしてやれる方がいいのも理解しています。僕も配信サイトでダウンロードして曲を買ったり定額制聴き放題サービスなどを使ってますし、いろんな音楽に出会うきっかけになるので、今の時代の理にかなってると思います。だからこそ、アーティストがCDにしかない良さを伝えるべきだと思うんですよね。15年やってる奴らの悪あがきじゃないですけど、その時代の良さを伝えられる生き残りとしてCDの良さを伝えることは責務かなという気はしてますね。

—伝えるという部分でアルカラの皆さんは公式のホームページはありますが、TwitterなどのSNSはやられていないですよね

稲村:アルカラとしてTwitterのアカウントを持っていないのは、僕らなりのアンチテーゼです。もちろんあった方が楽やなとは思いますが、200バンドあったらひとバンドぐらいなくてもいいかなと思っています。だからといってストイックでもないので、ホームページに来たら情報があるようにはしています。情報は待ちじゃなくて、迎えに来てほしいですね。それはハードルが高いのかもしれませんが、迎えにくる人がいることに自信を持ちたいし、その良さに気付いてもらえるまでやり続けるしかないと思っています。そういう継続が一番大変やなと思いながら、15年やってきたんですよね。20周年を迎えた時、15周年で僕がいま言ってたことがすごく青かったなと思いたいし、あの時あんなこと言ってた自分が可愛いなと思えたら成長やなと思えますね。

—そこを目指してこれからも突き進んでいってください!そして、15周年イヤーでリリースした今作のツアーが10月27日(金)から始まります。どのようなツアーにしたいですか?

稲村:作品を伝えていく上で、さらに新しいものを作るツアーにしたいですね。作家としてここでゴールだと思いながら作るのも大事なんですけど、常にゴールの先を見ないといかんと思うんで、『KAGEKI』というひとつのゴールではありますけど、その先は自分たちで表現していく15周年イヤーにしないと。リリースで完結するのではなくて、トゥービーコンティニュードでいきたいです。

田原:目の前のことを一生懸命やってたら15年経っていて、たぶんそれは繰り返されていくんやろうなと。もちろんどんどん積み重なってはいきますが、マイペースにやっていくんやろうなとは思いますね。

稲村:15年の半分はお客さんがいない前提でライブをやっていたので、むしろ今はすごくありがたいと思っています。その空振りみたいなライブから振り方はずっと変わっていなくて、ようやく自分たちのピントが合ってきただけやなと。だからと言って、いきなり毎回いいホームランを打てるわけではないので、毎回合わせにいかなあかん。田原はマイペースと言いましたが、その振り方は変わらなくて、どんだけスイングが早くなっていくか。今までずっとやって来たことなので、振り続けるんやろうなと思います。

—これから先のアルカラにも期待しています。では最後に一言CDを手に取ってもらえる人に聴いてほしいポイントをお願いします

田原:『さすらい』での僕のスラッシュメタル感を聴いていただければありがたいです。

稲村:ライブで聴いてもらいたい曲たちばかりなので、一回ちょっと生で勝負しませんか。ぜひ生で体験してもらえたらうれしいです。

アルカラ『如月に彼女 MUSIC VIDEO』(Short Ver.)-

■リリース情報

『KAGEKI』
アルバム
2017.7.26 発売
完全生産限定盤(CD+グッズ) 4,500円(tax in) ※数量限定
通常盤(CD) 3,240円(tax in)

■LIVE情報
KAGEKIにやってくれないかチュアー
2017年
10月27日(金) 千葉 稲毛K'S DREAM
11月01日(水) 宮城 仙台MACANA
11月02日(木) 岩手 盛岡Club Change WAVE
11月24日(金) 北海道 苫小牧ELLCUBE
11月25日(土) 北海道 札幌Sound Lab mole
11月30日(木) 香川 高松DIME
12月01日(金) 岡山 PEPPERLAND
12月03日(日) 広島 SECOND CRUTCH
12月05日(火) 福岡 DRUM Be-1
12月14日(木) 石川 金沢vanvanV4
12月15日(金) 新潟 CLUB RIVERST
2018年
1月06日(土) 愛知 Zepp Nagoya
1月08日(月祝) 大阪 Zepp Osaka Bayside
1月27日(土) 東京 ZeppDiverCity TOKYO

■オフィシャルWEB
http://arukara.net

■プロフィール
稲村太佑(Vo/Gt)、下上貴弘(Ba)、田原和憲(Gt)、疋田武史(Dr)の4人からなるロックバンド。2002年7月に結成され、2003年2月に現メンバーとなる。2008年に1stアルバム『そうきたか』を発表。2011年7月にアルバム『こっちを見ている』でメジャーデビュー。2013年に地元神戸を舞台にしたサーキットイベント「ネコフェス」を主催し、以降毎年実施している。また9月にリリースしたアルバム『むにむにの樹』を携えて行った全国ツアーでは全25公演で10,000人を動員した。その後もコンスタントにリリースを続け、2016年11月にアニメ『ドラゴンボール超』のエンディングテーマ『炒飯MUSIC』を収録したシングルを発表。2017年7月には結成15周年を迎え、同月26日にアルバム『KAGEKI』をリリースした。

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