1. トップ
  2. インタビュー
  3. cinema staffが新作『eve』で表現した、いまの自分たちの音楽

ライター ツボイ

2016.5.30

1,835 good

cinema staffが新作『eve』で表現した、いまの自分たちの音楽

「僕ら的には、今作はcinema staffがずっと持っていたポップさを研ぎ澄ませた方が強いですね(久野)」

5月18日(水)に、前作『blueprint』から約1年1ヶ月ぶりとなる5thフルアルバム『eve』をリリースしたcinema staff。バンドが以前より持っていたポップな部分を研ぎ澄ませつつ、新たな楽曲へもチャレンジした意欲作だ。今作を制作する過程から、5月27日(金)から始まるツアーへの意気込みまでメンバー全員にインタビュー!

―前作『blueprint』から2枚のE.Pを経てのフルアルバム『eve』となりますが、今作の構想はいつ頃からありました?

三島想平(Ba): 最初、アルバムの構想は全くありませんでした。去年の夏前にタイアップのお話を2曲いただいて、10月に『WAYPOINT E.P.』、12月に『SOLUTION E.P.』と2枚のE.Pをリリースした頃の11月ぐらいから、アルバムについてちゃんと考えるようになりました。

―その頃から『eve』のイメージはありました?

三島: 飯田くんの声を活かす楽曲や、cinema staff全員がいま共通してやりたいことなど、メンバー内でかなり話し合いを重ねました。その上で、既に『YOUR SONG』『切り札』といったいい曲があるので、1枚の作品として完成度を高めるためにどのような曲が必要か、また10曲以上入れる中で、曲の役割を考えながら作品性のあるものにするにはどうすればいいのかを詰めていくことで、少しずつ輪郭が見えてきた感じです。

飯田瑞規(Vo/Gt): フルアルバムの制作に入る前にスタッフも含めみんなで話し合ったんですが、『blueprint』には歌詞も含め重さがあったので、今回は明るい気持ちで聴けるようにしたいなというのはありました。今ある曲を羅列して聴いた上で、「さらにこんな曲があると振り幅があって面白いよね」など話し合って形を作っていきました。

―今作を作るにあたりかなり話し合いをされたみたいですが、これまでにはなかったことなんですか?

飯田: ここまでの話し合いはなかったですね。久野(Dr)くんが入って今年で10年になるんですが、4人だけでお酒を飲みに行ったのも5年振りで。メンバーのことを分かったつもりになっている部分があったので、話し合えて良かったですね。前作の『blueprint』もすごくいいものが出来たし、『WAYPOINT E.P.』も『SOLUTION E.P.』も納得したものだったので、次のアルバムは大事だなとみんなが感じていたし、話し合ったことで、それを共通認識として持つことができました。

―そして完成した『eve』ですが、cinema staffの持つポップさがより前面に出ている印象を持ちました。街の雑踏のインスト『eve』から始まりますが、今までにない始まりですね

三島: そうですね。『eve』までの感じのものはなかったと思います。曲も、今作はポップな曲しかないです。

―また、歌詞の視点にも変化があって、客観的で物語性のある詞もあります

三島: そうですね。前作、前々作は「自分がどう思うか、どうしたいのか」という事しかネタがなかった(笑)。それで押し通してきたのを、今作ではちょっとフィクションを絡めた物語性のある歌詞も書きました。でも、どうしても自分が出ちゃうところがあって、その部分は無理に抑えつけずミックスしたので、上手くまとまっていると思います。

―その歌詞に関してですが、『エイプリルフール』は身近な人のことを歌ってますよね?

三島: 辻(Gt)のことです。辻くんのことをフィクションを交えて書きました。

飯田: 三島くんから「これは辻くんの曲だよ」と、歌詞をもらった時に言われたんですが、元々はもっと辻くんに寄ってて、もう辻くんのことでしかない歌詞でした(笑)。それを、聴く人のことを考えて変えた部分もあります。

三島: 最初は「今日も酒を飲むんだろ」みたいな歌詞で(笑)。「酒はちょっと…」って言われましたね(笑)

辻 友貴(Gt): そうなんです(笑)

―(笑)。『希望の残骸』は耳障りのいいメロディでギターのフレーズが印象的です。結構ギターを重ねてるなと思いましたが、いかがですか?

辻: 今作はだいぶ重ねてます。特に『希望の残骸』は、最後の方にギターを録ったんですが、プロデューサーの方と一緒に時間をかけていろいろと試しながら録りました。めちゃ楽しかったです。

―そして、『eve』から『希望の残骸』への流れは晴れやかで、高揚感のあるスタートだと思いました。この2曲の並びは決めてました?

三島: 『希望の残骸』はオープニングナンバーっぽいなというのはありました。ただ、最初から『eve』というインストを入れるかは決めてなかったです。曲の収まり具合を考えた時に、最初に入れる方がいいなとなった感じです。

―今作を聴いて印象に残ったのが6曲目の『somehow』。今までのcinema staffにはない浮遊感のある曲ですね

飯田: 僕が書いた曲だから他とイロが違うのもあると思います。この曲は弾き語りで作ってきたんですが、なかなか形にならなかったので三島くんに相談したり、プロデューサーに入ってもらったりして作りました。シンセを入れるなど今までにないアレンジの曲になっていると思います。

―また、8曲目の『person on the planet』もソウルっぽさのある雰囲気で新鮮です

三島: 僕はソウルやファンクを通ってきてないんですが、曲の前半の跳ねるビートのイメージは昔からあって、それを改めて構築し直した感じです。それプラス、宇宙っぽいなとも思っていたので、その二つが交わった曲になっていると思います。この曲は、ザ・アルバム曲という感じで楽しくアレンジができました。

―この辺りの曲から後半は、作品としてロックでディープになっていきます。E.Pの収録曲は後半にかたまっていますが、曲順へのこだわりも?

久野(Dr): シングル曲は元々あって、アルバムに入れる曲の方が後に作ります。テンション的にも最初に作った曲より、後の曲の方が今のcinema staffにより近いですよね。今の僕らの曲を前半に並べたいので、結果的にこの曲順になりました。前半の3、4曲が本当に今の僕らのモードで、それからチャレンジした曲へという流れになっています。

―そもそも、E.Pに収録されている4曲は最初から入れる予定でした?

久野: 入れるかどうかは二転三転しました。『切り札』と『YOUR SONG』は最初から入れる予定で、『deadman』も入れようと思っていましたが、『AIMAI VISION』に関しては悩みました。この曲は僕が加入する前からあったこともあり、悩みどころだったんですが、アルバム前半のポップな感じの曲は『AIMAI VISION』の頃から続いている認識があったので、同じアルバムに入れることにしました。この曲に関してはかなり話し合いましたね。

飯田: 久野くんは曲順にめちゃくちゃこだわるんですよ。僕らが思ってるよりも(笑)。

久野: 僕は人のアルバムでも曲順が気になるぐらいですから(笑)。いつもみんなに何通りか並び順を見せて、意見を聞きながらここは逆かなとか話し合った上で最終決定しています。

―その4曲のアレンジを変えたアルバムバージョンを作り、収録しようとは思いました?

三島: あまり思わなかったですね。

久野: でも、『YOUR SONG』と『deadman』はアルバムバージョンになってますよ。

飯田: そうなんです。本当に細かい部分なんで、あまり気付かないかもしれないです。

久野: 『YOUR SONG』はアルバムではチェロが入っています。『deadman』はイントロのミックスが変わっています。どちらもアルバムの雰囲気に馴染むようになってると思います。

―なるほど。その『YOUR SONG』で終わるのもありかなと思いましたが、『overground』という明るい曲が最後になっています

三島: 今作は明るく終わりたいと思っていました。ただ、『overground』を最後にするイメージは最初はなかったですね。この曲は、アルバムを作る前からあったんですが、実はこの曲のパーツを使って新曲を作ろうとしていたんです。でも、改めてこの曲を聴いてみたら、いいなと思ったのでそのまま作りました。パーツは最終的に『eve』にフレーズだけ入っています。そのフレーズを使った『eve』が最初にあるから、最後に『overground』で終わったらきれいなのかなと。

―ちなみに、この曲は尾崎 豊のようなフレーズがありますよね

三島: それ、よく言われるんですよ!

飯田: 初めてのことでしたが楽しかったですね。

―この曲も含めよりポップさのあるアルバムだと感じました。cinema staffの印象が少し変わったというか…

久野: 今作を聴いた方からよく言われます。でも、cinema staffって元々ポップだと思うんですよ。僕ら的には、今作はずっと持っていたポップさを研ぎ澄ませた感じの方が強いです。それに、みんなが納得してると思うんですよ。

飯田: うん、そうだね。

久野: 1stミニアルバム『into the green』にも『KARAKURI in the skywalkers』のような曲が入ってるし、最初からそのような曲もやっていたので、その部分が大きくなっていった感じです。

―今作が5枚目のフルアルバムで、先ほど久野さんが加入して10年になるとおっしゃってましたが、ひとつの区切りだなという感じはあります?

三島: それはないですね。区切りがあるとしたら、インディ―ズからメジャーへの『望郷』をリリースした時の方が大きいです。そう思うと、10年はあっと言う間でしたね。

久野: 本当にあっという間で、10年ってどれぐらいかなと改めて考えると、結構長いなとは思います。この10年で変わっていないつもりでしたけど、いろいろと変わっていってるんですよね。

三島: それは思う。めっちゃ変わったと思いますね。

―ちなみに、cinema staffを10年続けると思っていました?

久野: やめるとは思ってなかったですが、続けるとも思ってなかったですね。夢中で目の前のことをやっていたら、10年に辿り着いた感じです。

三島: 僕は続けると思ってなかったですね。

飯田: 僕も思ってなかったです。

―それはどうして?

三島: そもそも僕は目標が低かったんです。メジャーでCDを出して、クアトロでワンマンができればいいなと思っていたので。それを達成したら欲が出てきて、次はZeppでワンマンが目標になるんですが、まだ達成できていないので、その葛藤の時間はすごく長かったですね。でも今は、1年に1枚アルバムを出すサイクルをちゃんと続けられているので、すごく幸せだと思っています。もちろん野望はありますけどね。

飯田: 『eve』をリリースしたこの時期だから言うんじゃなくて、今が本当に1番楽しいというか晴れやかな気持ちかもしれません。もちろんどんどん上には行きたいですが、納得してライブもやれてるし音源もできているので、今すごくいい感じです。

―それは、この間ライブレポさせていただいたMy Hair is Badとの2マン(http://tracks-live.com/repo/rocktherock/)を見て感じました。ライブは何度か見させていただいていますが、どんどん熱くなっていると思います

飯田: それは間違いないです。

久野: 昔は出たとこ勝負感というか、ドラクエで言うとパルプンテみたいな。めっちゃいい日もあるけど、そうじゃない日もあるという…。

三島: ライブの猛烈感は今の方があると思いますね。その面ではすごく成長したと思います。

飯田: ライブへの気持ちも増してて、今の方が熱いライブをしてると思いますね。

―そのライブを体感できる今作のツアーが始まります。名古屋はBOTTOM LINEですが、ここでライブしたことあります?

三島: それがあるんです。12年前にイベントで。

久野: 僕が入ったばかりの時に「COLLEGE ROCK FESTIVAL」というコンテストに出て優勝したんです。

三島: その頃の僕らはショーレース荒らしで(笑)。

一同: 笑

久野: そういった意味でもBOTTOM LINEは思い出深いライブハウスですね。

―そうだったんですね。今回のツアーはどのようなライブにしたいですか?

三島: アルバムではシンセを使ってるんですが、今回は同期を一切排除して、4人のバンドアレンジだけで猛烈な感じでやろうと思っています。アルバムの魅力を伝えられるようなものができたらなと思います。いい感じになると思いますね。

久野: 肉体的になると思います。楽器4つと声2つだけでどこまでいけるか。4人だけでどこまで魅力を出せるかが勝負だと思います。

三島: 確かに勝負感はありますね。去年『YOUR SONG』で同期してピアノを流したんですが、やっぱり嫌いです(笑)。パソコンを現場に持ってきて、久野くんの横に置いたんですけど、それからパソコンの調子が悪くて。久野くんの汗が原因かなと(笑)。

飯田: 間違えてパソコンを叩いてるところ見たからね(笑)。

一同: 笑

久野: そもそも届かないから(笑)。汗もギリギリ飛んでないはず(笑)。

―(笑)。生音だけでのライブ、楽しみですね。辻くんからも意気込みをお願いします

辻: ギターもアレンジを変えて新しい感じで作ってるので、それがどう出るか今は分かりませんが、それを楽しみながらやっていきたいです!

―ありがとうございます。では、最後にライブへ来てくれるファンへ向けてメッセージをお願いします

三島: 1年に1枚CDを出していますが、変わらず応援してくれる方も今作から聴いてくれる方も楽しめるライブになると思いますので、これからも引き続きよろしくお願いします!

飯田: 去年はツアーを20本やっていますが今回は7本しかないので、本当に密度の濃いライブをします。『eve』をじっくり聴いてライブに足を運んで下さい!

久野: 『eve』は聴く度に味の変わるアルバムになっていると思うので、全曲聴いてライブにきてほしいです。よろしくお願いします!

辻: 今回は誰が聴いても、いつ聴いてもいいアルバムができたと思う…。もう、ないっす!言うことはないっす!アルバムを聴けば、ライブを見てくれれば、全て分かると思いますので、アルバムを聴いてライブに来て下さい!!

■リリース情報

『eve』
5th Full Album
2016.5.18発売
初回限定盤(CD+DVD) 3600円(+tax)
通常盤(CD) 2600円(+tax)
※掲載ジャケット写真は通常盤

■LIVE情報
cinema staff oneman tour 2016“about eve”

5月27日(金) 札幌BESSIE HALL
5月29日(日) 仙台CLUB JUNK BOX
6月4日(土) 福岡BEAT STATION
6月5日(日) 広島セカンド・クラッチ
6月11日(土) 名古屋BOTTOM LINE
6月12日(日) 大阪BIGCAT
6月18日(土) 東京Zepp DiverCity TOKYO

■オフィシャルHP
http://cinemastaff.net/

■プロフィール
2003年に辻(Gt)、飯田(Vo/Gt)、三島(Ba)により前身バンドを結成。2006年7月、久野(Dr)が加入し現在の編成となり、愛知や岐阜県のライブハウスを中心に活動を開始。2012年にPONY CANYONからメジャーデビュー。これまでに、シングル4枚、ミニアルバム5枚、アルバム4枚、LIVE DVD1枚をリリース。オルタナティブ、エモ、ポストロックに影響を受けたセンス溢れるポップなメロディと、それとは対照的な直情的で衝動性の強い攻撃性を持ち合わせたギターロックバンド。5月18日(水)に1年ぶり5枚目のフルアルバム『eve』をリリースした。

関連キーワード

RANKING

RECOMMENDED

KEY WORD

WRITER


トップへ