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INTERVIEW 旬のアーティストインタビュー

2016.12.1

Dragon Ashが『光りの街』で示す未来への希望

「Dragon Ashでやるからしっくりくるって曲もあるし、Dragon Ashだから許される曲、そういうのを目指してる (Kj)」

約3年ぶりのリリースとなるDragon Ashのニューシングル『光りの街』。東日本大震災後、被災地支援を行なっていた彼らが石巻「スマイルパーク」で過ごした子供たちとの光景によって生まれたという。進化を続けるDragon Ashがさらなる音の広がりを見せる、ダイナミックでエモーショナルなサウンドと、Kjのリリカルな歌がストレートに心に響く。そして、いよいよ来年メジャーデビュー20周年を迎えるDragon Ash。Kj(Vo/Gt)とBOTS(Dj)に話を聞いた。

取材・文 古田

―シングルとしては3年ぶり、アルバム『THE FACES』からは約2年10ヶ月ぶりの新作リリースですね

Kj:自分ソロもやってたし、意図的に時間を空けたというより、かなりのペースでライブしまくってたらこれだけ空いたって感じですね。

―ファンとしては待望の新曲です。『光りの街』は石巻市の児童公園「スマイルパーク」で見た子供たちの笑顔がモチーフになっているそうですね。どのような活動をされていたのですか

Kj:3.11の震災以降、「BUILD AGAIN」っていうキャンペーンをやってて。大きいフェスだったり小さいライブハウスだったり、いろんなところで「BUILD AGAIN」のステッカーとかバッジを売って、その売り上げを全部使って何か建て直そうっていうことをやってました。そのバッジとかステッカーを売り切ったので何かできないかなと模索していたところ、そのお金の使い道として理想的だと思えるところと出会えて。それが「スマイルパーク」なんですけど。その出来事がきっかけで作った曲です。

―「スマイルパーク」では遊具建設のための寄付だけでなく、子供たちと遊んだりもしたそうですね

Kj: BOTSさんはすごいうまく接していましたね(笑)。

BOTS:いや、全然うまくは接していないです。けど、自分は結構サッカーが得意なので、シュートの技術とか見せつけました。これが大人のキックだぞって (笑)。

Kj:背中で見せる系ね(笑)。けどね、本当に俺らが好きで行かせてもらってることで。ほかのバンドマンもみんな言いますけど、何か少しでも音楽を通してできることをやりに行こうって行くけど、逆にエネルギーもらって帰ってきちゃうみたいな。まさにそういう感じでした。

―『光りの街』の詞は日本語で、すごくストレートに書かれていますよね。子どもたちにも伝わるように意識された部分もあるのですか

Kj:いや、してないけど、でも伝わればいいなと思う。確かに日本語で分かりやすい言葉が羅列してあるので、読んでもらえたらうれしいですね。

―曲ができたときのメンバーの反応はどうでしたか

Kj:歌い出しが良かったみたいですね。

BOTS:そうですね。歌詞がきれいですよね。言葉の選び方がとってもデリケートだし。歌い出しもそうですけど、僕はその同じ光景を見ているわけですよ。同じ光景を見て、彼はこういう風に詞に起こすことができる。俺からは絶対にこんな言葉は生まれてこないから。やっぱり、20年一緒にやっていますけど、さすがだなぁと思いますね。

―今回は音作りも根本的に変えたとか

Kj:そうですね。まず、今回は俺のギターをドロップ(チューニング)で、一番下のキーをローBにしているんですよ。で、今回からレコーディングにも参加してくれてるKenKen(Ba)は5弦ベースなんでローB。HIROKI(Gt)くんはレギュラー(チューニング)で一番上がハイE。つまり、使える音域が増えてる。ほかにも、ドラムとターンテーブルの音に関しては、今まで以上に密にリクエストしてます。でもね、違う感性を持っている者同士が言葉でしゃべってるからね。何年やってても言葉だけじゃ伝わりきらない部分もあって。やってる中で、徐々にお互いの感性が合致していった感じですね。

―難しいリクエストも多いですか

BOTS:難題ってわけでもないんですけど、投げかけられたものに関してはもちろん答えたいし。でも、音楽なので100%の正解があるわけではないし。

Kj:うん。そうだね。

BOTS:「あ、そうきたんだ!それも良いね」とか。そういうことが多かったりするかな。とくに俺のパートは(Kjが最初に作ってくる)デモ音源でこれをやってくれって指示がそんなに明確になっているパートでもないので。俺はこういう風に考えてみたんだけどどうかなって感じで。

―なるほど。今作ではどんなことをされたのですか

BOTS:ターンテーブルの機材って進化してるんですよね。例えば、瞬時に音を変えたり、ネタを変えたりできるようになってて。今回はそれを取り入れてます。具体的には、シンセサイザーやキーボードが弾くような音をレコードで出してたり。さらにその音でまたスクラッチできるようにもなってる。キーボードではスクラッチはできないからね。

Kj:ターンテーブルは機材の進化にすげえ依存する楽器で、今また面白い楽器になってるんですよ。俺自分でいじれないんで思うんですけど、クラブのDJプレイを見たときに、楽器としてめちゃくちゃ面白れぇなと思って。できることが増えてるから技量の差が出やすくなってて、プロとアマの差がさらに出る楽器になってる。どんどんテクノロジーは進むだろうし、楽器としてターンテーブルは可能性がすげぇあると思う。

BOTS:ほんと使いようで。ターンテーブルは一番簡単に入れるけど奥が深い。もちろん、どの楽器も奥が深いのは一緒だとは思いますけど。

―今作からはKenKenさんがレコーディングメンバーとして参加されていますが、やはりその部分でも変化は大きいですか

Kj:そうね。それはもう、あれだけの、日本屈指のベースヒーローだし。今回の新曲はKenKenとしかやってないから、ほかと比べられないんだけど。例えば、この前沖縄のフェスで1曲目に『陽はまたのぼりくりかえす』って、20年くらい前の曲をやったんです。その頃ってあえてブレイクビーツっぽくしたりとか、ループっぽくしたりとかして、あえてオケを単調にしてたんです。だからね、KenKenがその曲弾くと全然違う曲になるんですよね。「この曲こんなオケかっこよかったっけ?」みたいな。でも、それくらい変化をもたらせるベーシストなんですよね。ベースって曲のイメージとかグルーブとか左右するからね。キック(ドラム)に対してどこのタイミングで鳴らしていくのかとか、歌に対してどこのうねりと合わせていくのかとか、ベース結構大事だから。それはもう、劇的な変化を遂げてます。

―Kjさんは『THE FACES』以降、“降谷建志”としてのソロプロジェクトをされていましたが、ソロ活動も今回の新曲に影響がありましたか

Kj:同じひとりの人間が全曲作詞作曲してるから、音楽としての本質の部分ではそんなに変わらないんでしょうけど。ソロでやってることをDragon Ashでやりたいと全く思わないし、Dragon Ashでやってるようなことをソロで鳴らしたいって全く思わない。Dragon Ashでやるからしっくりくるって曲もあるし、Dragon Ashだから許される曲、そういうのを目指してる。ソロは一生やれるしさ、音楽性もどんどん変えられるし、その時の自分の精神状態にあった表現でいいから。何でもいいからね、一人の表現って。もっと超ナイーブなこととか、超内向的なことでも、ソロだからいいっていう。Dragon Ashではバンドマンとしての創意を、ステージでも曲でもやっていきたいね。

―そういう意味では『Headbang』はライブモンスターDragon Ashらしいという印象です。曲を聴くのが初めてでも思わず頭を振りたくなる。やはりライブを意識されましたか

Kj:まさにまさに。ツアーのために書き下ろした曲で、まさにそれが目的。ツアーでやってからレコーディングしたんだよね。ああだこうだじゃなくて、イントロ一発で一緒に暴れられる、ロックの醍醐味っていうか。俺は、個人的にはもうDragon Ashは『Headbang』みたいな曲だけでいいと思ってる。こういう方面でストロングポイントを出していきたい。今の時代、ライブが主戦場だしライブで勝ってなんぼだから。BOTSくんもよく言ってますけど、楽しく真剣にライブで戦い続けるために音源出すって言っても過言ではないくらいなので、ライブユースな曲がとくにDragon Ashは強いんだと思います。

BOTS:まさに。そうなんです。お客さんもほんと『Headbang』の名の通りよろこんで頭振ってくれますね。

―初回盤DVDにも入っていますが、200人というキャパの『石巻 Blue Resistance』でのライブはいかがでしたか

BOTS:確かに体感的にも少人数でしたね。お客さんの盛り上がりも良かったです。うちのバンドはステージから我々がダイブするのはNGとされてきたんですけど、DRI-V (Dance)が勢い余って客席にダイブしたっていう、それくらい俺らも普段と違う感じで盛り上がれたライブになりましたね。

Kj:そうだよね(笑)。しかも、一番感情の起伏がないDRI-Vがね。

BOTS:そうそう!ブルーレジスタンスがそうさせた?みたいな(笑)。多分、ブルーレジスタンスに来てくれたお客さんは全員初回盤買ってくれてるんじゃないかなと思うくらい。絶対にいい思い出になってるだろうと。だけど、ほかの広いところでも同じ気持ちでやってるし、たくさん楽しい思いはさせてもらっているから。規模に限らず気持ちはどこの会場でも一緒ですね。

―いよいよ2017年はメジャーデビュー20周年を迎えられるわけですが、振り返ってみていかがですか

Kj:俺とサク(桜井誠・Dr)は中学からバンドをやってるんで、もう人生ほとんどですよ。人生の半分以上やってることなんて、あんまりないですよね。この職業は自分たちでプロだって言っても、人がプロだと思わなきゃそうじゃないから。評価してもらって、金払ってライブ来てもらって、楽しんでもらって、やっと職業として成立するからさ。それが、長年こうやってみんなに聴いてもらってるわけで。自分たちでよく頑張ったなっていうよりはさ、感謝の念しかないですね。

BOTS:今になっていろいろ振り返ってみて、自分の通ってきた道とか、すべて含めて良かったなって思えるし、これからも思えるような音楽人生にしていきたいなって思います。みんな毎回一生懸命やれてるし、やりたいと思えるような環境を作ってもらえてるっていうのは恵まれていますよね、本当に。

―現段階ですでにツアーやアルバムなどの構想はあるんですか

Kj:いや、全然決まってないけど、ちょっとずつは作ってるんで来年中には出したいですね。

―楽しみにしています!では最後に『光りの街』を聴いてくれるみなさんにメッセージをお願いします

Kj:自分の中では全然自信がある曲じゃなくて。詞も久々の日本語で、オケも全然自信なかったんですけど、こんなにいっぱい褒めてもらえるの久々だなってくらい(笑)、発売前からバンド仲間も褒めてくれてて。みんなのそういうリアクションで、いい曲なのかもしれないってちょっと思い始めたくらいで。シングルをどれにするとかは自分で選んでないんですけど、これにして良かったなぁって思います。聴いてもらえたらうれしいです。

BOTS:そうですね。聴いていただければ、本当に温かい気持ちになれる曲だと思います。Dragon Ashの曲は、構成とか多かったとしてもシンプルな構成なんでつるっと聞けて、何回聴いても聴き応えのある曲になっているので、ぜひ聴いてほしいです。

Dragon Ash - 「光りの街」ミュージックビデオ YouTube Ver.

■リリース情報

『光りの街』
27th Single
2016.11.9発売
初回限定盤(CD+DVD) 1980円(+tax)
通常盤(CDのみ) 1000円(+tax)

■オフィシャルHP
https://www.dragonash.co.jp/

■プロフィール
1997年、Kj(Vo/Gt)、IKUZONE(Ba)、桜井誠(Dr)の3人でデビュー。BOTS(Dj)、HIROKI(Gt)、ATSUSHI(Dance)、DRI-V(Dance)が加入し7人編成になるも、2012年、オリジナルメンバーのIKUZONEが急逝。2013年、現在のメンバー6人で再び前進することを決意する。デビュー時よりあらゆるジャンルを驚異的なスピードで横断し、Dragon Ashとしか表現しようのない音を鳴らし続ける。常にオルタナティブな道を自ら選びながらも圧倒的なファンの支持を得続ける、日本の音楽シーンを代表する怪物バンド。そして2016年、シーン最重要ベーシストKenKen(Ba)がレコーディングメンバーとして参加し、堅い絆で結ばれた7人によるニューシングル『光りの街』を11月9日にリリースした。

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