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INTERVIEW 旬のアーティストインタビュー

2017.8.29

シングル三部作で銀杏BOYZはもう一度ページをめくる

「この3枚は1ページ目を開いていく感じだと思うんです(峯田)」

7月26日にリリースしたシングル『エンジェルベイビー』から3ヶ月連続でシングル三部作をリリースする銀杏BOYZ。前作『生きたい』を完成させたことで生まれた、ど真ん中の曲を作りたいという思いがこの三部作に反映されている。その楽曲にはそれぞれどのような思いが込められているのか。銀杏BOYZの峯田和伸に話を訊いた。

取材・文 坪井

—三部作最後の『生きたい』から約1年ぶりのリリースとなりますが、今回3ヶ月連続リリースの三部作にされたのはどうしてですか?

峯田和伸:10月13日(金)に武道館でのライブが決まったので、その前に音源を出したいねという話になって、「どうせ出すなら1枚より3枚出すのはどう?」って僕が勢いで提案したんです。まさか本当に動くとは思っていなかったですけど…。

—3枚連続で出せるぐらい曲は作られていたんですか?

峯田:作ってないです。『エンジェルベイビー』だけありました。それでも、まあいいかと思っていたんですけど、いざ現場に入ったらキツいなと(笑)。

—(笑)。『エンジェルベイビー』はいつ頃作られたんですか?

峯田:今年の春に作りました。

—『エンジェルベイビー』は、ノイジーな部分もありつつ初期の銀杏BOYZを思わせるサウンドに仕上がっていると感じたんですが、楽曲制作において気持ちの変化はありました?

峯田:前作の『生きたい』で重めの曲は作れたので、これからは軽やかな曲を作ろうという自分の開いているモードというか、その気持ちがあったと思います。

—歌詞に関してはどのようなモードだったんですか?

峯田:自分が音楽というものに触れた時の気持ちをちゃんと曲にしたいなと。年齢によるものなのか経験によるものなのかは分かりませんが、どのアーティストにも立ち返る時期はあると思うんです。自分にとってそういう時期だったのかもしれないです。ここから始めるぞということで、1ページ目に戻ってその時の気持ちを思い出して書いたんだと思います。

—<ロックンロールは世界を変えて>という歌詞に、その1ページ目の気持ちが乗っているように思いました

峯田:海外のコンサート会場で起きたテロのニュースが本当にしんどくて。その悲しいニュースを見て、こんなことが起きちゃうんだなと。歌詞にもあるんですけど、この世界というのは多分もう取り返しがつかなくて、どうにもできない。でも僕の世界は、あの時ロックが変えてくれたところがあって、それを書きたかったんです。

—今はネットから流れてくる情報に左右されてしまうところがあって、何を信じていいのか分からない世の中になっているのかなと思います。その中で峯田さんは自分がロックで救われたように、自分の音楽で救ってあげたいという気持ちを歌詞で表現しているのかなと

峯田:10年前とはだいぶ状況も違っていて、例えば前は欲しい情報があったら本を買ってでも自分からその情報を掴みにいっていたと思うんですよ。今は能動的じゃなくて情報を受けている感覚があって、例えばその日のヤフーニュースとかに左右されてしまうのかなと。それが悪いことではないんですが、だからこそ、そういう情報の海の中で自分が何を歌うのか、何を歌わなければいけないのかは最近すごく敏感になっています。

—今の時代の中で自分を見失わないように確認するのは大事ですよね

峯田:どんどん自分の中から出てくるメロディが少なくなってきて苦しんだ時期もあったんですけど、どこかで肯定するというか能動的になれない自分を認めて、昔のやり方で出てこなければ今のやり方と今の自分の感覚でメロディを生み出すしかない。何となくそれができてきた気がします。

—『エンジェルベイビー』はそこから生まれた曲でもあるんですね。そして、カップリング曲の『二回戦』は雰囲気がガラッと変わります

峯田:気分と一緒で、一日の中で楽しい時もあれば、ちょっと楽しむのはキツイな、誰も俺に話し掛けないでくださいという時もあって、『二回戦』は後者の側面からできた曲です。

—どちらかと言うと陰の部分から出た曲だと。そして8月30日には、シングル第二弾の『骨』がリリースされます。この曲はもともと安藤裕子さんに提供された曲ですが、なぜこのタイミングでしかもバンドアレンジでリリースしようと思われたんですか?

峯田:『骨』は去年からライブでやっていたので、早く音源化したいと思っていました。『エンジェルベイビー』の時にあったノイズっぽい部分は入れないで、ギターもそんなに歪ませないで隙間の多い曲にしています。それが今の銀杏BOYZのメンバーと音を出した時、一番ぴったりくる感じだったんですよね。『骨』をレコーディングした時にそれが掴めた気がして、自分の中でいけると思ってスカスカにしたんですよ。これはシングル第三弾の『恋は永遠』もそうです。

—峯田さんの中で『骨』は手応えがあった曲なんですね

峯田:歌詞にビートルズってあるんですけど、僕ちょうど今ビートルズが好きなおじさんという設定でドラマに出ているんです。その役作りというかそういう気分で撮影に臨みたかったので、半年間ずっとビートルズを聴いていたんですよ。元からビートルズは好きだったんですけど、ちゃんと吸収しようと思ってオリジナルのレコードを中古で探して買って、しかも60年代の匂いが欲しくて当時の人が聴いていたような環境に音をセッティングして半年間ぐらい聴いていました。改めて聴き直したら、ビートルズのどこが好きなのかがはっきりわかったような感覚があって、からくりが分かったみたいな。『骨』と『恋は永遠』の2枚はその半年間から出てきた曲で、その部分が如実に出ていると思います。

—ビートルズって初期と後期とでは音楽性も使っている楽器も変わりますが、全部聴かれた上でからくりが分かったんですか?

峯田:全部聴きましたし、その上で分かった気がしたんですよ。実は、大阪の中古楽器屋に1965年当時にジョン・レノンが使っていたものと同じオリジナルのリッケンバッカー 326があって、それを明日取りに行くんですよ。アンプはvoxを使っているので、当時のジョンとセットが同じになるんです。武道館はそれを使ってをやると思います。

—それは武道館に向けてワクワクしますね。2曲目の『円光』ですが、自身の曲『援助交際』のリメイクですよね?

峯田:当時の『援助交際』は越えられないんですよ。下北沢であの時のメンバーと本当の意味で血を流しながら録った音源なので、あれと同じものは作れない。だから、同じメロディと歌詞ですけど、アレンジを変えたんです。

—なるほど。そして三部作最後となる9月27日リリースの『恋は永遠』ですが、どのような曲に仕上がっています?

峯田: 5年前だったら作れなかった曲ですね。加山雄三さんの曲とか昔のグループサウンズとか、自分の親世代が親しんできたエレキの感じです。日本に初めてエレキのマジックが伝播して、初めて日本がロックと出会った時の感じです。あれを今の空気感でやりたくて作りました。

—みんなが知らない音を知った時の感じを今やりたかったということですか?

峯田:『エンジェルベイビー』と繋がるんですけど、自分にとってのロックの現体験とかその1ページ目ということです。この3枚は1ページ目を開いていく感じだと思うんですよね。僕はバンドをやって20年ですけど、本当に1ページ目からもう一回やろうというのがあると思います。過去は過去としてやってきて、あれはあれで応援してくれた人もいるし、好きですと言ってくれる人もいる。でもそこに、「ごめんなさい、僕一回忘れてもう一度イチからやってみます」という気持ちだと思います。

—ちなみに、カップリングはクリープハイプの曲『二十九、三十』ですが、どうしてカバーしようと?

峯田:先月名古屋でクリープハイプとツーマンライブをした時、クリープハイプに内緒でサプライズでカバーをしたんですよ。それが『二十九、三十』という曲で。その時の打ち上げで尾崎くんに、今ちょうどレコーディングをやってるから、今日カバーした曲を録っちゃおうかなと話したら、「ぜひやってくださいよ」と言ってくれたので、じゃあ入れようと。

—結構軽いノリで決まったんですね。その三部作を踏まえて10月13日(金)に初の武道館でのライブがあります。今どんなお気持ちですか?

峯田: 51年前にあの4人が立った場所でついに、という感じですね。

—ちなみにアルバムの予定もあります?

峯田:そうですね。この3枚は次のアルバムに入ると思います。そのアルバムは、銀杏BOYZを絵で例えると、ノイズとかいろんなことやってきた去年まで何も書いていない真っ白い紙の額縁は作れたと思うので、あとはそのど真ん中に分かりやすい絵を描くような作品を作りたいです。ポップで真っ直ぐで、ど真ん中のアルバムを作りたいです。いい歌を作りたいですね。

—それはすごく楽しみにしています。最後に三部作を買ってくれる人へメッセージをお願いします

峯田:僕は山形出身なんですけど、最近ライブなどで山形へ帰る機会が何回かあって、高校の時の友達と20年ぶりに会ったんです。そいつら当時音楽好きで、ストーンローゼスを聴いていたんですよ。でも、最近は全然わかんねって。ストーンローゼスの話題をしたかったけどできなくて、そうだよな20年経ってるしなと思ったんですけど、僕をホテルまで送ってくれた奴から帰り際に、「峯田、あの時お前にストーンローゼスを教えてもらって良かったよ。ありがとうな」って言われたんですよ。最高ですよね、ロックって。

銀杏BOYZ - 骨(MV)

■リリース情報

『エンジェルベイビー』
三ヶ月連続シングル第一弾
2017.7.26 発売
1,200円(+tax)


『骨』
三ヶ月連続シングル第二弾
2017.8.30 発売
1,200円(+tax)


『恋は永遠』
三ヶ月連続シングル第三弾
2017.9.27 発売
1,200円(+tax)

■LIVE情報
日本の銀杏好きの集まり
10月13日(金) 東京 日本武道館

■オフィシャルWEB
http://www.hatsukoi.biz

■プロフィール
2003年1月、GOING STEADYを解散後、ボーカルの峯田和伸が同じくGOING STEADYの安孫子真哉(Ba)と村井守(Dr)、新メンバーにチン中村(Gt)を迎え、銀杏BOYZを結成。2013年11月、安孫子真哉とチン中村がバンドを脱退。同年12月、村井守がバンド脱退を発表。現在はサポートメンバーを交え、バンド活動を行なっている。2017年までにオリジナルアルバム3枚とライブリミックスアルバム1枚を発売。今年の5月からは3都市(東京、大阪、仙台)を回るツアーを敢行。そして、10月13日にバンド初の日本武道館公演となる「日本の銀杏好きの集まり」を開催する。それに向けて、7月から3ヶ月連続でシングルを発表。

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