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INTERVIEW 旬のアーティストインタビュー

2017.7.26

go!go!vanillasがアルバム『FOOLs』で魅せた音楽の本質

「『FOOLs』を聴いて、ファンに心配されたら困っちゃいますね(笑)」

昨年7月にリリースされたTHE BAWDIESとスプリットシングル『Rockin’ Zombies』、今年に入ってリリースされた2枚のシングルから、アルバムへの期待感が高まっていた中、遂に7月26日、フルアルバム『FOOLs』をリリース!その期待値を大きく上回ってみせたgo!go!vanillasのポテンシャルは底を知らない。収録曲13曲全てでドキドキワクワクさせてくれる3rdアルバム『FOOLs』について、フロントマンの牧達弥に話を訊いた。

取材・文 坪井

—新作『FOOLs』は、いろいろな楽曲があり楽しい作品だなと思いました。ずっと聴けます

牧達弥(Vo/Gt):タイトルにもなっている“FOOL”は“バカ”という意味なんですが、バカにはネガティブなイメージだけじゃなく、「○○バカ」や「バカになろうぜ!」という、何か好きなものに対して一途に愛を注ぐ意味もあります。僕らは音楽が大好きなので、“音楽バカ”として次に来る曲が予想できないドキドキワクワク感を意識した13曲ができたと思います。

—確かにいい意味で期待を裏切る感あります。昨年の7月にTHE BAWDIESとのスプリットシングル『Rockin’ Zombies』をリリースされましたが、今作にその影響はありました?

牧:BAWDIESはストレートにカッコいい音楽をずっと貫いてきているので、一緒にやって気付かされたところはありました。2枚のアルバムを出して、もう一度バニラズらしさを自分たちの中で整理してしっかりと今の自分たちを表現しようという意識を持てるようになったのは、『Rockin’ Zombies』のために作った『ヒンキーディンキーパーティークルー』ができたから。それがあって『おはようカルチャー』『平成ペイン』というシングルへ繋がっていったと思います。

—改めて自分たちの音楽に向き合ったシングルを作り、アルバムへと繋がっていったわけですね

牧:バニラズらしさをシングルでやり切っちゃうことができたので、アルバムの曲は肩の力を抜いて音楽を楽しもうぜという空気になっていきました。

—そのアルバムの内容について伺います。1曲目のインスト曲『We are go!』からワクワクさせてくれますね

牧:意図的にアルバムをワンマンライブとして捉え、SEの感覚で作りました。ここから『サクラサク』へ向けワクワクさせる気持ちを作るための音楽にしたかったので、あえてエレキギターやシンセを使わず、民族音楽やアコースティックな音で構成して、徐々にワクワクさせる感じにしています。

—なるほど。だから『サクラサク』のギターリフがすごく耳に入ってくるんですね。その曲と次の曲『FUZZ LOVE』は恋愛がテーマだと思うんですが、すごく歌詞が分かりやすくて情景が浮かびます

牧:その部分は僕の中に元々なかったんですけど、ライブをたくさんやっていくうちに、2000人規模ぐらいまでは伝えきれても、それ以上のキャパシティになると、自分の中で難しいけど上手いと思っている言い回しや表現は、その場で伝わらないことに気づいたんです。それから伝わる言葉の使い方を意識するようになりました。

—詞に書かれていることは、牧さんの経験が元になっているんですか?

牧:『サクラサク』は、キャンディーズや太田裕美さんなど昭和のアイドルたちの歌詞を書いてきた阿久悠さんや松本隆さんの世界観を、ポップスではなくガレージロックにのせたらどうなるんだろうという遊び心から生まれた曲なので、歌詞はフィクションの方が強いです。『FUZZ LOVE』は、アマチュア時代のバンドマンの生活ってだいたいこんな感じという(笑)。男はダメなヤツですが、女性はすごくいい子で。男はそれを分かっているから、俺に頼れと言えない葛藤があって、その気持ちをサビで出すために心臓の鼓動のような感じにしました。歌詞とリズムが連動しています。

—その話を聞くと聴き方が変わりますね。そして『ラッキースター』はJACKSON 5を思わせる雰囲気で個人的に好きです。今回のリード曲なんですよね

牧:伝説のレーベル、モータウンから出てきた60年代の音楽が好きなんですよ。今回リードトラックはしっかり聴かせる楽曲で勝負したかったので、モータウンの音楽にしっかり向き合って作りました。ピアノを入れたのは、やる以上は妥協したくない気持ちからですね。

—バンドの色が分かりやすいキャッチーな曲ではなく、こういった曲をリードにするところがファンはうれしいのかなと思います。そしてシティポップ感のある『サウンドエスケープ』ですが、バニラズの違った一面が見られます

牧:シティポップは90年代の渋谷系の流れから生まれているので、そう言われるようになったと思っています。僕はそこに詳しくないので、シティポップをやっていますと言うのはおこがましくて。楽曲もバンドのカラーとはちょっと違うので、そこをお客さんにどう楽しんでもらうかと考えた時、純粋に音を楽しもうよと。自分の状況に合う気持ちいい音楽や、テンションの上がる音楽を楽しんでもらえたらいいなという感覚で作りました。

—音楽の楽しみ方は自由ですからね。次の曲『バイバイカラー』は都会的なサウンドですが、歌詞は昭和のにおいがしますね

牧:この曲も『サクラサク』と同じ着目点で作りました。イルカさんの『なごり雪』がすごく好きで、昭和の恋愛の世界観と2010年代のダンスロックをミックスしたらどうなるんだろうという遊び心が元です。歌い方はソウルですがサウンドはエレクトロの要素が入っています。歌詞の世界観とのギャップを楽しんでもらえたらなと思います。

—『サクラサク』のお話の時も思ったんですが、昭和の歌謡曲が流れていた頃ってまだ牧さん生まれていないですよね。その曲をあえて今の音楽と合わせたらどうなるんだろうと実験されている。それって、めちゃめちゃ楽しいんだろうなと

牧:創作意欲という部分ですごく楽しいです。そもそもゼロから新しいものを生み出すのは無理だと思うんです。新しい何かを見つけるためには、レゲエとパンクを合わせてスカとか、そういうことをしていくしかない。新たな歌を生み出すには、何かと何かを自分の中でミックスするのが一番早いやり方なのかなと思うんですよ。

—なるほど。そういう実験をしていかなければ新しい曲は生まれないと

牧:今回の『FOOLs』でやっていることをこれからずっとやりたいわけではなく、面白くない?試してみよう!という感覚で曲を作っています。だから、ファンに心配されたら困っちゃいますね(笑)。

—(笑)。そういう意味では『ストレンジャー』にもその部分を感じます。ギターの柳沢さんが曲を作って、さらに歌ってもいるんですよね

牧:そうです。ギターの(柳沢)進太郎の曲です。もともと進太郎は他のバンドでボーカル&ギターをしていたし、曲も作れるのでやってみようぜと。アルバムのエッセンスとして作る人が違えば、当たり前だけど同じように作っても曲調などが違ってくるので、その面白さを発見できるかなと思って作ってもらいました。

—曲もゴリゴリで『バイバイカラー』からグンとテンションが上がりますね

牧:そうなんですよ。ゆったりからいきなりガンって、まるでジェットコースターみたいな感じですよね。

—そして『グッドドギー』でまたゆったりすると。この歌詞は犬のことですよね

牧:犬バカの曲です(笑)。実はアルバム制作中に犬を飼ったんですよ。ロングコートチワワなんですけど、名前は凛です。アルバム制作中は曲作りなどでストレスが溜まるんですよ。僕の唯一の癒しだったペットショップ周りで出会ったのが凛で、生後二ヶ月ぐらいだったから手乗りで(笑)。独身だからもちろん子育てをしたことないんですけど、凛にそれと近いものを感じて、小さかったのに大きくなって、性格も分かってきていつのまにか人間のように愛を注いでいて。だから歌にしたいなと。でも、犬に対して曲を書いたことは全くないし、着目点として絶対に出てこなかったものだから面白かったですね。歌詞も<おすわり><伏せ>とか、使ったことのない言葉を結構使っていますし。

—確かにあまり見たことのない歌詞ですね。サウンドもクセになりそうな感じです

牧:ちょっとフリーソウルっぽい感じにして、歌が立つように音数もこのアルバムの中で一番少ないんですよ。面白いのが、この前の曲『ストレンジャー』はめちゃめちゃ音も突っ込んでいて、ボリュームもデカいんです。そこから急に一番音数の少ない曲に入るから、スコーンって落ちる。作った俺も聴いてると一瞬焦ります。「あれっ?」て(笑)。でも、スルメ曲な感じがしますね。他の曲の方がテーマや意味がいっぱいある分、聴き応えがあるんですけど、この曲はそんなに一生懸命聴かなくていいから、サビですごく救われる気持ちになるんですよね。愛犬家必聴です(笑)。実はこの曲の中に、サンプリング的に凛の声も入っているんですよ。

—そうなんですか!探してみます。そして終盤『パペット』はこれまでと違い、歌詞から強い意志を感じます

牧:『ヒンキーディンキーパーティークルー』の後に録った曲です。アルバムを作る前の頭の状態だったので、制作やライブ、日常生活においていろいろなフラストレーションがあって、僕はそれを一回吐き出さないと次に行けないんですよ。次のアルバムはハッピーにしたかったので、ここで全部だそうという気持ちからできた曲です。普段はお客さんなど人に投げかける曲が多いけど、この曲は自分に言い聞かせているので、歌詞から意志を感じられるんだと思います。以前書いた『カウンターアクション』という曲と、作った時の感覚が似ているんですよ。その時は、新たに進太郎が入って来た時の不安な気持ちや、周りやお客さんの発言などいろいろな情報が自分の中に入ってきて、みんながいいと言う答えって何だと。考えていたら、人のことを考えても答えが出ないという結論に至ったんです。お客さんや周りに合わせるのではなく、自分の目標や指標を見せることでみんなが安心するんじゃないかということに気づいて、好きなように書きました。『パペット』はそれと同じ感覚で書いています。

—その時の思いが歌詞にのっているんですね。そして『ナイトピクニック』『おはようカルチャー』ですが、深夜から朝への流れは狙ってですか?

牧:もちろんです。『平成ペイン』など同世代への応援ソングは多いと思うんですよ。『パペット』もイメージは新入社員やまだ経験が浅い人たちが感じることですし。僕らも同じで、メジャー3年目だからまだまだ俺らのことを知らない人たちがいっぱいいる。その中で、ワクワクしながら楽しんでいくための気持ちを曲にすることが多いかなと。『ナイトピクニック』も同じで、仕事があっても自分が心を落ち着かせられる場所があることや、歌詞にあるように夜に仲間とドライブへ行って愚痴ったり楽しいことを話すだけで、次の日の仕事への気持ちが変わるんだろうなと思います。そういう今の世代のストレス解消法に、同じ仲間をたくさん作るという方法があるんだろうなと思うんですよね。自分と合うカッコいい奴らと集まって、一緒に何かひとつぶち当てたい感覚はカッコいいなと思うし、俺もそうしたいと思っています。

—それって理想でもあると思います。最後の『おはようカルチャー』はライブで盛り上がる曲ですよね

牧:音源ももちろんいいですが、ライブでお客さんと作る光景は今までになかったものなので、バンドとしてとても大切な曲です。ストレイテナーのホリエアツシさんと一緒に作った曲で、バンド4人の中に自分たちが尊敬している先輩が入ることによって、新たな要素を入れることに対して自分たちで納得できるものができました。今まで入れなかったシンセサイザーが入っているんですけど、入れることで曲のグレードは絶対に上がったし、世界観もすごく広がりました。そういうトライをしていった方が、バンドの幅も個性も広がっていくと感じさせてくれた曲なので最後にしました。『おはようカルチャー』なので、ENDではなくて to be continuedみたいな。バンドは続いていくという意味も含まれていいなと。

—そのボリュームのある13曲が収録された『FOOLs』のツアーが9月から始まりますね

牧:初めていく場所もあるので楽しみです。僕が大分出身で、ドラムの(ジェット)セイヤが長崎出身なんですけど、あえてそこが入っていないのは、九州でもまだ行ったことがない宮崎や鹿児島へ行こうということで。

—なるほど。東名阪は全てZeppでの開催なんですね

牧:そうなんですよ。Zepp Nagoyaでのワンマンは初めてなので、すごく気合いが入っています。実は、バンドで初めて遠征に出たのが名古屋のCLUB ROCK’N’ROLLなんですよ。その時のお客さんは3人ぐらいだったし、機材も完璧ではない頃からやってきて、名古屋はドラマもたくさん生まれました。なかなか心を開いてくれなくて正直名古屋はやりづらいなと思っていたんですが、BOTTOM LINEでライブした時になぜかそれが外れたんです。お客さんがすごい熱量で応えてくれて。そこから名古屋が超好きになって、やっと俺らが頑張ってきたことが実ったと。今では、全力で投げ掛けても全力で返してくれるので、Zepp NagoyaでCLUB ROCK’N’ROLLでやっていた時のことを思い出しながらライブしたら超エモいんじゃないかなと思いますね。

—エモいと思いますが、すごい自己満ですね(笑)

牧:確かに(笑)。MCで「ちょっと待って」と目を閉じて感じたいなと(笑)。

—(笑)。では最後に、アルバム『FOOLs』を買ってくれるファンへメッセージをお願いします

牧:『FOOLs』は、ファーストアルバム『Magic Number』とセカンドアルバム『Kameleon Lights』が融合された作品だと思っています。自分たちの歴史や音楽の流れがしっかり詰まった最高傑作が出来上がりました。このアルバムをしっかり聴いてツアーに来てほしい。楽しむ要素が強い作品になっているので、CDで聴くだけよりもライブで聴いた方が感動は大きいと思います。僕たちも、一曲一曲でシーンが変わっていくアトラクションやテーマパークのような感覚のライブにしたいと思っています。まずはこの13曲を聴いて、先に頭の中でライブしておいてください。お願いします。

go!go!vanillas『FOOLs』アルバムダイジェスト

go!go!vanillas「ラッキースター」Music Video

■リリース情報

『FOOLs』
Major 3rd Album
2017.7.26発売
完全限定生産盤(CD+DVD) 3,300円(+tax)
通常盤(CD) 2,700円(+tax)

■LIVE情報
go!go!vanillas「FOOLs」Tour 2017

09月09日(土) 神奈川 Yokohama Bay Hall
09月10日(日) 茨城 水戸 LIGHT HOUSE
09月16日(土) 埼玉 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
09月17日(日) 群馬 高崎club FLEEZ
09月23日(土) 兵庫 神戸チキンジョージ
09月24日(日) 滋賀 滋賀U★STONE
09月28日(木) 静岡 LiveHouse 浜松 窓枠
09月30日(土) 長野 NAGANO CLUB JUNK BOX
10月01日(日) 石川 金沢EIGHT HALL
10月06日(金) 宮城 仙台Rensa
10月08日(日) 秋田 Club SWINDLE
10月09日(月祝) 岩手 盛岡Club Change WAVE
10月21日(土) 香川 高松MONSTER
10月22日(日) 高知 X-pt.
10月26日(木) 鳥取 米子 AZTiC laughs
10月28日(土) 広島 広島CLUB QUATTRO
10月29日(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
11月09日(木) 宮崎 宮崎 SR BOX
11月11日(土) 熊本 熊本B.9 V1
11月12日(日) 福岡 DRUM LOGOS
11月18日(土) 北海道 札幌PENNY LANE24
11月19日(日) 北海道 札幌PENNY LANE24
11月25日(土) 愛知 Zepp Nagoya
11月26日(日) 大阪 Zepp Osaka Bayside
12月02日(土) 東京 Zepp Tokyo

■オフィシャルWEB
http://gogovanillas.com

■プロフィール
牧 達弥(Vo/Gt)、長谷川プリティ敬祐(Ba)、ジェットセイヤ(Dr)、柳沢進太郎(Gt)の4人からなる新世代ロックンロール・バンド。様々なジャンルを呑み込んだオリジナリティ豊かな楽曲で聴く人を魅了し、ライヴでは強烈なグルーヴを生み出す。2013年1月、7inchシングル『人間讃歌/アクロス ザ ユニバーシティ』をSEEZ RECORDSよりインディーズで初リリース(完売)、7月のアルバム『SHAKE』がタワレコメンに選ばれ、注目を浴びる。その後、インディーズ・シングル2作を経て、2014年11月5日、Victor/Getting Betterよりメジャー1stアルバム『Magic Number』をリリース。リードトラックの『マジック』はCS音楽チャンネルや各地FMステーションで軒並みパワープレイを獲得。2015年4月、メジャー初シングル『バイリンガール』をリリース、発売日に東名阪を1日でまわるフリーライブを行う。2016年2月には2ndアルバム『Kameleon Lights』を発表し、バンド史上最長となる全国ツアー全24公演を敢行。7月にはTHE BAWDIESとのスプリット・シングル『Rockin’ Zombies』をリリースし、10月に同バンドとのスプリットツアーを成功させた。2017年1月にはホリエアツシ氏(ストレイテナー)をプロデューサーに迎えたシングル『おはようカルチャー』を発表、同ツアーでは初のZepp Tokyoワンマン公演を含む全会場がソールドアウト。5月にはフジテレビ・ドラマ主題歌となるシングル『平成ペイン』をリリース。音楽ルーツへのリスペクトにとどまらず、常に変化・革新をし続ける。

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