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ライター ツボイ

2018.10.16

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降谷建志 2nd Album『THE PENDULUM』インタビュー

「今回は自分と向き合えた」

Dragon Ashでの活動が21年目を迎えた今年、降谷建志として約3年ぶりとなるアルバム『THE PENDULUM』を10月17日にリリースする。ソロだからこそ出せた降谷建志の素直な言葉、そして広がりのあるサウンドの楽曲が12曲収録されている。今回その作品について、本人にインタビューを敢行。ソロ作品へ込めた思いを語るだけでなく、自身が置かれている音楽業界への提言まで飛び出すインタビューとなった。

―10月17日にリリースされる2ndアルバム『THE PENDULUM』を聴かせていただきました。ストレートな歌詞が印象的で、鍵盤の音が耳に残る広がりのあるサウンドのドラマチックな作品だなと思いました。降谷さんご自身は今回どのようなイメージを持って作品を作られました?

降谷建志: タイトルの『THE PENDULUM』は“振り子”という意味で、Dragon Ashのような急転直下のアレンジではなく、残像を残してなだらかに揺れる振り子の原理のように明と暗を表現したり、感情の起伏もなだらかな弧を描くようなイメージで作りました。

―激しく揺れるのではなく、なだらかに揺れるイメージですか?

降谷: 感情の起伏のリズムが違うだけで曲調によっては激情型ではあると思うんですけど、誰かの体を揺さぶるための音楽ではなく、心を揺さぶるような音楽かな。

―それは歌詞にも表れていると思いました。Dragon Ashの歌詞より、割と降谷さん自身の素直な気持ちを書かれているなと

降谷: そうだと思います。極端に言ってしまえば、Dragon Ashでは現場でモッシュとダイブを起こすことにのみステータスを全部振っている。それはそれで、俺は激しいロックバンドのカッコいい在り方のひとつだと思ってるし、プライドを持ってやってるんですけど、それを第一の目的に据えると、いろいろやれないことも出てくるわけで。一個のバンドを21年やっていると、やってきていることより遥かに多い数のやらないことがあって、それが膨らみすぎると、ストレスを感じてくる。ドラゴンで言わないことや、思っていてもロックバンドのスポークスマンとして言うようなことではなかったり、それはすごく些細でプライベートなことだったりとか。でも、ソロは自分の言葉で自分の自己表現として音楽にできるので、全然ドラゴンよりすらっすらって感じで歌詞が書けました。

―歌詞への向き合い方も違ったんでしょうか?

降谷: そうですね。こんなに日本語が多いのもドラゴンでは最近ないので。

―確かにそうですね。表題曲『THE PENDULUM』の歌詞にある「make a move(動き出せ)」という言葉が印象的で、振り子が揺れる様を感じました

降谷: この曲はアルバムの1曲目にしようと思って書きました。アルバムタイトルを『THE PENDULUM』にしようと思って、1曲目を表題曲にすることを念頭に置いてトラックも作り出したので、最初の部分は振り子が徐々に揺れ出す様になっています。この曲は一番好きかもしれないぐらい気に入っていますね。

―1曲目に今作への思いや意味を込めたとも捉えられますね

降谷: そうですね。ほとんどの楽曲を作り終えて、どういうアルバムだというのが割と明確に自分の中に出来てから作った曲なので、全曲の感性みたいなものが要するにこういうことと1曲にまとめられています。だから、その部分は他の曲よりあると思います。

―歌詞の中に<ワタリガラス>という言葉が出てきます。ライブをする際のバンド名に使われているRavensとリンクしますが、これは1曲目だからこそ入れたのかなと

降谷: ライブでも1曲目にやるわけだから、Ravensの演奏に合わせてということですよね。その情景をイメージできたので使おうと。

―そして、7月25日に配信でリリースされた『Playground』も収録されています。ミュージックビデオも拝見しました。夜の公園が曲の雰囲気と合っていて作品のイメージそのものでした。改めて曲を振り返っていかがですか?

降谷: すごく好きな曲。言ってくれたけど、ミュージックビデオも好きだし。

―前作は全部お一人で楽器も演奏されていましたが、この曲のホーンパートはHEY-SMITHの方々が参加されています

降谷: 必要であれば人に頼むのもいいかなと思って。頼むのは初めてのことだったので、一番現場で合うホーンチームに声を掛けました。

―広がりも生まれて降谷さんの声ともハマっていました

降谷: ね。相性良かったですよね。

―今後も他の方にお願いすることもあるのでしょうか?

降谷: 今後のことは分からないけど、いいと思う。誰かの感性に頼るのは全然いい。ソロは逆に言えば何でもいいんだから。別にRavensと一緒にやってもいいわけだし、インストでもいいし、弾き語りでもいい。モッシュやダイブ以外のことは全てできるわけだから自由です。

―絶対に一人じゃなければいけないということではないと

降谷: でも最初のコンセプトは、イチ音楽家として、自分の器のサイズが決まってきてしまうようなキャリア、年齢で今一度そういうことに抗って、どこまで一人の音楽家としてできるのかということなので。昔のクラシックの作曲家は、譜面に書いて全楽器をアレンジしているじゃないですか。そういう感覚ですよ。

―その感覚を持ってソロをやられているんですね。次の曲『落日』は、何気ない一日を切り取っているけど物語性があって個人的に好きなんですが、歌詞が生まれた背景をお聞きしてもいいですか?

降谷: RUSH BALLというロックフェスがあって、参加してるメンツがすごいんですよ。ロックが日本のど真ん中と勘違いしてるんじゃないかという激しいバンドばっかで。特に自分たちが出るような日はマジで激しいバンドしか出ないんですけど、その一日が素晴らしくて、打ち上げも素晴らしくて。で、次の日に二日酔いで缶コーヒーを飲みながら、帰りののぞみの中で携帯のフリーメモでほとんど書いた曲ですね。

―新幹線の中で書かれたんですね。RUSH BALLでのライブや雰囲気を思い返して書かれたと

降谷: そう。すごく大事なマイルストーンが終わったなという感覚。終わった瞬間は未練の方が強いんですけど、バンドマンって今年一番のライブだったなってお互い言い合っても、次の週には嘘のようにそんなことは忘れていて。そういう忘却能力があるから前を向ける生物なんだなと。その愛おしさも込めて書きました。

―その雰囲気は歌詞から伝わります

降谷: この曲は最後に作りました。アルバムの締め切り二日前がRUSH BALLだったんですけど、そこへ行く時点ではまだ一行も書いてなかったし、歌詞のテーマすら決まってなくて。でも11曲できてたんで、たぶんアルバムは11曲入りになるなと。最初から結構無理なスケジュールで作っていたから、スタッフと11曲録れないようだったら延期すると決めていたんだけど、RUSH BALLのおかげで自分でも大好きな曲が1曲増え、かつ12曲でアルバムができたからたぶん忘れないだろうなと思いますね。

―ある意味、思い出の曲になりそうですね

降谷: ある意味というか、もう思い出です(笑)。

―そうですね(笑)。そして、今作の中でもアッパーな曲『僕らの逆襲』は攻撃的な方だと思います。歌詞にはどのような思いを込められたのでしょうか?

降谷: 沖縄へ遊びに行った時に立ち寄った『american depot』という、観光客がいっぱいくる巨大な古着屋さんでレジ打ちをしてた女の子が坊主頭ですっげぇカッコ良かったんですよ。名前も知らないし、お金を払った時にちょっと喋ったぐらいなんだけど、その子にヤラれちゃって。で、勝手にその子のテーマソングを作ったわけです。

―その女の子のことをイメージして歌詞を書かれたんですね

降谷: そう。坊主頭の女の子の時点でマイノリティーだと思うんですよ。でも、マイノリティーのままでい続けたら、いつの間にか個性って言われたり、オリジナリティーと言われたりするようになっていくと思う。だから、そのままカッコいいとみんなに言わしたれ!と思って書きました。自分の周りにマイノリティーのまま市民権を得て超カッコいいと言われるヤツは何人もいるし、バンドマンって基本そうだと思ったらすぐPABLOが思いついたんで、PABLOに「ギターソロ弾いてくれない?」と言って弾いてもらいました。

―だからアッパーな曲が完成したんですね。先ほどDragon Ashではやらないこともソロではできるとおっしゃっていましたが、作品が出来上がってやれたなという思いはありました?

降谷: あります。すごく気に入ってるし、作った後って自分のCDを聴いたことない。でも今回は、CDを聴こうと思います。それぐらいしっくりきてる。自分と向き合えたので、すぐに次を作りたいぐらいです。

―先ほどスケジュールが厳しかったとおっしゃっていましたが、その中で出来たのも大きいのではないでしょうか?

降谷: そうなんですけど、今回は特に厳しかった。これは、今の日本の音楽業界、バンド業界のテーマですよね。金も時間もないけどクオリティは落とせない。バンドもいるしキッズも超いるけどライブハウスを1年前、2年前にブッキングして後は逆算する。ブッキングの前にCDを出すと。

―それではリリースするために曲を作っていることになってしまいますね

降谷: 大雑把な枠決めをされた方が作りやすかったりもするから、それはいいと思うんですよ。締め切りがなかったら一生曲は上がらない。どうせ納得なんていかないんだから。だから、ある程度の縛りは大切なんですけど、度を越すと何のためにやってるのか分からなくなってくる。いいものを作るためなのか、納期に間に合わせるためなのか。それは果たしてアートなのかってなるし。

―量販店みたいですね

降谷: そうそう。ファストミュージックが流行ってるのは、結局そういうことだよね。

―もはや永遠のテーマですね。そして、今作のツアーが10月22日(月)の名古屋CLUB QUATTROから始まります。先ほど出たRavensは気の知れた方々ばかりなので、ライブもやりやすいのではないでしょうか

降谷: まだ2ndアルバムの曲はこれから合わせるので何とも言えないですが、ソロを始めて以来ずっと同じメンバーで全ライブをやってるので、相当な信頼感でやれてるし、マジでどこに出しても恥ずかしくないプレイヤーたちです。21年間ずっと一線の現場に出てる俺がいうから間違いない。その超すごいプレイヤーたちの演奏を生で見られるだけでも価値があると俺は思うし、楽しんでもらえると思います。

―すごく楽しみにしています。最後にバンドとソロを同時進行でやられている中で、ソロとして降谷さん自身が表現していきたいことを教えていただけますか?

降谷: 音像とかは決めてない。でも、すぐやり出すと思います。ライブもドラゴンと比べたらまだ半分もやれてないので、もっと現場も増やしたい。幸せなことじゃん、同じ仕事を21年やってまだそんなバイタリティがあるというか情熱があるって。すごく恵まれてるし、楽しんで聴いてくれる人がいる。その人たちのためにやってるわけじゃないけど、やれる環境にいて体が動いて情熱があるのであれば、ガンガンやりたいなと思っています。

降谷建志『Where You Are』ミュージックビデオ YouTube Ver.

■リリース情報

『THE PENDULUM』
2nd Album
2018.10.17 発売
Tシャツ付き生産限定盤(生産限定盤A) (CD+DVD+Tシャツ) 5,980円(+tax)
生産限定盤B(CD+DVD) 3,800円(+tax)
通常盤(CD) 2,800円(+tax)

■LIVE情報
降谷建志 1st LIVE TOUR
「THE PENDULUM」performed by Kj and The Ravens
10月22日(月) 愛知 名古屋CLUB QUATTRO
10月23日(火) 大阪 梅田CLUB QUATTRO
11月12日(月) 東京 渋谷CLUB QUATTRO
11月14日(水) 宮城 仙台Rensa
11月21日(水) 広島 CLUB QUATTRO
11月22日(木) 福岡 BEAT STATION

■オフィシャルHP
https://www.dragonash.co.jp/kenji/

■プロフィール
1979年生まれ、東京都出身。1997年にDragon Ashでデビュー。フロントマンとして、バンドを牽引し続ける。プロデュースや客演など様々な形態で音楽作品を発表する他、映画、ドラマなど俳優としても活躍。2015年、Dragon Ashの活動と並行する形で自身初のソロプロジェクトをスタート。

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