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ライター フルタ

2018.6.12

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LUCKY TAPES メジャーデビューEP『22』インタビュー

「今作は自分の中で描いた世界観が形になったので個人的にはかなり思い入れが強く、手応えを感じている(高橋 海)」

ソウルやファンクといったブラックミュージックを今日的なポップミュージックとして体現するバンドLUCKY TAPESが、5月23日にNew EP『22』でメジャーデビューをした。『22』には、初期LUCKY TAPESに通ずる王道ファンクチューンの中にも彼らならではの捻りが加えられた「22」をはじめ、全5曲が収録されている。バンドの作詞、作曲からアートワークやMVなどのビジュアル面までバンドを牽引する高橋 海(Vo/Key)に話を訊いた。

―先日発売されたEP『22』ですが、メジャーデビューというひとつの節目となる作品かと思います。楽曲制作の面で変わったことや新たにトライしたことなどはありますか

高橋 海(Vo/Key):特にメジャーを意識して制作に臨むことはなかったですね。今までの作品は、自分が作った宅録のデモに対して、メンバーからアイデアをもらったり、行き詰まったら相談したり、メンバーが持ってきたフレーズを基に自分が一曲に仕上げるなんてこともありました。ただ、今作はいつもより構想期間が短かったのでメンバーからアイデアがほとんど飛んでこなくて。作詞作曲からアレンジはもちろん、メンバーのフレージングやサウンドメイキングに至るまでを自分がバンドをプロデュースするような感覚で作りました。

―高橋さんの世界観が詰まった作品になっているんですね

高橋:そうですね。普段、LUCKY TAPESの活動とは別に、ソロでも楽曲プロデュースやCM音楽制作などのトラックメイクをしているんですけど、今回はデモの時点で打ち込みで使うようなトラック的なアプローチをバンドサウンドを落とし込んでみました。例えばボーカルのカットアップや、シンセの波形を編集したり、打ち込みドラムなど。それが案外マッチして、最終的にそのサウンドをそのまま残しています。そのあたりは新しい試みと言えますね。

―手応えはいかがですか

高橋:他の人の感性やアイデアを取り入れて自分ひとりじゃ到達できないところまで持っていく作り方もあると思うんですけど、今作は自分の中で描いた世界観が形になっているので個人的には思い入れが強いですし、手応えはありますね。

―その中で「22」をリード曲として持ってきたのは?

高橋:テンポの速いポップチューンって作るのがすごく難しいんですけど、メジャー第一弾ということで、踊れるような明るいポップチューンを自分なりに作ってみたのが「22」です。でもやはり、単なるメジャーキーで突き抜けたポップスは何かしっくりこなくて。少し憂い帯びた、メジャーなのかマイナーなのか分からないような聴こえ方のする仕掛けをコードに入れてみたり。一度ピアノと歌だけの最少編成からストリングスも入れた壮大な音像に広がっていく展開なんかもそうですし。

―そのせいか、踊りたくなるような軽やかなサウンドの中にも少し儚さを感じますね。「22」の意味は?

高橋:夜が幕を開ける22時、社会へ飛び込む22歳。そんな何かが起こることへの期待や不安に胸が高鳴る瞬間を描いていて、自分の場合は、LUCKY TAPESを結成したのが22歳だったり。

―「22」だけでなくEP全体を通して20代前半特有の揺れるような気持ちが表されているのかなと感じました

高橋:22歳くらいの頃って無意識の中に自分は人と違うんだという意識があって……それがどう違って自分は一体何者なのかということをずっと模索していた時期でもありました。歌詞の中でも<I wanna be the one>、<誰も真似できない言葉で語って>、<You can find yourself?>、<好きなようにdescribe yourself>と表現していて、それからLUCKY TAPESというバンド活動を通じて自分を見つけていく過程を今作では描いています。

―LUCKY TAPESを結成した22歳から現在までを振り返って表現した作品になっていると

高橋:そうですね。22歳の「22」から始まって、一曲ごとに年を一つずつ重ねて、最終トラックの「ENCORE (Voice Space)」では、このEPを作った今現在の26歳に時間軸が追いつく流れになっています。

―なるほど。では、2曲目の『NUDE』は23歳を描いているんですね。この曲は途中でガラっとテンポが変わる展開がセクシーですよね

高橋: 23歳は大人の艶やかな世界を知ったと同時に、裸同然の音楽という表現の手段にまみれていた歳でもあるなあと。この曲の展開は今作で一番最後にできた箇所で、ライブアレンジなんかでもよく使うトリプレットで(三連符を2個ずつ取り四分音符としてとらえて)テンポチェンジする手法をとっています。

―3曲目の『EASY』はコーラスがとても美しいですね

高橋:LUCKY TAPESの初期からの特徴でもあり、ゴスペル感のあるコーラスワークを今作にもどこかに入れたくて。実際に歌っているのは自分と高橋健介(Gt)と女性のサポートコーラスの3人だけなんですが、20人分くらいのハーモニーを重ねて広がりを作りました。

―『EASY』は24歳を描いていますが“広がり”がテーマですか

高橋:『22』では<幻想だらけのこの狭い世界で>と歌っているんですけど、そこから2年間の音楽活動を経て、色々な人に出会ったり、色々な世界を知り、24歳の『EASY』では<この世界は僕一人には少し大きすぎて>とこの世界はまだまだ広くて限りないことを知ると同時に、<Baby 今もし君がいれば>とあるように、日常や見えている世界を誰かと共有したいなあと思うようになってきている心境を描いてます。

―2年間の変化を比較できるのは面白いですね。4曲目の『MOOD』は25歳…

高橋:25歳。四半世紀を生きて、それまでを回想するシーンから始まります。2番では、2nd Album『Cigarette & Alcohol』に収録されている『TONIGHT』の歌詞を引用しています。『TONIGHT』を歌っていたのがちょうど25歳の時だったので、そういった遊びも含めて。

―なるほど。そして最後の『ENCORE (Voice Space)』に繋がると。すごくジャジーでEPの締めくくりとしてとても印象的でした

高橋:締め切りぎりぎりまで4曲しか完成していなくて、レコーディングに入る時間もない中、最後の1曲をリミックスやライブ音源にしようという案もあったんですけど。そこまでの流れや世界観を崩したくないという思いから、自宅で一人で作れる範囲で何かエンディング的な、または次の作品への繋ぎ的な役割を果たせるようなトラックを制作してみました。ピアノの旋律の裏で鳴っている歓声や拍手は、今年2月に初めてタイで公演をしたときに実際に起きたアンコール時の音をサンプリングして敷いています。初めて行ったにも関わらず1500人ものオーディエンスが駆けつけてくれたのには驚きましたね。

―タイ公演の歓声だったんですね

高橋:はい。タイトルにある(Voice Space)というのはタイの会場名です。この曲は、4曲目の『MOOD』の進行から始まって最終的には1曲目の『22』へと、EP全体をループして聴いた時に自然に繋がるようにキーを途中で転調するような仕掛けも入れていたり。カーテンコールとなり再びステージに上がり、メジャーという舞台で、新たなステージの幕開けといったような意味合いを込めて。

―これからのLUCKY TAPESにも期待させてくれるEPですね。少し結成当時の話に戻りますが、LUCKY TAPES は結成前にも別名でバンドを組まれてましたよね。

高橋:そうですね。ほぼ同じメンバーで組んでいました。それぞれ進路の違いで一旦解散したんですが、久々に集まってご飯を食べた時に、ちょうどマイケル・ジャクソンの死後にリリースされた「Love Never Felt So Good」の話題で盛り上がって。その流れでスタジオに入って、曲をカバーしたりしているうちにオリジナル曲が生まれて。この方向性で何か新しいことやってみようよって始まったのがLUCKY TAPESです。

―バンド名の由来は?

高橋:当時は特に意味もなく、響きのいい単語を並べて決めました。ただ、後付けにはなるんですが、LUCKY TAPESの音楽やライブには多幸感があると思っていて、そんなサウンドや音楽性を上手く表しているのかなと。

―聴いた人が幸せになるような音楽ですよね。高橋さん自身はソウルやファンクといったブラックミュージックがルーツかと思います。ポップスを意識するようになったのは?

高橋:もともとJ-POPやUSポップスに馴染みが深かったので、そういった趣向はありました。ただ、初めのころはポップスを作る作曲技術がなかったので、例えばリバーブを多めにかけて音像をぼかしたりという手法に頼っていたり。ポップスは色々な要素が入っているし構造が複雑なので、何曲も楽曲を作る過程で段々と作り方を身につけていった感じです。別にポップスを作ってる意識はあまり無いけど、自分の作るメロディなんかには良い塩梅でポップス感もあるのかなって。ただ、やっぱり普通のJ-POPや貫いた明るいポップスを作るつもりはなくて。あくまでも自分たちのルーツや面白いと感じるところにフォーカスを置いて、いつでも新しいことをやりたいなとは思っていますね。

―音へのこだわりをとても感じますが、こういう音を使おうという発想はどうやって出てきますか?

高橋:基本は頭の中で鳴った音色を探していく作業が多いですね。でも、すぐにポンと実際の音色を作れるわけではないので、探す中で変わっていくものもあれば、むしろこっちの方が合うなと変えることもあります。基本はメインの土台となるコードやメロディができると、そこにこういう音が欲しいなというイメージができるのでそれをPCに入っている膨大なサウンドライブラリから探していきます。

―まずはPCで音を探すんですね。高橋さん自身アートワークやMVにもこだわられていると思います。今回「22」のMVは台北で撮影をしていますね

高橋:台湾には2年前にもライブをしに行っているんですが、今回EPを出す前にタイ、台湾、北京、上海で公演があって。今まであまり海外を意識して活動をしたり曲を作ったりすることはなかったんですが、実際にライブをしに行ってみると、想像を遥かに超える数のオーディエンスが駆けつけてくれて、待ち望んでくれていたんです。日本語を喋れない人が日本語詞の曲を一緒にシンガロングしていたり。そういう光景を目の当たりにして、ぼくら自分たちの音楽を楽しみにしてくれている人たちに対して応えたいという気持ちは国内も国外も同じで。ちょうどMV撮影のタイミングで台湾公演が決まっていたので、ゲリラ撮影しようと。かなりのハードスケジュールだったんですけどね(笑)。

―ゲリラ撮影だったんですよね。最近も韓国でフェスに出演されていましたが、国内外問わずフェスやライブで活躍されています。ライブは総勢9名でセットを組んでいたり生音にこだわられていますが、今後さらにやってみたいことはありますか

高橋:『EASY』もそうですが、ゴスペルやコーラスワークをイメージして曲を作ることが昔から多くて。コーラス隊とかゴスペル隊を招いてライブしてみたいなとはずっと思っています。いつかホールなんかでワンマンできるようになったら実現させたい。

―すごく迫力がありそうで楽しみですね。では、最後に今回のEPを心待ちにしていたファンにメッセージをお願いします

高橋:今回のEPは、何も考えずに音だけを感じるのもよし、または歌詞カードを見て今日話したようなことを思い浮かべながら聴いたりしたら新しい発見があるかも。音源はもちろん、最近とくにライブに力を入れているので、是非ライブを体感してほしいです。見たことのないような音楽体験をお届けしますよ。各地で会えるのを楽しみにしています!

LUCKY TAPES 『22』 Official Music Video

■リリース情報

『22』
New EP
2018.5.23発売
1,500円(+tax)

■LIVE情報
LUCKY TAPES「22」RELEASE ONE-MAN TOUR
6月23日(土) 東京 キネマ倶楽部 【SOLD OUT】

■イベント情報
7月1日(日) 大阪 NATUBIRAKI MUSIC FESTIVAL 2018
7月8日(日) 福岡 NATUBIRAKI MUSIC FESTIVAL 2018
7月15日(日) 埼玉 NATUBIRAKI MUSIC FESTIVAL 2018
7月20日(金) 神奈川 OTODAMA SEA STUDIO 2018
8月11日(土)北海道 RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO
9月1日(土)・2日(日) 神奈川 Local Green Festival

■オフィシャルWEB
http://luckytapes.com/

■プロフィール
高橋 海(Vo/Key)、田口恵人(Ba)、高橋健介(Gt)の3人組。2015年にデビューアルバム『The SHOW』をリリース。翌2016年にシングル「MOON」をリリースし、同年全国公開された映画『オオカミ少女と黒王子』には挿入歌として新曲2曲を提供。7月には、共同プロデューサーにtoeの美濃隆章氏を迎えた2ndアルバム『Cigarette & Alcohol』をリリースし、フジロックフェスティバルへも出演。ホーンセクションや女性コーラス、パーカッションなどを加えた総勢9名のライブパフォーマンスも各方面より高い評価を集めている。2017年9月にEP『Virtual Gravity』をリリースし、そのツアーファイナルにてメジャーデビューを発表。2018年5月23日に新作EP『22』をリリース。

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