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ライター フルタ

2018.5.16

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Nulbarich 2ndアルバム『H.O.T』インタビュー

「“Nulbarichはこういうバンド”という先入観はなしにして、自分も、みんなにも驚き続けてもらいたいです(JQ)」

1stアルバム『Guess Who?』リリース以降、最注目アーティストとして各方面で旋風を巻き起こし、大型フェスやイベントへ続々と出演してきたNulbarich。昨年9月には日本武道館で開催されたJamiroquai来日公演のサポートアクトも務めた。活躍の場を広げる中で制作された2ndアルバム『H.O.T』には、ボーカルJQのルーツでもあるヒップホップをベースに作り上げられたミドルチューン『In Your Pocket』を含む13曲が収録されている。Nulbarichの振り幅を感じさせる『H.O.T』について、そして今年も多数の出演が決定してるフェスや11月に開催される日本武道館ワンマンライブについて、リーダーのJQ(Vo)に話を訊いた。

―2ndアルバム『H.O.T』は、前作に比べて一曲一曲がより個性豊かに表現されている印象でした

JQ(Vo):『H.O.T』は、昨年の経験が詰まったアルバムになっています。たくさんのフェスに出させてもらって、ワンマンもあって。ツアーを回る中で自分たちがやりたい音楽や、今後やっていきたい場所がより明確に見えてきました。曲を作っているときってそこまで色々考えていなくて、できあがってから「ああ、こんな感じだったんだ」と思うことが多いんです。聴き返してみると「このリフってあのフェスであいつがいきなり弾き始めたリフだったね」ってことがあったり。『H.O.T』はそういう積み重ねが詰まったアルバムかな。あのときこう思ってたとか、思い出箱みたいなアルバムですね。

―今作はメンバーからのアイデアや影響も大きいですか

JQ:そうですね。僕たちが全員一緒に演奏することって、ライブでしかほとんどなくて、その場でみんなが主張しあって、個性を出していくんです。今作の音にはメンバーの個性が散りばめられていると思います。1stアルバム『Guess Who?』のときはまだ結成して一年も経っていなくて、探り探りでやっていた気がします。それに比べて今回はメンバー同士で、きっちり話し合いながらできたというのもあるのかな。

―JQさんは、それぞれの個性をまとめる役でしょうか

JQ:まぁ、まとめ役なのかな。基本的には、楽曲のラフスケッチをまず僕が書いて、それをメンバーに投げています。各メンバーが自由に演奏したものを集めて、最終的に僕がアレンジや編集をしていますね。

―「こうしてくれ」など具体的な指示を出すことはあまりないですか?

JQ:そうですね。いったん自由に演ってもらって「もう少しもらってもいいですか」って言うときはありますけど、自分の想像を超えるものをもらいたいので具体的な指示はあまりしないかな。せっかくみんなでやるんだったら、自分の脳みそにないものがきて驚きたかったりもするので。

―今作の収録曲で一番自由に作ったなと思う曲を一曲挙げるとしたら?

JQ:『Supernova』ですね。これはセッションしながら作った曲です。お酒を飲みながら作ったので、めちゃめちゃ編集に時間がかかったんですけど、結果的に上手くまとまったなあと(笑)。

―お酒を飲んで作ることもあるんですね。Nulbarichはメンバーが固定されていない珍しいバンドですが、今回も楽曲ごとにメンバーは異なりますか?

JQ:いわゆる“普通のバンド”って各パート担当が一人ずついて、みんなが演奏してできる曲を作ると思います。だけど、僕たちはみんなで演奏することよりも、グッドミュージックを作ることの方が重要で。もともとDTMで一人で曲を作っていたのもあって、場合によってはもっといろんな音色を使いたかったり、もっと癖のあるプレイヤーがほしかったりするんです。その感覚に近いのかな。例えばキーボードは現状2人いるんですが、「この曲は誰々の方が良いよね」とか「この曲は誰々でいこう」とか曲に合うプレイヤーをメンバーで話して決めます。ライブも「このライブだったらこのメンバーが良いよね」とか。とにかく、みんながグッドミュージック、グッドショーを作ることを考えていますね。

―グッドミュージックを作るプロジェクトチームという感じでしょうか。先ほど“今後活躍していきたい場所”という話が出ましたが、具体的には?

JQ:まず第一に自分たちがやりたい音楽というのはあるんですけど、認めてもらうためにはキャパシティも広げていかなきゃいけないですよね。それをやめちゃうと目標もどんどん小さくなっちゃうし。より多くの人に聴いてもらえる音楽というか。その中でいかに自分たちのスタイルを貫き通せるかという闘いもあります。それこそ今年は武道館でも僕たちの音楽がどこまでいけるのか試しにいくつもりです。もちろん、いつか海を越えて…っていうのはありますけど、まずは日本一として活躍したいですね。

―そんなNulbarichの最も譲れない軸とは?

JQ:なんだろう。僕たちは全員が同じ方向を見ていても、全員好きな音楽はバラバラなんですよね。バラバラな分、何が起こるか分からないバンドだと思います。自分たちの色って自分たちでもまだ分かっていなくて、常に実験状態です。レシピに沿って作る料理みたいな感じではなくて、実験みたいにこれ入れてこうやったらどうなるんだろうって、ビビらずにやることかな。自分たちで幅を狭くしたくないですね。“Nulbarichはこういうバンド”という先入観はなしにして、自分も、みんなにも驚き続けてもらいたいです。

―まさに『H.O.T』は振り幅もあって挑戦的ですよね

JQ:いろんなフェスのジャンルレスなステージでたくさん演らせてもらった分、何がお客さんに響くかって未知数なんだなって実感して、もうちょっと自由にやってもいいんだなって思ったんです。『ain’t on the map yet』とか『Almost There』はジャンル感の振り幅は真逆だったりしますし、今回はビビらなかったなあと思います。置きにいったアルバムにしたくないよねって、メンバーと共有していたのもありますね。

―ビビらなかったのは今の勢いもあるんでしょうか

JQ:そうですね。たくさんの人に聴いてもらっている分、みんなが描いている“Nulbarichっぽい曲”がきたら、僕だったらちょっと…って思っちゃいそう。僕は「今回のアルバムすごい攻めてんなー」とか、必ず驚かせてくれるアーティストが好きなので。Nulbarichもそうありたいですね。それがポップスターになっていく第一条件なのかなと思いますね。

―なるほど。トレンド感という部分は意識していますか

JQ:そうですねー。もともとDJをしていたのもあって、まず世界のトレンドを追って、その中で自分が好きなものをインプットしてどんどんアップデートしていくという感じで音楽を聴いています。楽曲制作に関してはトレンドを取り入れるというよりは、日々聴いているものから制作も勝手に進んでいく感じですね。単純に普段僕が聴いている音楽が垣間見えるのかなとは思います。

―『In Your Pocket』や『Zero Gravity』はNulbarichの幅の広がりを感じました

JQ:『In Your Pocket』は自分の大好きなルーツをふんだんに落とし込めた曲です。いい意味でやっとバランスが取れてきて、振り幅をさらに広げられたなと思いますね。『Zero Gravity』は結構迷わずに作った曲です。「とりあえず踊ろう」みたいな感じで、ライブライクな曲になったかな。やっぱりフェスにたくさん出たから、フェスでどう楽しもうってことが頭をよぎって。『Zero Garavity』も『Almost There』も『ain’t on the map yet』もそうですね。

―個人的には『Heart Like a Pool』がすごく好きです。一番最後に持ってきたのはなぜですか?

JQ:めっちゃうれしいです。この曲を伝えたくてアルバムを作ったんです。ライブでもワンマンでも、この曲を最後にしています。アルバムの流れとしては、まず知らない人もキャッチーに耳が傾く『It’s Who We Are』や間口の広い楽曲から入って、いったんバラード挟んで後半もう一回楽しんでもらって、最後にインタールード挟んでトドメみたいな。このストーリーの中でいかに『Heart Like a Pool』という曲がみんなに届くのかを意識しました。最後のかめはめ波じゃないですけど、ヒーローの必殺技と一緒ですね。

―どういうことですか (笑)

JQ:ヒーローの必殺技って「最初にその技出せばいいのに」って思うじゃないですか。アンパンチとかかめはめ波とか。だけど、最初にやるんじゃなくて、最後だから効くのかなって。

―なるほど!

JQ:この曲は、自分が今思っていることだったり、みんなと共有したいことって人それぞれだし、人それぞれであることが正しくて、それを共有できるときに共有しようよっていう、ピースソングなんですよね。僕の考え方なんですけど、名も知られていないバンドが急に「世界平和」みたいなこと言っても、お前ら誰やねんってなりますよね。まずは僕たちのことを知ってもらって、アルバムの最後に、少しでも刺さってもらいたいことを伝えるっていうバランスが曲的にも一番ハマったので最後にしました。間にインタールード挟んだりとか、今回のアルバムの流れは全て『Heart Like a Pool』のための流れです。

―確かにインタールードが入ることで、さらに曲が際立ちます。リリース後の反響や手応えは感じますか

JQ:ワンマンツアーにたくさんの人が来てくれて、想定していたよりたくさんの人に聴いていただけているなと感じています。嬉しいことに忙しくもなりました。けど、大きく何か変わったかって聞かれると、特に変わった感覚はないです。同じところに住んでますし。よくあるじゃないですか、友達増えるとか。全然増えないし(笑)。極端な露出もしていないので、フェスに行っても誰だか分かってもらってないことが多くて。なので今年は積極的にアーティストの方々とお話しして仲良くなりたいなと思っています。たぶん不発に終わると思いますけど……。2年後くらいに仲の良い方が増えたらいいなとは思っています(笑)。

―長期戦ですね(笑)。アルバムリリース記念のワンマンツアーいかがでしたか

JQ:今回のワンマンは出囃子からお客さんの声がドーンと上がって、お客さんの熱量がすごく上がっているのを感じました。最初はもうちょっとスカしたろかなって思ってたんですけど、ドーンとくるので、こっちもドーンといくしかなかったですね。みなさんがかけてくれている期待をしっかり受け止めながら今年もちゃんと活動しないと呑まれるなと圧倒されました。

―11月には日本武道館でのワンマンライブが決まっていますね

JQ:まだ場所が決まっただけで、何も想像できてないです。昨年、武道館でJamiroquaiのサポートアクトをさせてもらったのがきっかけですね。5年ぶりの来日の舞台に何も知らないバンドを立たせるっていうのは僕には想像つかない。そういう風習があるのか分からないですが、そのチャンスをもらった以上、同じ舞台でメインアクトとして立つことでお返しになるのかなと。サポートアクトで立ってたやつらがメインで立ったらしいよって耳に入ってくれたら嬉しいですね。あの公演からビジョンが明確に見えました。お客さんもみんなあったかくて。武道館で見てくれた人が僕たちのライブに来てくれていたりもするみたいです。そういうのを聞くと、ちゃんとしようって思います。音楽を愛している人たちが溢れているところで僕たちも歌い続けていきたいなって思います。

―フェスへの出演もたくさん決まっていますよね。昨年も多数出演されましたが、一番印象に残っているフェスはありますか?

JQ:大型フェスに出たのは『ARABAKI ROCK FEST』が最初だと思うんですけど、フェスってこんな感じなんだ、なんだこの世界はって印象に残りましたね。まずバックステージに飯とかうまいもんいっぱいあるし(笑)。村みたいになってるし、裏側こうなってるんだって。転換時間も短い中でいろんな人がセットしていたり、本当にあっという間だったっていうのを覚えてますね。やっと出れたフェスなのにこんなにすぐ終わっちゃうんだっていう喜びと寂しさが一瞬で混じりあう、あの感じはフェス特有だなぁと。一生懸命構想して、リハ重ねて、30分で終わっちゃいますからね。ワンマンとは違う緊張感がありますね。

―東海エリアでは、初出演となる『森、道、市場』と、昨年に続き『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』が決まっています

JQ:『森、道、市場』はフェスとしては有名ですからね。僕自身もまだ行ったことのない場所ですので楽しみです。名古屋はワンマンも一回しかやったことないので、つぶされないように準備していきたいですね。『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』はコンセプトが素敵なフェスで、独特の空気感があるなって思いました。メッセージ性がしっかりしたフェスなので、お客さんも熱いし、出演者も熱いですね。また呼んでもらえたことに感謝です。楽しい空間でお酒を飲みながらでも聴いてくれたらなぁって思います。

―フェスの必須アイテムといえばサングラスですが、「Zoff」サングラスコレクション2018のメインビジュアルモデルに抜擢されていましたね

JQ:ビビりました。もはや音楽は関係ないじゃないですか。モデルはモデルっていう職業があるし。最初は畑が違うし大丈夫かなぁって思ってたんですけど、一緒に起用されているのがあいみょんだったり、ビジュアルを担当されるのがとんだ林蘭さんと聞いて、作品として僕で落ち着くと思ってもらえるのならって。

―とんだ林さんのユニークな世界観に合っていました

JQ:今季のZoffのコレクションはクラシックなものがわりと多いんです。そこに、新たな試みをというコンセプトを聞いたとんだ林さんが、クラシックと自身の世界観を融合させて作ったビジュアルです。単純に、俺らも音楽で同じことやってるなと。目指している場所が一緒なのかなっていうのはコンセプトを聞いて思いました。

―ジャンルは違っても共通する部分があったんですね。Nulbarichはファッション分野でコラボアイテムを出されることもありますよね

JQ:洋服はすごく好きなので。今回のツアーグッズもDELUXEとコラボしたり、キャップはNEW ERAとコラボしたりしましたね。こうやって、やりたい人たちとやれてるってことはすごくうれしいことです。ファッションと音楽、アートっていうのは必ず繋がっていると思うので。

―そうですよね。今後も多方面での活躍も楽しみにしています!

JQ:機会があれば良いインプットとして、音楽がんばります!(笑)

Nulbarich 『ain't on the map yet』 Official Music Video

Nulbarich 『Almost There』 Official Music Video[Radio Edit]

■リリース情報

『H.O.T』
2nd ALBUM
2018.3.7発売
初回限定盤(CD+BONUS CD) 3,500円(+tax)
通常盤(CD) 2,800円(+tax)

■LIVE情報
Nulbarich ONE MAN LIVE at 日本武道館
11月02日(金) 東京 日本武道館

■イベント情報
5月19日(土) 大阪・METROCK 2018
5月26日(土) 神奈川・GREENROOM FESTIVAL 2018
5月27日(日) 東京・METROCK 2018
6月02日(土) 静岡・頂 -ITADAKI- 2018
8月18日(土) 香川・MONSTER baSH 2018
8月19日(日) 東京・SUMMER SONIC 2018
9月22日(土)or23日(日) 岐阜・中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2018
10月07日(日) 鹿児島・THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2018

■オフィシャルHP
http://nulbarich.com/

■プロフィール
シンガーソングライターJQがプロデュースするバンド。親交の深い仲間と共に、スタイル・シチュエーションなどに応じたベストなサウンドを創り出す。
ファンク、アシッド・ジャズなどのブラックミュージックをベースにポップス、ロックなどにもインスパイアされたサウンドは、国内外のフィールドで唯一無二のグルーヴを奏でる。Nulbarichという名前には、形あるものが全てではなく、形の無いもの(SOUL、思いやりや優しさ含めた全ての愛、思想、行動、感情)で満たされているという意味が込められている。

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