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ライター ツボイ

2019.2.22

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Nulbarich 3rd Album『Blank Envelope』インタビュー

「僕の中で完結していない感じが、このアルバムのいいところかなと(JQ)」

CMへの楽曲提供から、フェスやイベントへの出演、11月には日本武道館でワンマンライブを行うなど、ファンを楽しませてくれた2018年を経て、2019年2月6日に3rdアルバム『Blank Envelope』をリリースしたNulbarich。武道館から何を得て、今作へどのような思いを込めたのか。意味深なジャケットのアートワークも含め、フロントマンのJQ(Vo)に話を訊いた。

―2月6日にリリースされた3rdアルバム『Blank Envelope』は、どんな作品に仕上がりました?

JQ(Vo): シンプルに、いま自分たちが作りたい曲、カッコいいと思う曲を無心に詰め込めたアルバムになったと思います。

―収録曲は昨年11月に行われた武道館ワンマンの前にはほぼ仕上がっていたのでしょうか?

JQ:『Kiss You Back』までは武道館の前に作りましたが、『Toy Plane』以降は武道館後に仕上げました。

―武道館を経て、曲作りに対して何か変化は生まれました?

JQ:『Toy Plane』以降の5曲は武道館の熱が冷める前に仕上げたので、いつもよりメッセージが濃くて、少しエモくなっていると思います。

―その中でも『Toy Plane』は、これまでのNulbarichの曲の中でなかったタイプの聴かせる曲だと思ったのですが

JQ: 『Toy Plane』は正当なバラードソングだと思います。2018年は曲の聴き方が少し変わりました。僕は元々ビートメーカーで、Nulbarichではコンポーザーという立ち位置でもあるので、音楽を聴く時に全体像で曲を捉えるというか、ビートやピアノがカッコいいというように、最初に耳のいくところがインスト側なんです。でも去年は、いろいろなライブを観に行く中で、ボーカリストのメロディや言葉が最初に入ってくるようになりました。だから、武道館後に仕上げた曲は、メロディやボーカルのニュアンスを今までよりもケアしている気がします。

―より歌にフォーカスしているんですね。アルバムには、どのような思いを込められたのでしょうか?

JQ: 立たせてもらった打席は全部フルスイングで振っていく感覚ではあるので、誰に届けたいかを作っている時に考えちゃいけないという思いもあって、いまの自分の真っ直ぐな気持ちを込められたと思います。

―『Sweet and Sour』は、現在テレビ東京系で放送されているドラマ『デザイナー渋井直人の休日』のエンディングテーマとなっていますが、曲はお話をいただいてから作られたのでしょうか?

JQ: そうです。『デザイナー渋井直人の休日』は、東京のカルチャーやサブカルチャー、アートなどがちゃんと出てくるのもあって、原作漫画を読んでいました。だから、今回お話をいただいた時、是非やらせてくださいと(笑)。主人公とマインド的な部分で近いところもあって、何の違和感もなく書けました。

―そうだったんですね。ドラマとのハマりがいいなと思っていたので、そのお話を聞いて納得できました。武道館前に作られたという前半の曲の中で唯一タイアップ曲ではない『JUICE』についてお聞きしてもよろしいでしょうか?

JQ: 実はこの曲、武道館ライブの時にドラムを叩きながら歌った曲なんですよ。

―そうなんですか!どうしてドラムを叩こうと?

JQ: 小学生の時に吹奏楽部でパーカッションをやっていたのもあり、ドラムを元々やっていたんです。僕たちのワンマンライブって長めのセッションが入って、インストだけで回す時もあるので、せっかくの武道館だし、叩いちゃおうかなって(笑)。その時に歌うために作った曲です。

―武道館のためにわざわざ作った曲だったんですね。個人的に、この曲の連続して迫ってくるようなサビの感じが好きです。新鮮に感じました

JQ: 今までこういうタイプのビートをやったことがなかったので、いつかやりたいなと思っていました。アレンジを詰めていっている時にできた曲ではあります。

―武道館後に仕上げられた曲の中では11曲目の『Super Sonic』が好きです。ジャミロクワイっぽい雰囲気があって

JQ: これはアシッドジャズとディープハウスというか少しハウス界にジャジーのものが入ってきた年代の感じで作りました。ギターのカッティングとベースラインがメインになっていて、コードが途中で転調する感じがその年代の雰囲気にバキッとハマった曲ですね。やってそうと言われてきて実はやっていなかった曲で、今回やってみたら意外と良かったですね。

―カッコいい曲だと思います。そして次の曲『Stop Us Dreaming』は広がりがあって音も大きく感じました。この曲についてもお願いします

JQ: この曲は、11曲聴いてもらった後だからこそ言えるリリックがたくさんあります。<バカみたいに歌うだけさ>や<誰も俺らのことを止めらんねえ>とかラップでは全然いえちゃうのにメロディにのせると急に稚拙になるので、小っ恥ずかしくて歌えない感もあって。でもNulbarichが始まって全力でここまでやってきて、アルバムに関しても僕たちのいろんな表面を見てもらった最後に、バカになれるのは大事なことだなと。だから、この曲が持っているスケール感はすごく大きくて、遠くへ向かって歌っているイメージです。最後に解き放たれた感が個人的にはあります。

―その感じ分かる気がします。そしてアウトロ『I'm Home』ですが、外を歩いているような音に最後は鍵を置いたような音で終わります。すごく意味を感じたのですが、イントロも含め、今回入れた意図をお聞きしてもよろしいでしょうか?

JQ: このアウトロは、イントロとアウトロ以外のレコーディング、ミックス作業が出来上がった時に、スタジオから家まで帰るまでを自分で携帯を使ってレコーディングして、その音をそのまま貼り付けました。

―リアルな音だったんですね

JQ: 家に着いて鍵を置くまでの音がそのまま使われています。本当はその音をスタジオに持っていき、アルバムが全部終わった気持ちを巡らせながらアウトロとイントロを作ろうと思っていたのですが、作っているうちに録音したままの音がない方に違和感を感じてきちゃって。だから、アウトロとイントロは、その時の音声をそのまま入れた状態で作りました。

―「ただいま」というタイトル的にも作品の終わりっぽくていいなと思いました

JQ: タイトルに関しては、本当に自分が「ただいま」と思った時の音声を使っているので、『I'm Home』としたんですけど、そもそも後ろで流れている音も全部ひっくるめて、いわゆるエンドロールみたいなアウトロにしたくなくて。まだまだ攻めていきたいし、「ただいま」と言えども終わらせたくない。むしろ帰ってきたぐらいの感覚でいるので、サウンド面的にも強いインストで終わっています。前回のアルバムはアンセム的な『Heart Like a Pool』で終わったんですけど、今回は『Stop Us Dreaming』で弾けてアウトロも全然終わりっぽくない感じにしました。今のNulbarichの「まだ終わらせないよ」という感覚に近いのかなって思います。

―終わりではなく、これからも続いていくということですね

JQ: 僕の中で完結していない感じが、このアルバムのいいところかなと。

―そして、今回のジャケットのアートワークは今までと流れが全然違います。この意図についてお聞きしてもよろしいでしょうか?

JQ: 去年のサマソニで、ファンでもあるイラストレーターの長場雄さんに出会って、その後『VOICE』のジャケ写を書いてもらったので、今回のアルバムもお願いしました。ちなみに、アー写も長場さんに描いていだだきました。ジャケを描いてもらうにあたり、長場さんとアートディレクターの前田晃伸さんの二人と、アルバムのコンセプトやどのように音楽を作っているの?いつ音楽を初めた?どんな音楽が好き?といったディスカッションを少しした結果、描いてきてくれたのがコレで。

―なるほど。どのようなイメージで描かれたのか長場さんにお聞きしました?

JQ: 画家のゴヤの黒い絵シリーズをモチーフにされていて、昔の絵画のレイアウトをそのまま使い、面白おかしく今のアートに落とし込んでいるのですが、どうして長場さん達は賛否両論あるこの絵画をポップにしたのかなとは思いました。でも、僕はアートは賛否両論を生んでいないと良くないと思うし、少し深い方がいいと思っているので、とりあえずバズらせればいいみたいなアートより、ハテナが残っているぐらいの方がいい。長場さんがこれを落とし込んできた理由は、本人と話ししていないし話すつもりもないですが、いろんな想像をさせます。そんな絵ってすごいなと。これ自体はすごくポップなのに、元ネタはこれなのかなと思うと二人はもっと深いところまで考えているのかなと思うじゃないですか。それがアートだと思うんです。

―確かに、最初は「何だこれ?」と思いましたので

JQ: そうですよね。まず、「何これ!?」ってなりますよね(笑)。

―ちょっと闇の雰囲気も感じますが、Nulbarichの曲ってその逆のイメージがあるだけに、いろいろ想像しちゃいます

JQ: 子供の頃はマントをつけたらマジで飛べると思っていただけど、本当に飛ぶためにエンジンを開発している。というように、もうある程度理解しているじゃないですか。そんな感じで、僕たちの明るさって実は底抜けじゃないんですよ。いろいろ分かった上でそれを発することに意味があることだったりするので、『Toy Plane』というタイトルを付けたりする。至らないところは全然あるけど、いつか必ずそこへ行くからねという思いは、今が至っていないことを自分が知っているから、その言葉になると思うんですよね。その底抜けじゃない感じを、彼らはは見抜いているのかなと。二人と話していないから真相は分からないですが、いろんなところがリンクしているので、素晴らしいと思います。

―そこまで深く理解していたらちょっと怖いですね。そして、3月31日からワンマンツアーも始まります。武道館を終えて最初のツアーになりますが、どんなツアーにしたいですか?

JQ: 武道館を終えて、本当に音楽って楽しいなと思えました。たくさんの人に愛してもらえている今の環境に感謝しつつ、自分たちがこれからも音楽をやり続けるためにはもっと大きくならなきゃいけないと思っています。デビューしてからの1、2年はバタバタし過ぎていて、右も左も分かっていなかったんですけど、やっと年間のルーティーンも出来てきたので、今やっとシンプルに音楽に向き合える。もっといいインプットができるフェーズに入ってきたので、一旦ここで、これがNulbarichですというものを提示できるようなツアーになると思っています。一緒に楽しい空間を作りましょう!

Nulbarich『Sweet and Sour』(Official Music Video)[Radio Edit]

■リリース情報

『Blank Envelope』
3rd Album
2019.2.6 発売
完全生産限定盤A(CD+Remix CD+Blu-ray) 5,500円(+tax)
完全生産限定盤B(CD+Remix CD+DVD) 5,000円(+tax)
通常盤(CD) 2,800円(+tax)

■LIVE情報
Nulbarich ONE MAN TOUR 2019
3月31日(日) 宮城 仙台PIT
4月07日(日) 北海道 Zepp Sapporo
4月10日(水) 大阪 Zepp OSAKA Bayside
4月13日(土) 広島 BLUE LIVE 広島
4月17日(水) 愛知 Zepp Nagoya
4月19日(金) 福岡 Zepp Fukuoka
4月20日(土) 香川 festhalle
4月24日(水) 東京 Zepp Tokyo
4月25日(木) 東京 Zepp Tokyo
5月9日(木)東京 TOKYO DOME CITY HALL

■オフィシャルHP
http://nulbarich.com/

■プロフィール
シンガーソングライターJQがプロデュースするバンド。親交の深い仲間と共に、スタイル・シチュエーションなどに応じたベストなサウンドを創り出す。
ファンク、アシッド・ジャズなどのブラックミュージックをベースにポップス、ロックなどにもインスパイアされたサウンドは、国内外のフィールドで唯一無二のグルーヴを奏でる。Nulbarichという名前には、形あるものが全てではなく、形の無いもの(SOUL、思いやりや優しさ含めた全ての愛、思想、行動、感情)で満たされているという意味が込められている。

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