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INTERVIEW 旬のアーティストインタビュー

2017.10.5

odolのモードを純粋に閉じ込めた1st EP『視線』を読み解く

「今回は自分が思うことを全曲ピュアに書けたと思っています(ミゾベ)」

“踊る”という名のバンド・odolが奏でる音楽は、いわゆるダンスミュージックのそれとは印象が違う。緻密で丁寧に作られている楽曲は、むしろ心を震わせることに意識が向けられている。その彼らが9月20日にリリースした1st EP『視線』は、音楽に対してピュアに取り組んだ結果生まれた6曲を収録。その今作について、全ての作詞を手がけるミゾベリョウ(Vo/Gt)と、作曲を担当している森山公稀(Pf/Syn)の2人に話を訊いた。

取材・文 坪井

ーそもそもの部分からお聞きしてもいいですか?odolというバンド名は変わっているなと思ったんですが、バンド名を決めた経緯をお願いします

ミゾベリョウ(Vo/Gt):バンド名は日本語にしたかったので、ダンスの“踊る”と心が“躍る”という、同じ音だけど意味の違う言葉が日本語らしくて素敵だなと思って、“おどる”という言葉を選びました。その言葉を、カタカナやひらがなにしたんですがしっくりこなかったで、アルファベットにしてみたんです。すると、“踊る”という言葉の意味合いがより滲んで、それが僕らのその時の気分に合っていたのでバンド名を“odol”にしました。

ーアルファベットの方がしっくりきたからなんですね。バンドは、昨年ギターの早川さんが加入して6人体制になりましたが、それによって変化はありました?

森山公稀(Pf/Syn):曲作りや演奏において出来る事が多くなったという変化はありますが、それよりもバンド活動自体にすごく大きな影響がありました。早川さんが入ったことで、バンドの人間関係や社会のことを考えるきっかけになったし、その考えが発展して今回の『視線』という作品が作れたので、その影響が大きいですね。

ーその9月20日にリリースされたEP『視線』ですが、この言葉にはどのような意味が込められているのでしょうか?

森山:見ようとすればほとんどのことにアクセスできる気さえする現代で、自分がどこに視線を向けるか、何を見ているのかで世界は決まる。客観的に世界があるんじゃなくて主観。自分が選び取っている世界だけが、自分に存在している世界なんだよという意味です。それは収録6曲に共通しています。

ーなるほど。楽曲は1曲目『GREEN』をはじめ閉塞感を感じました。今回どうしてこのような音作りになったんですか?

ミゾベ: 2ndアルバム『YEARS』を去年の5月に出した後、このEPの制作に取りかかれたのが、今年の1月ぐらいでした。それまでの期間はあまり曲を作れなくて、僕自身どんな内容を歌えばいいのか、何を歌っていいのかが分からなかったんです。曲を作れない時間が多かったので、ポジティブな気持ちでEPを作ることができませんでした。もちろん自分たちなりに希望を見出したこともいっぱいあるんですけど、そういった背景から閉塞感のあるサウンドが多く見える作品になったと思います。

森山:みんなと会話している中で、みんなのモードから閉塞的な雰囲気を感じました。それにマッチする音じゃないとodolの作品として出すべきじゃないし、そういう音ってどれだろうと探っていくうちにフィットしたのがこの音なので、自分たちの心情が直接繋がってできたサウンドだと思います。

ー『GREEN』はノイズや音の重なりなど印象に残るサウンドですが、歌詞もメッセージ性があり考えさせられます。歌詞も同じモードから生まれたんですか?

ミゾベ:そうです。曲を作る過程において、まずはじめに、どういったものにするか森山と2人で話をするんですが、その中でこの曲はなるべく普遍的なものにしたいなと。日本人はもちろん、たとえば地球の裏側にいるブラジルの子どもにも分かってもらえる内容にしたくて、一番普遍的なことは何かを考えて作りました。僕たちは、「人の立場になって考えろ」と子どもの頃から先生などに言われてきましたが、実際に僕が僕でない人間になることはできない。でも、愛する人や大切に想っている人に対しては、本当の気持ちをわかってあげたい、というジレンマがありました。そのジレンマは世界中の誰にでも当てはまることなんじゃないかと思って、この内容になりました。

ー今作は、聴き手とのコミュニケーションを始めたいということから全曲セルフライナーノーツを書かれています。受け取り方は聴き手に委ねるものかなと思うんですが、どうして今回それを書かれたんですか?

森山:作品は出来上がった瞬間に僕らから分離すると思っているので、その作品に対してリスナーの皆さんと同じように僕たちも解釈しています。作品が出来上がった過程に一番近い人間ですが、全く別の存在として、ひとりの聴き手として作品に僕らの解釈を入れることでより音楽が成長していくし、その解釈を人に伝えるために言語化する過程で出た言葉で僕らの気持ちも変わっていき、それが次の音楽へ繋がる。それをバンドの中だけじゃなく、聴いてくれるみんなとしたいと思ったから、コミュニケーションという言葉を使いました。音楽が生まれて成長するのはそういうイメージなので、今回セルフライナーノーツを書いたんです。

ー他のメンバーのライナーノーツを読んで知ったことはありました?

森山:みんなの言葉を見てうれしくなりました。

ミゾベ:ちゃんとそう思ってくれていたんだなと。僕と森山は曲と歌詞を書いているので、言葉にすることが多いんですけど、他のメンバーはそんなに機会もないと思うんです。今回セルフライナーノーツを書こう、となって、みんな一生懸命に自分なりの解釈や思い、エピソードを書いてくれたので、みんなの素直な気持ちが確かめられました。より演奏の強度が上がるような感覚があります。

ーそのサウンド面ですが、すごく丁寧に音を作られているなと。細かい音まですごく考えられているなと感じました。一回聴いただけでは気付かなくても、聴けば聴くほど気付きがあってハマる音楽だなと思います。その音作りへのこだわりを教えてください

森山:まず最初に、メンバーそれぞれが自分のパートに捉われないことを共通認識として持ちました。曲を作れない期間に、バンドであることの意味を考えたんですけど、僕たちのバンドでやる意味は、自分のパートがあることやリズムとルート音という役割があることではなくて、人が集まって同じ何かについて違う脳みそを使って考えることだと。その小さな社会の中で一つの作品を生み出すこと自体にバンドをやる醍醐味があるんだということに辿り着いたので、それぞれがパートや楽器にこだわっているのは無駄に制限をかけていることになります。だから、音楽としてほしい音、出したい音をまず出す。まず音楽を作っていこうという考えのもと、今回の6曲を作りました。

ーその音作りの考えから、打ち込みだけ、ギター6本だけという発想の曲が生まれたんですね

森山:そうですね。その前提があったから作れた曲かなと。あえて外そうとしたわけではなくて、『虹の端』だったら楽器は何でもよくて、同じ楽器を6パートで構成して全員で歌おうということだけをふと思い立って、そこから始まりました。そういうこだわりを、一回バンドとは何かみたいな話の中で捨てられたから作れたと思います。ストリングスも今まで入れたいなと思っても、バンドだからライブでできないしと思っていました。そこも全く関係なくなったから作れたのかなと思いますね。

ー歌詞に関して今回こだわった点はあります?

ミゾベ:一番は自分の思っていることや感じたことに対して、純粋に言葉を選ぼうと思ったところです。今回は、自分が思うことを全曲ピュアに書けたと思っています。何年先でも自分が歌詞を考えた時と全く同じ気持ちで歌える曲を作りたかったのですが、今回それがちゃんと6曲でできたと思うので。そこが一番意識した点ですね。

森山:自分が見てきたものしか本当の意味で捉えられなくて、自分の視界に入っていないことを想像で歌ってもファンタジーにしかならない。それを僕らが今やる意味はないと思ったし、ファーストもセカンドもそうですけど、ミゾベがちゃんと経験したり見てきたものが一番強いものだという認識はあるので、そこは外さずに書けていると思いますね。

ーその歌詞も含め、最後の曲『虹の端』は開けているなと思いました。サビをみんなで歌っているのが賛美歌のようで、最後に救われる印象です

ミゾベ:この曲の歌詞は最後にできたんですけど、書けた時に開けた感じが見えたんです。

森山:最初の3曲は社会や人間関係について考えていた頃の曲で、後半の3曲は僕らがバンドについていろいろ考えている時に発想が生まれました。社会に目を向けた時に閉塞的な気持ちになることはあっても、バンドは純粋に楽しめているから、明るく開けた感じになるのも納得できるし、バンドのことを歌うならこういうサウンドが一番フィットするなと思います。

ミゾベ:後半でも『またあした』と『その向こう側』は、メンバー6人を見て書いた部分が大きくて、『虹の端』は6人だけでなく僕らの音楽が届いた人に対しても歌ったので、より開けている印象になるのかなと思います。

ーその届くという部分でツアーがありますよね。11月10日(金)の池下UPSETから始まります。ツアーでどのようなパフォーマンスを見せたいですか?

森山:ライブは聴いているお客さんがいて完成すると思っています。一音出すたびにお客さんが止まったり、動いたり、目を閉じたり、そのひとつひとつの反応がビシビシ伝わってくるので、ライブは音楽がリアルタイムで成長していく場所だと思います。『視線』の曲はまだあまり演奏する機会も多くないので、今回のツアーを通してもっともっと大きくしていきたいですね。

ミゾベ:ライブは僕ら6人対何十何百のお客さんに見えると思うんですが、僕ら6人とお客さん1人という構図がたくさんあるという気持ちで演奏しています。自分たちの曲も自分たちもすごく成長させてもらえる場なので、今から楽しみですね。

ーでは最後に、『視線』を手にツアーへ来てくれるファンへ向けてメッセージをお願いします

森山:名古屋は僕らのパワースポットなんです。2年前の初名古屋ライブの時にめちゃくちゃいいライブができて、周りのスタッフさんからも「良かったよ」と言われたし、僕ら自身もすごく達成感がありました。その後も、名古屋へ来るたびに過去最高を更新できているので、名古屋は本当に相性がいいなと。その名古屋からツアーを始められるのはすごく心強いです。今回も名古屋の皆さんよろしくお願いします。

ミゾベ:今回のツアーだと、福岡は僕と森山の地元で、東京はメンバー全員が活動している場所なので、気持ちが乗るのは分かるんですけど、名古屋にはそういうものがありません。それでも回りたいのは、メンバー全員が名古屋でいいライブをしたいと思っているからです。音楽で皆さんとコミュニケーションをとれたらすごく嬉しいので、ぜひライブに来てください。

odol『GREEN』 Official Music Video

■リリース情報

『視線』
1st EP
2017.9.20 発売
1,600円

■LIVE情報
11月10日(金) 愛知 池下CLUB UPSET(GUEST:King Gnu)
11月12日(日) 福岡 graf (ワンマン)
11月26日(日) 東京 渋谷WWW(ワンマン)

■オフィシャルWEB
http://odol.jpn.com

■プロフィール
ミゾベリョウ(Vo/Gt)、井上拓哉(Gt) 、早川知輝(Gt)、Shaikh Sofian(Ba)、垣守翔真(Dr)、森山公稀(Pf/Syn)。
東京にて結成。2014年2月に1st demo EP『躍る』、7月に2nd demo EP『生活/ふたり』をbandcampにてフリーダウンロードで発表(※現在は終了)。同年、「FUJI ROCK FESTIVAL’14 ROOKIE A GO-GO」に出演。2015年5月20日、1st Album『odol』をリリース。2016年5月18日、2nd Album『YEARS』をリリース。タイトル曲「years」が日本郵便「ゆうびん.jp/郵便年賀.jp」のweb CMに起用される。同年11月、早川知輝が加入して6人体制となる。2017年1月、新木場STUDIO COASTにて開催された、TWO DOOR CINEMA CLUB来日公演のオープニング・アクトを務める。9月、1st EP『視線』をリリース。

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