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ライター ツボイ

2018.3.28

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『Yours』でみせた日本語詞の曲がPAELLASの音楽を唯一無二にする

「歌詞を書き出した時点で当たり前のように日本語から入っていた」

前作『D.R.E.A.M.』から半年、早くも完成させた新作『Yours』でみせた明らかな違い。そのひとつがMATTON(Vo)の書く歌詞だ。これまで英語詞が中心だったが、今作では一変。全曲日本語詞となっている。それによって、歌詞の描くストーリーがより心に届く。なぜ今作は日本語で歌詞を書いたのか。それを紐解くべく、MATTONに話を訊いた。

―今作『Yours』は前作よりも歌が心に届きます。歌詞を日本語で書かれているのも理由のひとつだと思うのですが、今回日本語詞にされたのは何か心境の変化があったからでしょうか?

MATTON(Vo): 前作『D.R.E.A.M.』では英語詞がほとんどで、日本語詞の混ざった曲が2曲でした。その時はPAELLASが急に日本語詞になったらみんなびっくりするだろうし、自分でもちょっと違和感を感じていて。それに、当時ソロでトラックメーカーの人と音楽を作っていたのですが、そこでは日本語詞でやっていたので自分の中ですみ分けたい思いもありました。それが、そんなのいいかなと思うようになってきて、日本語で書くことに慣れてきたし、PAELLASの音楽的に日本語をのせるのは難しいから、上手くのせられたらバンドの音楽をさらにひとつ上のレベルへ上げられるんじゃないかと思ったんです。それ以外は考えもしなかったですね。歌詞を書き出した時点で当たり前のように日本語から入っていたので。

―メロディを作っている時点で既に日本語詞をイメージされていたんですか?

MATTON: そうですね。今回は『Pray For Nothing』はAnan(Gt)が作って、『Darlin’ Song(Reprise)』は前々作に収録された曲なのでメロディは元々あった曲。それ以外の曲はメロディも自分で作ったんですが、その仮歌の段階で既に日本語でした。

―当たり前のように日本語詞で書かれていたんですね

MATTON: 欲望や使命に駆られたわけではなく、本当に自然に日本語を書いていました。

―歌詞を表現する歌声もMATTONさんの特徴でもある高いキーの声だけでなく、かなり下の声も重ねていますよね。特に下のキーは語っているような感じがします

MATTON: テンション的にはそういう感じです。歌うというより語りかけているみたいな。ソロの時は絶対に普通のオクターブとワンオクターブ低い部分と、3度上、3度下を全部重ねて入れているので、それをPAELLASでも改めてしっかりやりました。入れると全然広がりが違いますよね。

―より曲のストーリーが頭に入ってきます。今は伝えたいモードなんですね

MATTON: もっと伝えたいとはずっと思っています。やっぱり日本語の方が伝わるし、自分の歌う気持ち的にも伝わった方が楽しいですし。

―それは間違いないですね。リリースから1週間経ちました(インタビュー時)が、周りの反応はいかがですか?

MATTON: 自分の中では自然だったけど、聴く人からすれば大きな変化だろうから、受け入れてくれるのか気になっていました。でも、すごく好意的な言葉が入ってきて、歌詞がすごくいいと言ってくれるなど、日本語に関して反応してくれる人もたくさんいたので、日本語で詞を書いて良かったと思っています。

―英語詞もカッコいいですが、日本語詞のハマりもいいですから

MATTON: 音的には英語の方が絶対にハマりはいいと思うんですが、日本人にとって日本語でやるということは、言葉の意味を損なわないままさらに上の魅力を出せる可能性があると思っていたので、今回は上手くいってると思っています。

―音に合わせて言葉を切っているからか、歌詞カードを見て「そういう意味だったのか」と気づくことも多々ありました

MATTON: 音としてしっかり聴けることは絶対に外せないのでそこを守りつつ、さらに歌詞カードを見ながら言葉で音楽を聴く時にもしっかり入ってくるものにしたい気持ちもありました。その二つを両立させたいなと。

―すごく伝わってきます。その中でミュージックビデオにもなっている『Echo』はロックな印象を持ちました。サウンドはどのようなイメージで作られたんですか?

MATTON: この曲はセッションで生まれた素材からいろんなセクションを作って曲にしました。サビの部分は最初ボサノバっぽい感じというか、PAELLASっぽくない感じだったんですけど、これをいい感じにしたいなと。この曲は、僕の中ではThe Policeなどの80年代ロックミュージックがラジオから流れているイメージですね。

―なるほど。この『Echo』がリード曲ですが、『Pray For Nothing』もそれに匹敵する曲だなと思いました

MATTON: 実は最後まで『Pray For Nothing』と『Echo』のどちらをリードにするか迷いました。ただ、『Pray For Nothing』より少し『Echo』の方がポジティブかなと。

―終わりの<影で>がポイントだと思ったんですが、歌詞はどのようなイメージで書かれたんですか?

MATTON: この曲はゆとり世代にとっての『夜空のムコウ』的な感じです。『蛇にピアス』の主人公のカップル2人みたいな。あの頃ほど氷河期でもないし、割と何でも手に入る。でも、自分たちの未来や生きてる国がそんなに明るくないことも何となく分かっている。だからって、そんなに頑張らないといかんの?みたいな(笑)。そんな2人の歌です。

―そんな意味があったんですね。そして最後の曲『Over The Night』は他の曲と趣が違いますね

MATTON: セッションしているときに、The Strokesのジュリアン・カサブランカスがフューチャリングしたDaft Punkの『Instant Crush』という曲のイメージで歌っていたんですが、bisshi(Ba)とRyouske(Takahashi)くん(Dr)がアレンジしていく中で、ディアンジェロの『Feel Like Makin' Love. 』の感じの90’sネオソウルみたいなテンションになったので、それに合わせて歌もちょっと跳ねさせつつ、ブラックミュージックに寄りすぎない歌い方を意識しています。最初はしとしと雨が降っているような暗いけど、希望はあるみたいな曲だったんですが、今のアレンジになって賛美歌っぽい、より希望の成分が多めの曲になりました。

―この曲は他の曲が夜を想起させるとしたら朝っぽい印象があります

MATTON: 聴く人によって変わるのかなと思います。この曲は寝る前に聴くのもよさそうな気もするし、『Miami Vice』『Pray For Nothing』は夜だと思うんですけど、『daydream boat』は朝っぽいという人もいました。

―『daydream boat』は寝る前か起きたばかりのどちらかの印象があります。そもそもPAELLASの楽曲は、聴けば聴くほど染み込んでいく感がありますよね

MATTON: そうかもしれないですね。聴いていくうちにその曲を自分のどこかにフィットさせられるような。この曲は駅を降りてから家に帰る5分の間に聴く曲とか。そういうシチュエーションが必ず見つけられる音楽かなと思います。

―その感じ、確かにあります。では最後に、PAELLASの今後の展開を教えていただけますか?

MATTON: 今年中に必ずフルアルバムを出したいですね。

―それは楽しみです。ちなみに、今はどのような音楽をよく聴かれているんですか?

MATTON: 最近だとPink Floydを初めて聴いてカッコいいなと思いました。他には、エルトン・ジョンの80年代のアルバムや、ニルス・フラームというネオクラシカルというジャンルの人の音楽を聴いたり、好きな映画のサウンドトラックを聴いています。今はそういうベクトルですね。今作を作っている時に聴いていた音楽が全部インストだったので、歌を作らなきゃいけないし、歌のある音楽をインプットして聴かなければと思ったときに、これまで聴いてこなかったThe Policeを改めて全部聴いたらすごくよくて。それで、自分のベストミックスを作りました。最近は結構そういうことをしています。

―その辺からインスパイアされて生まれた曲がフルアルバムに入ってくるかもですね

MATTON: 僕は現行のR&Bはこの1、2年ぐらい完全に離れちゃってるけど、メンバーはそこに影響を受けて新しい音をどんどん吸収しているので、自分はそこに違うテイストの色を入れて歌を作れたらいいなと思っています。それがPAELLASの個性だと思うので。いい作品を作りたいですね。

PAELLAS (パエリアズ) 『Echo』 Official Music Video

■リリース情報

『Yours』
Mini Album
2018.3.7 発売
1,600円(+tax)
SPACE SHOWER MUSIC

■オフィシャルWEB
http://paellasband.com

■プロフィール
東京を拠点に活動する4人組。あらゆるジャンルの要素を独自のセンスで解釈し生み出すサウンドは、セクシュアルかつロマンチック。都会に漂うメランコリックな情景やその儚さを想起させるライブパフォーマンスも支持され、あらゆるシーンや時代を超えた存在になる可能性を秘めている。

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