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ライター ツボイ

2019.6.4

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PAELLAS New Album『sequential souls』インタビュー

「しっかり流れのある作品に仕上がったので、1曲目から曲順通りに聴いてほしい」

ミニアルバム『Yours』から1年3ヵ月、6月5日に待望のフルアルバム『sequential souls』をリリースするPAELLAS。今作は、これまでの作品からいくつかの変化がある。例えば、全曲日本語で書かれた歌詞。また、楽曲制作においても然り。リリース毎に全てにおいて更新し続ける彼らがニューアルバムで魅せてくれたものとは。PAELLASの作品の作詞を手掛けるMATTONに話を訊いた。

―昨年配信リリースされた『Orange』『Weight』2曲のシングルを聴いて、アルバムのリリースを楽しみにしていました。実際、6月5日リリースのニューアルバム『sequential souls』は、その期待を裏切らない素晴らしい作品に仕上がっていると思います。今作は、昨年の配信シングル2曲をベースに作り上げていったのでしょうか?

MATTON(Vo): そうですね。実は、『Orange』と『Weight』を作ったタイミングで、アルバムに収録されている『searchlight』もbisshi(Ba)が作っていて。ちょっと明るくてアップテンポな『ORANGE』と三拍子のスロウな『Weight』、BPMが160ぐらいあるポストパンクっぽいけど、リズムは最近のポップスのようなアプローチの『searchlight』3曲は、当時の自分たちのセットリストにはない曲だったので、明確に「こういう曲が欲しいよね」という意図で作りました。その3曲ありきでアルバムを作っていった感じです。

―今作の作曲クレジットにMATTONさんの名前がないので、曲作りにおいて変化もあったのかなと思ったのですが

MATTON: これまでは、Ananが1人で作ったりセッションで制作したりしてきましたが、『Orange』はbisshiがほぼ1人で作り、『Weight』はAnan(Gt)とRyosukeくん(Dr)の共作という初めての形で制作しました。その流れをアルバムでも汲んでいるので、クレジットはbisshiとAnan & Ryosuke Takahashiの2人になっています。今回僕は、曲作りのプロセスにほぼ関わっていません。作曲したメンバーが作った歌のメロディを受け取って、そこに歌詞を乗せるのが僕の役割でした。

―その歌詞ですが、遂に全て日本語になりましたね

MATTON: そうなんですが、『Orange』をリリースした時に「今回は全篇日本語詞ですね」と言われて初めて気付いたぐらい、自分の中では自然でした。完全に日本語しか歌詞カードに載っていない作品は今回が初めてです。

―前作『Yours』のインタビューで「自然と日本語で出てくるようになった」とおっしゃっていましたが、当時はまだ英語も少し混ざっていました。それが今回は全て日本語。何も考えずに書いた結果、そうなったと

MATTON: 今回は思うままに歌詞を書いていたので、もしかしたら何かの曲に英語がワンフレーズ入る可能性もあったとは思います。それがないということは、それぐらい自分の中で日本語で書くことが自然だったのかなと思います。

―その歌詞についてお訊きします。『Orange』は割と抽象的ですが、『Weight』は直接的なのかなと。今作の収録曲はどちらかというと『Weight』の流れを汲んでいるのかなと思ったのですが

MATTON: 友達からダメな男の話を聞いて『Weight』の歌詞を書いたのですが、直接的な歌詞はこの曲が初めてです。上手くダメな男の恋愛ソングを書けたと思っています。今作はもちろん抽象的な部分も残してはいますが、分かりやすいストーリーを描いた曲が増えていると思います。

―さらに言えば、言葉使いも分かりやすいですよね

MATTON: なるべく簡単な日本語で書くようにはしました。会話の延長線上ぐらいの言葉というか、口語で書こうというのは始めから意識していましたね。

―歌詞は曲を聴いてからイメージを膨らませていくのでしょうか?

MATTON: 『Horizon』はそうでしたね。サビをリフレインっぽいフレーズにしたのは、曲を聴いてイメージできたからで。歌詞は、まず作曲者が作った歌のメロディを自分の中に入れることから始めます。次に言葉を音にはめてひとつのフレーズを作り、そこからストーリーを広げて組み立てていく感じです。

―なるほど。となると、『Crystal』は言葉をはめるのが難しそうです

MATTON: 『Crystal』は古くて、曲はbisshiが作ったんですけどメロディは僕が作ったのもあり、割と言葉をはめるのは楽でした。曲を聴いて、こういう青春を未だに引きずってしまっている20代後半の男女のストーリーが見えたので、そういう青春の永遠性にすがっている人のことを書きました。

―逆に言葉をはめるのが難しかった曲は何ですか?

MATTON: 断トツで『Orange』ですね。Aメロの音の置き方にファンクっぽい要素もあるちょっとロックな曲なので、いわゆる日本語ロックにならないようにするのが難しくて。でも、たまたま松本隆さんが若い頃に書いた青春小説を読んだらすんなり書けました。おそらく松本さんは、夏という言葉に青春性や永遠性を重ねているんじゃないかと思います。それに、何かの記事にR&Bシンガーのフランク・オーシャンが夏という単語をたくさん使うのには、そういう意味があると書いてあったなと。僕の中でその二つが重なったことで、言葉が出てくるようになりました。これまで聴くタイミングが限定されるから季語は避けていたんですけど、そういう意味であえて使おうと思ったらすんなり書けましたね。

―『Orange』は夏の歌なんですね。先ほど「『Horizon』はイメージできた」とおっしゃっていましたが、この曲はすぐに歌詞を書けました?

MATTON: <うそでもいいから>という言葉が出てきて、それをある程度リフレインしようと決めたら残りもすぐに書けました。できれば見て見ぬふりをしてズルズルいければいいなと、真正面からぶつかるのを避けてきたけど、ちゃんと面と向かって言わないと、この先乗り越えていけないよという2人の話になっています。たぶんこの2人は同棲していて、近い距離で一緒にいるんですけど、お互い何かが狂ってきている。それを無視することはできないという話です。

―<うそでもいいから>が全ても物語っているようですね。次の曲『Ride』はキャッチーですが歌詞は…

MATTON: すごく暗いですよね(笑)。この曲はPAELLASが初めて作ったエイトビートの曲です。シンプルに明るいけど、メインにくるような明るいポップソングではないなと思ったので、歌詞はこの曲に求められるようなものからズレてもいいかなと。

―同じ暗めの歌詞でも『mellow yellow』は曲調に合っていて、高い声と低い声で同じフレーズを歌っているのもあり抜群の雰囲気です

MATTON: 二面性を表現できたらなと思って。どの歌詞もだいたい登場人物は矛盾しているので。聴く人が、自分に重ねたり近い人に重ねたり過去に重ねたりして解釈できるようになればいいかなと。ほとんどの人がどこかで曖昧でどこかで矛盾していると思うので、別にそのままでいいという感じですね。

―なるほど。そして2枚のシングルと同時期に作ったという『searchlight』。正直この曲調には驚きました。言葉をはめるのも難しかったのではないですか?

MATTON: 正直難しかったですね。この曲は、江國香織さんというひらがなを多用する作家さんの作品からインスピレーションを受けて書きました。だから、ひらがなが多めです。男がはっきりしないから、ダラダラと関係を続けてしまっている女の人の話です。

―歌詞はダメなタイプの人の話が多いですね

MATTON: 確かに(笑)。そういう相談をよく受けるんですよ。女友達からも。

―そうなんですね。でもその方が、PAELLASの音楽性に合っているような気がします

MATTON: パキッとはっきりしているより、これくらい曖昧で一見ダラシないねって言われるような人たちの方にこそリアルを感じるので、僕も合っているかなと思います。

―そしてここで、インスト曲『[wayhome]』を挟みます

MATTON: この曲は、ある時期にライブ前のSEで使っていた曲です。いい曲だったので挟みとして使ってみようと。それに、はっきりコンセプトを立てているわけではないですが、「A面B面という意味合いでのインタールド的な曲を入れたいね」という話をしていたのもあります。で、B面の始まりが『just like』というイメージです。

―その『just like』は結構好きです。セクションごとに雰囲気のある作りがいいですね

MATTON: これはbisshiらしい曲ですね。実はこの曲も、歌メロを聴いて歌詞をどうするか悩みました。日本語ばかりにするとはまらないかもと思ったので、この曲は若干英語っぽくなるよう音感にこだわっています。英語っぽいけどちゃんと日本語になっているというバランス感に、このアルバムの中で一番注意した曲ではありますね。

―聴いていて心地いい曲ですよね。そして『airplane』ですが、一旦ここで終わるのかなと

MATTON: そうですね。『Weight』と『Orange』は既にリリースされているので、それをアルバムにどう組み込むかを考えました。テンションも他の曲たちとちょっと違うので、何とか上手く並べられないかなと。ちょうど『airplane』という曲があったので、そうではないんですけど、ちょっと間を空けて始まるボーナストラック的な感じで『Weight』と『Orange』があるようにしました。ひとつの流れとして聴いても上手くはまっているのかなと思います。

―流れとして何の違和感もないです。その今作は『sequential souls』というタイトルですが、その意味を伺ってもいいですか?

MATTON: bisshiとAnanが同じ“sequence”という単語を持ってきたので、今までひと単語縛りでタイトルを付けてきたのもあり、“sequence”になるかなと思っていました。でも、Ananが「sequential ○○にしたい」と言って考えてきたのが“souls”で。2人的には、ループミュージックという意味での“sequence”と、NEW SOULやSOUL MUSICという部分を感じて“soulsという言葉を選んだと思うんですけど、僕は歌詞を書いているからかちょっと違って。“sequence”には、日常というか僕たちが繰り返している日々の営み、淡々としたものという感じがあって、その中に“souls”という魂というか人肌を感じられるような言葉がある。そのコントラストのある言葉が並ぶのは、自分たちの音楽らしいなと。平熱の中にエモーショナルなものが急に出てきたり、どこかしらにずっと潜んでいたりするのがPAELLASの音楽だと思っているので。今回タイトルを初めて後付けしたんですけど、ちゃんと自分たちの音楽や作品を表すタイトルになったと思います。

―すごくPAELLASらしいタイトルだと思います。そして、その熱を体感できるツアーが6月15日から始まります。どのようなツアーにしたいですか?

MATTON: ワンマンツアーは2回目ですが、自分たちの音楽スタイルにはワンマンのような長いセットリストが向いていると思います。ひとつのストーリーを作りやすいので。今回のフルアルバムで11曲増えたことによって、ガラッと新しいセットリストになるだろうし、より日本語で語られる世界を作れるので、自分たちの今のベストのストーリーを聴かせられると思います。

―日本語詞が増えたPAELLASの世界観は楽しみですね。そのツアーも楽しみですが、まずはアルバムを楽しみにしているファンへ向けてメッセージをお願いします

MATTON: 僕自身もそうですけど、今はあまりアルバム単位で聴くことって少ないと思います。曲単位で聴くことが多い中、僕たちの作品はしっかり流れのある作品に仕上がったので、もし聴いていただけるのなら1曲目から曲順通りに聴いてほしいです。もしかしたら、深みにはまってもらえるんじゃないかと思っています。この2年間いろいろ試行錯誤してきたことで、今回一番自分たちらしいというか自分たちの魅力が伝わる作品ができました。僕個人としては今までの中で断トツでいい作品だと思っているので、聴いてもらえたらうれしいです。

PAELLAS『Horizon』 Music Video

■リリース情報

『sequential souls』
Full Album
2019.6.5 発売
2,800円(+tax)

■LIVE情報
PAELLAS “sequential souls RELEASE TOUR”
6月15日(土) 北海道 札幌SPiCE
6月16日(日) 宮城 仙台MACANA
6月28日(金) 石川 金沢AZ
6月29日(日) 愛知 名古屋JAMMIN'
6月30日(日) 大阪 Music Club JANUS
7月06日(土) 東京 LIQUIDROOM ebisu
7月12日(金) 福岡 INSA

■オフィシャルHP
http://paellasband.com

■プロフィール
MATTON(Vo)、bisshi(Ba)を中心に大阪で結成。2014年、東京に拠点を移し本格始動。様々な年代やジャンルの要素を独自のセンスで解釈し、都市の日常、心象風景にフィットするサウンドを生み出す。

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