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INTERVIEW 旬のアーティストインタビュー

2016.12.6

Qaijffが『snow traveler』で切り拓いた新境地とは

「『snow traveler』には、男の内田が歌う私のために書いた女性目線のラブソングという面白さがあると思う(森彩乃)」

まさに三者三様。12月7日にリリースされる1st EP『snow traveler』に収録されている3曲にぴったりの言葉ではないだろうか。そこから感じるのはQaijffの新境地。新しいことへ挑戦から生まれたというこの作品について、Qaijffのメンバー全員にインタビュー!

取材・文 坪井

ー12月7日リリースの1st EP『snow traveler』には、三者三様の曲が収録されており、様々なQaijffが見られる作品になっているなと思いました。冬を感じさせるサウンドに、切ない失恋の詞がマッチするリード曲『snow traveler』は、内田くんの作詞作曲なんですね

内田旭彦(Ba/Cho/Prog): ずっとストーリーのある歌詞を書きたいというのはあったんですが、Qaijffはそこじゃないなと思っていて。でも、前作の『Life is Wonderful』で、今までやれなかったことが出来たので、これまで思っていた制限を超えられるなという自信がつきました。今回は冬のリリースなので、女性を主人公にしたストーリーのある失恋ソングにトライしたというわけです。

ー男性である内田くんが女性を主人公にした失恋の歌詞を書いていますが、微妙な心情の表現など難しくなかったですか?

内田: すごく難しかったですね。女性の気持ちを書くのなら、女性の森(彩乃)が書けばいいと思っていたので。今回は男である僕が書く女性の曲という点を大事にしたかったのもあって、女性が聴いた時に離れ過ぎず、リンクし過ぎないようにしたかった。でも、途中からそのさじ加減が分からなくなって、最終的にはレコーディング前夜に徹夜して完成しました(笑)。

ー悩みに悩んだ上で完成した歌詞なんですね。その詞を歌で表現する森さんは、内田くんの詞を読んでどう感じました?

森彩乃(Vo/Pf): Qaijffの前、私がシンガーソングライターだった頃は恋愛の曲が多かったんですが、Qaijffになった時、イメージをガラリと変えたい、女性シンガーソングライターが歌うような曲をこのバンドではやりたくないと思ったんです。それがあったから、『snow traveler』のような曲を無意識に作らなかったのかなと。だから、内田がこの曲を持って来た時、最初は「これを私が歌うんだ…大丈夫かな」と思ったんですが、歌ってみたらこの機会に内田が書いてくれて良かったなと思いました。男の僕が書くからこその表現と内田が言っていましたが、確かに私からこの表現は出てこない。この曲は、男の内田が、歌う私のために書いた女性目線のラブソングという面白さがあると思うんです。それが聴いてくれる人に伝わればいいなと思いますね。

内田: 少なからず今までこういう失恋ソングは、Qaijffっぽくないと思っていたのも事実。でも、上手く違う角度から詞を書けたら、それは新しいQaijffっぽさになるんじゃないかという思いもあったので、過去最高に大変でしたけどトライして良かったと思います。

ーその詞に入る前、イントロのピアノから既に切ない感じが伝わります。印象に残る音だなと

森: イントロは簡単なフレーズなんですが、切ない冬っぽさが出せたなと自分では思っています。

内田: イントロも悩みましたが、サビの転調でもめちゃくちゃ悩みました。ナチュラルなリスナーの感覚では転調しない方が聴きやすいと思うんですが、「はっ」とさせたい気持ちもあって。どっちを取るかでかなり悩んだ結果、1音転調させています。その部分も、1音なのか半音なのか1.5にするべきか、それとも転調しないかと悩みました。

ー悩んだ分、新しいQaijffを感じる曲に仕上がったのかなと思います。三輪くんはこの詞曲を聴いた時にどう思いました?

三輪幸宏(Dr): 強がる女々しい女性の主人公は、お客さんが見ている森のイメージとすごくマッチしているんじゃないかなと思いました。だから具体的な歌詞の内容も良かったと思います。

内田: ドラムで言うと、サビのリズムは四つ打ちになっています。イントロの部分を引っ張ってくるという案もあったんですが、幸宏と話し合ってシンプルな方向に着地しました。僕らの中では演奏面はシンプルな方かなと思いますね。

森: でも『snow traveler』は、冬を演出するためにいろいろな音色が重なっています。今回サポートギターで竹内(ex. Bob is Sick)くんに、目立つ感じではないんですが、所々いい音色のアコギを入れてもらいました。アコギの温かさがいいんですよ。

内田: 聴いている人はそれをキャッチしないかもしれないですが、その音がなくなったら気付くという隠し味ですね。

ーアコギの温かみってこの季節にぴったりですよね。そして、2曲目の『universe』は、7月のワンマンライブで披露した曲でもあります

森: そうなんですが、実はその当時からかなり変わっています。その時に曲は出来上がっていたんですが、もっと良くなるんじゃないかと内田が言い出して。練り直した結果、アレンジもサビのメロディも変わって今の曲になりました。

ー内田くんはどこが気になったんですか?

内田: 85%ぐらいの満足感はあったんですけど、残りの15%が何なのかずっと気になっていて。そこで一回壊してもう一回作り直しました。今では満足感120%です。

ー作り直して良かったですね。この曲でもトライしていることはあります?

内田: この曲では2サビの後の間奏で、幸宏がツインペダルを使っています。Qaijffでは初めての試みです。幸宏がそれを好きなことは知っていたんですが、バンドとして違うかなと思って今まで外していました。でも、この曲はそれがすんなり出てきて。新しい挑戦だったと思いますね。

ー好きなツインペダルでの演奏は気持ち良かったですか?

三輪: 気持ち良かったですね(笑)。「ユーモアが世界を変える」という歌詞の後に間奏が始まるんですが、歌詞のパス的にもやってやろうと。ユーモアを間奏で演出しようと思って叩きました(笑)。

森: 実はツインペダル部分の転調の仕方がめちゃくちゃすごいんだよね。聴いている人たちには分からないかもしれませんが、そこは言いたいポイントですね。

ーそこはじっくり聴いてみます。その森さんはこの曲にどんな印象を持っています?

森: この曲はすごくハッピーな曲だと思っています。みんなで楽しくなればいいじゃん!宇宙にいっちゃおうぜ!という感じの曲ですね。でも、その中に「君の憂鬱」という歌詞が入っている。これだけポップでハッピーな曲の中に、「憂鬱」という言葉が出てくる内田の歌詞が好きですね。

内田: 逆に言うと、今は手放しに明るい曲が作れないのかなと…。この曲は手放しでハッピーな曲にしようと思って作ったつもりなんですが、自然と「憂鬱」という言葉を入れちゃうんですよね。

ーその憂鬱さえも超える楽しさをこの曲から感じますが…

森: そうですね。いろいろ詰め込んだおもちゃ箱的な感じのイメージの曲だと思います。曲を聴いて楽しそうに感じていただけたのなら、思惑通りですね(笑)。

ー思惑にハマりましたね(笑)。そして最後の曲『good morning』は森さんの作詞作曲です

森: ここは私ではなく幸宏さんお願いします。この曲に関してどうですか?

三輪: ええっ!? じゃあ…。レコーディング後、改めて音源を聴いたタイミングで14年間飼っていた犬が死んだんです。それが『good morning』の歌詞とリンクしちゃって。犬の名前はマイロっていうんですけど、曲を聴いてマイロが俺の背中を押してくれる映像が浮かんで、すごく悲しくて泣きました。

森: 落ち込んだ時に、理屈や理由はどうでもよくて、言葉も説明もいらなくて、ただ一言「大丈夫だよ」と、大切な家族や身近な人から言ってもらえる威力はすごいと思うんです。未来へ向かってがんばろうという応援もあるけれど、そうじゃない背中の押され方もあるなと思って作りました。

内田: 僕はどの曲でも本当にこのままでもいいのか?と思うんですが、この曲は最初から在る姿で生まれて来たかのような感じです。余分なことを一切していない。ドラムの音数が少なく、レコーディング時の音量もすごい優しく弾いています。そのアプローチは初めてだったので、僕たちにとってすごく新しい曲ですね。

森: 今までもバラードはあったんですが、どうしても最終的にエモーショナルな感じになっちゃうんです(笑)。今回は絶対にそうしたくなかったので、歌もラストのサビも抑えて歌っています。歌に合わせて楽器も抑えたんですが、この曲でその良さに気付きました。

ー『good morning』のような曲をこれからも聴いてみたいですね。それにしても、Qaijffはリリースの度に新しい部分が見られ、印象もどんどん変わっていきます

森: まだ流通されていない頃に自主で作ったシングル『誰かになりたいわけじゃない』の3曲目に入っている『変わって』という曲や、音源化されていない『Change』という曲があるんですが、結成当初から変わりたい願望がすごくあったのかなと。それは悪い事じゃないと思うし、無理に変わろうとして変わっていくんじゃなくて、活動していく上でいろいろな人に出会っていろいろなものを吸収していくので、変わることは当たり前だと思う。変わっていくからこそ、「結局ここは変わらないよね」という部分が見えてくるのかなと。

内田: そうだね。ずっと同じことを突き詰めているバンドはカッコいいと思いますが、俺たちはまだまだ自分たちでやれることがあるなという思いの方があります。

ー今後どう変わっていくのか楽しみですね。そして、リリース後はインストアイベントやSPADE BOXでのワンマンライブもありますが、もちろんこの3曲は披露しますよね?

森:ワンマンライブはクリスマスイブイブイブですね。もちろん『snow traveler』に入っている3曲も披露しますよ。

内田: 年末ですがたくさんの人に来てほしいですね。

三輪: インストアで『universe』をどうやって演奏するんだろう?

内田: インストアでツインペダルやるの?

三輪: ムリでしょ(笑)。

ー(笑)。インストアでは、音源とは雰囲気の違う『universe』が聴けそうですね。では最後に、曲を聴いてくれるファンへ向けてメッセージをお願いします

三輪: 素敵な3曲が集まりました。冬にぜひ聴いてほしいリード曲もあり、それぞれの魅力が詰まった3曲入りE.P.になっていますので、みなさんに買っていただけるとうれしいです。

森: 聴いてもらえれば「いいな」って思ってもらえる自信があります(笑)。まだまだQaijffのことを知らない人がたくさんいると思うので、このインタビューや何かのきっかけで、少しでも多くの人に聴いてもらえたらなと思います。

内田: 今回チャレンジして気付いたのは、変わりたくても変わらないものがあったということです。全く意識していないのに、『snow traveler』は最終的に僕らのサウンドっぽくなっていますし。だからこそ、そこにQaijffっぽさがある。これからもどんどん新しいチャレンジをしていきますが、その変われないところを好きになってくれたらうれしいなと思います。

Qaijff「snow traveler」MV

■リリース情報

『snow traveler』
1st EP
2016.12.7発売
926円(+tax)

■LIVE情報
Qaijff one-man live「for the future xx」

12月22日(木) 名古屋 SPADE BOX

■オフィシャルHP
http://www.qaijff.com/

■プロフィール
華麗なるピアノボーカル森彩乃擁するプログレッシブピアノポップバンド、Qaijff“クアイフ”。2012年3月、音大クラシックピアノ科出身で数々のピアノコンクール受賞歴のある森彩乃を中心に、内田旭彦(Ba/Cho/Prog.)、三輪幸宏(Dr)の3人で結成。2014年3月に1stフルアルバム『クアイフ』、2015年6月に1stミニアルバム『organism』をリリースし、それぞれオリコンインディーズウィークリーチャート上位にランクインさせ注目を集める。その後、『organism』が第8回CDショップ大賞の東海ブロック賞を受賞。2016年4月13日には初のタイアップ曲2曲を含む2ndミニアルバム『Life is Wonderful』をリリースし、東名ワンマンをソールドアウト。確実にその輪を広げる中、12月7日に1st EP『snow travler』をリリース。

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