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INTERVIEW 旬のアーティストインタビュー

2017.8.24

佐々木亮介がソロ作品『LEO』で壊した固定概念

「たぶん、日本で録ってもこの音にはならないと思います(佐々木)」

a flood of circleのボーカル&ギターであり、現代のブルースマンである佐々木亮介が、8月2日にソロ作品『LEO』をリリースした。ブルースの聖地メンフィスへ足を運び、現地の豪華なメンバーとともに作り上げた名作だ。その今作の制作秘話からメンフィスでの出来事まで、佐々木亮介に話を訊いた。

取材・文 坪井

ー8月2日にリリースされたミニアルバム『LEO』ですが、今回ブルースの聖地
メンフィスの名門「ロイヤルスタジオ」で作られたと聞きました

佐々木亮介:そうなんですよ。今年の1月にa flood of circleでリリースしたアルバム『NEW TRIBE』は昨年ロンドンへ行って録ったのですが、それで海外にチャレンジする面白さを覚えちゃって(笑)。リリースからツアーの始まる3月までちょっと時間があったので、メンフィスのロイヤルスタジオにスタジオを見学出来るか連絡してみたんです。そうしたら、スタジオが3日間空いているからレコーディングもできると言われて、じゃあやっちゃおうかなと。しかも、2016年にMark Ronson ft. Bruno Mrasの『UpTown Funk!』でグラミー賞を受賞した、プロデューサー兼エンジニアでロイヤルスタジオの二代目でもあるLawrence“Boo”Mitchellに、「ソウルミュージシャンを紹介してほしい」と伝えたら、豪華なメンバーも揃えてくれたんです。

ーすごいですね。ちなみにそんな豪華なメンバーと3日間でレコーディングされたんですか?

佐々木:3日間で録って1日でミックスしました。

ーその短い間でレコーディングされた曲は、いつどこで作られていたんですか?

佐々木:メンフィスへ行く直前ぐらいに曲を書いてデモを録っておいて、スタジオに持っていきました。スタジオでメンバーに「こんな感じの曲だけど、どう?」って聴かせて、メンバーが「いいね」と言った中からさらに抜粋して作っていきました。

ーメンフィスを意識したブルースやソウル色の強い楽曲を作られたんですか?

佐々木:メンフィススタイルのサウンドはソウルやブルースというのがはっきりあったので、そこに飲み込まれちゃダメだなと。ソウルやブルースが好きであるが故に、そのモノマネをしてもしょうがないと思って、デモの段階からコード進行も普通のソウルにはないものを作っていました。サウンドの雰囲気や細かいところはメンフィスのスタイルを取り入れたので、たぶんアメリカ人だけではできないと思うし、日本で録ってもこの音にはならないと思います。誰にもできない雰囲気の曲が作れた気がしました。

ーメンフィスだからこそ作れた曲になっているんですね。先ほど時間が空いたからメンフィスへ行こうと思ったとおっしゃっていましたけど、そもそもソロでのリリースは考えられていたんですか?

佐々木:ぶっちゃけ、それはなかったですね。8年ぐらい毎月のように弾き語りライブはやっていたので、一人で何かをすることには慣れていました。でも、録音する事までは考えていなかったです。今回、a flood of circleの10周年でベスト盤をリリースして、3年ぶりのフルアルバムもリリース出来て、長いツアーも終えたので、ひとつの区切りだなと感じて何か新しいことをしたいなと。そもそもメンフィスへ行くこと自体が新しいことですけど、素晴らしいミュージシャンたちと出会え、さらに録音までできるとは思っていなかったので本当に運が良かったです。

ー確かに今回すごくラッキーが重なったような気がします。佐々木さんは運を引き寄せる何かを持っているのかもしれないですね

佐々木:俺それに自信があるんですよね(笑)。メンバーが辞めても、その後必ずいい出会いがあったので、例えトラブルがあっても音楽に関しては絶対にどうにかなるだろうという変な自信があるんですよ(笑)。だから、飛び込んでしまえば絶対に面白いことが起こるだろうと。

ーそういう思い切りの良さって大事ですよね。ちなみに、メンフィスにいたのはレコーディングとミックスの4日間だけだったんですか?

佐々木:実際は1週間ぐらいいました。レコーディングをしていない時は、メンフィスのビール・ストリートにある『Hard Rock Cafe』のメンフィス店でブルースのセッションに参加したり、メンフィスの南部にあるクラークスデールというもっとブルース色の濃い街へ行って、そこのジューク・ジョイント(安酒場)でセッションさせてもらうなどの武者修行的なことをしていました。

ーその武者修行的な事で得られたものがたくさんありそうですね

佐々木:一番大事なのはトライすることですね。あと、自信を持ってやれば受け入れてくれるなと思いました。すごくギターの上手い人がいたんですけど、自分には声もあるので、参加して声を出せば負けないとアメリカで感じられたし、自信を持っていた部分が通用したのはうれしかったですね。だから、レコーディングも自分らしくやろうと思ったし、だからと言ってせっかくメンフィスに飛び込んだんだから、自分の流儀だけじゃなくてみんなの意見をたくさん聞き、それを吸収して日本に帰ってこようと思いました。

ーそのレコーディングのお話を伺いたいんですが、デモを豪華なメンバーに聴かせた時のリアクションはいかがでした?

佐々木:『Hustle』はドラムのCody Dickinsonと一緒に聴いたんですけど、彼の口癖が「I got you!」で、デモのビートが始まった途端に「I got you!」と言って叩き始めたんです(笑)。そういうノリノリの感じはうれしかったし、自分が用意していたデモにはソウルっぽい要素やブルースっぽい要素を入れていたんですけど、さらに去年からハマっていたラップとa flood of circleでずっとやってきた日本のロックを混ぜたものを、アレンジレベルで入れておいたんですよ。それをみんなが何となく、こいつはブラックミュージックが好きだけど、ただこれをやりに来たんじゃなくて、何か新しいことをやろうとしているなと感じ取ってくれたので、演奏がノリノリだったと思うんですよね。鍵盤のCharles Hodgesなんて「これ面白いコード進行だね」と言ってくれて、気づいたら肘で弾いていたんですよ。これを引き出せたのはマジでうれしかったですね。向こうもプロだから、自分が一生懸命作ってきたものに対してすごく一生懸命にやってくれたので本当に光栄に思いました。その時間は、同じミュージシャンとしてイーブンでいようとしていたんですけど、出来上がってから改めてすごい人たちと仕事したなと思いました。

ー今作での佐々木さんの声の出し方は、a food of circleではあまり聴かない裏声を使われています。あえて意識されたんですか?

佐々木:あまり意識していなかったんですけど、Booが歌録りする時にここでこういう風に歌った方が効果的だよというアドバイスをくれて、a food of circleではあまり使っていないファルセット(裏声)を結構使っています。今回トライした事でいろいろと発見もありましたね。

ーメンフィスでいろいろ挑戦もされたんですね

佐々木:めちゃくちゃ挑戦してこようと思いましたし、いろんな音楽を聴いてあれもこれもやってみたい気持ちを我慢しなくて良かったなと思いました。この作品を作ったことで、固定概念をちゃんと壊せそうな気がしてバンドにいい影響を与えそうだなと思いますね。

ーバンドに影響を与えるかどうかはわかりませんが、最後の曲『無題』は今作の中で異質に感じます

佐々木:これだけ弾き語りですしね。同じスタジオで録ってはいるんですけど、Booがミックスしている間に時間があったし、歌詞も書けたので一応弾き語りで録っておこうかなと思って、iPhoneとレコーダーだけ置いて録っておいたんです。でも、5曲で完成しているなと思ったし、『Blanket Song』も弾き語りで録る予定だったのを、メンバーがノリノリすぎてこの曲もやろうよと録ったので、1曲だけ弾き語りを入れるのはどうかと迷ったんですよね。他の5曲はリズムやラップでいうフロウを重視していたんですけど、弾き語りに関しては真逆で、言葉にフォーカスしています。そのスタイルでこれだけ濃いことが書けたのはメンフィスに来たからだなと思ったし、一回外に出て日本のことを考えながら書いたので、かなり荒い録音ですけど別の流れの異質な存在として入れることにしました。

ーそのタイトルですが、『無題』にされたのはどうしてですか?

佐々木:歌詞だけがあって、録り終わった時にタイトルをつけるのは無理やりな感じがするなと思って『無題』にしました。タイトルをつけなくても十分に歌詞が具体的だから、タイトルを補足みたいにつけなくてもいいかなと。

ーそういうことだったんですね。そして、9月19日(火)から今作のツアーが始まります。初日の仙台のみ弾き語りで、21日(木)の名古屋からはバンド編成なんですね

佐々木:メンフィスメンバーは呼べないので、日本人のカッコいいバンドにしようと思って、ベースはウエノコウジさん、ドラムは若手がいいと思ったのでSANABAGUN.の澤村一平くんを誘って、キーボードはGRAPEVINEのサポートをしている高野勲さん、そしてギターがKIRINJIの弓木英梨乃さんという女性にお願いしました。みんなそれぞれプレイヤーとしてめちゃくちゃ上手い人たちなので、この録音の感じとはまた違うカッコいい音になりそうな気がして楽しみです。

ー楽しみにしています。では最後にファンへ向けてメッセージをお願いします

佐々木:ツアーに関しては、普段絶対にa flood of circleではやらないカバーも聴かせようと思っています。あと、もっとメンフィスの面白さを伝えたい欲も出てきたので、メンフィスに絡んだ曲もやりたいと思いますし、弾き語りももちろん挟みたいと思っています。佐々木亮介として11年間培ってきたものを全部見せたいと思っているので、ぜひ遊びに来てほしいですね。

ーありがとうございます。今からライブが待ち遠しいですね

佐々木:最後に一つだけいいですか?

ーはい。どうぞ

佐々木:佐々木亮介がソロに突っ走ってしまうんじゃないかと思っている人に向けて言いたいんですが、あくまでa flood of circleをバシッとやるので、心配しないでください。俺の活動もバンドも注目してくれたらうれしいです。

佐々木亮介 『Strange Dancer』 Official Music Video

■リリース情報

『LEO』
1st Mini Album
2017.8.2 発売
初回限定盤(CD+DVD) 2,600円(tax in)
通常盤(CD) 1,800円(tax in)

■LIVE情報
Juke Joint Tour “Hello, My Name Is LEO”
09月19日(火) 宮城 仙台STARDUST ※弾き語り
09月21日(木) 愛知 名古屋TOKUZO ※バンド編成
09月26日(火) 大阪 Music Club JANUS ※バンド編成
10月02日(月) 東京 渋谷WWW X ※バンド編成

■オフィシャルWEB
http://www.afloodofcircle.com

■プロフィール
a flood of circleのボーカル&ギタリスト。ブルースやロックンロールに深い造詣を持ち、圧倒的な歌唱力と表現力で今の時代の新しいロックンロールを提唱し続けている。

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