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ライター ツボイ

2018.5.10

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SOIL&"PIMP"SESSIONS ニューアルバム『DAPPER』インタビュー

「裏切っちゃいました?それは申し訳ございません(笑)」

昨年のRADWIMPS野田洋次郎を迎えたシングル『ユメマカセ』が記憶に新しいSOIL&"PIMP"SESSIONSが、5月9日にニューアルバム『DAPPER』をリリースした。先の野田洋次郎をはじめ、三浦大知、EGO-WRAPPIN'など豪華なアーティストを迎えた楽曲が収録されている今作は、“Death Jazz”という彼らの代名詞的な激しいジャズとは真逆にあるような、メロウでアダルトな雰囲気に仕上がっている。彼らの印象がガラッと変わるその最新作について、社長(Agitator)に話を訊いた。

―5月9日にリリースされるニューアルバム『DAPPER』を聴かせていただきました。率直な感想、裏切られました(笑)

社長(Agitator): 裏切っちゃいました?それは申し訳ございません(笑)。

―これまでのSOIL&"PIMP"SESSIONSのイメージを覆す、メロウで大人っぽい雰囲気の作品になっていると感じたのですが、今回はそういったテーマがあったのでしょうか?

社長: 曲作りを始めた頃は特にテーマを決めていませんでした。メンバーが脱退して残りの5人でどういう音を作ってくかと模索していた充電期間があったんですけど、その時にいろんな音を試して今作の曲の骨格を作りました。充電期間明けにアルバム発表を予定していたのですが、ありがたいことにドラマのサントラの話をいただいたので、一回アルバムを置いてサントラを先に作ったという流れですね。

―そのドラマの主題歌『ユメマカセ』でRADWIMPSの野田洋次郎さんを迎えられていますが、どのような流れで実現したんですか?

社長: ドラマの劇中歌の制作を大根監督からオファーいただいて、さらに主題歌もという話になった時にデモの中から提案したのが『ユメマカセ』でした。その曲を聴いた大根監督から「野田くんはどう?」と引き合わせていただいて実現しました。

―大根監督がきっかけだったんですね。今作には他にも豪華なアーティストが参加されています。人選はどのようにされたんですか?

社長: 曲が出来てから、「この曲にはこの人が合うんじゃないか」というパターンと、最初から「この人と一緒にやりたい」と、その人をイメージして書いたパターンの2つあります。

―ちなみに、アーティストをイメージされて書いた曲を教えていただけます?

社長: (三浦)大知くんとの曲『comrade feat. 三浦大知』はそうですね。「大知くんとやりたい!」となってから曲を書き始めました。

―ダンサブルな三浦大知さんのイメージとは違う大人っぽい雰囲気の曲だと思ったのですが、どのようなイメージで曲を作られたのですか?

社長: 実は今回のコラボレーションは3年掛かりで実現したんです。大知くんのアルバムにSOIL&"PIMP"SESSIONSとして参加させてもらったのが最初で、その時はアップテンポなダンスチューンでした。その後、テレビ番組で大知くんの曲を生演奏したので、次はソイルの方で歌ってほしいとオファーしたんです。その時、本人とスタッフを交えて話をしたらアダルトな三浦大知を見せるのがいいんじゃないかと。いつもの三浦大知とは一味違った、声も少し低めでメロウな雰囲気の曲にしようというミーティングを経てこの曲を書きました。

―確かにメロウでアダルトな雰囲気で三浦大知さんの違う側面が見られる曲だと思います。側面で言うと、yahyelのShun IkegaiさんとKodamaのKiala Ogawaさんを迎えられた曲『Glitch』は今までのSOIL&"PIMP"SESSIONSからは想像できなかった曲だなと。正直、yahyelの曲だと思いました

社長: そうですよね。ソイルじゃないですよねこの曲。トランペットも一応入ってるんだけど、本当に何音しか入っていないから(笑)。

―この曲はどのように出来上がっていったのでしょうか?

社長: 取っ掛かりのテーマは、“サビにだけベースが入る曲”でした。シンセでそのデモが出来た時に、以前からyahyelのIkegaiくんが一緒にやりたいと言ってくれていたので、この曲ならハマるかもと思ってオファーしました。それから、彼とやりとりしながら出来たメロディをフランスのKialaちゃんに投げるという、データでのやりとりで曲を仕上げていったので、今までのソイルとは作り方が違う曲です。

―工程数が多いですね

社長: そうなんです。僕が打ち込んだトラックのベースとドラムをソイルのスタジオで差し替えて、それを元に僕がエディットしてIkegaiくんと一緒にスタジオに入って仮歌を録って、それをフランスに投げて歌を入れてもらって返してもらう。それを僕がエディットして、またソイルのスタジオに持って帰ってトランペットやピアノを入れて、そこから僕がエディットしてIkegaiくんの歌を入れて完成するという...ここまではないですね(笑)。

―エディットの数が多いですね(笑)

社長: ここまで僕が家に帰ってエディットすることは、これまでなかったです(笑)。それもあって、個人的にこの曲がアルバムの中でも1、2を争うぐらい気に入っています。

―僕も好きです。SOIL&"PIMP"SESSIONSとyahyelは違うジャンルのイメージがありますので、その2アーティストのコラボレーション曲は純粋にカッコいいなと思いました

社長: 全然違うところにいるように見えます?意外と近い関係性なんですよ。彼らが最初にEPを出したレーベルはHot Buttered Recordなんですけど、日本のアシッドジャズシーンの黎明期、ジャズの発展に一番寄与したU.F.Oというグループの兄貴分のJazz Brothersというバンドのメンバーの1人がやっているレーベルなんです。我々にとって一番のアイドルがU.F.Oなので、勝手にファミリーの一員みたいに思っていてデビュー当時からすごく仲良くしているんですよ。

―そうだったんですね。Kodamaもですか?

社長: Kodamaはフランスのバンドなんですけど、日本での最初の一枚は同じレーベルから出しているので、レーベルメイトですよね。

―なるほど。実は近い存在だったんですね。近さで言うなら、EGO-WRAPPIN'とはいつ一緒にやるんだろうと勝手に思っていたところもあったので、今回ようやくという感じです

社長: そう思われていた方、結構いると思います(笑)。よっちゃん(中納良恵)の声は、耳から離れないぐらい聴いてきたし、デビュー前から付き合いもあり憧れのバンドでもありましたので、いつか一緒にやりたいと思っていました。今回やっとです。

―その曲『drifter』の中納良恵さんの歌声は浮遊感があって眠りに誘われます

社長: 間違いない(笑)。以前よっちゃんと友達と鍋パーティーをしたことがあって、そこに来ていた友達の子どもに、よっちゃんが添い寝しながら子守唄を歌っていたんですよ。それが今まで聴いたよっちゃんの声の中で一番好き(笑)。その声のイメージでこの曲を仕上げたところもあるんですよね。

―そうだったんすね。でも、曲に関してはちょっと意外だなとも思いました

社長: ソイルとEGO WRAPPIN'が一緒にやるというと、きっと皆さんアッパーな曲をイメージされると思うんですが、今はちょうどメロウなモードだったんですよね(笑)。たまたま森(雅樹)くんと一緒に飲む機会があって、その時に曲を聴いてもらうためCDRに焼いて持っていったんですよ。そのCDRの盤面に“ソイル×エゴ メロウ”とだけ書いたんですが、「メロウなの?」って森くんが“メロウ”に反応して話がトントンと進んだんです。だから、我々はそういうモードで正解だったんだなと思います。

―間違いないです。今回のアルバムは最初の曲からメロウで、聴いた瞬間に「おやっ?」と思いました(笑)

社長: そう思わせるための1曲目ですから(笑)。

―そうだったんですね。そのインスト曲のサウンドもいろんな音を試されているなと思いました。インスト曲の中では『DUSK』が好きです。聴いているとなぜか無心になれるんですよ

社長: 『Dusk』は丈青が書いた曲です。丈青は活動再開後に手を怪我して、しかも思ったよりも酷かったので今作は僕の曲が主導で進みました。怪我から明けた丈青が、僕の書いた曲を聴いて僕のやりたいことを汲み取って、『Dusk』と『Method』の2曲を書いてくれて。クラブミュージック育ちの僕の曲の中に、彼がジャズのテイストをちゃんと落とし込んでくれたこの2曲は、アルバムのキーになっている気がしますね。

―そして、6月8日(金)の札幌からツアーも始まります。ゲストを期待してしまいますが…

社長: 来ないですよ(笑)。確か名古屋の日の前日に、三浦大知くんのライブが名古屋であるんですよね。「大知くんなら来るはず!」というざわつきをSNSで見たんですが…来ないですよ(笑)。

―でも、ちょっと期待しています(笑)。今回のツアーは今までと雰囲気が変わりそうですね

社長: 変わります。そして、すごく不安です(笑)。ライブでも新しいチャレンジが多くて、今まで通りの生演奏というソイルのライブパートと、今作の楽曲たちには必須の打ち込みとの融合が上手くいくか。でも、このスタイルのライブが自分たちの技として身に付けば、ライブバンドとしてさらに高いステージへ行けると思っているので、今すごく準備をしています(笑)。

―すごく楽しみにしています。最後に今作のタイトル『DAPPER』に込めた思いを教えていただけますか?

社長: 90年代のニューヨーク、マンハッタンのハーレムに『Dapper Dan』というカスタムテーラーがあって、そこはハイブランドのグラム生地でセットアップのジャージを作って背中に違うブランドのロゴを入れるみたいな、いわゆるブートレグ(海賊版)を作っていたんです。現在のヒップホップアーティストに多大な影響を与えたEric B. & Rakimが、当時それを着てジャケ写やアー写を撮っていて、僕らのルーツでもあるそのカルチャーやエッセンスと、現代に使われている小綺麗な感じと相反する要素がこのアルバムにフィットしているなと。さらに、“DAPPER”という言葉には、「小洒落た・小粋な・身綺麗な」という意味があって、バンド名の"PIMP"には「小綺麗な・伊達男みたいな・煌びやかな」という意味があるので、その言い換えでもあると解釈すると“DAPPER”は象徴的な言葉になると思ったので、タイトルを『DAPPER』にしました。

SOIL&"PIMP"SESSIONS 『comrade feat. 三浦大知』 Music Video YouTube Ver.

■リリース情報

『DAPPER』
Album
2018.5.9 発売
初回限定盤(CD+DVD) 3,600円(+tax)
通常盤(CD) 2,900円(+tax)

■LIVE情報
TOUR 2018 “DAPPER”
6月08日(金) 北海道 札幌cube garden
6月15日(金) 福岡 イムズホール
6月16日(土) 岡山 YEBISU YA PRO
6月17日(日) 広島 広島CLUB QUATTRO
6月21日(木) 宮城 仙台darwin
6月23日(土) 静岡 LiveHouse 浜松 窓枠
6月28日(木) 愛知 名古屋BOTTOM LINE
7月08日(日) 大阪 味園ユニバース
8月01日(水) 東京 中野サンプラザホール

■オフィシャルWEB
http://www.jvcmusic.co.jp/soilpimp/

■プロフィール
2001年、東京のクラブイベントで知り合ったミュージシャンが集まり結成。ライブを中心とした活動を身上とし、確かな演奏力とクールな雰囲気を漂わせながらも、ラフでエンターテインメント、バースト寸前の爆音ジャズを展開。2005年には英BBC RADIO主催のWORLDWIDE AWARDS 2005で「John Peel Play More Jazz Award」を受賞。以降、海外での作品リリースや世界最大級のフェスディバルであるグラントベリー、モントルージャズフェスティバル、ノースジャズフェスティバルなど、数々のビッグフェスに出演。これまでに29カ国で公演を行うなど、ワールドワイドに活動を続けている。

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