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ライター ツボイ

2016.7.27

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未来を見据えた第一手

「スタジアムで全員が歌う光景を見たいと思ったから『MINT』を作りました」

昨年7月にリリースされた1stフルアルバム『THE BAY』が大きな話題を呼んだSuchmos。今年1月には2nd E.P.『LOVE&VICE』をリリースし、現在もロングヒット中と地位を固めつつある。そんな中、7月6日に3rd E.P.『MINT CONDITION』をリリース。彼らの背景にあるストリートと仲間への思い。それをストレートに表現した今作について、ボーカルのYONCEに話を聞いた。

―まずは、昨日(7月6日名古屋CLUB QUATTROでのシークレットギグ)お疲れさまでした

YONCE(Vo): ありがとうございます。会場のすごい熱気にエキサイトしちゃって、びっしょびしょに汗をかいてしまいました(笑)。

―昨日見て思ったんですが、楽器を持たずに歌うボーカルを久しぶりに見た気がします

YONCE: そうなんですね。パフォーマンスがちゃんとできるので、ピンボーカルへのこだわりはあります。

―ライブ中、会場の隅から隅まで軽くうなずきながら見てませんでした?

YONCE: ライブに来てくれた人の顔をじっくり見ることは、最近よくやっています。去年D'Angelo(ディアンジェロ)のライブへ行った時、絶対に彼と目が合ったんですが、みんなも目が合っていたんです。本当にラブ&ピースを心に持っている人だなと実感して、その側面をライブでちゃんと出せる人間になろうと思い、意識するようになりました。

―そうだったんですね。そのライブで披露されていた『MINT』が収録されている3rd E.P.『MINT CONDITION』が7月6日にリリースされました。その話をうかがう前に、Suchmosがどのようにして始まったのかをお聞きしてもいいですか?

YONCE: 横浜に住んでいたギターのTAIKINGとベースのHSU、ドラムスのOK、その弟のDJ KCEEの4人が幼馴染みで、俺はちょっと離れた茅ヶ崎出身なんですが、高校生の頃に彼らと仲良くなりました。それから鍵盤のTAIHEIが富山から上京してきて、6人で銭湯へ行ったり古着屋へ行ったり、毎日一緒にいました。夜になると、だいたいOKとKCEE兄弟の実家に集まってみんなでYouTubeやDVDでライブ映像を見ながら、自分たちが今ハマっている音楽の情報共有をしていました。そうしているうちに、カッコいいと思うものがどんどん一緒になってきて、音楽の会話がニュアンスで出来るようになったんです。当時、みんな何かしらの形で音楽に携わっていたのもあって、3年ぐらい前に俺たちウマも合うし、やりたい音楽が何となく見えてきたから、6人でバンドやろうかとなったのが始まりですね。

―いつも一緒にいた仲間たちと自然にバンドというかたちになったんですね

YONCE: そうですね。初めは遊び仲間でしたが、その延長線上でバンドという形になっていきました。

―当時のみなさんはどのような音楽を聴かれていたんですか?

YONCE: 彼らからネオソウルを教えてもらって、俺は大好きなNirvana(ニルヴァーナ)やDavid Bowie(デヴィッドボウイ)などのロックを彼らにすすめました。そういったことを6人でしているうちに、全部好きになってやりたい音楽がいっぱい出てきた感じです。

―それがSuchmosの楽曲になっていくんですね

YONCE: そうです。俺らはブラックミュージックが下敷きにあるって言われることが多いんですが、曲によってはゴリゴリなミクスチャーロックもあるので、一概に言い切れないと思います。楽曲は6人全員の好みが反映されていると思いますね。

―カッコ良ければOKみたいな

YONCE: 本当にそうなんですよ。その時やりたいと思った曲に対して、素直に忠実に作ることが俺らにとって自然のことなんです。

―これは個人的に思ったことなんですが、みなさんの楽曲からストリートの雰囲気を感じるんですよ

YONCE: うれしいですね。自分たちのことを客観的に見ると、サンプリング以降の世代だなと最近強く思います。過去のカッコいい音楽を分け隔てなく自分たちの音楽にチョップして取り込んでいる。DJのサンプリングも、「それっ!?」みたいなことを結構やるんですよ(笑)。作っている曲の雰囲気と全く違うところからサンプリングのネタを引っ張ってくることもします。そのあたりを自由に作れているのが、俺らのいいところだと思いますね。

―スタイルも含めストリートですね。そして、7月6日リリースの3rd E.P.『MINT CONDITION』についてお聞きします。『MINT』はガムでよく聞く言葉で、爽やかだけどちょっと苦いイメージ。曲はどのようにして生まれたんですか?

YONCE: この曲は、去年の9月に俺とDJ KCEEの2人で新潟へ車の合宿免許に行っていた時に出来ました。KCEEがギターをジャカジャカ弾いて、俺が何となく隣でハミングして出てきたメロディが良かったんです。このメロディは絶対いいから早くバンドでやろうとなって、仮タイトルを何かミントって感じがするなというニュアンスだけでつけました(笑)。その合宿中に筆が進んで歌詞をマジマジ読んだら、「これミントって感じだな」って(笑)。特に具体的な理由はないんですが、この曲が醸す雰囲気や歌詞の言っていることが、俺らにとって要約するとミントという言葉がしっくりくるなと思い、そのままタイトルにしたんです。

―タイトルが先だったんですね。歌詞は仲間とつるんで夜の街を徘徊しているなど、若者のゆるい日常を感じさせます。これはYONCEさんの経験でもあります?

YONCE: そうですね。半分は実体験です。6人でちょっとコンビニ行こうぜみたいな雰囲気ですね。でも、それって俺たちだけじゃない。全員に共感してもらうための歌詞ではないけれど、誰かしらの人生にこの曲が当てはまったらいいなと思っています。
また、ずっと俺たちは新人だから、ライブやフェスで他のミュージシャンやお客さんに対して、チャンレンジャーの気持ちで臨んでいました。でも、去年の夏に自分たちのアルバムのリリースパーティーを開催した時、初めてのホーム戦に面くらっちゃって。終わった後にもったいないことをしたと思ったんです。エールを素直に受け取れるようにならなければと。ライブハウスに足を運んでくれる人たちも兄弟と呼べるようになりたいという思いも、この歌詞には込められています。

―深いですね。歌詞は言葉、特に英語とリズムのハマり具合が自然でノリやすい曲だなと思いました

YONCE: 桑田圭祐さんやMr.Childrenの桜井さんはすごいと思っていて、参考にしています。その部分で、面白さや聴いてとっかかりのあるものは意識しています。サビも上手く韻を踏んでいるので面白い歌詞になったかなと思います。

―そして2曲目『DUMBO』は昨日のライブでも披露されていましたが、分厚いサウンドでロックですね

YONCE: ライブでは結構前から披露していた曲で、ゴリゴリなロックで演奏していました。その曲をレコーディングすることになった時、みんなで話合いをしたんですが、ライブの感じで録ってもいいけど、それでは面白くないということになり、先にライブで聴いている人を裏切り、音源を聴いてライブへ来た人も裏切る違った質感の曲にしようと。そこで、ヒップホップのトラック風のビート感と、お皿からチョップしてきた感じのリフに、RUN-D.M.C.がエアロスミスの曲をカバーした『Walk This Way』っぽい雰囲気でやってみたくて今回のディレクションになりました。

―なるほど。とにかくベースがすごいですよね

YONCE: そうなんです。めちゃめちゃ破壊的(笑)。ライブも、ベースと鍵盤のシンセベースがずっとユニゾンし続けています。かなりゴン太なレーザーみたいな音で、面白い体験になると思います。

―その曲から雰囲気が変わってキャッチーな3曲目の『JET COAST』からは、Suchmosのルーツを感じます

YONCE: 『JET COAST』は得意ボールです。この曲のメロディは俺が鼻歌で作ったんですが、詞はピンとくるのが思い浮かばなかったので、ベースのHSUに頼んだんです。出来上がりを聴いたら、トーテムポール!? というとっかかりのあるリリックで、バランスが上手くとれたカッコいい感じに仕上がったと思います。

―結果的にカッコいい曲になったんですね。さらに『S.G.S.3』を加えた4曲で『MINT CONDITION』ですが、このタイトルにはどのような意味があるんですか?

YONCE: そもそも「MINT CONDITION」と言う言葉があるんです。俺はヴィンテージギターが大好きで、楽器屋さんへ見に行くんですが、そこで60年代製だけど全く使用されずきれいな状態のことを「ミントコンディション」と呼ぶことを知りました。そのヴィンテージギターを現代の人が買って、新しい音楽を作る。それっていいことだなと思ったんです。故きを温ね新しきを知るみたいで。古いギターから出るサウンドが、自分に新しいインスピレーションをくれると思うんです。それを自分たちの音楽でやろうとしていることを分かりやすく伝えたくて、このタイトルにしました。

―ということは、今の感じからまた変わっていきそうですね

YONCE: そうですね。もうすでに去年の『THE BAY』から結構変わっていると思います。デカいステージでやるバンドになりたいから、俺たちは今スケールのデカい音楽を志向して作ろうとしています。こんなローテンポなリード曲って何なんだと思った人も結構いると思うんですけど、スタジアムで演奏したい曲を作ったらこうなったんです。ちょうどこの曲を作っていた頃、サッカーチームマンチェスターシティのホームスタジアム、シティオブマンチェスターでのOASIS凱旋ライブ映像を見ました。お客さん全員が歌っているから、リアムの声を聴きたいお客さんは全く聴こえない(笑)。それがいいなと思って、全員が歌える曲を作って、ドデカい会場で全員が歌う光景を見てみたいと思ったんです。『MINT』はその第一手ですね。

―『MINT』がどう成長していくか楽しみですね。この夏は多くのフェスって出られると思いますが、フェスは好きですか?

YONCE: 大好きです。俺らはたぶんフェスに合うバンドだと思います。今年実感したことですが、あらゆる土俵のフェスから声をかけていただき、四つ打ちの早い縦ノリ若手ロックバンドが出るフェスにも出ました。縦ノリもいいんですが縦で疲れた後は、俺らの横ノリを提案してこれたし、その垣根をなくすことが大事だと思っています。いろいろなバンドがいろいろなフェスに出る世の中になっていくといいなと思いますね。

―間違いないです。そして、10月22日(土)に名古屋BOTTOM LINEで今作のライブツアーが行われます。最後にそのライブへ向けて意気込みをお願いします

YONCE: 名古屋は俺的にBLANKEY JET CITYという超ヤバいバンドを排出した土地という勝手なイメージがあります。だから、なめられたらいけないなと(笑)。みんなブランキーを見て育っているから、その日はなめられないように頑張ります!

Suchmos“MINT”(Official Music Video)

■リリース情報

『MINT CONDITION』
3rd E.P.
2016.7.6発売
1000円(+tax)

■LIVE情報
Suchmos“TOUR MINT CONDITION”

10月16日(日) 梅田CLUB QUATTRO
10月21日(金) 梅田CLUB QUATTRO
10月22日(土) 名古屋BOTTOM LINE
10月28日(金) 恵比寿LIQUIDROOM
10月29日(土) 恵比寿LIQUIDROOM

■オフィシャルHP
http://www.suchmos.com/

■プロフィール
2013年1月結成。ROCK、JAZZ、HIP HOPなどブラックミュージックにインスパイアされたSuchmos。バンド名の由来は、スキャットのパイオニア、ルイ・アームストロングの愛称サッチモからパイオニアとなるべく引用。普段からバイブスを共有していた、YONCE(Vo)、HSU(Ba)、OK(Dr)、TAIKING(Gt)、KCEE(Dj)、TAIHEI(Key)の6人グループでメンバー全員神奈川育ち。YONCE(Vo)は湘南・茅ヶ崎生まれ、レペゼン茅ヶ崎。都内ライブハウス、神奈川・湘南のイベントを中心に活動。FUJI ROCK FESTIVAL'14「ROOKIE A GO-GO」2日目のトリを務め注目を集める。2015年4月『ESSENCE』でデビュー。2015年7月には1st Full Album『THE BAY』、2016年1月には『LOVE&VICE』をリリースし、現在ロングヒットを記録中!そして2016年7月、待望の3rd E.P『MINT CONDITION』をリリース!

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