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ライター ツボイ

2018.1.31

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『鋼鉄の段ボーラーまさゆきe.p.』で魅せた、コミックバンド四星球の真骨頂。

「聴いた人にしか分からないテーマ性があった方がいいなと思って作りました(北島)」

結成15周年を迎えた昨年、アルバム『メジャーデビューというボケ』でメジャーデビューを果たした四星球。同年8月のシングル『お告げ〜さあ占ってしんぜよう〜』を経ての次なる一手は、何と彼らのライブには欠かせない段ボール作品を手掛けるまさやん(Gt)にスポットを当てた『鋼鉄の段ボーラーまさゆき』をリード曲にしたEP。テーマ性を持った作品を作り続けてきた彼らが、今回テーマにしたものとは?四星球のメンバー全員に話を訊いた。

―1月31日にリリースされる1st EP『鋼鉄の段ボーラーまさゆきe.p.』の主人公は文字通りまさやんさんで間違いないですよね

まさやん(Gt):はい、僕です(笑)。

―どうして個人に、しかもまさやんさんを題材にしようと思われたんですか?

北島康雄(シンガー):去年、毎週のようにフェスに呼んでいただいたんですけど、僕らはコミックバンドなんで毎回新しいネタを用意するんです。それに必要な小道具、大道具は全部まさやんが作ってて。僕が考えた新しいネタを火曜日にまさやんに伝え、それをまさやんが火〜金で作るという流れでずっとやってきたんです。そこから、彼がいないとバンドは成り立たないなと思ったので曲にしようと。僕らはまさやんにライブをさせてもらってるんだなという気持ちがしましたね。

―まさやんさんは、自身のことが曲になることについてどう思われます?

まさやん:『鋼鉄の段ボーラーまさゆきe.p.』と銘打ってますけど、そもそも1曲目の候補は2曲目の『発明倶楽部』の方だったんですよ。カップリングの中の1曲やと思っていたので「これ面白いやん。悪ふざけも効いてるし、いいやん」と思って。今までコントで誰かに焦点が当たることはあったんですけど、一人のメンバーに焦点を当てた曲はなかったので面白いなと。だから、そんなに「よっしゃこれがCDになるんだ。頑張るぞ!」というのはなくて。本当にノリで作った感じですね。

―ノリで作ったにしてはクオリティーが高いですよね。歌詞の中で気になった部分があるんですけど、<トイレットペーパーの段ボールが一番使いやすいんだ。>。これは本当のことですか?

まさやん:これは本当ですね(笑)。

モリス(Dr):お役立ち情報が入っているという(笑)。

北島:今回「使いやすい段ボールって何なん?」って質問を投げかけたのは新しい試みでしたね。嘘を書くわけにはいかないんで(笑)。

まさやん:作るときに段ボール以外で何を使っているのかと聞かれて「カッターとハサミかな」って言ったら、ちゃんと歌詞に入ってますからね。

―ちゃんとまさやんさんに取材を行った上で歌詞を書いたんですね

北島:本人の口から決定印を押してほしかったんです(笑)。

―なるほど(笑)。そのまさやんさんのことを歌った曲ですが、曲を聴いた人が頑張ろうという気持ちにもなる歌詞だなと思いました

北島:『鋼鉄の段ボーラーまさゆき』を1曲目にしよう、タイトルを『鋼鉄の段ボーラーまさゆきe.p.』にしようという話が浮上したころ、聴いてくれる方へのメッセージもちょっと込めました。<作れないものはない>ってずっと言ってるだけなんですけど、そこに<君も>という一言を足したんです。<君も作れないものはない>にしたことで、聴いてくれる方へも広がったと思います。

―この曲を1曲目にすることに、U太さんとモリスさんも賛成だったんですか?

U太(Ba):最初は遊び程度やったんですけど、いざ録音したら、なんか段ボールの方が良さげというか分かりやすいなと。「これが1曲目もありなんじゃない?」という話になったので、まさゆきどうこうよりも曲としていい(笑)。

一同:笑

U太:コミックバンドとしては、『発明倶楽部』もスタートにすごくハマるし、その通りなんですけど、バンドとして背負ったときに1個アホみたいなリード曲があってもええんちゃうかなと。お客さんに認識される中で、「こいつらやりよった」という感覚を持ってもらうことも大事なんかもなというのはありましたね。

モリス:まさゆきの曲なんで、お客さんのウケがめちゃくちゃ悪かったとしても、まさゆきのせいというのがあってすごく気は楽でしたね。

一同:笑

モリス:まさゆきがあんまり人気ないからこうなるんだよっていう言い訳ができる。その部分では、いい意味で肩の力が抜けた曲になったと思います。

U太:バンドっていろいろやっていくと凝り固まるやないですか。だから、力を抜くのって難しいんですけど、この『鋼鉄の段ボーラーまさゆき』という曲によって力を抜かせてもらった感じですね。

北島:バンドってカップリングの方をめっちゃ凝ったりする傾向があるので、これはコミックバンド特有なのかなとも思いますね。アホみたいなん作ろうと言ってできあがって、しかもそれをメインに持っていけたのは。

―確かにそうですね。この曲をライブでやる際の段ボール作品は既に作られたんですか?

北島:もう音符などの段ボールをライブで出してます。この曲を初めてライブでやったとき、いろんなことができそうで可能性がどんどん広がるなと思いました。

―ちなみに、今までどのくらい段ボールで作られたんですか。

まさやん:数ですか?数えたことないけど、100どころじゃないと思います。

北島:半年で100はいってんちゃう?

まさやん:だとすると…、もう1000が見えるかも。

一同:笑

―これまでの作品は全て取ってあるんですか?

まさやん:全部取っておけるスペースがないので、使い勝手が良かったものは取ってあるんですけど、絶対にこの日しか使わないというものは処分するようにしています。だから、捨てたものをもう一回作ってくれとなった時が一番悔しいですよね。また同じものを作るのかと。

北島:やっぱり一点ものやと思いますけどね。2回目はサイズが違いますから。段ボールで作ってるから、段ボールのサイズありきやないですか。

一同:確かに(笑)。

―毎回作っているということは、毎回段ボールを仕入れなきゃいけないですよね

まさやん:それこそトイレットペーパーの段ボールがいいのは、ホームセンターには“ご自由にお持ち帰りください”というのがあるので、ガムテープとかを買ったついでにいただいていて。

モリス:段ボール欲しさにガムテープを買ってるみたいやん。

まさやん:なんも買わんで持って行くのは申し訳なくて。それやったら段ボール買えよっていうね(笑)

―確かに(笑)。そのうちEテレで番組やってそうですよね

まさやん:やりたいですね。隣にキャラクターつけて。

北島: 『鋼鉄の段ボーラーまさゆき』で『みんなのうた』いけると思ったんですよ。でも、<段ボールと寝た男>っていうフレーズを削らなあかんのは嫌やなと思って言わなかった。<段ボールと寝た男>は気に入ってたんで。

一同: 笑

モリス: そこはかなりのキラーワードやな(笑)。

まさやん: ただの家ないやつやん、それ(笑)。

北島: そうなんやけど、それが外せんかった。葛藤(笑)。

―(笑)。すみません、少し話が脱線しました。続いて、リード曲にする予定だった2曲目の『発明倶楽部』ですが、この曲が生まれた背景を伺ってもいいですか?

北島:去年『OTODAMA‘17〜音泉魂〜』というフェスでトリをやらせてもらったんです。野外で夜だと、スマートフォンのライトを点ける演出をされることがありますよね。僕らはお客さんにアラームを設定してもらって、同じ時間に鳴る演出をしました。それを袖で見ていた、僕の中で「この人革命家やな」って思うミュージシャンから、「あれは発明やな」って言ってもらったんですよ。その人に認めてもらえたことがすごくうれしくて、これからも発明していきたいなと思って作りました。

―では、発明をテーマに歌詞を書かれたんですか?

北島:去年メジャーデビューした時に「ようやく四星球に時代が追いついたね」ってよく言われたんですよ。でもそんな気持ちよりも、作らなあかんという気持ちの方が強くて、まずそれを歌にしたいなと。それで、時代を主語にするならば、追い風を吹かすか、向かい風だなと思ったので最後言い切ったんです。<作るだけよ>と。この曲で言いたいのはそこなのかもしれないですね。このEPは、“作る、壊す、直す”をテーマにしていて、この曲は“作る”。『鋼鉄の段ボーラーまさゆき』も“作る”なんですけど、『発明倶楽部』は“時代をつくる”をテーマに書きました。

―歌詞にはいろんな意味も詰め込まれていますよね

北島:そうですね。<発明倶楽部>と<発make love>とか。最後に<放課後発 make love>と言ってるんですけど、そこで“生み出す”を掛けています。で、最後の。<発明CLAP>はごっつい韻も踏みまくって、<発明倶楽部>から<発明CLAP>になって、<発明WRAP>で最後に包んで商品化してと、僕の中ではいろんなことを詰め込んだ曲ですね。

―結構詰め込んでいますね。テンポがいいから、韻を踏んでいる心地良さを感じられる曲になっているなと。そして、次がコント。EPでもちゃんとコントを入れてくるのはさすがです。内容もちゃんと繋がっていますし

北島:『鋼鉄の段ボーラーまさゆき』をカップリングにするつもりだったので、カップリングとコントをセットにしていたんですよ。でも離れることになったので、じゃあいっちゃんええとこに入れて一旦ここで“壊す”作業をしようと。最初は壊して終わるオチにしようと思ってたんですけど、“壊す”をコントでやる方がカッコいいなと思って。それができるのはコミックバンドならではだと思いますし、次につながると思いましたね。

―いろいろな段ボールキャラが出てきますよね。さらに、クオリティーの低いモノマネが(笑)。

一同:そうですよね(笑)。

北島:低いなーって思ってもらえれば(笑)。

―これ以上話すとネタバレしてしまうので、次へいきます(笑)。『はじめてのたいあっぷ』は文字通りタイアップ曲になっていますが、お話をいただいてから曲を書かれたんですか?

北島:タイアップのお話をいただいてから歌詞を書いたんですが、最初情報が少なくて(笑)。『じゃりんこイモの祭謎解きノート大阪ナゾ道中』というゲームアプリなんですけど、僕らそういうのに疎いんですよ。だったら振り切って自分たちのことを歌おうと。このアプリを使いながら街を歩く内容やったんで、『はじめてのたいあっぷ』と言いつつもその人自身のタイアップになればと、全部まとめられたのは良かったですね。

―サウンドも旅感というか哀愁もあってピッタリだなと思いました。どんなイメージで作られたんですか?

まさやん:AメロとBメロを僕が持っていって、サビが全然思いつかなかったんで、メンバーでサビを作っていった感じですね。

モリス:テンポで悩んだよね。

U太:もうちょっと躍動感のある方向でいいんじゃない?とかね。結果的に夕暮れの帰り道くらいのイメージになったんですけど、それこそ情報がないから、何時にするゲームかも分からへんくて(笑)。

北島:でも、結果ピッタリだったんですよ。謎を解いてゴールで流れ出す曲なので。

―情報がない中、ここまでピッタリな曲が作れたのは奇跡的ですね。ちなみに、「じゅん散歩」の方が後に決まったんですか?

北島:でも、使われたのは「じゅん散歩」の方が先。

U太:世の中に出たのはそうですね。

北島:びっくりしました。1曲に二つ付くって。

―確かに。そして、新録バージョンの『六文役者』。なぜこのタイミングで録り直そうと?

北島:これは、5曲目の『直りかけのCamera』ありきなんです。「『直りかけのCamera』で壊したい」と思っていたので、壊すのに一番気持ちいい曲という点でこれを選びました。一番幸せそうな曲で、苦楽をともにしていて、単純に気に入っている曲でもあります。

―なるほど。セットだったんですね。そのセットになっている『直りかけのCamera』ですが、これはあの有名なタイトルからですよね

北島:はい、そうです(笑)。分かるものなんですね。

―分かります(笑)。青春っぽさを感じさせつつも、やっぱり四星球だなという言葉が散りばめられていますが、この曲ができた背景を教えてください

北島:この曲はメジャーになる前からライブでやっていた曲です。ストーリー的には、楽しかったのに歪み始めて、男の方がちょっと怖くなっていく歌ですね。昔はもっと後半過激になってて、「恥ずかしい写真バラまくバラまくバラまく」までいってたんです。でも自主規制した方がええなと。この15年で初めて自主規制しました。ドラマで終わるかなというところで止めたつもりです。ぜひ『六文役者』とセットで聴いてほしいですね。

まさやん:僕は最後の方の歌詞がめっちゃ好きなんですよね。<心のコルクボード>あたりのくだりがめっちゃいいなと思って。

北島:こういう曲ほど、キレイな言葉を入れた方が汚い部分もキレイな部分も映えるんですよね。僕も後半の歌詞が好きで、<このままでいようよ 3秒だけでも 僕が男の理由は君が女だからだよ>という結構危険性を帯びた曲で極論を言っているところがすごく好きです。<3秒だけでも>のところも、自分の中だけなんですけど、The Flipper’s Guitarの『CAMERA! CAMERA! CAMERA!』という曲の<カメラの中3秒間だけ僕らは>から取ってたり。そういうディティールの利いたこともしてます。

―僕は、<『逃げる君』『逃げる君』『逃げる君』『追う僕』>の部分がホラーで好きですね

モリス:めちゃめちゃ怖いですよね(笑)。

北島:『逃げる君』『逃げる君』『逃げる君』で、最後『追う僕』って自分で撮ってる(笑)。めっちゃ危ないやつなんですよね。

―めっちゃ怖い曲になってますね。そして、最後の『シークレットトラック』でちゃんと落としています

北島:そうですね。この作品自体を“壊す”ことになっています。

―聴いてもらった方がいいと思うので詳しいことは話せませんが、最後にキッチリまとめましたよね

北島:テーマ性があるのがEPだとビクターの方に言われたんですけど、僕らテーマ性はずっとやってきたんですよ。だから、聴いた人にしか分からないテーマ性があった方がいいなと。前回のシングル『お告げ』は完全に占いがテーマでしたが、今回は聴いて「あーひとつにまとまってるな」を重視した感じですね。

―すごくまとまっていると思います。そして、2月4日(日)からワンマンツアーも始まります

北島:2月4日(日)が大阪なんばHatchで、3月3日(土)が名古屋ダイアモンドホールですね。

―ライブごとにテーマが違っていて、名古屋ダイアモンドホールは「まさゆき絶体絶命のピンチ〜段ボールのダイアモンド〜」。気になりますね。そもそも鋼鉄を超えていますから

北島:ダイアモンド(笑)。一番硬いっすからね。光らなあかんしね。

まさやん:そうなんや(笑)。

北島:ダイアモンドホールでのワンマンは今回初めてなんですよ。楽しみです。

―僕もどんな段ボール作品が登場するか楽しみにしています。最後にこの作品を手にとってくれるファンへ向けて、メッセージをお願いします

北島:初回盤には去年の『OTODAMA’17〜音泉魂〜“夏フェスというボケ編”』のステージ映像と『鋼鉄の段ボーラーまさゆき』のミュージックビデオが入ったDVDが付いています。しっかりCDとリンクしていて、段ボーラーまさゆきが作った段ボールも出てくるし、『発明倶楽部』が発明している瞬間も出てきます。DVDがおまけに付いているのではなく、初回盤という作品として成り立っているので、ぜひセットで楽しんでほしいです。

まさやん:DVDの最後にそのミュージックビデオが入ってるんですけど、全部段ボールで作っています。かなりクオリティーの高いものができて、パッと見、本物にしか見えないんですよ。結構頑張ったからもっとたくさんの人に観てほしいので、ぜひ初回盤を買ってください。そこに使った段ボールは、全部カケラにしてお客さんに送ったので、もうないんです。もう2度と目に触れることがないのでDVDは遺作なんです。

一同:遺作は違うでしょ(笑)。

四星球「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」MV紹介&「OTODAMA’17~音泉魂~“夏フェスというボケ編”」ダイジェスト

■リリース情報

『鋼鉄の段ボーラーまさゆきe.p.』
1st EP
2018.1.31 発売
完全限定生産盤(CD+DVD) 1,980円(+tax)
通常盤(CD) 1,280円(+tax)

■LIVE情報
四星球 1st EP『鋼鉄の段ボーラーまさゆきe.p.』発売記念ツアー
2月04日(日) 大阪 なんばHatch 「四星中学発明倶楽部」
3月03日(土) 愛知 DIAMOND HALL 「まさゆき絶体絶命のピンチ〜段ボールのダイアモンド〜」
4月12日(木)神奈川 川崎CLUB CITTA’ 「メジャーをクビになる10の方法」
5月10日(木) 香川 高松オリーブホール「モリスターバッシュ 2018」

■オフィシャルWEB
http://su-xing-cyu.com

■プロフィール
“日本一泣けるコミックバンド”。2002年に北島康雄(シンガー&歌詞)とU太(ベース&リーダー)を中心に鳴門教育大学のサークルで結成、2009年に現在のメンバーとなる。ブリーフに法被姿を正装とし、笑いや涙を誘うステージングが特徴。2008年以降、四国最大のロック・フェス「MONSTER baSH」では常連として存在感を発揮。結成15周年を迎えた2017年1月25日、アルバム『メジェーデビューというボケ』でメジャーデビュー。同年多くのフェスやイベントに出演、“笑い”という切り札で旋風を起こし、ロックシーンの猛者たちをも虜に。そして、2018年1月31日に1st EP『鋼鉄の段ボーラーまさゆきe.p.』をリリースした。

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