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ライター ワタナベ

2018.12.4

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THE PINBALLS Major 1st Full Album『時の肋骨』インタビュー

「世界一カッコいいロックを」

11月14日、メジャーファーストフルアルバム『時の肋骨』をリリースしたTHE PINBALLS。物語性を感じる歌詞と真のロックを貫く彼らが送る新曲12曲は、今までの良さはもちろん新しい一面をも感じさせる多彩な作品となっている。初回限定盤のジャケットは砂時計、通常盤は片側の肋骨と意味深な雰囲気を感じさせる今作について、バンドの特徴でもあるハスキーボイスの持ち主、古川貴之(Vo)に訊いた。

―今作はどのような作品になったと思いますか?

古川貴之(Vo): 本能のままに作ったのではなく12曲の「12」という曲の数からイメージして作り始めたので、しっかりビジョンに向かって制作した作品になりました。

―では早速そのテーマをお聞かせください

古川: 以前のフルアルバムでは、12曲をひと月ずつのイメージで制作して一年を表現したんですが、今回は「12」から時計の文字盤を思い浮かべたので、一日を表現したいと思い制作しました。

―なるほど。では1時2時という感じなのですね

古川: 12曲ということで1曲の中で2時間ずつ時が流れるイメージです。厳密に決めてはいないですが、僕の頭の中では1曲目の『アダムの肋骨』は22時から24時で、2曲目の『水兵と黒い犬』は24時から深夜2時という具合ですね。アルバムを一周すると同じ夜に戻っていきます。

―タイトルに「時」と入っているのも時間を表しているからなんですね

古川: 1日の時間や一年、月の満ち欠け、そして人間の肋骨も片側「12」本。12という数字は人間の生活に非常に密着した数字だと思うんです。人間の生活にとって安定する数字かもしれないし、この世を支配している真理やどうしてもそこにたどり着く法則があるのかもしれない。今作は宇宙を貫いている法則や美しさの本質などの「理」という言葉のイメージで、『時の肋骨』というタイトルをつけました。

―そのアルバムの1曲目でありリード曲でもある『アダムの肋骨』は、今作で最もTHE PINBALLSらしい曲ですね

古川: バンドがいちばん得意としている曲で始めたくて。今まで夜の曲をいっぱい作ってきたので僕ららしく夜をテーマにしました。

―歌詞にカタカナでルビを入れているところもこだわりを感じます

古川: 文字にルビがふってあるのが好きなんです。例えば英語を翻訳する時、頭の中で日本語が出てきて二つの意味が重なるように、二つの言葉で考えると各々の言葉の意味がお互いを補いあって和音みたいになる感じがすごくカッコいいと思うんですよね。

―歌詞を見ながらも楽しめる曲になっていますね!新しいです

古川: 文字の中でパワーコードが鳴っているような様子を感じますよね。視覚的な言葉の見た目も気になるので、その観点から見ても綺麗だなと思います。

―続いて、もう一つのリード曲『失われた宇宙』についてお聞きしていきます。歌詞もメロディも切なげなこの曲は、普段ロックを聴かない人でも心を揺さぶられるような曲だと思いました。メロディの聴きやすさもこだわりはありましたか?

古川: 少し孤独感を感じさせるような曲ですよね。聴きやすさはそこまで気にしていませんが、この曲に関しては珍しく素直な自分が出たと思います。普段は大体物語に置き換えて書きますが、この『失われた宇宙』では自分の気持ちを歌いました。

―普段ならあまり書かない感じの歌詞なんですね。自分の切ない気持ちを表現しているということでしょうか?

古川: 自分では全然暗い気持ちではなく、まだまだこれからだという気持ちが占めていますが、今までモノにできなかったチャンスや、僕がもっと素晴らしかったらもっと期待に応えられただろうなという後悔もあって、この曲はその気持ちを表しています。例えば毎回これで終わってもいいというほどの思いでアルバムを作っても、結局また思いを届けたくて歌詞を書いていてまたツアーをしている。それが次のアルバムもその次のアルバムと続ける様子は空が毎日新しい雲を作るのに似ているなと思い、<だけど次の日も次の日も><空は新しい雲を踊らせていた>となりました。

―素直な気持ちだからこそ思いの強さが出ていますね。続いて5、6曲目は英詞の曲。これまでも英詞の曲はあったと思いますが、英語だと日本語の歌詞とは伝わり方が変わると思います。英語の曲に関してはどのようなイメージですか?

古川: 英語は得意ではないですが好きなんですよね。海外の曲を聴いてそれを訳すのが趣味で、先ほども言いましたが意味が二つある感じが楽しくて。このアルバムは12曲とボリュームがあるので、英語の曲もあった方が日本語の曲も美しく見えるし、日本語の曲の中に英語の曲があると英語の面白さも伝わると思い、収録しました。

―英語の曲を入れることによって更にアルバムの聴きどころが増しましたね。この5、6曲目は6時から10時くらいがテーマですよね?

古川: 5曲目が6時から8時でモーニングって感じ。6曲目は8時から10時と忙しい時間なので、ちょっとバタバタした雰囲気。何時から何時はこんな時間という表みたいものを作ってそこに曲を当てはめていき、曲調をその時間のイメージに合わせました。本当は昔の時間の数え方、子丑寅…を取り入れても良いかなと思いましたが、考えた結果、今回は断念しました。でも次回は動物の曲に挑戦しても面白いかもしれないですね。

―そこに続く『ヤンシュヴァイクマイエルの午後』は聴いていると幸せになれるような様子がイントロから感じられました。今作は1枚で色々な感情をくれる作品になっていますね

古川: 最初は弾き語りのライブ用に作った曲なのですが、午後を担当する曲になるので昼休みにちょっとゆっくりみたいなイメージで作りました。人間って一日のうちでいろいろな感情になるので、それを感じてもらえる作品にしたくて。THE PINBALLSがこういう曲が得意かと聞かれたら苦手な方だとは思いますが、そんなあどけない様子も昼下がりの時間なので片意地を張らない感じでいいかなと。

―この曲はその柔らかなメロディに合わせた優しい歌詞の物語も素敵です。次の『風見鶏の髪飾り』も同様に物語らしさがあります。切ないような歌詞でも、民族調のような楽しいメロディで、ロックを掛け合わせたところも面白いです

古川: 僕らのロック+牧歌的な曲のイメージで作った曲です。最初は歌詞を“笑いの国”のテーマで書いていましたが、風見鶏のストーリーが浮かんだので入れ込みました。

―“笑いの国”という言葉が素敵です。物語が進むに連れて伝わってくる感情が変わっていくところも聴きどころですね

古川: 聴き方によっては悲しくも見えるけども、希望が最後にあるような。一つのお話を曲の中で表現したという感じですね。最後はちょっと悲しい気もしますけど。

―この物語のアイデアはどこから湧いてきたんですか?

古川: お昼過ぎは休憩が終わってまた仕事が始まるイメージなので、労働時間というテーマで進めました。以前働いていた職場の向かい側のお店が鶏の影画になるようにライトアップしていて、それを見ていつも癒されていたんです。僕にとって労働の象徴はその鳥なのでそこからアイデアを取りました。風見鶏に自分が勇気付けられる様子を物語にしています。先ほど話した『失われた宇宙』も自分の素直な気持ちですが、“そういう人の物語”です。

―どの曲も古川さんの想像力の豊かさを感じさせます。それでは今作のラストとなる12曲目『銀河の風』について。この曲はタイトル通り夜空の星々を連想させるような曲ですが、サウンド面のこだわりを教えていただけますか?

古川: 僕にとってのサウンドは声です。皆に広く聴いてもらえる機会が増えることによってどんどん上品になるのはつまらないと思っているので、品を悪くするわけではないですが、荒々しさを強めていきたい。そのためにはもっと優しくなりたいという気持ちも同時に発生するため、その振り幅をこだわりました。

―表現力がさらに増していきますね。最後にこういう心に残る曲を聴くと名残しくなってまた最初から聴きたくなります

古川: このアルバムは、12曲聴いてからまた頭に戻ってもらえると嬉しいです。12曲目の最後の部分はテープが逆再生になり音が大きくなってばっと消えるんですが、1曲目『アダムの肋骨』の<時間は逆行して溶け出してる>の”逆行”という言葉と繋がるイメージがあって。時計の針が1から12を2周するように、12もそれだけでは一日が完結していない気がして、1曲で時間が2時間ずつ流れているというテーマとは別に12曲聴いたらまた最後から進んでいくイメージも同時にあります。1曲目から12曲目のテーマの影で12曲目から1曲目の流れもあって、合わせて24になるというイメージです。また1曲目と12曲目、2曲目と11曲目というようにそれぞれが対になっていて、4曲目と9曲目は両方とも”宇宙”が入っていたり、5曲目と9曲目もどちらにも”風見鶏”が入っていたりしているので、左右対称の形にもなっています。

―いろいろな聴き方で楽しめる面白い作品になっていますね

古川: プレイリストの中で曲順を変えられたりもするので、6曲目から1曲目にするなど、流れがあるものを崩してみても面白みがあると思います。全部バラバラにしてもらってもタイムスリップしているような感覚が感じられるかもしれないですね。

―新しい発見ができたら楽しいですね。これからまたツアーが始まりますが、今回はどんなステージにしていきたいですか?

降古川: このアルバムは自分たちの作品ではありますが、録音して頂いた皆さんや音を混ぜてくださった皆さん、絵を書いてくださった皆さんのおかげで自分の理想の形に近づけたので、それを無駄にしないためにもライブで理想を超える自分になりたいです。今回からはそれを言ってしまうことで、自分を追い詰めて頑張りたいなと。誰を観るよりも僕たちを観た方が良い、必ず感動させる、それを必ず実行する!と言っておきます。世界一カッコいいロックをやるので是非遊びに来て欲しいです。

―それでは最後に今作を楽しみにしていたファンの皆さんにメッセージを

古川: 色々と言いましたが、決してこれをこういう風に捉えなければならないわけでもないので、好きに解釈して楽しんで頂きたいです。

THE PINBALLS『時の肋骨』トレーラー

THE PINBALLS「アダムの肋骨」

THE PINBALLS「CRACK」

THE PINBALLS「失われた宇宙」

■リリース情報

『時の肋骨』
Major 1st Full Album
2018.11.14 発売
初回盤 3,200円(+tax)
通常盤 2,600円(+tax)

■LIVE情報
“end of the days tour”
02月17日(日) 千葉 千葉LOOK
02月23日(土) 長野 LIVEHOUSE J
02月28日(木) 仙台 enn2nd
03月02日(金) 北海道 札幌DUCE
03月09日(土) 香川 高松TOONICE
03月10日(日) 大阪 梅田CLUB QUATTRO
03月16日(土) 岡山 PEPPERLAND
03月17日(日) 愛知 名古屋CLUBQUATTRO
03月22日(金) 東京 恵比寿LIQUIDROOM

■オフィシャルHP
http://thepinballs.org/

■プロフィール
2006年古川貴之(Vo)、中屋智裕(Gt)、森下拓貴(Ba)、石原天(Dr)の四人により埼玉で結成されたロックバンド。ストレートなロックサウンドを突きつける独自のスタイルを掲げ、「SUMMER SONIC」などの大型フェスにも出演している。2017年12月6日リリースの『NUMBER SEVEN』でメジャーデビュー。2018年4月25日にはメジャーファーストシングル『Primal Three』をリリースし、全国ツアーを敢行。2018年11月14日には待望のメジャーファーストフルアルバム『時の肋骨』を発売、全国10カ所を回るワンマンツアーが決定している。

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