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INTERVIEW 旬のアーティストインタビュー

2017.3.10

THE BACK HORNが宇多田ヒカルと魅せる新たな一面

「11年ぶりに会って、シンプルで温かい曲に一緒に向かえたのは感慨深かった(山田)」

ボーカル、ギター、ベース、ドラムのメンバー4人によるサウンドを追求してきたTHE BACK HORN。亀田誠治をプロデューサーに迎えた前作シングル『With You』に続き、2月22日にリリースされた25thシングル『あなたが待ってる』は宇多田ヒカルとの共同プロデュース楽曲として話題を呼んでいる。宇多田との関係から、コラボが実現した背景やレコーディングの模様をフロントマンの山田将司(Vo)に訊いた。

取材・文 古田

—2月にリリースされたシングル『あなたが待ってる』は宇多田ヒカルさんとの共同プロデュースですね。このコラボが実現した背景をお聞きしたいのですが、その前に宇多田さんとの関係を伺えますか

山田(Vo):もう11年くらい前になりますね。2006年に発売された宇多田さんのアルバム『ULTRA BLUE』の『One Night Magic feat. Yamada Masashi』にコーラスで参加させていただきました。それから11年ぶりの再会でしたね。

—コーラスで参加されたきっかけや当時のことは覚えていますか?

山田:宇多田さんがTHE BACK HORNのライブに来てくれたことがあって。それから声をかけていただいたんですけど、信じられなかったですね。人の曲に参加することが初めてで、しかもそれが宇多田さんで。宇多田さんは完全にテレビの中の存在だったので、すごく緊張しました。緊張で普段THE BACK HORNで歌うときよりも高いキーが出た記憶があります(笑)。

—(笑)。11年間全く交流がなかったにも関わらず、コラボをお願いした経緯は?

山田:(菅波)栄純(Gt)が原曲を作っていて、サビのメロディが浮かんだ時に俺の声と一緒に宇多田さんの声が聴こえたらしくて。「宇多田さんと将司が一緒に歌うことが実現しないとこの曲はやりたくない」と熱いアプローチがありました。それで、宇多田さんにオファーしたら快諾してくれて。メンバー全員「まじで!?」って(笑)。しかも、宇多田さんから、もっとがっちり一緒に曲を作りたいと返事をいただきました。それで、バックコーラス以外にも、作詞、ストリングスや鍵盤のアレンジもしてくれて、4日間のレコーディングもずっとスタジオに入ってディレクションしてくれました。

—コラボ自体めずらしいですよね

山田:ライブのステージではありますけど、実際に音源に他のミュージシャンの方が入るのは初めてでしたね。

—『あなたが待ってる』は、前作シングル『With You』から続く、温たかくもどこか切ないムードと、宇多田ヒカルさん特有の温かさと切なさが絶妙に重なっているなと感じました

山田:宇多田さんの元々持っているものもそうですね。この曲自体、温かいんだけど、随所で冷たい感じもして。傍に誰かがいるはずなのに、いないような雰囲気もあるし。“あなた”も自分の横にいる人であったり、もういない人であったり、普遍的な雰囲気で曲に散りばめられていますよね。

—歌詞も菅波さんと宇多田さんの共作なんですよね

山田:そうです。宇多田さんにお任せした部分もあります。THE BACK HORNでデモを作って宇多田さんに送りました。それに対して、宇多田さんが歌詞を仕上げてくれて。栄純いわく、どんな歌詞にするか細かな話はしていなかったのに、完全に思っていた以上のものになっていたそうです。

—タイトルやサビに使われている“あなた”は特定の人はもちろん仲間や家族などいろんな解釈ができると思うのですが、山田さん自身はどのような想いで歌われましたか

山田:最初に栄純がこの曲を持ってきた時に、俺はちょっとモードが違っていて。THE BACK HORNのボーカルとしてどう表現したらいいのか、どういう気持ちで歌えばいいのかと、栄純と2人で鍋をつつきながら話したことがあるんです。そしたら栄純がTHE BACK HORNのライブでどこが1番グッとくると思うか聞いてきて。「俺は最後の曲の前に将司がポロっと想いをこぼすMCの部分が1番グッとくる」と言ってきたんです。それを聞いた時に、俺にとっての“あなた”はファンだと思いました。だから、この曲と向き合う時に最初はファンや、自分を支えてくれる人を想像して感情移入しました。だけど、いろんな人にとっての“あなた”がいると思うので、あまり俺個人の気持ちはのせたくないと思っていて。等身大の人間としての温度感を残しつつ、歌詞が全て示してくれるように歌いました。

—大サビの部分で音程がかなり低くなりますよね。グッと惹きつけられましたが、あれは誰のアイディアですか?

山田:あれは栄純が最初に作ったときからですね。今までの曲でもあんなに低く歌うことはなかったです。歌って不思議ですよね。高いと気持ちを昂ぶらせてくれるし、低いと落ち着くし。喋り声に近ければ親近感や温度感がある。それが歌の中で出せることはあまりないから、この曲のこの歌詞でこの音程というのはマストだなと思いました。

—歌録りでも宇多田さんのディレクションはありました?

山田:ボーカリストに歌録りをディレクションしてもらうのは初めての経験でした。しかも、それが宇多田さん。気になることがあれば言ってほしいと伝えて、何テイクか歌いました。「この部分をもう少し強く歌っているのを聴いてみたいな」など細かいディレクションまでしてもらいました。

—前作『With You』では名プロデューサーの亀田誠治さんを迎えられていました。今回は歌い手の宇多田さんとの共同プロデュースですが、ディレクションの違いは感じましたか?

山田:亀田さんはプロデューサーとしてバンドを俯瞰して舵取りしてくれているような感覚でしたけど、宇多田さんは第5のメンバーという感じでした。一緒に作っていて、かつ、宇多田さんの意見に4人が耳を傾けるというような。音楽の経験はもちろん、自分でトラックを作られている分、音に対する意識もかなり高いので、宇多田さんの感覚を参考にしたい部分がありましたね。だけど、宇多田さんの時も亀田さんの時も歌のディレクションをしてもらった時に感じたことは似ていて、無理に変えていくのではなく「そのままでいいよ」と言われているような感覚はどちらの時も感じました。

—あらためて、宇多田さんとの制作期間を振り返ってみていかがですか

山田:各楽器のリズムやフレーズ、音色に対して、すごくこだわりを感じました。だけど、「とりあえずやってみようよ」というスタンスもあって。完全に作り込んでからレコーディングするというよりは、完全ではない状態でレコーディングしながら仕上げていきました。レコーディング中に新しく決まったフレーズもあります。Aメロのドラムとベースが切れるところも、当日のレコーディング中にやってみようかと言って採用されました。それと、レコーディング中は、いい緊張感がありましたね。4人では作れない空気感も彼女がいることで生まれていました。いつもとは全然違いましたね。新しく服を下ろしたメンバーや、新しく靴を下ろしたメンバーもいたし(笑)。楽しい4日間でした。

—気持ちも新しくなっていいですね(笑)。仕上がった曲を聴いてみていかがでしたか

山田:THE BACK HORN4人だけでは絶対にできないストリングスと鍵盤のアレンジもそうだし、鍵盤の絡み方なんて完全に宇多田さんのセンスが光りまくっています。THE BACK HORNの4(ビート)とか8(ビート)で乗っているところに、裏の16(ビート)のノリがいっぱい入ってきて、柔らかいフレーズになったと思います。この曲はロックを聴いていない人にも聴いてほしいと思っています。この曲を通して、THE BACK HORNという名前だけでもいいですし、どんなバンドなのか昔の音源を聴いて興味を持ってもらえたらとても嬉しいですね。

—新たな一面を見られたことはファンの方も喜んでいると思います

山田:もちろん11年前の繋がりがあったこともファンは知っているし。世界観が上手く混ざったなと感嘆してくれる人もたくさんいました。長い間連絡こそ取っていなかったですが、お互いにいろんな経験をして、久しぶりに会って『あなたが待ってる』というシンプルで温かい曲に一緒に向かえたのは感慨深かったですね。

—来年はいよいよ20周年を迎えらますね!何か準備はしていますか?

山田:前作の亀田さんのプロデュースも、今作の宇多田さんとの共作も自分たちを俯瞰するいい機会になりました。足場をさらに固めて、来年の20周年に向けて楽曲制作もライブももっといいものにしていきたいと思います。

—楽しみです。現在は『KYO-MEI対バンライブ』で全国をまわられていますね

山田:全国13会場をまわります。メンバーが選んだ対バンなので、お客さんを楽しませるのは間違いないですね。同じアーティストの会場もありますけど、場所ごとに対バンが変わっていくので、そのバンドの良さを一緒に楽しんでほしいなと思います。

—名古屋での開催は3月21日(火)ダイアモンドホールですね。最後に意気込みを聞かせてください

山田:名古屋の対バンはROTTENGRAFFTYですね。彼らはしっかり曲を聴かせてくれて盛り上げてくれるので、アツい夜になることは間違いないです!僕たちも楽しみしています。待っててください!

THE BACK HORN – あなたが待ってる MV

■リリース情報

『あなたが待ってる』
25th Single
2017.2.22発売
初回限定盤(CD+DVD) 1400円(+tax)
通常盤(CDのみ) 1000円(+tax)

■LIVE情報
「KYO-MEI対バンライブ」

2月16日(木)仙台Rensa w/SUPER BEAVER
2月17日(金)弘前Magnet w/SUPER BEAVER
3月02日(木)福岡BEAT STATION w/TOTALFAT
3月04日(土)岡山YEBISUYA PRO w/TOTALFAT
3月05日(日)周南RISING HALL w/TOTALFAT
3月21日(火)名古屋ダイアモンドホール w/ROTTENGRAFFTY
4月12日(水)UMEDA CLUB QUATTRO w/HAWAIIAN6
4月14日(金)高松MONSTER w/ジャパハリネット
4月15日(土)松山サロンキティ w/LACCO TOWER
4月27日(木)長野club JUNK BOX w/ROTTENGRAFFTY
4月28日(金)富山MAIRO w/HEY-SMITH
5月17日(水)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 w/MOROHA
5月24日(水)川崎CLUB CITTA’ w/ORANGE RANGE
5月31日(水)川崎CLUB CITTA’ w/MUCC

■オフィシャルHP
http://thebackhorn.com/

■プロフィール
1998年結成。“KYO-MEI”という言葉をテーマに、聞く人の心をふるわせる音楽を届けていくというバンドの意思を掲げている。FUJI ROCK FESTIVALやROCK IN JAPAN FESTIVAL等でのメインステージ出演をはじめ、近年のロックフェスティバルでは欠かせないライブバンドとしての地位を確立。そしてスペインや台湾ロックフェスティバルへの参加を皮切りに10数カ国で作品をリリースし海外にも進出。黒沢清監督映画『アカルイミライ』(2003年)主題歌「未来」や、紀里谷和明監督映画『CASSHERN』(2004年)挿入歌「レクイエム」など、そのオリジナリティ溢れる楽曲の世界観から映像作品やクリエイターとのコラボレーションも多数。2017年5月まで「KYO-MEI対バンライブ」を全国13会場で開催。

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