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INTERVIEW 旬のアーティストインタビュー

2017.10.17

THE BACK HORN、痛みや孤独に寄り添い叫び続けた20年を語る

「痛みや苦しみを少しでも共有できればという気持ちで叫んでいたし、傍にいるような気持ちで歌いたいとずっと思っていました。(山田将司)」

来年2018年に結成20周年を迎えるTHE BACK HORNが、通算2作目となるベストアルバム『BEST THE BACK HORN II』を10月18日にリリースする。DISC-1は2008年に発売されたベスト盤以降のシングル曲とアルバムのリード曲、さらに新曲『グローリア』を収録。DISC-2には、2008年のベスト盤以前の楽曲の中から、ファン投票により選ばれた上位14曲に加え、インディーズ期からのライブ定番曲『無限の荒野』と、ストリングスアレンジの『泣いている人』の新録楽曲を収録。さらに、TYPE-Aには待望のMV集『エモーションピクチャー Vol.3』も付く豪華な内容となっている。今回、山田将司(Vo)と菅波栄純(Gt)のお2人に、ベスト盤の収録曲からTHE BACK HORNの20年を振り返っていただきつつ、これからについても語っていただいた。

取材・文 坪井

ー来年の結成20周年おめでとうございます!率直に伺います。結成した当初、20年続けると思っていました?

山田将司(Vo):思っていなかったですね。

菅波栄純(Gt):間違いない(笑)。そもそも結成が1998年なんで、その1年後にはノストラダムスの大予言で…

山田:終わるなって(笑)。

ー終わりませんでしたね(笑)。それから20年経とうとしていますが、今の心境はいかがですか?

山田:気付いたら20周年という感じです。目の前だけを見て歩んできたら20年経っていたというだけで、25周年、30周年もこんな感じで迎えてそうな気がします。

菅波:僕も同じですね。一曲作るのも一本のライブでも毎回課題があって、それに向き合い一つ一つ積み重ねてきた結果なんじゃないかと思います。

ーその20周年を記念した10月18日にリリースされるベストアルバム『BEST THE BACK HORN II』には、前回のベスト盤リリース以降のシングルとアルバムのリード曲が収録されています。このラインナップを見ると、ほぼ毎年コンスタントにシングルとアルバムがリリースされているなと。ずっとリリースし続けられるモチベーションを保てるのはすごいなと思います

山田:リリースとライブを繰り返しているんですが、ライブで一度気持ちいい感覚を味わうとそれを超えたくなるんです。その気持ち良さを求め出すと、どんどん課題が出てきて。それをクリアしたいと思ってライブしてきたので、それがモチベーションになっていると思いますね。

菅波:僕も同じで、永遠に完成しない感はあります。階段を一段登ってその時の見晴らしに感動するんですけど、すぐに慣れちゃう。だからもっと上に登りたいなと思う。結局そうなるんですよね。

ーそれは曲作りにも影響しています?

菅波:レコーディング方法が最近になって変わってきました。ドラムだけなど、楽器ごとに録っていくことも最近では方法の一つとしてやっています。これが簡単なようで難しくて。「せーの」で録った方が、みんなのいい地点で決定できるんですけど、楽器ごとだと自分のプレイがダメだったらダメという(笑)。一人がハードルを越えられなかったら、永久に次の人の出番が来ないというプレッシャーがあるんですよ。次へとバトンを渡していく感じなので、一人のクオリティが全員のクオリティにより直結するレコーディング方法なんです。それが出来るようになったのは大きな変化ですね。10年前だったらきっとできなかったと思います。

山田:その方法は『悪人』から取り入れたと思います。サウンド面で話し合った時に、バラバラで録った方がやりやすいんじゃないかとなって。根本的に、各々が満足のいくレックをしたいという気持ちがありますので。

ー自分のパートに責任を持ってやりたいということなんですね。この10年で作られた曲を改めて聴くと、本当に楽曲の幅が広いなと思いました

菅波:この10年でたくさん挑戦もしているので、歩みとして俺たちは間違っていなかったと思います。

山田:基本的にシングルとして曲を作る時は、何かしら自分たちが楽しめたり、ワクワクできる変化を必ず求めています。前回と同じような曲を作っても、みんなの気持ちが上がらないんですよね。

菅波:自分を騙しきれない。そこは自分たちのテンションが上がるような曲じゃないとみんなに聴かせられないですから。それはずっと続いています。

ー今回収録されている新曲『グローリア』からは、それが伝わってきます。曲はバグパイプの音が印象的ですが、どうして取り入れようと思われたんですか?

菅波:曲は歌詞先行で書いていたんですけど、<この世に生まれてきたのなら打ち鳴らせその鼓動>というかなり力強いサビの歌詞を思いついた時に、パンクな感じでいいなと。さらに、パンクだけどスケールのデカい曲になったら俺たちっぽいなと思った時に、ザ・ポーグスなどのアイリッシュパンク系を思い出して。あのサウンドに挑戦してみたいと思って、疾走感のある上にバグパイプを乗せてみたら、めちゃめちゃハマったんです。

ーなるほど。そのサウンドに乗っている歌詞も前向きで、距離感も近いですよね

菅波:仲間に話しかけるような気分の歌詞になっていますね。

ーだからですかね。入りの歌い方がすごく優しくて、個人的にですが特に<すっ転ぶ>の部分が印象に残って

山田:ふっと力が抜けた感じの(笑)。細かいところまで聴いてくれてうれしいです。Aメロは俯瞰しているような歌詞だけど、全体的にはさっき栄純が言ったように友達の横に座っているような内容だから、サビは「一緒に頑張っていこうぜ!」と言ってるようにしたくて。そこを力強くしたいなと思って、シーンによって演奏にどう歌が乗るのかをすごく意識しました。ドクダカドクダカと鳴っているドラムの上で、どれだけ歌がしっかりステップを踏んで駆けていくかと、縦をすごく意識して歌っています。

菅波:確かにシーンで歌い方が全然違うかも。

山田:Dメロの<なんで君が死にたいなんて思わなくちゃいけねえんだろう>のところは、歌っていてすごく感動したんですよね。すごく弱っている友達に寄り添えたんじゃないかと。ずっと寄り添っていたいという気持ちで、ここのシーンは歌いました。それが、昔からTHE BACK HORNはどれだけ叫んでいても突き放そうとしていたわけじゃない。すごくおこがましいんですけど、痛みや苦しみを少しでも共有できればという気持ちで叫んでいたし、傍にいるような気持ちで歌いたいとずっと思っていました。だから、曲のへそのような大事な部分にこの歌詞があって、それをこれだけ力を抜いて歌え、寄り添うことができた。今だからこの歌詞があってこの曲があり、自分がそういう声で歌えたと考えたら結構グッときましたね。

菅波:今だから完成に至ったんだなと、いま将司の話を聞いて思いました。よーく思いました(笑)。この曲は、10年前だったら完成していなかったと思います。しかもタイトルは“栄光”という意味だし、すごく人間臭い曲に栄光というタイトルが付いているのがいいなと思いますね。

山田:すごく肯定してくれる曲だよね。それに、ここからまた始まっていくような感じもあって、最後に相応しい曲だなと思います。

ーさらに、今後が楽しみになる曲でもあると思います。そして、DISC-2の収録曲はファン投票で決められていますが、これは誰かのアイデアだったんですか?

菅波:マツ(松田晋二)が言い出したんだよね。

山田:そうだったかな。でも、メンバー発信だったとは思います。

菅波:今回のベスト盤は20周年記念でもあるから、ここ10年の曲だけというのはどうかなという話になって。

山田:お客さんと一緒にベスト盤を作りたいなという話をメンバーとしていて、じゃあ投票してもらうかという話になりました。

ー収録曲のタイトルを見ると、ライブでお馴染みの曲からマニアックな曲まで入っていて幅広いですね

菅波:全くライブでやっていない『扉』や『枝』も入っていますからね。

山田:その2曲は、マニアックヘブンで1、2回やったぐらいだと思います。マニアックヘブンのセットリストをファン投票して、その上位10曲を演奏しますという企画をやった時に、『ひょうひょうと』『赤眼の路上』『扉』『枝』が入っていたかな。そう思うと、半分ぐらいはちょっと似たような感じですね。

ーそうなんですよね。逆にこの曲が入っていないんだというのもあって、驚きました

山田:自分がもしTHE BACK HORNのファンだったら、あえてシングルには入れないかも。シングルは誰かが入れるから、この曲をベスト盤に入れたいという自分の推し曲を選ぶと思う。その心理の人が多かったんじゃないかと感じました。自分が友達にTHE BACK HORNの曲をシングル以外で勧めるならこの曲みたいな。

菅波:もしそうだったら、すごく考えてくれていてうれしいな。俺がもしファンだったら、多分出会った時の曲を選ぶと思う。完全に主観で。そういうファンもいると思うんですよ。俺なら『冬のミルク』になっちゃうよね。将司と出会った曲だと(笑)。一緒に住んでいたので思い出しますよ。将司が持ち込んだレコードプレイヤーでボブマーリーを聴きながらウダウダしていた日とか(笑)。

山田:そんな日もあったね(笑)。

ーお2人が意外だなという曲も入っていたということですね

菅波:インディー時代の曲が入っていたのが結構意外だったよね。

山田:そうだね。『何処へ行く』『冬のミルク』『晩秋』がインディーの曲で、特に『何処へ行く』にはびっくりしました。でも、シングル曲もライブでよくやる曲もバランス良く入っているので、最近THE BACK HORNを好きになってくれた人でも、20年分を一気に振り返られる一枚になったと思います。

ーそんな中、今回どうしてNew Recording曲を入れたんですか?

山田:インディー時代の『泣いている人』『無限の荒野』は、(岡峰)光舟が弾いていなかったのでこのタイミングで光舟の弾いた演奏で録音したかったのと、『無限の荒野』はワンマンのアンコールでよくやっている定番曲で、『泣いている人』は<どうかあなたが幸せでありますように>というサビの歌詞を18年経ったいま、もう一回メンバーで演奏したい気持ちがあって新録しました。

菅波:ストリングスが入った『泣いている人』のニューレコーディングバージョンが好きなんですよ。ぜひ聴いてほしいですね。さらに今回、そのバージョンで将司が監督してミュージックビデオも撮っています。それがめちゃくちゃ良くて、泣けるんですよね。

山田:映像化する時に使う頭って、曲を作ったり歌詞を書く感じとは違うので新鮮でしたし、どんどん形になっていくのが面白かったです。

ーそのDVDが付くのはTYPE-Aのみなんですよね

菅波: TYPE-Aにはミュージックビデオ集が付いています。やっぱり映像で振り返るのは相当楽しいですよ。俺なんて髪型がだいぶ違いますから(笑)。フルでがっつり観られるので、ぜひ観てほしいですね。

山田:さらにエクストラビデオの『戦う君よ』は、一人だけを撮ったカットが入っています。

菅波:4人別々でそれぞれのストーリーをたっぷり撮って、それをいい感じに繋げたMVになっています。それぞれでシチュエーションが違って、MVを撮ってる時もお互いを見ていないんですよ。だから完成したMVを観た時、こんなにぶっ飛んでいて大丈夫かなと(笑)。

ーこれは絶対にTYPE-Aを買わないといけないですね。そして、ついに11月3日(金祝)の名古屋から「マニアックヘブンツアー vol.11」が始まります。曲は決められました?

山田:これからです。

菅波:今回も悩むんでしょうね。

山田:今回のベスト盤に入った曲はもうマニアックと呼べなくなっちゃいますから。

菅波:どメジャーになっちゃいましたからね(笑)。

ー確かに(笑)。どんな曲をやられるのか楽しみにしています。最初のお話からちょっと聞きづらいのですが(笑)、最後に20年を迎えるいま、今後の目標をお願いします

山田:そうですよね(笑)。20年目以降は、よりライブも曲作りも今まで以上にワクワクしながら楽しんでできるようにしていきたいです。

THE BACK HORN エモーションピクチャー Vol.3 【BEST THE BACK HORN Ⅱ】

■リリース情報

『BEST THE BACK HORN II』
Best Album
2017.10.18発売
TYPE-A(2CD+DVD) 4,500円(+tax)
TYPE-
B(2CD) 3,200円(+tax)

■LIVE情報
THE BACK HORN 日比谷野外大音楽堂ワンマンライブ
10月21日(土) 日比谷野外大音楽堂

マニアックヘブンツアー vol.11
11月03日(金祝) 名古屋公演
[GIG]BOTTOM LINE
[GALLERY]BL cafe
11月05日(日) 仙台公演
[GIG]Rensa
[GALLERY]東京エレクトロンホール宮城 501・502展示室
11月10日(金) 福岡公演
[GIG]DRUM Be-1
[GALLERY]DRUM SON
11月15日(水) 札幌公演
[GIG]PENNY LANE24
[GALLERY]ターミナルプラザことにパトス
11月26日(日) 大阪公演
[GIG]umeda TRAD
[GALLERY]バナナホール
12月01日(金) 高松公演
[GIG]高松DIME
[GALLERY]MONSTERS CAFÉ
12月02日(土) 広島公演
[GIG]HIROSHIMA CLUB QUATTRO
[GALLERY]HIROSHIMA CLUB QUATTRO
12月22日(金) 金沢公演
[GIG]金沢AZ(ホール)
[GALLERY]金沢AZ(スタジオ)
12月24日(日) 東京公演
[GIG]新木場STUDIO COAST
[GALLERY]新木場STUDIO COAST

■マニアックヘブン特設サイト
http://maniacheaven.com

■オフィシャルWEB
http://thebackhorn.com/

■プロフィール
1998年結成。“KYO-MEI”という言葉をテーマに、聞く人の心をふるわせる音楽を届けていくというバンドの意思を掲げている。FUJI ROCK FESTIVALやROCK IN JAPAN FESTIVAL等でのメインステージ出演をはじめ、近年のロックフェスティバルでは欠かせないライブバンドとしての地位を確立。そしてスペインや台湾ロックフェスティバルへの参加を皮切りに10数カ国で作品をリリースし海外にも進出。黒沢清監督映画『アカルイミライ』(2003年)主題歌『未来』や、紀里谷和明監督映画『CASSHERN』(2004年)挿入歌『レクイエム』など、そのオリジナリティ溢れる楽曲の世界観から映像作品やクリエイターとのコラボレーションも多数。2017年、第一弾シングルとして宇多田ヒカルとの共同プロデュース楽曲『あなたが待ってる』をリリース。第二弾シングル『孤独を繋いで』を7月にリリース。秋には6年振り3度目となる日比谷野外大音楽堂のワンマンライブと、恒例のスペシャルイベント、マニアックヘブンツアーvol.11の開催が決定し、2018年のバンド結成20周年へ向けて活動を加速させている。

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