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ライター ツボイ

2018.3.23

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ミニアルバム『情景泥棒』で魅せたTHE BACK HORNの濃厚な世界観

「今回はラーメン感があるんですよね(菅波)」

3月7日、実にインディーズ時代以来となるミニアルバム『情景泥棒』をリリースしたTHE BACK HORN。収録されている7曲全て尖っており、結成から20年を迎えた今でも進化し続けていることを証明する作品に仕上がっている。その作品について、山田将司(Vo)と菅波栄純(Gt)の2人に話を訊いた。

―今回まさかのミニアルバムですが、すごく凝縮感があってミニアルバムもいいですね

山田将司(Vo): 7曲という見せ方だからこそ、強い曲たちを集められた感じはありますね。

菅波栄純(Gt): 今回はラーメン感があるんですよね。4人で一杯のラーメンを作った感じ。

―それは、どういう意味ですか?

菅波: ラーメン屋さんのドキュメンタリーを見るのがすごく好きなんですけど、みんなこだわりがあるし、すごくストイック。THE BACK HORNも全員頑固で譲らないところがあって、今回誰1人譲ることなく一杯のラーメンを作ったら奇跡的にすごく美味かったという感じがあって。その上、いろんな曲が入っているからバランスもすごくいいと思うんですよ。

―なるほど。確かに収録曲7曲全て尖っていて、かつ新しいTHE BACK HORNを感じました。その中でも1曲目の『Running Away』は、今後のTHE BACK HORNを代表する曲になりそうな気がします。特にイントロから入るマリンバの音が、人間のルーツって感じで印象的です

菅波: そうなんですよ!マリンバって生命力感がありますよね。俺らの音楽はそのイメージに近いんだなと今回改めて思いました。曲も最初にマリンバのところができたんです。歌詞はAメロから書き始めて、結構さらっと書けました。

―そうなんですね。山田さんはこの曲の歌詞にどのような印象を持たれました?

山田: 栄純の力強い曲って、力強いんだけど無理やりじゃないすごく選ばれた言葉を使っていると思っていて、そこがTHE BACK HORNっぽいなと。<君の歌で 現在地点を描き出そう>という言葉は、それが最大限前を向く姿勢であって、それなのに全体的な印象はすごく力強い。それって選ばれた言葉たちだからだと思うんですよね。

菅波: <今に見てろ。>はすごく強い言葉だけど、<「もういっそ消えようか」>は、逆にすごく弱々しい心の声のようなもので、1曲の中に強さと弱さが入り混じっている感じはすごく大事にしました。弱くても強く走り出せるし、逃げ出した先が人生の終わりじゃないというか、間違った場所ではないと。

―言葉の力強さという面では、特にサビの部分がサウンドの疾走感とマッチしているなと思います

菅波: サビに関しては、サビがきた瞬間の疾走感や爆発感はかなりこだわりました。曲作りの段階はもちろん、レコーディングでも結構ミックスにこだわってサビの音量感などを何回も調整しました。それぐらいこの曲はストーリーがすごく大事なんですよ。

山田: 特にサビの力強い部分をどれだけ伝えられるのかを意識して歌っているところはありますね。

―今作の中で一番THE BACK HORNっぽいなと感じた次の曲『儚き獣たち』は、歌詞が山田さんで作曲が菅波さんですが、この組み合わせって実はあまりないですよね

菅波: 久しぶりだよね。

山田: それこそインディーズ時代まで遡るんじゃないかな。

菅波: 『罠』や『閉ざされた世界』など逆はあるんですけど、(山田)将司に歌詞を書いてもらうのって今までやってなかったなとふと思い出して、俺から提案したんです。「ワンコーラスできたんだけど、ちょっと将司の歌詞でやってみない?」って。

山田: 既にミニアルバムの他の曲たちは出揃っていたんですけど、この曲はそこに無かったポジションだったし、激しく切ないメロディでちょっと泣ける感じがTHE BACK HORNっぽいなと。THE BACK HORNの根っこの部分にある世界観があって。

―その世界観の中で<白いベッドで〜>という歌詞に目が留まりました。この言葉が出てきたイメージを伺っていもいいですか?

山田: 白いベッドで寝ている人の中には、すごく希望に満ちあふれているんだけど、繊細すぎて傷つきやすい人もいると思ったら、その人たちが天使っぽく見えて。

―曲はちょうどここで転調していますが、それが白いイメージに合いますね

山田: 歌詞は、その転調の感じとコード感に引っ張られて出てきたのもあります。

菅波: ここは最初にドラムの展開ができたんです。思い切った転調をして全然違う曲のようなメロディがきたらどうなるんだろうと思って、マツ(松田晋二)に展開を頼んだらこのデモが送られてきて。そして、将司からこの歌詞が出てきて「超カッコいい!」と思いました。

―全てが上手く合致した曲なんですね。次の曲『閃光』はどちらかというと王道ですが、ギターの音が個人的に好きです。そのギターに関して、今回エフェクターを結構使われているなと思ったんですが…

菅波: めっちゃ使ってますよ。20年間使ってきたエフェクターを全部レコーディングの場所に集めて一個一個吟味して使っていったので、新作ですけど自分の中では20年分の総決算のギターのイメージがあります。

―たくさんありそうですね。曲からも歌詞からも若さを感じますが、最後の<音を鳴らすんだ 悲しみさえ祝福するような>の部分にTHE BACK HORNらしさを感じました

菅波: マツが歌詞を書いた『枝』という曲も同じような歌詞で終わるんですど、『枝』ができて以降、自分や他者が持つ悲しみも含めて全て祝福するような音を鳴らすのが俺らなんじゃないかというテーマというか覚悟が生まれて、力強い音を出す方向へだんだん歩んでいった気がずっとしていて。『閃光』は、あの頃から始まった俺らの覚悟を継承する新たな一曲として書いています。その曲調はパンクでアガれる感じがいいなと。

山田: フレッシュ感はこの曲のすごくいいところだなと思っていて、ライブで自分らが熱量を出してお客さんが盛り上がったり笑顔を見せているあの瞬間ってこういう色味だと思うんですよ。だから、ライブの感じをイメージしつつ、この曲のフレッシュで若々しい感じを崩さないよう意識して歌いました。

―そのフレッシュさと対極にありそうな『がんじがらめ』は、言葉数が多い印象を持ちました。歌いづらさを感じませんでした?

山田: 結構「早口だね」と言われるんですけど、そうでもなくて、正直『コワレモノ』の方が早口ですね。

―そうなんですね。歌詞は今の世の中の生きづらさというか窮屈さを描かれているのかなと

菅波: その情景がテレビのザッピングみたいにぐちゃぐちゃになっている感じです。『墓石フィーバー』という曲もですが、情景のツギハギは自分が好きで書いていたやり方で、久しぶりにやりました。すごく楽しかったです。

山田: この曲はおもちゃ箱感あるよね。

―確かにその感じあります。そしてタイトルにもなっている『情景泥棒』ですが、言葉のインパクトだけでなく、世界観もSFチックで妄想の世界のクセがすごい。曲はどのように作られていったんですか?

菅波: ワンコーラスだけ作って、あまりメロディを決め打ちしないままマツに思いつく歌詞をはめてみてと言ったらこの歌詞が出てきて。そこから歌詞に合わせてメロディを整理して今のかたちになりました。

―菅波さんは、その歌詞の世界観を受けて『情景泥棒〜時空オデッセイ〜』を書かれたんですか?

菅波: そうです。視点が変わるんです。同じストーリー上で前半の『情景泥棒』は情景を盗まれる側の現代人の視点、『情景泥棒〜時空オデッセイ〜』は情景泥棒側の視点でストーリーが展開しないかなと思って書きました。こいつが何かミスを犯して、手に入れた情景も全部時空に落としちゃって、そのまま時空の歪みみたいなところに吸い込まれていっちゃう感じにしようと。

―曲の終盤<未来人は肉体を持たず>から呪文のようになっていきますが、山田さんはどのようなイメージで歌われました?

山田: まず『情景泥棒』の前編も後編もフィクションだから、感情をどこに移入したらいいのかというのはありました。後ろの音に乗せたときに出てくる自分の感覚で、勝手に山田将司がどうこぼれてくのかなという感じで歌っていたので、この<未来人は肉体を持たず>の部分は、どんどん渦に巻き込まれていくようなどこまでも溶けてしまうような感じで歌っています。

―その流れでくる最後の歪んだギターも情景を想起させます

菅波: その部分はだいぶギターを重ねました。それこそ20年間の4番打者が全員バットを振っている。とにかく重ねたらどうなるかみたいな感じで使っています。

―20年分の音が凝縮されているんですね。そして最後『光の螺旋』は、ハードロックやメタル寄りの曲。この曲が最後にあることで続いていく感があります

菅波: いいですよね。ドラマチックですし。ストレートのように見えて展開もあって。

山田: まだまだ駆け抜けてく感があって最後にふさわしいよね。

菅波: 一番突っ走ってる曲調の曲が最後って、なんか気持ちいいよね。

―ライブでも映えそうな曲です。そのツアーも始まりますが、名古屋はUNISON SQUARE GARDENと一緒にやられます

山田: エイプリルフールにね。たまたまだけど、ユニゾンとは名古屋でやることが多いよね。

菅波: 確かに。ユニゾンと早くやりたいな。

―どんなライブになるのか楽しみにしています。では最後に、そのライブへ向けて一言お願いします

山田: 『情景泥棒』の曲ももちろんやりますけど、今年結成20周年なので、それも全部含めた今のTHE BACK HORNのベスト感を見せられると思います。

菅波: しばらくTHE BACK HORNのライブへ行っていない人も今回は来てほしいですね。20周年だし祭りなので。『情景泥棒』はTHE BACK HORNをいつの時期から聴き始めた人もいいなときっと思ってもらえる作品になっていると思うし、昔の曲もいっぱいやるのでぜひ来てください!

THE BACK HORN『Running Away』 Music Video YouTube Ver.

■リリース情報

『情景泥棒』
Mini Album
2018.3.7 発売
初回限定盤(CD+DVD) 3,200円(+tax)
通常盤(CD) 2,000円(+tax)

■LIVE情報
THE BACK HORN 20th Anniversary
「KYO-MEI対バンツアー」〜情景泥棒〜
4月01日(日) 愛知 Zepp Nagoya
4月06日(金) 宮城 仙台PIT
4月08日(日) 北海道 Zepp Sapporo
4月15日(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
4月20 日(金) 新潟 LOTS
5月13日(日) 福岡 DRUM LOGOS

■オフィシャルWEB
http://thebackhorn.com/

■プロフィール
1998年結成。“KYO-MEI”という言葉をテーマに、聞く人の心をふるわせる音楽を届けていくというバンドの意思を掲げている。FUJI ROCK FESTIVALやROCK IN JAPAN FESTIVAL等でのメインステージ出演をはじめ、近年のロックフェスティバルでは欠かせないライブバンドとしての地位を確立。スペインや台湾ロックフェスティバルへの参加を皮切りに10数カ国で作品をリリースし海外にも進出。黒沢清監督映画『アカルイミライ』(2003年)主題歌『未来』や、紀里谷和明監督映画『CASSHERN』(2004年)挿入歌『レクイエム』など、そのオリジナリティ溢れる楽曲の世界観から映像作品やクリエイターとのコラボレーションも多数。2017年、第一弾シングルとして宇多田ヒカルとの共同プロデュース楽曲『あなたが待ってる』と第二弾シングル『孤独を繋いで』をリリースし、さらにベストアルバム『THE BACK HORN II』もリリース。秋には6年振り3度目となる日比谷野外大音楽堂のワンマンライブと、恒例のスペシャルイベント、マニアックヘブンツアーvol.11を初めてツアーとして開催。そして、バンド結成20周年を迎える2018年、インディーズ期以来となるミニアルバム『情景泥棒』を3月7日にリリースした。

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