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    月夜の下で、別れを告げて

LIVE REPORT ライブレポート

2017.3.24

百長
月夜の下で、別れを告げて

百長 5thシングル『月相/背中』リリースツアー『満月の心得』ファイナル名古屋編
2017.3.2(木) @池下CLUB UPSET

1月にリリースした『月相/背中』のリリースツアーファイナルを迎えた百長。入口の「百長」と書かれたのれんをくぐると、3人の描いたイラストが出迎える。天井には短冊付きの提灯が吊るされ、どことなく祭りの雰囲気が漂う。そしてこの日は、ツアーファイナルと同時にダルシムこと遠藤弘規(Ba)のラストステージでもあり、彼の最後の勇姿をひと目見ようと大勢の仲間やファンが駆けつけていた。

大きな満月を背に円陣が組まれると、青白いうっすらとした光の中『Tobari』が歌われる。表情が見えぬまま淡々と放つ言葉と、ベースの規則的な重低音が不気味さを醸す。大森貴太(Vo/Gt)の「今日はありがとう。百長です。よろしく。」の声を合図に『くろいよ』では一転し、ポップセンスな会場に。イントロが聴こえるとスイッチが入ったかのように体が動きだすオーディエンス。メンバーを真似て頭上で手を左右に振る動きを見せると、「わぁ!綺麗!」と三輪友里奈(Dr/Cho)から声が漏れる。独特な波打つリズムと、遊び心のある歌詞とサウンドは百長“らしさ”を感じ、アイコンタクトを何度もとる姿からも仲の良さが伺えた。

「今日はツアーファイナルに来てくれてありがとうございます。ベースのダルシムも今日が最後です。ダルシムの声も聴きたくありませんか!?」と三輪から告げられると、遠藤がギターを持ち、大森がベースを持つ。わっと大きな歓声が沸く。立ち位置も代わった一夜限定のスペシャルな構成に本人たちも少し落ち着かないようだったが、遠藤が慣れない様子を見せながらも自身が作った『最後の夜は躍らせて』、『いないいないばあ』の2曲を歌い上げる。曲の前後には曲の解説、そしておそらく初めてであろうMCを回すもなかなか上手くいかず。そんな姿を見た大森から「ボーカルって大変でしょ?」とツッコミが入り、笑いを誘う。楽曲も普段の百長とはまた異なるポップでドリーミーな空間にオーディエンスも自然と笑みがこぼれていた。

再び大森がマイクを握ると、思った以上にここまで早かったから1つ1つを噛みしめて。と、MCの緩さから一転し、『背中』では再び怪しさを放つベースラインが夜の不気味さを示す。そして「恋…ラブ。恋はいつもマヤカシ。悲しい…」と、1度聴いただけで、ぐっと引きつけられ、癖になるイントロが魅力な『マヤカシ』へ。真っ赤なスポットライトが、熱く燃える心臓の鼓動を示すかのように何度も何度も点滅を繰り返す。

「さぁ、どんどんいきますよ。」との言葉通り『ひとりなの夜』、『TOKYOCITY』と立て続けに披露。『月相』では大きく体を揺らしながらギタープレイを披露する大森。ここまでの曲を通して前半の深い夜のイメージから朝に向けて段々と明るくなっていくような印象を強く感じた。

次で最後の曲だと告げられると、あっという間に過ぎてゆく時間にフロアから「えー!」と残念がる声と共に「もう1周!」の声も。それだけ百長のライブは聴く人、見る人を虜にしてゆく。遠藤はこの日のステージが最後だけれども、バンド、音楽としてはこの先区切らず、止まらずに活動していくことを約束。

本編最後の1曲『夜行』では、サビに向けて明るさを増すギターサウンドが暗がりの夜に光る力強い一筋の光のように感じた。深く一礼し、大きな拍手で送られると3人の表情には悲しい様子はなくむしろ、全てを出し切ったとでもいうようなすがすがしい表情が非常に印象的だった。

アンコールでは遠藤がアクロバットをしてステージに再び登場。驚くオーディエンスと、「夢が叶った!!」と喜ぶ三輪。そんな百長のライブが気持ちよく終わるはずがなく、大森、三輪、遠藤の3人で奏でる最後の1曲『変貌』。3人がステージの中心に置かれた1本のマイクの前にぎゅっと集まり演奏する。そこにオーディエンスの手拍子も加わり、笑顔溢れる温かな空間に満たされる。ワンマンライブでしかできないこと、ワンマンライブだから見える景色。この1日が特別な日であることに間違いはないと改めて感じる1曲だった。

この3人でのライブの総集編かのように新旧の楽曲を織り交ぜながら行われたツアーファイナル。歌謡曲に近い孤独や空虚さ、懐かしさやあたたかさが共存する音楽に共鳴するように幅広い年代の人から支持されているのを改めて感じた。この先も百長の音楽は鳴り止むことなく、大勢の人を魅了し、その独自の世界に引き連れて行くのだろう。

文/伊藤成美 写真/前田達也(tatsuyamaedaphoto.tumblr.com)

■セットリスト
01.Tobari
02.くろいよ
03.蜜
04.野良になるとき
05.悪だくみをしている
06.しっちゃか
07.callgirl
08.最後の夜は躍らせて
09.いないいないばあ
10.背中
11.繭
12.告げ口
13.マヤカシ
14.その方へ
15.ふわふわ
16.ひとりなの今夜
17.TOKYOCITY
18.月相
19.夜行
(encore)
20.コピー&ペースト
21.灯り
22.変貌

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