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LIVE REPORT ライブレポート

2017.4.27

大真面目なイタズラ“AKAミソパニッククーデター”

AKAミソパニッククーデター
2017.3.15(水) @名古屋CLUB QUATTRO

名古屋を拠点に活動するミソッカス、ビレッジマンズストア両バンドが3年前に始めたガチンコ企画“AKAMISO”。過去2回は名古屋CLUB QUATTROでツーマンイベントとして開催されたが、本年はさらにPOTとバックドロップシンデレラというゲスト2組を迎えたネオ・バージョンにパワーアップ。 イベントSPECIAL対談でも語られたとおり、本年はミソッカスのレコ発でもあったこの日のイベントを余すところなくレポートした。

Earth, Wind & Fireの『September』に合わせて、ミラーボールが光りながら気分上々に登場したのは大阪よりPOT。ステージの4人が一気に鳴らした轟音につられるように多くの手が挙がり、『Sunday』のリズムに合わせて高いジャンプが会場を揺らす。イベント主旨や対バンのことにしっかりと触れるMCからも、フロアを本当によく観ながら演奏する様子からも、“一緒に楽しもう!”という素直な想いが伝わってくる。それにわかりやすく反応するフロアもたいがい楽しみたがりで、のっけから最高な空気感だ。

「今日は全国を股にかけるバンドが東名阪きれいに集まって、ミソッカスとビレッジマンズストアが居る名古屋を盛り上げに来ました。僕らとバックドロップシンデレラに名古屋やばいなって思わせて帰ってください!」というVo&Baよっぴーの挑発的なMCがフロアをたき付ける。そんな風に言われたらフロアも黙ってはいられないだろう。ぐいぐいと加速する熱量は一瞬も下がることなく、ラスト曲『COUNTDOWN』まで、早くもイベントの成功を予感させるような底抜けにハッピーな空間が広がった。

本イベント時、MV公開直後だったにも関わらず既にライブのキラーチューンとして凄まじいエネルギーを放っていた最新シングル『フェスだして』で始まったバックドロップシンデレラのステージは『台湾フォーチュン』のバチバチなストロボを受けてさらに加速。POTとはある意味対極のダークな空気感に一瞬で様変わりだ。だがそれもなんのその、そもそもジャンルにカテゴライズしたらPOTもミソッカスもビレッジマンズストアも全く異なる音楽性を持つもの同士。観客もそれぞれの楽しみ方で各バンドの雰囲気の変化さえも味わいながら楽しんでいる。

対バンへの愛情あふれるいじりや、お馴染み“つつある”のフロアにマイクが向けられたシンガロングを経て『COOLです』『だんご三兄弟』のカバーへと繋がる。バックドロップシンデレラのフロアにお情けお付き合い的なノリは一切存在せず、求心力の高いライブに煽動された運動量の激しいフロアには狂気を感じるほどだ。

かと思えば『さらば青春のパンク』の少しの切なさをはらむ歌詞にはグッと心を捕まれる。楽しいだけでは終わらない、ネガティブが一周回ってポジティブに昇華したようなライブバンドが提示する本気のお遊びは、いつも衝撃的で心地の良い余韻を残してくれる。“対バン殺し”バックドロップシンデレラのステージが後の2組にどんな影響となって表れるのか、ますます楽しみにさせてくれるような圧巻のパフォーマンスであった。

『夢の中ではない』のイントロに合わせ、待ってました!とばかりの手拍子がフロアから湧き起こる。求心力の高さならこのバンド、ビレッジマンズストアも負けてない。会場中が拳を高く突き上げた『スパナ』、村出身の田舎者の嘆きが共感を呼ぶ『ビレッジマンズ』と畳み掛けるような攻撃的なサウンドとは裏腹に、どこまでも聴く人の目線に寄り添い肯定するライブ運びはこの日も健在。ボーカルの水野ギイはいつも「俺があなたより目線の高いステージに立つのはあなたを見つけるためだ」と言う。自己主張の強い5人が照らすスポットライトは、いつでもステージではなくフロアに向いている。

「ミソッカスの曲をミソッカスより格好よくやったら、俺たちのが格好いいんじゃないの?って話です」と披露されたカバー曲は『ダンシングモンスター』。過去のAKAMISOでもお互いの楽曲カバーは恒例となっており、今回で3度目となるが、熱量高い歌、レスポールとシンラインのツインギター、一音一音を力強く刻むリズム隊のアンサンブルにかかれば、どんな曲もたちまちビレッジ色に染まる。

「ミソッカス、俺たちいつまでも殴り合っていような」と水野がMCで語りかけると、袖で観ていたデストロイはるきちが両手の親指を下に向けて応える。ライバルという言葉を象徴したみたいな展開に思わずにやついてしまう。ラスト曲『眠れぬ夜は自分のせい』まで途切れることのない煽情的なライブパフォーマンスは、この日いつにも増して抜群の切れ味を持って大トリのミソッカスへと放たれた。

熱量十分なはるきちの煽りが楽器隊の轟音と共にビリビリ響き、新曲『おぼろ月』でGtノブリルのギターの高音が炸裂する。「さっき偽者が真似事やってましたけど、本物聴きたいですか!?」と披露されたのは『ダンシングモンスター』。気持ちの良いバスドラのビートと裏ノリのリズム、サウンドの全てが“これぞミソッカス”と見せ付けるように堂々と演奏された。

ミソッカスが選んだビレッジマンズストアのカバー楽曲は『スパナ』。しかもこれが正統派なカバーではなく、バックドロップシンデレラ『台湾フォーチュン』のイントロとPOTの『Reversal World』のサビのフレーズもアレンジに加えたスペシャル仕様だ。はるきちが度々口に出していた「このイベントは3対1なんです」という言葉。このカバーは、それに戦う術としてミソッカスが出した答えそのもののように思えた。

持ち前の歌心と少しの哀愁が余すところなく発揮された『名城線』、『i wanna be a ハンサム』、そして本編ラスト曲『ワルイトモダチ』まで、少々長丁場なイベントにも関わらずフロアのお祭り騒ぎはラストになっても止まなかった。ミソッカスは楽曲もライブも、優しくて少し皮肉っぽくて、とても人間くさい。そこに共鳴した仲間がどんどん増えていくのは必然なのだろう。名古屋の大型サーキット・イベント“ミソフェス”も主催するミソッカスらしさが溢れる、等身大のステージでイベントのトリを華々しく彩ってくれた。

ミソッカスのアンコールではビレッジマンズストア水野ギイが呼び込まれ、はるきちと2人の楽屋を覗いたようなMCがざっくばらんに繰り広げられる。イタズラを大真面目に企てるような本イベント“AKAMISO”は、何だかんだ来年も開催するらしい。エンドロールはミソッカスが一昨年カバーしたビレッジマンズストア楽曲『僕を撃て』、そして『切り札はハートのエース』で幕を閉じた。腐れ縁と言ってもいいだろう、最も身近なライバル2組の睨み合いはまだまだ終わりそうにない。

文/小林 詩央里 写真/ナツミ(http://natsumi-live.tumblr.com/)

■セットリスト
—POT
01.Sunday
02.I Don’t Care
03.HAMABE
04.JODEL
05.I scream fuck’n day
06.Hustle Carnival
07.EPIC
08.COUNTDOWN

バックドロップシンデレラ
01.フェスだして
02.台湾フォーチュン
03.COOLです
04.だんご3兄弟
05.ブラスト和尚
06.月あかりウンザウンザを踊る
07.さらば青春のパンク
08.池袋でウンザウンザを踊る

ビレッジマンズストア
01. 夢の中ではない
02. スパナ
03. ビレッジマンズ
04. ユーレイ
05. ダンシングモンスター(ミソッカス カヴァー)
06. 逃げてくあの娘にゃ聴こえない
07. ロマンティックに火をつけて
08. 眠れぬ夜は自分のせい

ミソッカス
01. おぼろ月
02. ダンシングモンスター
03. HITSUJI SAVE ME
04. スパナ(ビレッジマンズストア カヴァー ※AKAミソパニ特別ver.)
05. 名城線
06. ム○ンライト伝説
07. i wanna be a ハンサム
08. ワルイトモダチ
(encore)
09.僕を撃て(ビレッジマンズストア水野ギイとコラボ)
10.切り札はハートのエース

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