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LIVE REPORT ライブレポート

2016.3.30

2016年3月15日(火)AKAMISO CITY BOMB Vol.2 ミソッカスvsビレッジマンズストア @名古屋CLUB QUATTRO

共に名古屋に拠点を置き活動を続ける同世代のバンド、ミソッカスとビレッジマンズストア。本年1月に新栄のライブハウス4会場で開催された、ミソッカス主催“ミソフェス2016”での熱演は記憶に新しい。そこでの両者は度々聞く“名古屋の観客は熱しにくく冷めにくい”という言い伝えを具現化するかのごとく、1000人キャパのダイアモンドホールの客席を圧倒的に味方につけ、県外から来たどの著名なメジャーバンドよりも“熱”を感じる会場を作り上げていた。そんな名古屋のバンドシーンに愛される2組によって開催された、昨年から2度目となるツーマンライブ “AKAMISO CITY BOMB Vol.2”。ボーカル同士のカラオケ対決により決定した出順にのっとり、先攻のミソッカスによって名古屋CLUB QUATTROのステージの幕は開かれた。

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不穏なコードと耳に残るキーボードリフ。1曲目『パパパ』からミソッカス節が炸裂する。大きなユニオンジャックを背負ったマイケルTHEドリーム(Key)の両手の拳を振り上げる煽りに会場も呼応し抜群のスタートダッシュを切ると、そのままなだれ込むように『B-B-B-Bourbon』へ。フラッシュバックに挙がる無数の手が透けて、『情熱のハッピーエンド』がドラマチックに響く。ミソッカスの代表曲でもあり、3月2日にリリースしたばかりのアルバム『追撃のフォークロア』のリードトラックでもある『マッドシュリンプス』のイントロが流れると歓声が起こり、後方の観客までジャンプし会場中が揺れる揺れる。いつもどこか俯瞰的な歌を歌う印象のミソッカスが、あくまで冷静に、しかし切実に主観的な想いを漏らすこの曲は、彼らの本音が垣間見えるようで胸を打たれる。

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ほぼノンストップで7曲を演り終えた頃には会場の熱気もすでに最高潮。デストロイはるきち(Vo/Gt)も「アカミソいいねー!名古屋のバンドが2バンドだけでこのQUATTROをいっぱいにするって、良くないっすか!?最高ですね!」と嬉しそう。同じ名古屋出身バンドがタッグを組むイベントを引き合いに出し「俺はいつかそいつらをビレッジマンズストアと組んでボコボコにしたいと思っている。そして、いつかビレッジマンズストアもボコボコにする」の言葉で一気に会場が沸く。はるきちがステージ袖に居るビレッジマンズストアのボーカル水野ギイとファイティングポーズをとって睨み合う一幕も。憎まれ口も躊躇なく叩き合えるのはお互いへのリスペクトと信頼関係があってこそなのだろう。

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昨年に続き、このイベントでは“お互いの楽曲をカバーし、その音源を来場者全員にプレゼント”という企画が行われた。ミソッカスが今年選んだビレッジマンズストアの楽曲は『眠れぬ夜は自分のせい』。はるきちがハンドマイクをとり演奏が始まると、疾走感のあるギターストロークから始まる原曲とはかけ離れたジャジーなイントロに会場がどよめくのを感じる。何でも、昨年ビレッジマンズストアがカバーしたミソッカス楽曲『CRユートピア計画』に感銘を受け、“今年は俺らも驚かせてやろう!”と意気込んで大胆なアレンジを加えたそうだ。

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後半戦に突入しても勢いは止まらない。毒気のあるポップさがミソッカスらしい『擦り切れた靴とロケット』から、『ゴーストシップラブストーリー』とダンスチューンが続き、ジャンボリー加藤(Dr/Cho)の体を芯から震わされるようなドラムソロ。『闇夜のキャラバン』はポップパンク風なパワーコードが印象的で、本当に型にはまらないと言うか、どんな要素も上手く自分たちの色にしてしまう柔軟さに感心する。次曲『愛しさと切なさと純情な感情』のタイトルもそうだが、ふざけているのか本気なのか分からない掴みどころのなさも不思議な魅力を惹き立てる要素のひとつと言えよう。

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歌謡曲を彷彿とさせる哀愁メロディが耳に残る『切り札はハートのエース』では、間奏のテンポアップにつられて会場が息を吹き返す。『SEXY DINAMITE』『ホリデイ』と立て続けにキラーチューンが放たれると、ブルマン藤井(Ba/Cho)は客席中央に飛び込みベースをかき鳴らし、ノブリル(Gt/Cho)はツーステップで煽りまくる。ラストスパート、メンバー全員大暴れだ。
熱い想いを包み隠さずさらけ出すビレッジマンズストアとは対比的に、ミソッカスというバンドからは、諦めにも似た悟りを感じることがある。煽り文句をけしかけていてもどこか淡々として冷静で、それは確かに彼らの魅力のひとつではあるのだが、“クールでクレバーなバンド”という印象が強かった。けれどもこの日の5人のステージはそんな印象とは真逆だった。70分間一度も立ち止まることなく、自身の体をめいっぱい使い、ノンストップで熱量丸出しのパフォーマンスを見せてくれたのだ。
それは今日という対バンがそうさせたのだろうか。もしかしたらミソッカスにとってビレッジマンズストアは、内に秘めた熱い気持ちも思わず引き出されてしまうような存在なのかも知れない。ラスト曲『ワルイトモダチ』を聴きながらそんなことを考え、思わず嬉しくなってしまった。

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暗転と共に大歓声が沸き、楽器隊4人が鳴らす地響きのような轟音の中、ボーカル水野ギイが首から白いファーを下げて登場。「はい。えー、ほの暗い穴ぐらの中から君の手を掴むためにやって来ました。この地球(ほし)で最もカッコいい音楽、ロックンロールを始めてもよろしいか!」とのおなじみの口上で抜群の存在感をアピールすると、『夢の中ではない』で真っ赤な5人のショータイムは始まった。サビで前列4人が一斉にステージギリギリまで飛び出すパフォーマンスは広いQUATTROのステージでも変わらぬ大迫力。お得意の祭囃子のリズムが映える『夜を走れ』では、「ソレソレ!」のコール&レスポンスで、会場の雰囲気は早くも完全に彼らに支配される。続く『MIZU-BUKKAKE-LONE』では「終わらない水のぶっかけ論」と嫌味と憤りが声高らかに歌われる。私たちの言葉にし難い感情を代弁し、行きどころのない鬱憤を晴らしてくれる。ビレッジマンズストアの怒りは優しさなのだ。終わってみればこの日唯一のバラード曲だった『ミラーボール』の美しいメロディと激情的な展開に観客はしっとりと聴き入る。その後の楽屋を覗いたかのような世間話的なメンバー全員MCでは“これがいつもケンカを売るようなライブをするバンドなのか”と言いたくなるようなギャップありまくりの一面が見えるのだが、ライブ定番曲『逃げてくあの娘にゃ聴こえない』が始まるとそんな雰囲気も一瞬で消え去った。メンバーの体を前後に揺らす振り付けに応えて、会場中も体をめいっぱい揺らす。ラストのフレーズをアレンジし「逃げてく貴様にゃ聴こえねえのさ!」のキメ台詞。やっぱり彼らのヒーロー感は伊達じゃない。

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続く『セブン』のテンポアップ共に熱気はさらに上昇し、「俺はミソッカスの曲が好きです、だからミソッカスを超したいです」と水野が語ると、彼らがカバーに選んだミソッカス楽曲『切り札はハートのエース』へ。双方が飛び道具のような歪んだツインギター、メロディの立つ低音、叫ぶようなラップも、原曲をブチ壊すかのごとく挟まれる『逃げてくあの娘にゃ聴こえない』のリフも、彼らのオリジナリティが確立されているからこそ違和感なく会場に受け入れられていた。

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前に進む気持ちが変わってしまうことの切なさとの狭間で裏腹に響く『変身』、タイトルに反してポップな『地獄のメロディ』でひときわ多くの手が挙がると、本編ラストは『眠れぬ夜は自分のせい』。ストレートな感情表現が無くとも真摯な想いを感じる、ビレッジマンズストア流ラブソングだ。憎まれ口は平気で叩くのに、こういうところは笑ってしまうほど遠まわしなところもビレッジらしくて良いよなあ。

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鳴りやまぬ拍手と歓声に応えたアンコール曲は『ロマンティックに火をつけて』。ラストにして火をつけられてしまった会場がそこで収まるはずもなく、ダブルアンコールではなんとミソッカスのはるきちとマイケルも登場する。曲名『キャデラック』と告げた瞬間、会場の喜びが爆発する様を体感した。総勢7人の贅沢なミソッカス楽曲カバー。3時間にも及ぶお祭り騒ぎは、とうとう一度もその熱度を下げることは無かった。

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ちなみに『キャデラック』のラストでは水野がはるきちの頬にキスをプレゼント。途端に会場からは悲鳴に近い歓声が沸き、はるきちも嬉しいんだか嫌なんだか照れてるんだかよく分からない複雑な表情。なんだか漫画のワンシーンみたいで微笑ましかったが、その空間は2組の関係性をそのまま現しているようだった。きっと来年も、ミソッカスとビレッジマンズストアは大真面目な茶番で私たちを笑わせ、突飛なアイディアで驚かせ、そして大きな感動を運んできてくれるに違いない。

文/八潮 凛 撮影/前田達也 (tatsuyamaedaphoto.tumblr.com)

■ライブを終えて、お互いのバンドへメッセージ

ミソッカス・ノブリル
2015年から始まったミソッカスとビレッジマンズストアのガチンコツーマン企画『AKAMISO CITY BOMB』は今回で第2回目。この1年間の間に何度か対バンはしている2組ですが、やはりツーマンとなると特別!それぞれがライバル心を剥き出しにして、現時点でのベストを出し切ったパフォーマンスを披露できたのではと思います!!ありがとう!!また来年!!

ビレッジマンズストア・水野ギイ
今までのミソッカスとの歴史の中で最高の1日になった。『AKAMISO CITY BOMB』は少しずつ着実に格好良く変わっていく名古屋を見られる絶好の機会だと思っている。おれ達はこれからも臭くけだるく、つまらないこの街で、君の遊び場を守って差し上げよう。君は目の前で笑っていてくれればいいのだ。センキュー

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