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LIVE REPORT ライブレポート

2017.5.8

all that jaz: 「9年間の集大成となる“終わり”と“始まり”のワンマンライブ」

all that jaz: 活動休止ワンマンライブ “Thank you for the last 9 years”
2017.3.25(土)@APOLLO BASE

“活動休止”。その4文字が現れたのは今年の1月末。あっという間に2ヶ月が経ち、2017年3月25日、『Thank you for the last 9 years』と称されたall that jaz:の無期限活動休止前ラストライブが新栄アポロベイスにて行われた。ある角度から見れば終わりのライブ、また違う角度から見れば始まりのライブ。本レポートでは彼らの9年間が詰まった終わりと始まりのワンマンライブの模様をお届けする。

大好きなバンドの“活動休止”という現実と共に過ごした2ヶ月間がどのようなものだったのかを物語るように、フロアに集まるオーディエンスの表情は様々で、みな彼らの楽器が置かれた真っ暗なステージを見つめ開演を待っていた。真っ暗なステージにあたたかい光が射し込むと、拍手に包まれながら江口健一郎(Ba)、植野康幸(Dr)、松島 穣(Gt)が順に登場。3人が定位置に着くと、大西崇泰(Vo)が両手を大きく広げながら姿を現わす。4人が揃ってステージに立つのは10月のワンマンライブぶりだ。ゆっくり楽器を手にすると大西が「all that jaz:です!よろしく!」と笑顔で言葉を飛ばし、それを合図に4人の音がライブハウス全体に響き渡る。

この音を待ってましたと言わんばかりにオーディエンスの表情はパッと明るくなり『Innocence』がライブの始まりを告げる。ライブハウスはあっという間に彼らの色に染められ、『生きる』『走馬燈』と途切れることなく続く。大西が笑顔で「今日この日が来るまでどんな気持ちでステージに立つのか分からなかった、でも、ただひたすら今だせる音楽であなた達を迎えたい!」と話す。オーディエンスも同じであったに違いない。どんな気持ちで彼らのライブを見ればいいのだろうかと。そんな思いを振り払うかのように大西は続ける。「音楽には人をワクワクさせる力があります。最高の音楽をつくりたい。心と体を揺らしてください」この言葉から始まった『鼓動』では、フロアにはあたたかい笑顔が咲き、オーディエンスは思うままに体を揺らす。

力強い植野のドラムからスタートした『「photograph」』。自然と手拍子が沸き起こり、楽しさが全身から溢れるかのようにメンバーが跳ねながら演奏をする。彼らに引っ張られるようにフロアも一緒に跳ね、会場全体が“楽しい!”そんな感情でいっぱいになっていた。
打って変わり、黄色と緑のライトの中、しっとりと始まった『小さな世界』。大西がしっかりと一人一人の目を見ながら、背中をそっと押すように、世界を変えるように、優しく歌う。「声を聴かせて」とフロアに投げかけると会場にはオーディエンスの歌声が響き渡った。フロアからの声を全身に吸い込ませると、ステージには少し照れくさそうな笑顔が溢れる。
一転し、ドラムの音が響くとワッと湧くような歓声が起き、彼らの代表曲『D.I.P.』を投下。「俺たちについてこい!名古屋!」と大西が叫び、唸るような松島のギターソロがフロアの心をぐっと惹きつけたかと思えば、江口が前のめりな演奏でフロアに噛みついていく。それに食らいつくようにフロアも拳をあげ、ぐんぐん熱量を上げていく。

数曲ごとに挟まれるMCは“自由”そのもの。9年間を懐かしんだり、江口の可愛さについて語る大西を江口が恥ずかしそうに眺めたり。このレポートだけでは書ききれないほどたくさんの話が繰り広げられた。ステージからフロアに何か言葉を飛ばすというよりは、ステージもフロアも関係なくみんなで話をしているような感覚。アットホームで愛のある空間であった。

最後のMCでは、それまでとは違う真剣な眼差しで大西が「またやれるかは分からないけど、またやりたいな」と、言葉を残した。無期限活動休止という言葉に希望の光が射す。まだ終わりじゃない、これで終わりじゃない。オーディエンスの心をそっと掬うように感じた。

松島、江口、植野が目を合わせ心を合わせ一気に音を鳴らし『ソングライト』が響く。今、この場でこのメンバーで音を鳴らしているのが嬉しくて幸せでたまらない、そんな表情で演奏する彼らにフロアの手拍子が華を添える。
最後は『Re:quest』。“何度も立ち上がろう”そんな思いが込められたこの曲は、オーディエンスの背中を強く押し、同時に彼ら自身の指針ともなっているようだった。フロアにはたくさんの拳があがり、会場は最高潮のまま本編は幕を閉じた。

4人がステージから捌けると、自然とアンコールを求める手拍子が沸き起こる。その手拍子に導かれるようにステージに戻ってきた江口が、「穣とやれて嬉しい!」と松島に向けて笑顔を溢すと、松島が自分のことについて話し始める。「自分の言っていることやっていることすべてが正しくないと思ってしまって。でも、今日俺たちがやってきたことは間違ってなかったって思えた」と。続くように大西が口を開く。「ファンの皆さん、家族、友達、本当にありがとう。最大級の愛を持って最後の曲を歌います。9年間ありがとう」。最大級の愛をもらったことのある人でないと持つことのできない最大級の愛、奏でられない音楽がそこにはあった。今ここにいること、ライブをしていること、この4人で音を鳴らしていることをしっかりと確かめながら『ひかりのありか』『たとえば手紙を書いたなら』の2曲を最後まで笑顔で演奏し彼らの音は鳴り止んだ。

と、思われたが、まだ終わってほしくないと願うようにフロアから手拍子が。その手拍子に呼ばれ嬉しそうに4人が再び登場し、この日2回目となる『D.I.P』を披露。「湿っぽく終わっても良かったんだけど、もしもう一回呼ばれたら『D.I.P』やろうと思って」と大西が語り、ステージもフロアもこの日一番の熱量に。松島、江口がステージ上を動き回り感情を吐き出すように演奏し、赤と白のライトが彼らを照らす光景は、彼らの新たな門出を祝うかのようであった。
4人がドラムの周りに集まり正真正銘彼らの最後の音を鳴らす。9年間を確かめるように。彼らの音が鳴り止むと、彼らはゆっくりと楽器を置き、深々と頭をさげる。彼らの9年間を、彼らの音楽を讃えるように鳴り止むことのない拍手が彼らを包みこんだ。彼らを支えた恩人もステージに呼び、彼らを加えた7人でしっかりと手を繋ぎ「9年間本当にありがとうございました!!」と頭を下げ、彼ららしく最高の笑顔で終わりを迎えた。“後悔はない”彼らの笑顔からとても清々しい思いを感じることができた。

9年間という月日の中で、彼らがオーディエンスに与えたものは単なる音楽ではなかっただろう。また、彼らが喜びや苦悩の中で得たものも言葉で表せるような単純なものではなかったに違いない。2017年3月25日(土)、彼らの音楽はライブハウスから私たちの胸の中へとステージを変えた。ステージが変わっただけであり、彼らの音楽が鳴り止むことはない。彼らの音楽と少しの期待を胸に、今はそれぞれ新しい道へと進む彼らの門出を最大級の愛で祝福したい。

9年間お疲れ様、そして、たくさんの愛をありがとう。

文/hono 写真/ナツミ(http://natsumi-live.tumblr.com/)

—ライブを終えて
大西崇泰(Vo/Gt)
一つの季節が終わった。そんな風に表現するのが一番しっくりきます。バンドがある事が当たり前であり、生活の中心でした。今は穏やかだけど少し物足りない…、そんな日々を送っています。活動のない日々が、自分達がやってきた事の価値を確かなものにしてくれています。とても大切で尊い9年間だったんだなぁ。
活動休止が決まった時、その瞬間から全てを投げ出したかったけれど、ワンマンライブという区切りをつけて良かった。たくさんの愛情を頂きました。それが誇りになり、新しい未来に向かう糧になっています。本当にありがとう。
これからのオザジャのこと、自分のこと。確かなことは何も言えないけど、また会う日に胸を張れる自分でいます。またね!

松島 穣(Gt)
終わった直後は抜け殻だったけれど、少しずつ新たな未来へ歩み始めています。
色んな後ろめたさはあったのだけど、とにかく”楽しい一日”にしたいと思っていた。しみったれた話をしようと思えば沢山できたんだけどさ(笑)。
その願い通り楽しくて楽しくて…全然悲しい気持ちになんかならなかったけど、アンコールの「たとえば手紙を書いたなら」の途中で突然涙がこみ上げてしまい後ろ向いてしまったな。誰にもバレたくなかったから。
あんなにもたくさんの人に見届けてもらえるとはな。遠いところから、長い間ずっと応援し続けてくれた人達、仲間のバンドマン、関係者の皆様、親戚一同(僕以外のメンバーの。笑)、本当にたくさんの人にall that jaz:は愛されていました!
あの日、本当に皆が愛しくて仕方がなかったよ。ありがとう。
またいつか会えたらいいね。

江口 健一郎(Ba)
活動休止ワンマンライブを終えておよそ1ヶ月が過ぎました。
今はall that jaz:のバンド活動が無い生活を過ごし、日々新しい事に挑戦&目標に向けて戦っています。
2017.3.25 活動休止ワンマンライブを終えて今思う事は、あのライブは自分の中でバンド史上”最好”のライブでした。あの日を一緒に過ごしたメンバー、スタッフ、お客さんの顔は一生忘れる事はないと思います。
またall that jaz:のメンバー4人でステージに立つ時、俺達は元気な顔を見せるのでその時はまた元気な顔を見せに来て下さいね。
改めて9年間all that jaz:に関わって下さった皆様、本当にありがとうございました。

植野 康幸(Dr)
活動休止のワンマンライブが終わって今までの時間、いろんな意味で凄く長く感じたかな。
活動してた時に出来なかったことを沢山しようと、食べたい物を食べまくったり、仕事入れまくってお金を稼いだり、会えてなかった友人と会って飲みまくって沢山語った。
オザジャで9年、ドラム始めて18年。
バンドを辞めてたことなんて1回もなかったから空虚な感じもあったけど、語る度に3.25のあの景色をまた見たいしそれ以上のものをまだ見るって思った。
あんなに愛してくれて、そんな景色を見せてくれて、これからの未来にも自信と気力をくれた支えてくれたファンの方々、対バンした仲間達、ライブハウスの方々、関係者各位スタッフの方々、感謝しかないです。ありがとうございました。
そして今は亡き母。
恥かしながら、留まる事なく身を削っても母が支えてくれたから、どんな無理も出来たと今は思います。集大成という表現を亡くなる前に見届けてもらえて本当によかった。

■セットリスト
01.Innocence
02.生きる
03.走馬燈
04.鼓動
05.花、芽吹く。
06.810
07.『photograph』
08.小さな世界
09.D.I.P
10.独りよがり
11.街と結晶と対比の世界
12.ボーイフレンド
13.夜の終わり
14.リビドー
15.明日待ち
16.碧眼
17.螺旋、月に舞う。
18.ソングライト
19.命の証明
20.Re:quest
(encore)
21.ひかりのありか
22.たとえば手紙を書いたなら
(W encore)
23.D.I.P

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