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LIVE REPORT ライブレポート

2017.4.3

ビレッジマンズストア
真紅に染まった、誰もが憧れるステージ

ビレッジマンズストア『正しい夜明け』リリースツアー
2017.1.28(土) @DIAMOND HALL

入り口に所狭しと飾られた真紅の薔薇の花束やバルーンを見ながら、ダイアモンドホールの内装が真っ赤なことさえも、今日の為の演出だったのではないかと感じた。誰もここに彼らが辿り着くとは思ってもいなかったし、発表されてからでさえも成功するとは思われていなかったと、本人たちは話していたが、誰もがきっと、この日の成功を心の何処かで確信していたし、その予感を遥かに超える形でそれは実現されることとなる。ビレッジマンズストア、キャリア最大キャパでのワンマンライブ「正しい夜明け」ツアーファイナル。全てが赤一色に染まった、素晴らしい1日だった。

暗転して直ぐに起こった大歓声。会場は概ね満員といってもいいような状態で、何よりもそこに渦巻く熱気が凄まじい。ライトに照らされながらゆっくりとフラッグが降りてきて、真っ赤なライトが乱れ咲き始める。そんな中で一際存在感を放つ真白のファーを巻いた男・水野ギイ(Vo)が「ただいま名古屋!貴様を見つけに来たぞ、ダイアモンドホール!」と叫んだのを皮切りに怒涛の勢いで『WENDY』へ突入。少しだけ上擦った声に、破裂しそうな興奮感。地元のバンドがこれだけの人に迎えられている事実に胸がカッと熱くなる。圧倒的なスケールを持ち合わせた楽曲は満場のオーディエンスを待ち侘びていたかのように堂々と鳴り響き、音の1つ1つがその場で熱量に変わっていく様は清々しく思えるほどだ。

暴走機関車のようなビートでフロアを縦に揺らしたかと思えば、マイク片手にオーディエンスを焚き付け、盛大なシンガロングを巻き起こす。「名古屋だけの、超名古屋のバンド・ビレッジマンズストアだぜ!」と吠えるようにして音をぶっ放していく5人は、ひしひしとした気合を感じさせながらも一切浮かれきってはなく、今日という日が飛び道具的な1日ではなくて、バンドにとって、ちゃんと地続きの物語上にあるのだということを改めて実感させられた。
『盗人』ではそれぞれの技量をキラリと光らせたソロまわしでメンバーを紹介し、『SITTO in the sky』では、以前は成功しなかったという“SITTOダンス”を「今、あんたら信用してるからやります!」と最高に気持ち良さそうな笑顔でぶちかましていく。気持ちが浮き立つようなロックビートにのせて、オーディエンスも汗だくで笑っていたのが印象的だった。

息を切らしながら「改めましてビレッジマンズストアです、よろしくー!凄くない?あのビレッジマンズストアがこれだけ集めるって凄くない?」と興奮気味に話す水野。猛反対され続け、不安になることも(本人たち曰く、この場をUPSETに変えられないかと考えていたそう)あったが、いざ当日を迎えてみれば、目の前に居るのはいつも通りの笑顔をみせる沢山のオーディエンス。「見たか名古屋のバンドマン、クソ野郎!」と満面の笑みで憎まれ口を叩く水野をみて、様々な思いを交錯させながらLIVEを見ていた仲間達もお尻を蹴っとばされるような心地がしたことだろう。「名古屋のシーンを面白く出来るのは、俺らとお前らだけ!」と満遍なく発破をかける彼らの想いが伝わったのか、大歓声で応えるフロアも何とも心強い。

「面白く出来るって約束出来るかい?」と問い掛けた水野が「ツアーで覚えた卑怯技」wall of deathを繰り出した『車上A・RA・SHI』、たまらずにクラウドサーファーが飛び出した『ユーレイ』など破竹の勢いで曲を鳴らし続け、「楽しんでるかい?ダイブって…!しにくくない?俺らの曲」と笑顔をみせたメンバー。水野が「会場が大きくても小さくても、俺らの言うことは変わらんよ。あと半分で俺らをぶち殺すことが出来る?」と叫ぶと、溢れんばかりの熱意を持ってレスポンスするフロア。着火チューンでもある『夢の中ではない』でギアが入ったフロアを前後に左右にと揺らしまくり、続く『ビレッジマンズ』では「まだ行けるよなダイア⁉」とさらなる熱狂を要求。会場のボルテージは天井知らずに引き上げられていく。

大騒ぎのフロアを前に、「ギター合戦ってのがあるんだけど知ってる?それにあなたも参加して欲しいんだけどいける?」と問い掛けた水野。それを合図に入り口で配布された風船がライブハウスのあちこちで膨らみ始め、一瞬でバンドからは想像も出来ないようなファンシーな景色が出来上がる。「ビレッジマンズストアのギターを殺すことが出来ますかeverybody?」と煽られ一斉にバルーンが飛び立つと、楽しいことが大好きな5人らしい演出に、オーディエンスも童心にかえって笑顔をみせた。

水野はずっと、自分が何処か可笑しいと思っていたのだという。その皮肉のつもりでアルバムを出したのだと。でもそんな彼がツアーを回って実際に目にしたのは、自分の作り出した音楽で沢山の人が笑い泣いて、熱狂する姿。オーディエンスからすれば救われたと思っていても、実際にその姿は何よりも彼自身を救って来たのではないだろうか。「もうビビらんよ。この光景をみて“正しい”以外の言葉が出てきますか?お前が腐りかけていた俺らにくれた正しさです。有難う」という言葉を聞いて、思わず目頭が熱くなったのは、きっとそれが彼の心からの言葉だったからだ。

オーディエンスに肯定された自分の言葉で、水野は「学校終わって、仕事終わって、ダイアモンドホールの階段登ってくる姿が正しいって俺たちが証明してあげたいと思うの。その為に、俺たちは歌い続けるからね」と続けた。もうLIVEも終盤戦。新曲では自分の魂を分けるように、深くまで入り込んで歌う姿も。いよいよ最後の曲だという時、マイクをぎゅっと握った水野は「俺たち一緒にいれば、楽しくやってけるような気がするんだ!」と話した。そして本編ラストを飾ったのは『PINK』。ライブハウスが再び血の通った音で満たされて行くのを体感して、ステージの光を受けて輝く5人はやっぱり何処の誰よりも格好良い、正真正銘のスーパーヒーローだと思った。

「俺たちと君の場所、ライブハウスでまた会おうぜ!」と約束を交わした彼らを祝福するようにイメージカラーとも言える真っ赤なテープが飛び出したダブルアンコールまで、全22曲を駆け抜けるように披露した彼ら。着実に一歩ずつ進んで来たバンドが、こんな風に愛されて、夢を叶えていく。衰退していると言われつつある音楽シーンにおいても、彼らのような存在は大きな希望になっていくのではないだろうか。鮮烈な赤を纏ったヒーロー達は、今の鬱屈とした現実でさえも変えてしまえるかもしれない。そんな確信を抱かせる、愛と痛快さと、そしてロックンロールに満ちた、忘れがたい一夜だった。

文/渡辺真綾 写真/前田達也(tatsuyamaedaphoto.tumblr.com)

■セットリスト
01.WENDY
02.逃げてくあの娘にゃ聴こえない
03.セブン
04.スパナ
05.僕を撃て
06.盗人
07.SITTO in the sky
08.車上A・RA・SHI
09.ユーレイ
10.ビデオガール
11.夢の中ではない
12.ビレッジマンズ
13.MIZU-BUKKAKE-LONE
14.ミラーボール
15.最後の日曜日
16.正しい夜明け
17.変身
18.帰れないふたり
19.PINK
(encore)
20.ロマンティックに火をつけて
21.地獄のメロディ
(w encore)
22.眠れぬ夜は自分のせい

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