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ライター T-Friends

2017.12.15

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ビレッジマンズストアLIVE DVD『正しい夜遊び』リリースツアーファイナル

2017.9.23(土) @Electric Lady Land

ビレッジマンズストア DVD『正しい夜遊び』ツアーファイナル・リベンジ・ワンマン

本年1月に、当初誰しもが難しいと感じていた名古屋ダイアモンドホールでのワンマンを大成功させたビレッジマンズストア。彼らが次の名古屋ワンマンの場所として選んだのは、2年前に開催された『刃の上を君と行く』ツアーファイナルでチケットを完売させられなかったElectric Lady Landだった。この2年間で、CDリリースも含め活発な活動、挑戦を続けてきたビレッジマンズストアの今の立ち位置は、誰の目から見ても“大躍進”と言って過言ではないだろう。その成果は、この日のSOLD OUTとしてもしっかり目に見えた。かつては狭いライブハウスが似合うと言われていた5人もこの日は満員の観客から登場を心待ちにされ、すっかり華やかな照明と広いステージが似合う出で立ちで、堂々と、しかし気負いのない様子でステージに登場した。

名古屋でライブをする際にしばしば「ただいま」と言う水野ギイの冒頭の言葉は、この日は「おかえり」だった。あとのMCによると“君が作った遊び場におかえり”という意味を込めていたそうだ。『WENDY』のイントロに合わせ会場がぱっと明るく照らされると、フロア中に一気に笑顔が溢れる。『セブン』『夢の中ではない』『車上A・RA・SHI』『スパナ』と立て続けに爆発力の高い楽曲が繰り出される様子は“これは本当にワンマンか?ブッキングイベントの30分セットリストなのでは?”と錯覚するほどのスタートダッシュだ(結果的にアンコール含め2時間弱のロングセットをフルスピードで駆け抜ける様は爽快だった!)。

切なさの宿るポップナンバー『最後の日曜日』でひときわハッピーな空気に満たされた会場は、続くMCのゆるい空気で朗らかな笑いに変わる。Electric Lady Landと、大須という街へのエピソードを語るメンバーの姿から、この地で各々が紡いできた生活、そしてバンド活動の軌跡がうっすらと見て取れるようだ。

「ここにある全部は俺たちのものだよな、名古屋!」と水野が叫ぶと、『ザ・ワールド・イズ・マイン』のイントロが鳴る。この曲は12月6日にリリースしたシングルに再録されることが後に明らかになったが、演奏された時点ではまだ公表されていない。長い間眠っていたこの曲がワンマンツアーで再び演奏され、再録となった理由は、水野曰く「『ザ・ワールド・イズ・マイン』を岩ちゃんのギターで聴きたかった」からだそうだ。10年以上前に作られた若さゆえの鋭さがむき出しの楽曲も、年月を経てこその妖艶さと渋みが加わり、一味、いや、全く異なる表情に彩られる。

ライブでのおなじみとなったキラーチューン『ビレッジマンズ』でこれでもかというくらいのフロアの揺れが、後半戦の始まりを思わせる。続く『正しい夜明け』はダイアモンドホールで初披露されて以来、“ここぞ!”というライブでこそ演奏される勝負曲。昨年11月にリリースされたミニアルバムの作品タイトルでもある“正しい夜明け”、水野はこの言葉を皮肉の意味でつけたこと、本当は全然正しくないと思っていたことを明かし、そんな自分に本当の意味での“正しい夜明け”を教えてくれたファンに対する感謝を述べた。

このワンマンのトピックのひとつは間違いなくシングル『TRAP』のリリース発表と当日披露だった。「次出す曲は僕の汚い部分を全部出しました。受け止めてくれますか!?」という言葉で始まったタイトル楽曲『トラップ』の力強いビートは、もちろん初演奏にも関わらず多くの観客の拳を突き上げさせ、今後のライブでの成熟が早くも楽しみになるほどの盛り上がりを見せる。これも後に分かることだが、本ワンマンの1週間後にギター加納靖識の脱退が発表される。そんなタイミングで作られた『トラップ』という挑戦的な楽曲は、バンドに立ち込めるかも知れない暗雲、ファンの悲しみ、それらを払拭する“武器”でもあったのかも知れない。間奏から曲のラストまで、真っ赤な神輿に乗った水野がフロアに繰り出し煽りまくる姿も印象的だった。

『逃げてくあの娘にゃ聴こえない』では岩原、加納の両ギターが楽器を抱えたままダイブし、観客の頭上でギターをかき鳴らす。本編ラスト曲『PINK』のイントロが鳴り始めると、夜の街のネオンのような派手なピンク色が頭に浮かんだ。ピンクという色を“赤が薄まった”“生々しい色”と表現するのは水野独特の感覚で、曲冒頭の言葉“汚い青春を続けましょう”という口上にもその感覚はよく表れている。感情の高まりはそのまま音に乗り、フロアの熱を最後の一秒まで下げさせない。

アンコールで登場した水野は「どっちが前だか分からなくなっちゃって、人が言うほうとか明るいほうに向かってたけど、前がどこか分かったよ。あんたがいるほうなんですわ」と言った。ビレッジマンズストアの前に進もうとする覚悟には、執念に似たものを感じることがある。その意思は、岩原の「止まる気はない。死ぬ思いでお前たちのもとに俺たちの音楽を届けるからな!」という言葉にもはっきりと表れていた。ダブルアンコールで演奏された曲のとおり、彼らは自分たちの“お試し期間は終わった”と思っているのかも知れない。そして、寄り添う人の居場所を必死に愚直に守りながら戦い続けていくのだろう。

文/八潮 凛 写真/前田達也(tatsuyamaedaphoto.tumblr.com)

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