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LIVE REPORT ライブレポート

2016.5.16

じめっとした空気を吹き飛ばすため、“あなた”の隣で歌う夜

Bob is Sick×ab initio×ドラマストア 五月病ボクメツアー 名古屋編 @新栄CLUB ROCK'N'ROLL

Bob is Sick、ab initio、ドラマストアという新しいシーンを切り拓く次世代バンドが集まり開催された“五月病ボクメツアー”。初日の名古屋編は、Half time Oldをゲストに招いての4マン形式。5月のじめっとした空気を吹き飛ばしてしまおうというコンセプトの下、沢山の人がライブハウスに足を運んでいた。

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トップバッターを務めたのは名古屋のバンド、Half time Old。「こんばんは、名古屋の皆さん! 近いね、近いね! 届きますように、伝わりますように。『前略、8月2日より』」と元気よく飛び出した鬼頭 大晴(Vo/Gt)の声でスタート。いつもよりも距離感の近いステージで気合が入ったのか、1発目から弦が切れるというトラブルがありながらも、メンバーもオーディエンスも楽しくて仕方がないといった表情で身体を揺らす。

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ファンキーなギターフレーズが耳を惹く『YouRay』で彼らの持つポップパワーを存分に味あわせた後、ツアー初日のトップバッターを任されたということの意味を言葉にして噛み締める鬼頭。「最後までこの4人と一緒に楽しんで下さい!」と笑顔で言葉を締めくくった。轟音がとどろく中、『ウェイバーモンキー』で会場の空気をぎゅっと引き締め、「あなたの退屈に歌います!」と『Mr.パトリオット』を披露すると、LIVEは『21世紀にも鐘は鳴る』の柔らかな祝祭空間へ。「多少辛いことがあっても、どうか貴方の人生に音楽が溢れていますように」という祈りが込もった言葉でオーディエンスを照らし出し、彼らのステージは幕を閉じた。

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続くは東京から、ab initio。ステージに上がるやいなや、SHIMBASHI熊田(Dr)がシャウト。その勢いにつられるようにフロアのボルテージは急上昇する。そんな賑やかさから一転。静謐な音を奏でながら、「実は今日、誕生日なんですよね…」と呟いた宮崎 優人(Vo/Gt)。歌が始まる! と身構えていたフロアを大いに沸かせ、“この曲からやりたかった”という『君がいたからできた歌』へ。友達に話しかけるような人懐っこさで一瞬でオーディエンスの懐に飛び込むと、初めからいきなりシンガロングを巻き起こす。「五月病ボクメツアー、来てくれてありがとー!ドラマストアとBob is Sickのボーカルを撲滅したいと思いまーす!」と熊田が叫び、突っ込まれる天真爛漫な一面を見せつつも、一度音楽が鳴り始めるとオーディエンスは一瞬で彼らの作り出す陽のパワーに高揚させられていく。

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透明感のあるブルーに染まったステージで、「好きな方に行ったら良いと思うよ」という言葉が優しく響いた『銀河鉄道』を披露すると、フロアはしっとりとした空気に。そこで再び熊田が“ボクメツ”C&Rをハイテンションに挟み、一瞬でまたフロアのボルテージは頂点へ。上がったテンションをそのままに、『サーチライト』、『エンターテイナー』でLIVEはクライマックスを迎えた。「一緒に笑いたいよな、名古屋。一緒に笑おう!」と呼び掛ける彼らの声に手を引かれるような、笑顔に溢れたハッピーなステージだった。

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3番手は関西発のギターロックバンド、ドラマストア。「良い音楽だけ歌いに来ました!大阪のドラマストアです。宜しく!」と言う長谷川 海(Vo/Gt)の声を皮切りに、爽やかなメロディーが心地良い『アポロ』でスタート。ab initioの熊田が作り出した流れに乗り、“ボクメツ”コールを巻き起こすと、「あなた達と一緒に音楽をやりにきました」と、少年性を秘めたまま音と無邪気に戯れているような『ファンタジスタ』、ファルセット混じりの声が美しい『ガラス越しのラブソング』とこの日だけのドラマを描き出していく。

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「改めまして、大阪のドラマストアと言います。全箇所で3バンドとも良い音楽だけ鳴らして帰るので、宜しくお願いします!」と長谷川が話すと、“大切なことは全て その心で決めていくんだ”というメッセージが力強い『After Beat』へ。真っ赤に染まったステージでは、4人の生み出す音が意思を持った生き物のように絡み合っていた。今回がリリースツアーのセミファイナルだったドラマストア、大事なツアーの終わりを共に締めくくる2バンドへの想いは特別なものがあるのだろう。長谷川が、少し照れながらも「バンドとしても人としても好きな彼らと、どんどん想いを深めながら回るツアーに一緒について来てほしい」と話す姿の中には、2バンドへの確かな愛情があった。「五月病ツアーを終えたその先で、また会えた時にこの3バンドの話をたくさんしましょう」。それぞれが進んで行った先に、きっとそんな日が待っている。最後を飾った『Messenger』には、そう確信出来るほどの力強い希望が息づいていた。

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トリを飾るのは名古屋のバンド、Bob is Sick。「お待たせしました。名古屋の、ロックンロールのBob is Sickです。準備できてる? 楽しんでいこう、盛り上がっていこう!」と久世 悠喜(Vo/Gt)が開幕宣言をすると、SEも流さずに一気に『音沙汰』の疾走感溢れるイントロへと雪崩れ込む。“泥だんごのようだ”と息ぴったりに歌ってみせた『Di』、『生きて』を経て、「良い日でしょ、単純に」と口を開いた久世。お返しと言わんばかりに熊田を弄ると、「最後まで楽しんでいこうね」とオーディエンスに笑いかけた。

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ゆったりと揺蕩うような音が流れ出すと、久世は言葉を紡ぐように話し始めた。彼のテンポで少しずつ紡がれていくのは、Bob is Sickの核でもある“歌”への想い。自らも苦しんで、誰かの言葉に救われたからこそ、今度は痛みを知っている彼らの言葉が誰かを照らす光に変わる。そこには歌を届けるバンドとしての、確固たる意思があった。『アル』、『君と話がしたい』と徐々にグルーヴを高め、「本当に仲間が出来るのって奇跡的なことだと思います。そんな仲間を離したくないという想いを込めて歌います』と披露されたのは『ホームに立って』。大勢ではなく、ただ1人の為に歌われる歌は、どこまでもオーディエンスの隣で“あなたの為の歌”として鳴り響いていた。「この曲が終わったら。限りなく皆は自由。自由なLIVEをしてください」という、彼らの信念とも言える言葉と共に、最後に届けられたのは、4人とオーディエンスの伸びやかな歌声が天井を突き抜けるように思えた『ここからはじめよう』。繋いだ音楽の力が、誰かの始まりの一歩になっていれば良い。「何度だって始めましょう。Bob is Sickでした」とステージを後にした彼らを見送る精一杯の拍手を聴いていると、そう思わずにはいられなかった。

直ぐに起こったアンコールで熊田と2人で登場した久世。まるで漫才のような会話を繰り広げ、最後に「1曲だけ、やります」と披露されたのは『拝啓、すれ違い』。歌詞を間違えて少し長くなるトラブルがありつつも、最後はステージもフロアも関係なしに全員が笑顔になっている、彼ららしい、誰も置き去りにしないLIVEだった。

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今回のツアーは、どんな風にも育っていける可能性に満ちた3バンドがメインとなって引っ張っていくというものだ。これからを変えていくパワーに溢れた彼らのLIVEには、“目の前の貴方が少しでも笑顔になってくれれば”という共通した想いがあった。“貴方の為の歌”を歌い続ける彼らの歌が、沢山の人に届いて笑顔の連鎖を生み出していく。それはもう、あまり遠い未来のことではないのかもしれない。

文/渡辺真綾 写真/前田達也(tatsuyamaedaphoto.tumblr.com)

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■LIVEを終えて…

先輩方も名古屋の皆も最高でした。
Bob is Sick
ab initio
ドラマストア
本当に呼んでくれてありがとうございました!

Half time Old 鬼頭(Vo/Gt)

名古屋大好き。
4/29は誕生日だから覚えとけー!!
ボブちゃん、ドラちゃん、アブちゃん、ゲストのハフちゃん
ありがとう!大好き。

ab intio 宮崎(Vo/Gt)

五月病ボクメツアー 名古屋編!
来てくれたみんなありがとう!!
3バンドで一緒にやるのは初めてやったけど、みんな大好きや!
あと2本、もう終わるのが寂しいと思うくらい大切な仲間になりそうです。

ドラマストア 長谷川(Vo/Gt)

仲間と呼べる人との出会いでしょう。

Bob is Sick久世(Vo/Gt)

■セットリスト

Half time Old
1.前略、8月2日より
2.You Ray
3.ウェイバーモンキー
4.Mr.パトリオット
5.21世紀にも鐘は鳴る

ab initio
1.君がいたからできた歌
2.あさがおの歌
3.銀河鉄道
4.サーチライト
5.エンターテイナー

ドラマストア
1.アポロ
2.ファンタジスタ
3.ガラス越しのラブソング
4.After Beat
5.Messenger

Bob is Sick
1.音沙汰
2.Di
3.生きて
4.アル
5.君と話がしたい
6.ホームに立って
7.ここからはじめよう
(encore)
8.拝啓、すれ違い

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