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ライター T-Friends

2017.1.4

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cinema staff 前衛懐古主義 part.1 名古屋編

2016.11.22(火) @名古屋CLUB QUATTRO

過去を通して見つめる未来

cinema staffが、インディーズ時代にリリースされた楽曲縛りのワンマンライブを開催した。これまで何度も演奏してきた曲を集めたセットリストということもあってか、計算された緻密な堅実さと、経験からくる自由な遊び心が共存していた当日のライブハウス。このレポートでは、その「前衛懐古主義 part.1 名古屋編」の模様をお届けする。

定刻通りに照明が落ちると場内に歓声が響き渡る。強い個性を重ね合わせるように音を鳴らし、「俺たちが岐阜県から来ました、cinema staffです!」と三島想平(Ba)が高らかに宣言。普段以上にアグレッシブな音像が鼓膜を震わせるなか、『AMK HOLLIC』へとなだれ込む。1曲目から相当な気合いを入れて臨んでいたオーディエンスの熱意に火を付けられたのか、開始早々に辻 友貴(Gt)がフロアへダイブ。久野洋平(Dr)と三島が作り出す音の流れを器用に乗りこなしながら、不意に激情をのぞかせる飯田瑞規(Vo/Gt)のボーカリゼーションも、時を重ねるほどに熱を帯びていく。

「この街から先に進むためにシネマはやってきた!」と三島が叫び、肌を焦がす焦燥感はそのままに『想像力』を披露。現在/過去曲に関わらず、フロアから伝わってくるのは、一途に彼らの楽曲が好きだという想い。そんなフロアに対し彼らもキレのあるプレイで応酬する。怒涛の3連発から一息つくように「今日は前衛懐古主義 part.1 名古屋編。皆さん来てくれてありがとう!」と笑顔で話した飯田。「地元でテンション上がってるのは、2曲目で辻くんがダイブしたから分かると思うけど…」と笑い声で言い、再び音の渦に飛び込むように『ローリング』へ。

ひと時も油断できない密度で次々と音を放ち、目まぐるしく空間を塗り替えていく4人。音色のコントラストが瞬間ごとの色合いをくっきりと浮かび上がらせ、1曲の中でも様々な感情が巻き起こっては去っていく。「昔の曲といっても、今の自分たちでやってるし、今の気持ちでやってるから」と飯田も言っていたが、過去曲にある、純朴ゆえの無垢な衝動と現在の技術力・表現力が最高の形で絡み合い、聴いたことのある楽曲でさえも、全く新しいものとして奏でられているように感じた。

「どんどんいきます」と静かに告げた飯田から、澄み切ったカッティングを合図に、『バイタルサイン』『Truth under the imagination』と続けて披露。曲中に閉じ込めた想いを具現化するように、声は切実さを増してオーディエンスの感情を揺さぶっていく。『部室にて』で軽やかに言葉を紡いだかと思えば、『妄想回路』では振り絞るように絶叫する三島と丁寧に音階を行き来する飯田が美しい響きを織り成す。ノンストップで届けられる渾身のプレイに、フロアは身じろぎも出来ないほどに魅了されていた。音が止み、一拍開けて盛大な拍手を送るオーディエンス。思わず手を叩くのを忘れてしまうほど、彼らの演奏には鬼気迫るものがあった。

今回のLIVEで披露している楽曲の8、9割は大学時代に作った曲だという三島。何年もの時を経て「皆さんの前で演奏出来ていることをとても嬉しく思う」と話し、青春を送った場所に唯一のインスト曲である『水平線は夜動く』を捧げるように奏で出す。三島がアコギを搔き鳴らし、柔らかな音がシャワーの様にフロアへと降り注ぐ。曲を追うごとに徐々に音が開けていき、イントロから歓声が起こった『ニトロ』では「大阪の方が声が大きいな!」と挑発されたオーディエンスが高らかなシンガロングを巻き起こす場面も。珍しく声を枯らしてシャウトした飯田も、満面の笑みでフロアを見渡していた。

MCでは仲の良さを存分に感じさせるトークでオーディエンスを笑わせつつ、「Part.1ってことは、Part.2もやらなきゃね」と続編を予感させる発言も飛び出す。基本的に飯田と辻が交互にリズム隊の2人に突っ込まれながら会話が回っていたのだが、それはまるで、普段の4人を想起させるような和やかなものだった。三島の「あと僅かになってきました。もうちょっとだけガツンとやって、“懐古主義”したいと思います」という言葉から、LIVEは怒涛のラストスパート。

合言葉のように「混ざっていけ…!」と飯田が叫び、『poltergeist』、『優しくしないで』と、4人は余力を全て注ぎ込むように洗練したプレイを重ねていく。フロアも磨き上げられた音を全身で受け止め、感情を即座に動きに反映させながらライブハウス自体のボルテージを際限なく引き上げる。三島が「俺たちの名前は!岐阜から来ました、cinema staff!またどこかのライブハウスで会いましょう!」と興奮が滲む声で叫び、堂々のラストを飾るのは『GATE』。

辻がテクニカルに演奏を始めれば、オーディエンスに合図するかのように視線を送った飯田。意図を汲み取ったフロアが4人と掛け合うように歌声を響かせ、その声に誘発されるようにメンバーも喜びを爆発させていく。再びフロアに飛び込んだ辻の無邪気な笑顔が象徴していたように、純粋にcinema staffの音楽が好きなオーディエンスと、LIVEという特別な遊び場を楽しむ天才たちが巡り合ったのが、このLIVEだったのだろう。長く続いた拍手が、それを証明するようにいつまでも響いていた。

アンコールで久野は「今日いっぱい古い曲やったけど、最新のcinema staffが1番格好良いってこれからも思わせ続けるんで!」と宣言した。そして最新EPから『エゴ』を演奏したのだが、そこで改めて確信したのは、“最新型のcinema staffが1番格好良い”ということ。過去曲に込められたエモーショナルな激情を塗り替えてしまうほどの硬質で美しいメロディーと、それを裏付ける確かなグルーヴ。沢山の思い入れを抱え込んだ楽曲をも越えて行けるほど、今の彼らが作る楽曲には脂が乗っている。まだまだバンドの道のりは続いていく。結果的に、過去を振り返ることで未来がくっきりと浮かび上がるような、そんな一夜だった。

文/渡辺真綾 写真/ナツミ(http://natsumi-live.tumblr.com/)

■セットリスト
01.AMK HOLLIC
02.チェンジアップ
03.想像力
04.ローリング
05.シンメトリズム
06.Boys Will Be Scrap
07.第12感
08.バイタルサイン
09.Truth under the imagination
10.サイクル
11.部室にて
12.妄想回路
13.制裁は僕に下る
14.水平線は夜動く
15.daybreak syndrome
16.君になりたい
17.ニトロ
18.poltergeist
19.優しくしないで
20.KARAKURI in the skywalkers
21.GATE
(encore)
22.エゴ

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