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ライター T-Friends

2018.4.25

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cinema staff 前衛懐古主義 part2 名古屋編

2018.3.23(金) @名古屋CLUB QUATTRO

2016年に初開催されてから2年、2018年3月23日(金)の名古屋CLUB QUATTROは、『前衛懐古主義』が再び開催されることを待ちわびていたオーディエンで埋め尽くされていた。本レポートは、当時のcinema staffを懐かしみ、現在のcinema staffの輝きを目の当たりにした『前衛懐古主義part2』の模様を存分にお届けする。

大きく掲げられたcinema staffのバックドロップに光があたり、SEが流れ始めると、待ちきれないと言わんばかりにオーディエンスの拍手が一斉に鳴り響く。それに呼ばれるように久野洋平(Dr)、三島想平(Ba)、飯田瑞規(Vo/Gt)が登場し定位置に着くと、少し遅れて辻友貴(Gt)が力強い眼差しでステージに姿を現した。すぐに楽器を手にすると、彼らは溢れ出す感情を音に乗せて吐き出すように搔き鳴らしていく。飯田の「cinema staffです、演奏を開始します」の言葉を皮切りに前衛懐古主義はスタートした。

最初の曲は『白い砂漠のマーチ』。演奏が始まると同時にオーディエンスは拳を突き上げ、一気に熱量を上げていく。三島のコーラスが飯田の歌声に乗り、続けて辻がステージから身を乗り出す。一瞬たりとも見逃せない聴き逃せないライブパフォーマンスに、オーディエンスの心は序盤から彼らに鷲掴みされているようだった。
軽快なタンバリンのリズムに、跳ねるようなギターが重なり始まったのは『棺とカーテン』。朝を思わせるような青や緑のさわやかなライトの下、三島のベースと辻のギターが激しく鳴り響く。辻がギターを天高く掲げれば、オーディエンスからは最高の笑顔と共に大きな歓声があがる。自然と湧くように溢れ出した手拍子は、ステージの上にいる彼らだけがこのライブを作っているのではなく、会場にいるオーディエンスと全員で作り出していると示しているようであった。

「前衛懐古主義part2、なんで3本にしちゃったんだろうね」と言う飯田に、「part2の”part2”しちゃう?」と返す久野。飯田と久野の軽快なMCにライブハウス全体が笑みで溢れ、激しく、カッコいいライブからは想像がつかないほど、アットホームな彼らの姿がステージに溢れていた。
飯田が「今日は噛み締めながら、ゆっくり、じっくり、心だけこちらに向けてもらって、最後まで楽しんでいってください」そう真っ直ぐに告げ始まったのは『Seattle meets realism』。タワーレコード特典のみで出したというこの楽曲、当時から彼らを見てきたファンはもちろん、なかなか聴く機会のない楽曲に、胸が踊ったオーディエンスも多かったことだろう。

気がつけば15曲が終了し、MCでは今回のライブで演奏された楽曲が作られた当時を振り返った話に花が咲く。大学生の頃、スタジオに0時から5時まで篭っていたことや、サークルの話など、前衛懐古主義という名前の通り、昔のことを懐かしんでいた。
あっという間に後半戦へと突入し、「ついてこい!!」力強い飯田の言葉から始まった『奇跡』。ステージもフロアも、より一層熱気を帯び、オーディエンスはcinema staffという音楽に突き動かされるように、手をステージに向け挙げていく。立て続けに『WARP』が始まると、オーディエンスからは大きな歓声があがり、跳ねるように体と心を揺らし、駆け抜けていく。
演奏が終わると、飯田がゆっくりと話し始める。当時「cinema staffの武器は何?」と聞かれたときに答えられず悔しい思いをしたこと。今なら歌詞も音楽も全部だと胸を張って言えること。そう思えるようになったのはライブに来てくれる人がいたからだということ。そして、音楽は聴く人のその時々の気持ちに左右されるものであり、その気持ちと音楽がガチッとはまった時に一番響くものだということ。

「今はガチッとはまりそうですか?」そんな問いかけと共に飯田にスポットライトが当たり「into the green」へ。久野の力強いドラムが飯田の歌声を支え、辻はオーディエンス一人一人の目をみて何かを伝えるようにギターを鳴らす。ステージとフロア、互いに背中を押すようなあたたかく力強いライブを緑色のライトが包み込んでいた。音が鳴り止むと三島が「俺たちは岐阜県から来たcinema staff!」と叫び、ハーモニカを響かせる。本編最後の曲『海について』が始まると、青いライトの中に白い光が差し込み、まるで深海から希望の光を見ているような空間に。その光に向かってフロアから弾けるように手が挙げられ、辻も大きな口を開け叫ぶようにオーディエンスに応える。飯田は片手でマイクをしっかりと握り、届けと願うように言葉を飛ばしていく。音が鳴り止み、彼らがステージから捌けるまで、オーディエンスの心はぎゅっと掴まれたままであった。

大きな拍手は彼らを呼ぶアンコールの拍手へと変わる。一息おいて、三島が落ち着いた表情で話し始める。「悔しい時期に、辛かった時期に作った曲を今になって聴きに来てくれる。その当時の負のエネルギーを新たなエネルギーにして残すことができていることがとても幸せ」と。アンコール、正真正銘最後の曲は『HYPER CHANT』。当時の曲を締めくくる彼らの最新曲。ステージもフロアも明るく照らされ、フロアから湧き起こる手拍子は彼らにありがとうと伝えるようであった。〈ひとつになれるなら 声枯れたって 涙枯れたって この旗をずっと掲げ続けよう〉と大きな合唱が起き、ステージとフロアなんていう位置関係なんて取っ払って、一人一人の背景をも全部包み込んで一緒に前へと進んでいくかのような暖かさがライブハウス全体に溢れていた。

前衛懐古主義は、当時から彼らを見てきたファンはもちろん、その当時を知らないファン、そしてcinema staff彼ら自身にとっても普段のライブとは異なる特別なものとなったのではないだろうか。よく“過去は振り返るな、前を向け”という言葉を耳にする。だが彼らはあえて過去を振り返り、当時感じた悔しさや辛さを思い出す。そして、それを新たなエネルギーへと変えて前へ進む。それがcinema staffの武器なんだなと今日のライブを観て実感した。

文/hono 写真/ヤオタケシ(@takeshiyao)

■セットリスト
01.白い砂漠のマーチ
02.火傷
03.super throw
04.her method
05.skeleton
06.明晰夢
07.さよなら、メルツ
08.棺とカーテン
09.Seattle meets realism
10.You Equal Me
11.cockpit
12.warszawa
13.錆のテーマ
14.実験室
15.savage me
16.奇跡
17.WARP
18.小説家
19.どうやら
20.into the green
21.海について
(encore)
22. HYPER CHANT

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