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LIVE REPORT ライブレポート

2016.7.25

誰よりも近くで輝く、一番星のような存在

LUCCI 1Kより愛をこめてTour2016 GRAND FINAL
2016.7.8 @Electric Lady Land

名古屋で活動しているバンドなら、誰もが一度は立ちたいと願うステージ、Electric Lady Land。アルバムのリリース以来、全国のライブハウスで熱演を重ねてきたLUCCIが、ついに地元名古屋の大舞台に、大好きな先輩を引き連れて帰ってきた。GRAND FINALと名付けられたLIVEはもちろんソールドアウト。大きな会場には、彼らに“おかえり”を伝えるべく、沢山のオーディエンスが集まった。

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トップバッターを務めたのは、sumika。黒田隼之介(Gt/Cho)、荒井智之(Dr)、小川貴之(Key/Cho)、片岡健太(Vo/Gt)の4人が姿を見せ、メンバー1人ずつ視線を重ねると、『ソーダ』を弾き語りで歌い出す。「もう一方通行なのは俺、嫌なんだよね。あなたがたとバンドを組むために来ました。切り込み隊長sumikaです!よろしく!!」と威勢良く挨拶を決め、自身も元気よく動き回りながら、オーディエンスと笑顔で会話するように音を鳴らしていく片岡。フロアもステージも関係なく、1つのLIVEを作り上げてしまうのがsumika流だ。『ふっかつのじゅもん』が終わる頃には、ライブハウス全体が楽し気な雰囲気に包まれた。

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「あなたがたの音があって成り立つ歌です!」と披露した『Lovers』では、オーディエンスの手拍子を楽器に加えて、ハッピーなメロディーを奏でてみせる。ふっと小川が落ち着いたメロディーを奏で出すと、しっとりした空気が流れるステージ。続いて披露されたのは、ストレートに響く声が胸を刺す『sara』。オーディエンスは鳴っている音に身を委ねて、瞬きを忘れてしまったかのようにじっと聴き入っている。声や音色はもちろん、感情を込めながら演奏する4人の姿に心を奪われたオーディエンスも多かったのではないだろうか。

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居心地の良いゆったりとした雰囲気のなか、「1年前か。俺のせいでLUCCIのイベントを飛ばしてしまいました」と話し出した片岡。彼には、声が出ずに休養していた時期があり、丁度その時期にLUCCIのイベントが重なっていたのだ。「1年経ったら、ライブハウスが大きくなってました。凄いよね。LUCCIが積み重ねてきたものだ」と素直に感動を口にすると、今年もまた呼んでくれたことへの感謝を示す。少し呼吸を置き、「本当に幸せだったら音楽は要らないと思うんだ」と言葉を続け、「本当に幸せで、あなたが音楽を必要としていないのなら、ライブハウスに来なくたって良い。でも、何かに負けそうな時は、いつでも帰ってこられるような“sumika”を作って、おかえりもいってらっしゃいも言える場所を作って、ドアを開けているから」と、フロアを見渡しながら話した片岡。優しさも、温もりも全てを込めて話される言葉が、じんわりとフロアに沁み渡る。「マイナスの気持ちを少しでもプラスに出来ますように。いってらっしゃいも、おかえりも、愛してますも、全部をこの5文字にこめて歌いたいと思います。切り込み隊長、sumikaでした!」と言葉を締めくくると、『「伝言歌」』を最後のプレゼントを贈るように歌い出す。何度も繰り返される《伝えたい》という言葉。「あなたがたの番だ!」と片岡が叫ぶと、受け取った愛情に応えるように、オーディエンスは最大級のシンガロングを響かせる。「今日、2016年7月8日に大きなしおりを挟むように、今日を何度でも思い出して頑張れますように。俺たちは音楽の力を信じてる。いってらっしゃい。sumikaでした」と最後までフロアと心を通わせて、「愛してます!」と叫ぶとステージを後にしたsumika。音楽の力が生み出したプラスの感情を端々に感じられる、熱のこもったアクトだった。

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音出しからフロアの期待を集めた、My Hair is Bad。椎木知仁(Vo/Gt)、山本大樹(Ba/Cho)、山田 淳(Dr)の3人が気合を込めた声出しを行うと、椎木が「LUCCI、ツアーファイナルおめでとう!LUCCIのお祝いに!LUCCIより良いLIVEをしに来ました!」と親しみを込めた生意気さで開幕を宣言。熱い想いを音に変換してぶっ放す『アフターアワー』でLIVEをスタートさせた。一気に前へと詰め寄ったオーディエンスは、彼らの放つ熱に触れてハイスピードで熱量を高めていく。

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『愛ゆえに』を、歌詞とは裏腹に胸がすくようなリズム感で奏でると、「大切な日に大切な歌を、心を込めて歌います」と告げ、『真赤』を歌いだす。冒頭のゆったりとしたメロディーから、徐々に熱が入っていくボーカル。情感の滲む純朴な声は、聞き手の心に入り込んで、がっしりと感情を揺さぶっていく。ステージ上で素の感情を爆発させる彼らを見ていると、普段はしまい込んでいる感情までも、表に出てきてしまうのだろう。最初は静かにステージを見つめていたオーディエンスも、気づけば熱く拳を突き上げていた。『元彼氏として』を披露し、「新潟県、上越市から来ましたMy Hair is Badです」といつも通りの自己紹介を挟んで、sumikaと、ひいては今日の主役であるLUCCIと対バン出来る喜びを口にした椎木。関係の深い2バンドとの対バンで気合いが入っていたのか、フロアにギリギリまで近づいて、自分の意思をはっきりと言葉で直接伝えている姿が印象的だった。

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言葉にこめた熱量が限界まで高まると、転がり出すように『フロムナウオン』へ。“あくまで自分の人生なんだから、自分で決めろ”。一貫して自身の主義を曲げない椎木の言葉には、聴き手を納得させられるだけの、掴みとってきた現実が詰め込まれている。「1個教えてやる!大事なのは、たった1つの覚悟だ!」と最後に言い切るころには、オーディエンスも即興で“今”の気持ちをぶつけた3人に応えるように、真っ直ぐな瞳でステージを見つめていた。短いMCの後に『卒業』を奏で、椎木はLUCCIへの想いを楽しげに話し出す。家族ぐるみならぬ、バンドぐるみの気の置けない関係が垣間見えて、思わず頬が緩んでしまう瞬間も。ただ、そこで仲の良さにあぐらをかかないのが彼らの信念。「格好良いバンドがいてくれることが凄く嬉しいです。負けたくないって思います」と、ライバル心を覗かせて、真っ白なライトが陽の光のようにステージを包み込む中、自分の生きる時代を歌に刻み付けるように『戦争を知らない大人たち』を歌いだした。つま先立ちでマイクに食らいつくように言葉を吐き出す椎木。伸びやかに広がる歌声は、ライブハウスに祈りを捧げるように、どこまでも柔らかく響いていく。「LUCCI、ありがとう!My Hair is Badでした!絶対またライブハウスに来い!」と精一杯の声でメッセージを放つと、残った体力を吐き出すかの如く『クリサンセマム』をドロップ。最後に「これからもLUCCIと名古屋のライブハウスをお願いします」と告げ、オーディエンスにライブハウスの未来を託してステージを降りた3人。一瞬も気を抜くことなく、言葉でバンドの生き様を全て刻み付けるような迫真のステージは幕を降ろした。

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トリを飾るのは、頼もしく成長して帰ってきたLUCCI。オーディエンスの手拍子に迎え入れられて三浦弦太(Vo/Gt)、仲西 新(Gt/Cho)、中神怜華(Ba)、長崎 慎(Dr)が笑顔で登場すると、4人は確かめるように手のひらを重ね、定位置へ。今から記念すべきLIVEが始まるという、期待感と緊張感が入り混じった空気のなか、「1Kより愛を込めてリリースツアーファイナル、名古屋E.L.L。ただいま!でっかいトリ、取りに来ました!」と三浦が高らかに言い放つと、4人は雪崩れ込むように『二十歳』を奏で出した。一斉に笑顔でハンズアップするオーディエンス。「1Kより愛を込めて、ツアーファイナル。ソールドアウトです!ありがとうございます!!」と満面の笑みで口にした三浦。目を輝かせてステージを見つめるフロアに、「皆さんにお願いをしたいんですけど、聞いてくれますか?」と手拍子を求めると、小気味良いリズムが会場いっぱいに生み出され、「最高の景色が広がってます!」と話す口調にも興奮が滲む。

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『オンリーミー』を奏で、メロディーにのせて「笑って行こうぜ」と口ずさむと、流れ出したのは『愛は真心、恋は下心』の印象的なギターフレーズ。ステージから溢れる「楽しいね!」という感情が伝染し、オーディエンスは身体を揺らして音を楽しんでいる。不意に落ち着いたギターの音色が響くと、「長くバンドをやっていると、自分が変われているのか、周りが変わっているのか分からなくなります」と話し出した三浦。いつも変わらずに側に居てくれる家族の話へと言葉は続き、「皆さんの街や家の周りの景色と重ねながら聞いて下さい」と告げると、和やかで暖かい雰囲気の中『帰り道』、そして『春になったら』を披露した。音に感情を込めて景色を描き出すようにメロディーを紡ぐ彼ら。不器用で優しい声はそれぞれにとっての特別な景色を鮮明に思い浮かべさせてくれる。

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久しぶりの披露となった『ピエロ』を奏で終わると、彼は再び口を開いた。「3マン、出来て嬉しいけど、どんどん大きくなってきた2つの背中。勝手に嫉妬して、でもやっぱり変わらなくて。好きって言ってくれることで、LUCCIやってて良かったと思えました。僕の部屋で、僕のためだけに書いた曲。それが、せめてあなたの歌になってたら良いなって思います」。三浦が届けようとするのは、どこまでも等身大な言葉。下手な飾りが邪魔をしない分、彼の言葉はとてもシンプルに心の中まで入り込む。真っ直ぐな声音はそのままに『ミサンガ』を歌い上げると、高い熱量で数曲演奏し、ステージは熱を吐き出し切ったかのように静まり返った。

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静寂を破るように話し始め、「500人だって。凄い人数だ…」と噛みしめるように呟く。そして「もういいたいことは全部言ってしまった気がします」と晴れやかな表情で笑ってみせる三浦。彼らは、自分たちの全てを音楽でオーディエンスに伝えてきた。それは自分の心の中を丸裸にして見せるということでもあり、三浦は、もはや隠さなければいけないものなど何もないと感じたのだろう。「仲良くしてても、良いとこ全部先輩が持ってっちゃう、そんな気持ち。いつもそうやって人と比べて、自分が現状こんな位置にいることの言い訳にしちゃう癖がある!妬み精神がはびこって、どうしようもない。すげえ普通なんだ、僕は」と、赤裸々に心情を吐き出した。ただ、彼らの良さは、普段通りの自分達でステージに立ち、オーディエンスに近い存在として音楽を鳴らし続けられること。「今は、500人の前に立ってる。ここにバンドマンとして立っている。夢があることだと思いませんか?皆さんが何に悩んでるかなんて、全然知らないけど…。1つだけ確かなのは音楽が好きってことじゃないの?音楽は冴えない奴の味方であってほしい。冴えないなりに生きてきた道があるんだって歌いに来たんです。LUCCI、皆さんにどう見えているかは分からないけど、ハイパー格好いいバンドだと思ってます。どうだ!」と、堂々と言葉を締めくくった三浦の姿に、勇気付けられたオーディエンスも多かったに違いない。最後に演奏した『FROG』では、感情の高まりを表すように、大音量でクラップが鳴り響いていた。

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直ぐに巻き起こった拍手に応えて、来てくれたことへの感謝をオーディエンスに伝えると、初めて演奏するという新曲、『ボーイフレンド』をサプライズで披露した。三浦が「これが本当にラストだ!次の曲があなたのこれからにもっともっと届きますように!」と叫び、最後を飾ったのは『Q&A』。全力疾走で音を鳴らしきると、4人は弾けるような笑顔で熱演を締めくくった。情けなさも、がむしゃらな気持ちも、音楽にして鳴らし続けてきた彼ら。自分と近い存在に思えるバンドが憧れの舞台に立っているという事実は、オーディエンスにとって何よりも嬉しく、励みになったはずだ。彼ら自身、もがきながらも、その姿でオーディエンスにパワーを与えられる、一番星のような存在に成りつつあるLUCCI。輝きを増す彼らの行く先を、これからも見続けていきたいと思える一夜だった。

文/渡辺 真綾 写真/前田達也(tatsuyamaedaphoto.tumblr.com)

■セットリスト
―sumika
1.ソーダ
2.ふっかつのじゅもん
3.Lovers
4.sara
5.溶けた体温、蕩けた魔法
6.「伝言歌」

―My Hair is Bad
1.アフターアワー
2.愛ゆえに
3.真赤
4.元彼氏として
5.フロムナウオン
6.卒業
7.戦争を知らない大人たち
8.クリサンセマム

―LUCCI
1.二十歳
2.君の明日に
3.良い人止まり
4.鈍感でいようぜ
5.オンリーミー
6.愛は真心、恋は下心
7.帰り道
8.春になったら
9.ピエロ
10.ミサンガ
11.夏の終わり
12.Good-Bye
13.FROG
(encore)
14.ボーイフレンド(新曲)
15.Q&A

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