1. HOME
  2. LIVE REPORT
  3. 完璧なエンターテイナーが見せた、本音と信頼の証

LIVE REPORT ライブレポート

2016.12.14

完璧なエンターテイナーが見せた、本音と信頼の証

鳴ル銅鑼 東名阪ワンマンツアー「文明開化」名古屋編
2016.11.20(日) @新栄 CLUB ROCK’N’ROLL

初体験で溢れていた「閃鳴ワンマン」から一年弱。鳴ル銅鑼が新作『文明開化』を引っさげたワンマンツアーを開催した。記念碑的な意味を持っていた前回とは違い、今回のツアーは地道に良い音楽を重ね、少しずつ動員を増やしてきた彼らの足跡を証明するようなスケジュール。その中でも早々にソールドアウトを記録した名古屋公演は、第二の地元というのもあってか、特別な色合いを醸し出していたように思う。

和傘で飾られたステージに次々と姿を現した蒲 信介(六弦)、岩ってぃ(太鼓)、グローバル徹(四弦)の3人。最後に恭しく一礼した三輪和也(唄/六弦)が「クラブロックンロール、高まっていきましょう。僕たちが岐阜の鳴ル銅鑼です」と告げ、開幕を告げるように『独立宣言』へと流れ込む。光に包まれるような高揚感の中、嬉しそうな笑顔でフロアを見つめ、そのままメンバーと顔を見合わせた三輪。思わず漏れた感情を共有するような瞬間に、現在のバンドの関係の良さがそのまま現れているように思えた。

嬉しさが爆発していたスタートから、少しずつ曲と表情をシンクロさせるように『躾』を奏で、「今日は特別な1日にするため、みんなで楽しんでいきましょう!と、いうわけで…どんどん曲を投下してもよろしいでしょうか?」とオーディエンスをあおる。『狂わせたいの』『化学舞踊』と酔いを誘うように演奏を重ね、1つの巨大な生き物さながらに揺れるフロアを艶やかに魅了した。

今回のワンマンライブは、ずっとお世話になっているロックンロールへの恩返しも兼ねているのだとか。いつもは話さないグローバル、岩ってぃも交えて、ステージを降りた後の素顔が垣間見えるひと時を過ごし、「本編に戻りたいと思います。準備出来てますか!」と蒲が叫ぶと、加速度を増した4人は集まった人々を翻弄するように『俗』へと突入。夜の空気にも似たしっとりした雰囲気の中で『フィクション』を歌い上げ、曲の持つ流麗さを具現化した三輪の声は滑らかにフロアを駆け巡る。
彼らの音楽は感性を研ぎ澄ませて放たれる、芸術作品のようなもの。それを知っているからか、畳み掛けるように次々と楽曲が披露されていく中で、受け取り手であるオーディエンスも自然と高い集中力でステージと対峙していく。お互いに尊敬の念を抱きながら、音楽を軸にして向かい合う両者の関係はどこまでも純粋で美しく映った。

お馴染み『阿』のコール&レスポンスから、LIVEは後半戦。「思いっきり行くよ、名古屋!」と三輪が軽やかに熱狂空間へと誘い、曲間には興奮したざわめきが聞こえるほどの盛り上がりを見せる。『文句』では、自然と巻き起こったシンガロングに対して「全部聞こえてたよ」とメンバーが破顔するシーンも。高めてきたテンションを最大出力で爆発させるようなひと時に、誰もが最高の笑顔を浮かべていた。

“自分たちの音楽は、今日1日じゃなく、今までの積み重ねで出来たもの”。そうして時を重ねて行く中で、自分自身の心境の変化も実感しているのだと三輪は話す。それは自分たちの音楽を聴いてくれるみんなのお陰だと思っていると伝えた上で、「それでも反骨精神は忘れたくない」と不敵に微笑み、その言葉を形どるように『軽蔑』へ。混沌とした世界を横目に駆ける姿が浮かぶこの曲は、確固とした信念を感じさせる彼らにとても良く映えていた。

妖しい響きを帯びた『D-N-A』、リズミカルなクラップがライブハウスを満たした『この世の全て』と新譜から立て続けに披露し、『夢の痕』では少しの動きで壊れてしまいそうな、繊細な静寂を描き出す。まるで白昼夢を見ているかのような感覚を覚えた頃、三輪が「早いもので、もうすぐ今日という日は終わります」と口を開いた。彼は“芸術は外に出すことで初めて意味を持つけれど、それは楽なことでは無い”と本音を漏らすように話し、それでもメンバーや聴いてくれる人の存在が自分にとっての芸術である、音楽を続ける意味になっているのだと真摯に感謝を告げる。「今日が終わるのは、怖いことかもしれない。でも、何かを始めるには、何かを壊さなきゃいけない」といつかの自分にも言い聞かせるように呟き、本編最後に届けたのは、バンド自身にとっても“希望の唄”である『四季彩』。閉じ込められていた場所から飛び出していけるような、明るいエネルギーを感じさせる同曲は、“共に輝いて行こう”と誓った彼らを祝福するように響いていた。

アンコールで三輪は、「昨日僕が親友だと思っている友達が、バンドを解散すると発表しました」と話し出した。物作りをする人間として、沢山会話を重ねた人が辞めてしまう事実は、自分にとっても恐怖を感じさせることだったという。LIVEを重ねるごとに身体が磨り減っていることを実感していると告げた上で、“続けていたい”、“辞めたら忘れられてしまうのかな”と日頃から抱える身を切られるような心情を吐露していく三輪。そんな中、彼は“みんなには自分たちの姿を、最後まで見届けて欲しいと思います”と真っ直ぐに告げた。「まだ辞めらんないなって思います。だから、聴くことを諦めないで欲しい。僕のアートを、僕ら4人の芸術を」と言葉を締めくくると、全てを曲で伝えるように『叙情』へと繋ぐ。

いつでも彼らはきっと、終わりが来ることを覚悟した上で、全身全霊をかけて音楽を奏でているのだろう。切実な声音で《壊れてしまう 運命だ》と歌い上げる姿を見ていると、ふとそんなことが頭をよぎった。ただ、そんな“運命”すらも変えてしまえるほどの深度でオーディエンスと結びつきを強めているのが今の鳴ル銅鑼。ダブルアンコールで披露された『悲愴』が、決まり切った運命をぶち壊す、決意を込めた狼煙のようにも思えた。

文/渡辺真綾 写真/なかむらあかり(http://nrdrin.wixsite.com/meri-photo)

■セットリスト
01.独立宣言
02.躾
03.秋宵
04.狂わせたいの
05.化学舞踊
06.俗
07.フィクション
08.不埒な女
09.禁断の果実
10.阿
11.文句
12.軽蔑
13.D-N-A
14.御局美人
15.この世の全て
16.夢の痕
17.四季彩
(encore)
18.叙情
(w encore)
19.悲愴

  •  
  •  

< LIVE 一覧へ戻る

他のライブレポを読む

▲トップへ戻る