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LIVE REPORT ライブレポート

2016.11.22

岐阜のヒーローが作り上げた、超地域密着型フェスティバル 前半

cinema staff presents OOPARTS 2016
2016.10.22(土) @GIFU CLUB-G

地元は誰にとっても特別なものだ。その土地の言葉を聞いて、懐かしさに胸が疼いたり、違う景色によく見知った何処かを重ねたりしてしまうような。そんな“故郷”で1年に1度、大きなお祭りを開いているバンドがいる。岐阜のバンド、cinema staffにとって大切な地元、岐阜CLUB-Gにて今年で4回目となるOOPARTS 2016を10月22日(土)に開催した。その土地の色合いや温かさを濃縮して集めた、秘密基地のような場所に、先行物販から駆けつけたファンも思わず歓声を上げる大きなフラッグが掲げられ、いよいよ待ちに待った1日が始まる。

cinema staff 三島想平(Ba)による「OOPARTS 2016、開催!」との宣言の後、同郷であるクリエーターscott allenによる紗幕に幾何学的な模様を駆使した映像作品が投影される。“何が始まるんだろう?”とじっとスクリーンを見つめるオーディエンスの前に映し出されるのは、「WELCOME TO GIFU」の文字。

彼らの故郷へやって来たことを実感していると、同郷のルーキー Shift controlが少し緊張した面持ちで登場し、期待に満ちたライブハウスにスタートの音を鳴り響かせる。煌びやかなライトが彩りを添える中、感情を剥き出しにして言葉を吐き出す浅野暢之(Vo/Gt)。「東京でも大阪でも名古屋でもなく、岐阜でバンドをやっていて良かった」と話す彼らにとって、cinema staffは地元のヒーローのような先輩なのだろう。短い瞬間に全てを込めて、フロアへと放つ姿には“格好良い所を見せたい”という気概が滲んでいた。

攻めの姿勢から一転、暗く溜まり込んだ想いを吐き出すように『マジックアワー』を奏で、「この30分という時間で僕たちはあなた達に衝撃を与えにきました!」と浅野が叫ぶ。ただ演奏をするだけでは終われないと言わんばかりに、『おまけ』、そして、彼らの代表曲『アウトライン』へ。畳み掛けるように演奏を重ね、最後に笑顔で手を上げたメンバーに、フロアからは惜しみない拍手が贈られた。

リハーサルから本番さながらに会場を盛り上げていたのは、夜の本気ダンス。名前と絡めたユーモアセンス溢れる挨拶で切り込み隊長の鈴鹿秋斗(Dr)が煽り、「OOPARTSにお越しの皆さま!踊れる準備は出来ていますか?」と米田貴紀(Vo/Gt)が“crazy”なダンス空間へとエスコート。ダイレクトに脳髄を揺さぶる『Crazy Dancer』に、オーディエンスは我先にとモッシュピットへ飛び込んでいく。縦乗りのアンセムを次々と投下し、特有の人懐っこい雰囲気で話し出した鈴鹿。cinema staffとの出会いを面白おかしく語り、音楽だけでなく笑いでもオーディエンスの心をかっさらってしまった。クセのあるリリックでC&Rを巻き起こし、小洒落たグルーヴでフロアを横に揺らす。ロックンロールを自在に操る様は見ていて笑顔になってしまう天真爛漫さで満ちている。

『fuckin'so tired』のネクタイを投げ捨てるお決まりのパフォーマンスから怒涛の後半戦を始め、ラストを飾ったのはとことん踊れる反戦曲『戦争』。「最後に超楽しいことしてから終わりたいんですけど、協力してくれますか?」と呼びかけた米田に応えて、一度しゃがみこんだオーディエンスは、これ以上に無いほどの“本気ダンス”で彼らの生み出す熱狂に拍車をかけてみせた。ステージとフロアが繋がっているかのような一体感を生み出して、颯爽と舞台を降りた4人。京都が産んだ究極の踊れる音楽がそこにはあった。

続いて登場したのは、tricot。ステージの上で楽しそうに踊りながら楽器を奏でる姿を見ていると可憐さすら感じてしまうが、繰り出される音はしなやかに鍛え上げられた筋肉質なもの。ギャップに魅かれてしまったが最後、直ぐさま彼女たちの持つ音楽性の虜になってしまう。

鋭さも甘さも柔らかさも、全てを内包した声で中嶋イッキュウ(Vo/Gt)が楽曲に命を吹き込み、追随するようにヒロミ・ヒロヒロ(Ba/Cho)、キダ モティフォ(Gt/Cho)が曲の世界をフロア中に広げていく。前半戦、たったの4曲で、tricotの摩訶不思議なサウンドはオーディエンスのハートをがっちりと掴んでいた。

MCに入ると一転、朗らかに話し出す中嶋。シネマのお陰で中々来られない岐阜に来られたと嬉しそうに笑い、まだまだ知らない格好良いバンドと出会わせてくれたと感謝する姿からは、音楽とcinema staffに対する深い愛情が感じられる。

『庭』では袖で見ていた辻と飯田を巻き込んで、今流行りの“PPAP”をもじったシュールな笑いを生み出し、「音楽は自由だ」という言葉と共に奔放なプレイを重ねていく。音に誠実に向き合っているからこそ、どんな要素が絡み付いても彼女たちの音はブレないのだろう。幾重にも折り重なるコーラスが幻想的な雰囲気を醸し出した『おやすみ』までを怒涛の勢いで駆け抜け、落雷のような刹那的なステージは幕を下ろした。

Delta SleepはOOPARTSの歴史に初めて名を残す、海外からやってきたバンド。フロアもどんなLIVEが始まるのかと興味津々の様子でリハーサルの様子を眺めていた。暗転して直ぐに「こんちには!元気ですか?」とDevin Yuceil(Vo)が気さくに問いかける。ファーストコンタクトを笑顔で済ませ、じわじわと自分たちの奏でる音楽の深みへと引き込むように『16:40 AM』を披露。音と音の隙間に色んな景色が浮かぶ同曲は、少し身構えていたフロアの壁を優しく溶かしながら進んでいくよう。緻密に計算された音を感覚だけで使っているような、相反する要素が自然に融合しているところに確かなセンスが息づいていた。
たくさんの人に観てもらえて、驚きと共に喜びを感じているというBlake Mostyn(Dr)。夢が叶ったと話す口調はとても嬉し気で、彼らが嘘偽りなくそう想っていることが真っ直ぐに伝わってくる。

呼吸するように音を鳴らして、不整合な美を描き出す4人。『Spy Dolphin』では、Devin(Vo)の声に4つの音が纏うように寄り添っていた。感謝の意を伝えると、“cinema staffを楽しんで”とラストの曲へと流れ込む。今までの硬質さが嘘のように柔らかい音で奏で出したのは、芸術性と迸る激情が綺麗に溶け合った、彼らの音楽が端的に詰め込まれた1曲。音楽に国境などないのだと、改めて感じさせられるひとときだった。

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