1. HOME
  2. LIVE REPORT
  3. 蒼い才能が走り出す。強烈な眩しさを焼き付けた一夜

LIVE REPORT ライブレポート

2016.8.19

蒼い才能が走り出す。強烈な眩しさを焼き付けた一夜

メジャーデビュー記念 ワンマンライブ追加公演「Shout it Out ワンマンライブ – 一から -」2016.8.1 @APOLLO BASE

「いくつになっても青春しよう!」。駆け抜けるように“今”を刻み付けた熱演の最後、山内彰馬(Vo/Gt)は無邪気そのものの笑顔でそう呼びかける。未熟な蒼さを放っていた10代に別れを告げ、少しずつ成熟を重ねる20歳という年齢へ。ティーンエイジとしてのハングリー精神とも呼べるような、音楽への強い想いを抱いたまま、Shout it Outがアポロベイスの舞台に降り立った。リーダーでもある細川千弘(Dr)にとって、このワンマンは凱旋LIVE。彼らにとって、特別な日になるであろう瞬間を見届けようと、多くのオーディエンスが集まっていた。

1

暗転すると、直ぐに繊細なピアノの旋律が流れ出す。我慢出来ずに湧き上がった歓声とともに、思い思いの表情を浮かべて登場したメンバー。オーディエンスの期待と興奮がピークに達したころ、見計らったかのように、柔らかなライトに照らし出された山内が気持ち良さそうに歌い出す。『opening』で颯爽とLIVEの始まりを告げ、続く『青』で一気にフロアを歓喜の渦に巻き込むと、機材トラブルに乗じて「Shout it Outです!よろしくお願いします!」と笑顔で告げた山内。再びさざ波のようなクラップが会場一面に広がり、流れてゆく一瞬を声にして閉じ込めるように、『風を待っている』、『あなたと、』と立て続けに披露した。

3

「ワンマンライブ、一から。お越しくださいまして、ありがとうございます!今日、僕の地元名古屋でワンマンが出来てうれしいです!」と弾けるような笑顔で話す細川。「おかえりー!」と響く声に答える表情にも抑えきれない喜びが滲む。レーベルの先輩、aikoになぞらえて、「男子ー!女子ー!」と定番のC&Rでフロアとラフな関係を築き、「今日は味噌好きな皆さんと最高の1日を作りたいと思います!」と話す口調はとても気さくで人懐っこい。彼の言葉を引き継ぐように、「ワンマンは何でも出来る日だと思ってるんですよ。まだまだ行きましょう!」と山内が告げ、露口仁也(Gt)が打ち出すソリッドなギターから『雨哀』、『列車』と次々と曲が奏でられていく。無我夢中で叫ぶように歌われた『生きている』の《今日ここであなたと作りあげた名古屋の夜!どれだけ時間がたっても無かったことにはしたくないよな!》というフレーズで火がついたように、フロアからは熱気が溢れかえる。

2

興奮覚めやらぬフロアを見つめ、細川が話し出す。メンバーの中で唯一の名古屋出身者である細川には、アポロベイスに並々ならぬ想いがあり、自分を育ててくれたそのホームへの想いは、フィールドを全国に移した今でも変わらず強く残っているのだろう。「まずはアポロベイスにお礼を言いたいです。そして、こんなに格好良いバンドをしていることを、こんなに沢山のお客さんに愛されているということを、頼りになる仲間がいるということを。高校生のころの俺にも証明しに来ました」と迷いのない口調で言い切ると、細川は「一からやり直すつもりでやります。これからも俺たちをよろしくお願いします」と、誠意を示すように深々と頭を下げ、そんな彼をオーディエンスは温かい拍手で包み込んだ。

4

1つずつ、言葉を刻み付けるように歌い続ける彼ら。まだ何者にでもなれる真っ白な感性で紡ぎ上げられる言葉は、“今”を必死で生き抜いている4人から生まれたものだからこそ、真っ直ぐに聴き手の胸に突き刺さる。不意打ちで呼びかけた細川の「皆さんタオルをお持ちですか?」との問いに答えるようにタオルを掲げるオーディエンス。「今から『星降る夜に』って曲やるので、それ、回してみませんか?僕、楽しみにしてるんで!」との誘いにのって、フロアでは楽しげに次々とタオルが回り出す。クラップを交えながら、会場の空気を一体となって作り出すオーディエンスには、たいたい(Ba)も思わず大きく“まる!”と破顔するほど。光が散らばっていくような音色と相まって、忘れられないワンシーンが描き出される。

5

そんな楽しいひと時の後、山内は静かな眼差しをフロアに注ぐ。「2016年、8月1日、名古屋新栄アポロベイス、Shout it Out ワンマンライブ“一から”僕らは7月にメジャーデビューしましたが、まだ実感も湧かず、息つく暇もなく走り続けています。そんな中で気付いたことがあります」「僕たちは、いつだって昨日の続きしか生きられないということ」。常に刹那的な煌めきを爆発させるように進み続けてきた彼らだからこそ、目まぐるしく動く時間の流れに恐怖を覚えることもあっただろう。それでも「何を失おうとそこに居るのは、昨日までを生きてきたあなた」とはっきりと言い切る強さに、鼓舞されたオーディエンスも多かったに違いない。今の4人の感情がダイレクトに伝わってくる『一から』では、《大丈夫》という言葉が何ともいえない頼もしさで響いていた。

確信的な笑顔で視線を交わし、ここから怒涛のラストスパートへ。力強いドラミングからバンドサウンドが炸裂した『逆光』。そしてひしひしと高まった熱を一気に倍増させて放つかのように、『若者たち』を“まだまだ行けるでしょ?”と言わんばかりの表情で奏で、フロアを熱く沸き返らせる。息を詰めてしまうほどの気迫を音に刻み込んでいるのにも関わらず、メンバーはとにかく楽しそうだ。音楽を表現の手段として選んだ彼らの急激な成長に思わず身体が震える瞬間も何度もあった。

6

LIVE中でも進化を続ける凄まじい熱演を繰り広げ、無邪気に笑った山内。「今日はありがとうございました。Shout it Outでした。ここには色んな年齢の人がいると思います。10代から、仕事をしている人まで。僕は青春というのは学生の特権ではないと思ってて。大人になったって悩みは尽きなくて、必死で汗を流して、恋をして。…それが出来る間は青春だと思っています」。彼らのテーマともいえる言葉、“青春”。青年から大人へと移り変わるこの時期だからこそ、彼の口から出される“青春”の2文字にも溶けない魔法のような響きが宿る。限りなく晴れやかな口調で「いくつになっても青春しよう!」と告げると、フロアからは割れんばかりの歓声が湧き上がった。ラストを飾ったのは、『青春のすべて』。彼らの若さは年齢的なものでは決してなく、今を必死に生き抜く精神性にこそあるのだと心から思えるような、真っ直ぐな言葉を残して、Shout it Outの特別な1日は終わりを迎えた。

8

「全員あげた手をにぎって!」と呼びかけられ、無数の拳が突き上がったアンコールでの一幕。ここから何かを変えていけるほどの、強いエネルギーを肌で感じる瞬間が本当に多い一夜だったように思う。それは4人の放つピュアな感情に触発されて生まれたものかもしれないし、好きな音楽が鳴り響くあの空間だからこそ生まれたものだったのかもしれない。ただ、紛れもなくあの空間を生み出していたのは、Shout it Outで、彼らの音楽が好きで堪らないオーディエンスだ。まだまだこれから加速的に成長していくであろう4人。彼らが純粋な想いを持って生み出す音楽は、今のシーンを変えられるかもしれない。そんな日が来るのを楽しみに待っていたいと心から思う。

文/渡辺 真綾

9

■セットリスト
1.opening
2.青
3.風を待っている
4.あなたと、
5.雨哀
6.列車
7.Teenage
8.生きている
9.17歳
10.トワイライト
11.ハナウタ
12.花になる
13.星降る夜に
14.一から
15.逆光
16.若者たち
17.青春のすべて
(encore)
18.ギターと月と缶コーヒー
19.光の唄

  •  
  •  

< LIVE 一覧へ戻る

他のライブレポを読む

▲トップへ戻る