1. HOME
  2. LIVE REPORT
  3. スロウハイツと太陽
    夜が明ける前に彼らの曲を

LIVE REPORT ライブレポート

2017.8.16

スロウハイツと太陽
夜が明ける前に彼らの曲を

スロウハイツと太陽 5th singlereleaseイベント「この夜が明ける前に」
2017.4.28(金) @APOLLOBASE

4月28日。新しい環境にも慣れ、それに伴い様々な疲れが出てきた頃。APOLLOBASEにて、あたたかいライブが開催された。スロウハイツと太陽の5枚目となるシングル『白線の内側』を記念してのリリースイベント。共演にはpollyと、彼らがコピーをしていたバンドそれでも世界が続くならを迎えた。

青いライトの中、手をあげながらゆっくりとボーカルギターの越雲が登場。はじめにライブハウスに色をつけたのはpolly。越雲がゆっくりギターを鳴らし、彼のハイトーンな歌声と共にライブがスタート。彼らを照らすようにあたたかい光がステージを包み込んだかと思えば、いつの間にか異空間へと誘われた『哀余る』。心をぐっと掴んで離さない独特な歌声と音楽に捕らわれたオーディエンスは、ステージに釘付けになっていた。

飯村が体を激しく揺らし、ギターを掻き鳴らす。4人の音が重なると一気に静寂が訪れ、『NightDiving』の優しくあたたかい音色がライブハウスを包み、パッと光が咲くようにステージを彩る。「pollyです、よろしくお願いします」と挨拶を交わすと、力強い高岩のドラムを合図に『残骸』を奏でる。赤いライトに照らされたステージは不気味な雰囲気を醸し出し、激しさを増していく。『狂おしい』では、越雲がマイクを握りステージを歩きながら歌う。彼らの音楽はまるで物語を見ているかのような感覚に陥る。暗くて不気味な道をゆっくりと進んでいくように。

その道の先、時を刻むようなサウンドの中ゆっくりと姿を現したのは、それでも世界が続くなら。菅澤智史(Gt)、栗原則雄(Dr)、琢磨章悟(Ba)、篠塚将行(Vo/Gt)が順に定位置に着く。ステージを照らすライトは足元のみ。幻想的な雰囲気に包まれ、ライブがスタートした。

琢磨の力強いベースで始まったのは『人間の屑』。オーディエンスの心に言葉を飛ばすように、心の言葉を叫ぶように歌う篠塚に、オーディエンスの心は震わされているようであった。『消える世界のイヴ』『アダムの林檎』と新曲がほとんどであった今回のライブ。今までの楽曲に頼らない、常に“今”を大切にしている彼ららしいライブであった。

「僕らの曲をコピーしてくれた学生たちがいて…」と篠塚がゆっくりと口を開く。「その子たちがバンドを組んで、僕が感動してしまうようなバンドになったんですよ。それがスロウハイツと太陽です」そして、「彼らがコピーしていた曲を」と、一気に音を鳴らした『水色の反撃』。圧倒的な歌声がライブハウスに響きわたり、彼らの魂が感情と共にステージから飛ばされる。そして、スロウハイツと太陽がステージへ上がるための道を作るように、ぐんぐん熱量をあげていった。

2組のバンドがつくった道を最後に進むのは、スロウハイツと太陽。空のような青く輝くステージにあたたかいオレンジの光が差し込み、瀧田恵太(Dr)、浅井洸亮(Ba)、山田楓記(Gt/Cho)が登場。そして、後ろからシミズフウマ(Vo/Gt)が優しい笑みをこぼしながら姿を現した。全員が定位置に着くとゆっくり楽器を手にする。4人が一斉に音を鳴らし、音を重ねる。シミズが優しくそして力強く「他の誰かじゃなくて、今日ここにいるあなたにとってよい日でありますように」と語りかけ『daylight』へ。自然と湧くように手拍子が起こり、“待ってました”とでもいうようにオーディエンスが目をキラキラと輝かせる。

続く『リフレイン』では、何かが始まると予期させるような激しいサウンドが鳴り響き、ステージは感情のままに熱気を帯び、フロアにいるオーディエンスもまた、感情のままに拳を突き上げる。そして山田の激しいギターソロがフロアとの壁をどんどん壊していく。心の声が魂となって吐き出されるようなシミズの言葉は、ぶれることなくオーディエンスの心に向かって飛ばされていく。
「今しか伝わらないことがあって、今日だからこそ伝わることがあると思います。でも、別に今すぐにあなたのことを救いたい訳じゃなくて、辛くなってしまった時に、僕たちの歌がありますように」とシミズが一人一人の目を見て語りかけ、シミズだけにライトがあたる『本当につらくなってしまったあなたへ』。普段口にすることができず心の中にたまっていく思いや言葉。どうして?どうして?と、もがき悩み苦しむ日々。なにもかもに押し潰されそうになった時、きっと彼らの音楽がそっと手を差し伸べるに違いない。彼らは“頑張れ”なんて言わない。ただあなたに生きていてほしいと願う。「我慢我慢の日々だけど、僕たちのライブの時だけは泣きたかったら泣いていいから。今まで生きていてくれてありがとう。これからも辛いことたくさんあるだろうけどそれでも生きていくあなたへ」シミズの言葉に続くようにステージにはあたたかくもどこか寂しげな光が差し『それでも生きていくあなたへ』。浅井、山田、瀧田は下を向いたまま演奏し、シミズの声が響きわたる。

スロウハイツと太陽という36.5℃の音楽がオーディエンスの体の中に流れ、染み渡っていく。そして、彼らが最後に選んだのは『夜明け』。この場所がオーディエンスにとっての夜明けになるようにと、華やかなライトの中で、激しくも優しく奏でられた。オーディエンスは思うまま、感じるままに体を揺らし、ここが居場所だと示すようにステージに向け力強く拳をあげ、ステージもフロアも最高潮のまま本編は幕を閉じた。

全員がステージから捌けると、あたたかいアンコールの手拍子が。手拍子に呼ばれるように、嬉しそうに笑顔をみせながら再びステージへと戻ってきた。ステージとフロアの垣根がないようなアットホームな空間は彼らがオーディエンスと同じ温度でライブをしているからこそだろう。スロウハイツと太陽、正真正銘最後の曲は『空蝉』。また必ず会おうと約束するように力強く奏でられる。希望の光のようにステージに差し込んだまっすぐな一筋の光は、いつの間にかオーディエンスをも照らすあかりへと変わり、まるで夜が明けていくようであった。

スロウハイツと太陽、彼らの音楽ほどあたたかい音楽はないのではないだろうか。「頑張れ」と叫び、背中を押す音楽が溢れる中で、彼らは既に頑張っているあなたへ救いの手を差し伸べる。不特定多数の誰かではない、あなたへ。頑張らなくていい、頑張りすぎなくていい、
と。彼らは世界を変えられるスーパーヒーローではない。しかし、彼らの36.5℃の音楽は真っ暗な世界に、真っ暗な明日に、優しい光を与えるだろう。

彼らの音楽とともに、あなたの夜が明けますように。

文/hono 写真/ナツミ(http://natsumi-live.tumblr.com/)

◾️セットリスト
-polly
01.哀余る
02.NightDiving
03.花束
04.残骸
05.ふつうのせいかつ
06.シシィ
07.狂おしい
08.沈めてくれたら

-それでも世界が続くなら
01.深夜学級
02.人間の屑
03.消える世界のイヴ
04.アダムの林檎
05.正常
06.かけがえ
07.水色の反撃

-スロウハイツと太陽
01.daylight
02.リフレイン
03.雨と群青
04.本当につらくなってしまったあなたへ
05.autumn
06.blue
07.それでも生きていくあなたへ
08.春よその足をとめてくれ
09.O2.
10.夜明け
(encore)
11.空蝉

  •  
  •  

< LIVE 一覧へ戻る

他のライブレポを読む

▲トップへ戻る