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LIVE REPORT ライブレポート

2017.2.14

サウンドスケープによって広がる異世界

The Skateboard Kids NEWTOPIA RELEASE ONEMAN LIVE
2017.1.9(月祝) @K.D japon

名古屋を拠点に活動するThe Skateboard Kids(スケートボードキッズ)が、toeの美濃隆章をレコーディングエンジニアとして迎え話題を呼んだアルバム『NEWTOPIA』を引っ提げ、初ワンマンを1月9日(月祝)にKD japonで行った。彼らの曲の雰囲気にぴったりな優しくリラックスした空間に、当ライブハウス名物ハポンカレーの匂いが漂うなか、彼らの音楽を一目見ようと大勢のオーディエンスが会場に駆けつけていた。

照明がゆっくり落ちていくと、ドラムやマイクに巻かれた小さな電球が明るさを増し、エモーショナルな空間が浮かび上がる。日置逸人(Vo/G/syn)、花井淳巨(G/cho)、田保友規(Dr)、岡 大樹(Ba)の奏でる音色が徐々に加わる『Coastal Hill』の幻想的なフレーズが聴こえると、これから始まる時間に胸が高鳴る。一拍置いて日置の特徴ある伸びやかなハイトーンボイスが響き渡ると、たちまちThe Skateboard Kidsから生み出される異世界へ。
『Laundry Lighting』、日置がギターに持ち替えた『Somewhere』では、田保の刻むビートに体を預け左右に揺れ、最小限の音数で魅せる流麗なバンドアンサンブルに惹きつけられるオーディエンス。その光景を見た日置の顔には笑顔が見え、時々メンバーと目を合わせながら一音一音丁寧に紡いでゆく。
生まれたことを想像して作ったという『1994』でゆったりと情緒的な、宙に浮いているような感覚にさせたかと思えば、久々に披露した『Sleepy Sunday』では、サビへ向けて大きくなるサウンドが心を躍らせ、一転してポップな雰囲気へと仕立てる。

曲が始まる直前までこの日が成人の日だったことから自身の成人式の話だったり、日置が花井の話で笑いを誘ったりと、他愛のない緩いMCが繰り広げられていたにも関わらず、好きに楽しんでください、と各々が楽器を手に取り音を鳴らすと空気が一変。思わず身が引き締まる。
自信がある1曲と自らハードルを上げた『Dreamend』、ダークで力強い疾走感溢れるメロディが印象的な『Hallucination』、華やかなギター、重低音を響かすベース、それぞれのサウンドが絡み合う『Beach』と新曲を立て続けに披露。初披露ということもあってか若干の緊張を覗かせながら演奏する4人。それを打ち消す様々な景色を描き出した珠玉の演奏に、フロアは大きな拍手で包まれた。

いつもだったら終わるくらいなのにまだ半分…と話していた時間も一瞬のように過ぎてゆく。ワンマンライブを初めてやって、新しい曲を聴いてもらえる機会を沢山作るために今年もう1度ワンマンライブをやりたい。そのために地元名古屋でもっと大きくなっていきたいと約束すると、メジャーデビューを飾った新譜のリード曲『Bonfire』へ。焚き火の灯に似た少しくすんだ温かみのあるライトが4人を照らし、柔和な表情を浮かべながら優しく、見る人全ての感情を包み込むように歌い上げる。

最後に今日来てくれたことに改めて感謝の意を示し、今度はもっと大きい所でワンマンをやって、いつかハポンでライブが見られたことを自慢できるくらい大きくなるのを約束した。彼らが美しいと思う全てのものを音楽にした『Saihate』では、壮大なアンサンブルがこの世界の広大さを象徴させ、響き渡るリバーブによって奥行きが増し、さらなる広がりをみせる。そして、フロアに煌びやかな星を降らした花井の夢幻的なギターサウンドは心の奥深くにすっと溶け込み、オーディエンスは時が止まったかのように動きを止め、じっと耳を傾けていた。美しいものを美しいままに表現できるのはきっと彼らの作る音楽そのものが緻密で幸福感をまとう美しい音楽だからだろう。

初のワンマンライブだから、この日初めてアンコールを行う彼ら。そんな初めて尽くしの日に選んだ最後の曲は『Electric Townbeats』。体を使ってリズムを取りながら、この時間を過ごせた楽しさと終わってしまう虚しさが交錯するような面持ちで演奏すると、最後にこの日1番の拍手が送られた。

終ってから気付いたのだが、彼らのライブにはいつものライブハウスで見かける手を挙げたり、クラップをしたりといった様子がない。しかし、そうした行動が無くてもバンドとオーディエンスの確固たる関係が築けているのは、きっと彼らの人当りの良さと、彼らにしか表現できない聴くものを惹きつける音楽がそこに在るからだろうと思った。

文/伊藤成美 写真/ナツミ(http://natsumi-live.tumblr.com/)

■セットリスト
1.Coasral Hill
2.Laundry Lighting
3.Somewhere
4.1994
5.Sleepy Sunday
6.Dreamend
7.Hallucination
8. Beach
9.Interloper
10.Dieving
11.Bonfire
12.Saihate
(encore)
13.Electric Townbeats

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