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LIVE REPORT ライブレポート

2017.9.14

The Skateboard Kidsが描き出す夢の中

Dreamend Release Party! 「PEOPLE AND ME #2」
2017.7.17(月) @ell.SIZE

6月16日に配信限定シングルをリリースしたThe Skateboard Kids。そのリリースイベントとして、5月に行われた自主企画の続編、「PEOPLE AND ME #2」がell.SIZEで開催された。対バン相手に選ばれたのはPELICAN FANCLUB。どの音楽のジャンルにも括れない、独自の音楽性を持った2組のバンドが作ったエモーショナルな一夜を余すことなくお伝えする。

「素敵な夜を。PELICAN FANCLUBです」とエンドウアンリ(Vo/Gt)が述べると、『クラヴィコードを弾く婦人』で幕が上がる。緻密な音像をシャワーのようにステージへと降り注ぎ、観る者を引きつける独特な雰囲気に早くも魅了される。「もっと自由に音楽を楽しむ、身を委ねる。そんな日になると思ってここに立っています」とライブでは定番の『Dali』では、シミズヒロフミ(Dr)の奏でるビートにオーディエンスの手拍子が加わったことでステージとフロアの距離感がぐっと近づく。

大きく息を吸って改めて挨拶をしたあと、ゆっくりと目を瞑り、情景の1つ1つを思い浮かべるように歌われた『夜の高速』。少ない音数の中に描き出された言葉を丁寧に歌い上げ、どこか温かく柔らかな空間が生まれる。不規則な電子音が鳴り響くと空気はガラリと一変。シミズの力強いドラムビートが曲の壮大感を過大させた『Trash Trace』。エンドウのエモーショナルな歌声と、3人のコーラスワークが曲の奥行を感じさせる。ドラムセットに視線を集め、体を大きく揺らしながら懸命に演奏する姿が歌声とのギャップを生み出す。彼らのライブはいい意味で音源を裏切ってゆく。煌びやかなサウンドはステージに立てば原型を留めながらも感情の起伏によって表情を変える。

自分は嬉しいことも悲しいことに音楽にぶつけている。だからみなさんもいろいろな感情をぶつけてほしい。と話したあとの『プラモデル』では、すさまじい音圧の中、何かに憑りつかれたかのように叫び呻く。続く『許されない冗談』でも、窺えるPELICAN FANCLUBのどこか皮肉めいた歌詞は等身大の言葉をそのまま音楽にぶつけているからこその説得力があった。

「もっと長く見てもらいたい。一期一会とは言わずにまた会いに来てください。」の言葉通り“次”を歌った『朝の次へ』では、少し淋しそうな表情でフロアにいる1人1人をじっと見つめる。溢れだすサウンドを紡ぎ合わせるように奏でる、息を飲むほどの気迫なプレイはどこまでも余韻を残し、緊張感のあったフロアの面影はもう、どこにもなかった。

シンセの和音が鳴り響いたのを合図にThe Skateboard Kidsのライブがスタート。『Invisible Me』、『Laundry Lighting』と序盤から流麗なバンドアンサンブルを奏で、エモーショナルな空間を作り出す。日置逸人(Vo/Gt/Syn)のリバーブを利かせた浮遊するようなハイトーンボイスも、ベース、ドラムの地に足の着いたサンドと調和され、心地よい音像を描き出す。日置がギターに持ち替えると、自宅の窓から見える景色を歌った『somewhere』。夏らしい爽やかなサウンドに身を預け、表情豊かに歌い上げる。

「不安だった部分も楽しみな気持ちもあったけど、忘れられない日になってよかった。いろいろと悩んでいたけれど、楽しいこともあったし、4人でバンドをできていることが嬉しい。」とこの日の企画を振り返り、今日が終わってもまた、何かを続けられるようにと願いが込められた『Bonfire』へ。日置の頭上のスポットのみが彼を灯し、大事に歌い上げる。バンドサウンドが加わると優しく温かな光が4人を包み、視界が開けるような煌びやかなサウンドを降り注ぐ。思い出を忘れてしまわないようにと書かれたこの曲。<永遠にこのままで終わらないで>と歌う歌詞が、今日という日が終わってほしくない、たとえ終わってしまっても忘れないようにと日置の強い思いがいつも以上に現れていたような気がした。

残り1曲でこの時間が終わってしまうことを告げると、1番美しい瞬間を曲にして作った『saihate』の夢幻的なギターフレーズが鳴り響く。4人のシルエットが浮かび上がるほどの眩しい光の中、シンセ、ギター、ベース、ドラム、すべての音が絡み合い、壮大なアンサンブルを轟かせる。じっと息を呑むように見入っていたオーディエンスも彼らの演奏が止むと盛大な拍手を送り、4人はステージを後にした。

機材に巻かれた小さな明かりのみが灯る中に再び登場した4人。エンドウがライブ中にタイトルが似ている曲が存在すると話していたのを引き合いにアンコールでは、『1994』を披露。日置の唯一無二の歌声と情緒的で浮遊感を纏う音楽が、The Skateboard Kidsにしか作ることのできない世界観を作り出す。会場にいる全員が幸せに満ちた表情を浮かべる中、「PEOPLE AND ME #2」は幕を閉じた。

ライブ中、10月にミニアルバムを、そして12月にはワンマンライブを行うことを発表したThe Skateboard Kids。「今の僕らには無理と思っている人がいるかもしれないけど、最高の音楽をワンマンライブまでにやる」と話す瞳に偽りはなく、ワンマンライブまでの過程のライブも非常に楽しみになる言葉だった。「対バン」という言葉を聞くと互いが士気を高めながらどこか“相手と戦う”イメージがある。しかしこの日のライブは、相手ではなく自分自身の音楽と向き合い、聴く人の心に何かを残していくような素敵な一夜だった。

文/伊藤成美 写真/ナツミ(http://natsumi-live.tumblr.com/)

■セットリスト
―PELICAN FANCLUB
01.グラヴィコードを弾く婦人
02.M.U.T.E
03.Dali
04.夜の高速
05.Trash Trace
06.花束
07.プラモデル
08.許されない冗談
09.Chilico
10.Night Diver
11.Heaven or poolland
12.朝の次へ

―The Skateboard Kids
01.Invisible Me
02.Laundry Lighting
03.Somewhere
04.Dieving
05.Hallucinacion
06. Blue Years
07.Bonfire
08.Dreamend
09.saihate
(encore)
10.1994

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