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    24:00:00を迎えた決断のワンマンライブ

LIVE REPORT ライブレポート

2017.6.8

the unknown forecast
24:00:00を迎えた決断のワンマンライブ

the unknown forecast-24:00:00- 自分だけを信じて生きていく
2017.4.9(日) 名古屋CLUBQUATTRO

昨年12月に、“23:59:59-レイジマエ-”を成功させたtheunknownforecast。彼らが、4月9日(日)、自身2度目となる名古屋クラブクアトロでのワンマンライブを、あの時とは違う顔ぶれで迎えた。本レポートでは、1年間の葛藤、そして成長を物語る彼らのワンマンライブをお届けする。

真っ黒なステージに始まりを告げるように青い光が差し込むと、細川雅弘(Ba)が両手を挙げながら姿を現す。その後ろを追うように岡村耕介(Gt)が自身のタオルを大きく掲げ登場する。緊張というよりは“この日を待ってました”というような清々しい笑顔で。幡野友暉(Vo/Gt)が定位置に着いて深々とお辞儀をし、ギターを手に取ると鳴り響いていた拍手は一瞬にして静寂へと変わる。彼ら特有の静寂。ゆっくりと息を吸い込むと、語りかけるように『Iammusic』が始まる。「2017年4月9日、ここ名古屋クラブクアトロの再生ボタンに涙が落ちた」再生ボタンが押されたように一気に4人の音が重なる。

ステージの後ろからオレンジのライトが彼らを包むと、幡野が声を荒げる。細川、岡村も前のめりな演奏でオーディエンスを引っ張り、フロアには自然とたくさんの手が挙がっていた。幡野が口を開く。「今日を最高の日にしよう。ここ名古屋のtheunknownforecastです」と。最近ではなかなかお目にかかることのなかった『fishstory』や『七転抜刀侍』のイントロが流れた瞬間、“わっ!”とフロアが沸いていた。

様々な感情がフロアに渦巻く中、細川が話しはじめた。「1年前にここクラブクアトロでライブをして、この1年色々なことがあって、サポートドラムの玲介に出会って、今の4人で出来た曲です」その言葉からはじまった、ライブでは初披露となる『14才』。わくわくするようなリズムに乗り、からだを揺らす。ステージにもフロアにも笑顔が溢れていた。

メンバー紹介を挟み、「みなさん、踊れる準備はできてますか?」との言葉をフロアに投げ掛けると、カラフルなライトが会場全体を照らし、フロアはダンスホールへと変わる。久しぶりの『ずちたち』に、フロアは手拍子をしたり踊ったり思うままに楽しんでいるようであった。今どきの音楽にチクリチクリと針を刺すような歌詞は、“ふっ”と思わず笑ってしまいそうになる。それと同時に安心も。彼らは芯がぶれていない、彼らの音楽は他の音楽に流されていないのだと。

ダンスホールの煌びやかなライトが消えると、フロアはたちまち閉ざされた闇へと変わる。突然、諸注意のアナウンスが流れ、そのアナウンスに重なるように、よく聴き慣れた携帯電話の呼び出し音が狂気的に鳴り響く。音が止まると、不気味なギターの音がオーディエンスを引き込み、一人一人の心の奥に問いかけるように幡野の歌声が響く。『携帯電話』。唸るようなギターが鳴り止むと、会場はまた闇へと戻り、全員がステージから捌ける。優しい水の音がフロアをつつみ、ステージにはキーボードが置かれた。幡野が1人でステージに姿を現し、ゆっくりと腰をおろす。青いライトがステージに射し込むと、弾き語りで『人魚』を披露した。初の試みである。海の底を思わせるような暗いステージに優しくも寂しい歌声が響き、オーディエンスの心は幡野の歌声に包まれているようであった。

楽曲こそ独特な彼らではあるが、MCはとても和気藹々としたもので、ステージにもフロアにもたくさんの笑顔が咲く。ステージとフロアで心の対話をしているようなMCは彼らの魅力の一つだろう。そんな温かい雰囲気の中、幡野が真っ直ぐ前を見つめて口を開く。「たくさんの出会いがあって、たくさんの別れがあって。途中で別れた仲間とまた出会う為に記した曲です」と、演奏された『冒険譚』。彼らが別れた仲間と再会した時、恥じることのないよう、その仲間に負けないよう、そしてこの選択が正しかったと言えるよう、どこが前なのか分からない状況であっても前へ前へと進んできた軌跡のような演奏であった。
青とオレンジのライトの中、演奏されたのは彼らの代表曲と言ってもいいだろう、『E』。細川と岡村がステージぎりぎりまで身を乗り出し、感情をむき出しにする。幡野が叫ぶ場面も。ステージに伴ってフロアの熱量もぐんぐん上がり、たくさんの手がステージに向け挙げられた。

幡野だけにライトが当たると、ゆっくりと話し始める。1年前名古屋クラブクアトロでワンマンをして、またここでやりたいと思ったこと。批判の声をたくさん浴びてきたこと。それでも自分たちの音楽を信じて続けてきたこと。そして少しずつ仲間が増えてきたこと。「仲間、それは目の前にいるあなたのことです。これからも自分を信じてあなたのことを信じて歌い続けます。不特定多数の人に向けて歌うことはできないけど、あなたの為なら歌えます。こんな俺らにこれからもついてきてくれますか」いつも強気に見える彼が、少し涙を目にためたように話し、続くように優しくそして力強く『雑草』が演奏された。「あなたの力が必要だ!」と叫び幡野がまっすぐ拳をあげるとフロアにも拳が突き上げられる。『命の屍』。“無様に駆け抜けろ”の歌詞は、オーディエンスの背中を押すと同時に、彼ら自身に言い聞かせているようにも感じられた。吠え、叫び、睨み、あらゆる感情を曝け出し音を鳴らす。岡村がオーディエンスに食らいつくように力強いギターソロを演奏し、気が付けばフロアにはたくさんの拳と共に合唱が沸き起こっていた。

全力で駆け抜けてきたワンマンライブはいつの間にかラストの曲、『レイジマエ』へ。<レイジマエ=23:59:59=rage(激怒)前>。いつも何かを起こそうとしている、内に秘めた野心を持つ彼らだからこそ鳴らすことのできる音楽がそこにはあった。

深く頭を下げ、青いライトの中ステージから捌ける。鳴り止むことのない拍手は、“彼らの音をもっと浴びたい”というようにアンコールの手拍子へと変わる。その手拍子に呼ばれ、全員がステージへ戻ると、横一列に並ぶ。「100%歌いきってしまいました、また会いましょう」と、4人はまた深々と頭を下げる。なんとも彼ららしい終わり方である。フロアにいる仲間の大きな拍手が彼らを包み、ワンマンライブは幕を閉じた。

顔ぶれが変わり今回のワンマンライブを迎えるなんて、1年前誰が想像できただろうか。オーディエンスはもちろんのこと、彼ら自身も想定していなかったことだろう。23:59:59、彼らは大きな別れと出会いを経て自分たちが信じてきた音楽を疑い、何度も何度も悩んだ。そして24:00:00、彼らはまた自分たちの音楽を信じ、自分を信じて歩み始めたのである。彼らがオーディエンスという名の仲間に飛ばす音楽は、決して上辺だけのものではなく“あなた”一人一人へ向けた音楽である。23:59:59、あなたが何かを決断しようと悩み迷う時、彼らの音楽が背中を押してくれるに違いない。

時刻はまもなく24:00:00。時は今以外にない。

文/hono 写真/ナツミ(http://natsumi-live.tumblr.com/)

■セットリスト
01.Iammusic
02.fishstory
03.しらふのよいどれ
04.七転抜刀侍
05.14才
06.ゆとりばんざい
07.ずちたち
08.携帯電話
09.人魚(23:59:59ver)
10.砂になったら
11.奴隷
12.風が吹くまで
13.冒険譚
14.はたち
15.E
16.雑草
17.命の屍
18.レイジマエ

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