

T-Friends
2016.12.9
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THREE LIGHTS DOWN KINGS 復活ワンマンライブ ~帰って来たサンエル~
2016.11.26(土) @池下CLUB UPSET
苦難を乗り越え、輝かしい未来へ
フロントマンGlielmo Ko-ichiの脱退を受け、活動休止という逆境に立たされていたTHREE LIGHTS DOWN KINGS(通称:サンエル)が、新たな仲間を迎えて再始動&復活ワンマンライブを開催した。開演するまでは、帰ってきてくれたことへの喜びの他にも、本当に“あの”サンエルとしてもう一度心から好きだと思えるのか、そもそも新しいボーカルはどんな人なのだろうか、とオーディエンスも少し不安げな表情を浮かべていたが、音を重ねるにつれてその懸念は瓦解。苦難を乗り越え、強さを増した4人の姿がそこにはあった。

復活ワンマンの当日、幕が張られたステージを見つめて、オーディエンスは今か今かと開演の時を待ち焦がれる。音を散りばめたようなSEが流れ出し、幕が開くとフロアに対峙するように堂々とした3人。その3人の脇を固めるように、新たにサポートメンバー2人の姿も見受けられる。そんな中視線を一身に受け、マイクをぎゅっと握り締めたHiromu(Vo)が現れた。「11月26日、CLUB UPSET。俺たち4人とサポートの2人を含めたこの6人で、THREE LIGHTS DOWN KINGS、やっていきたいと思います」。まだ少し表情は硬いが、それだけの覚悟を背負って立っているということだろう。前体制ラストワンマンでもオープニングを飾った『フューチャーメイカー』を1曲目に選んだところに、このメンバーで進んでいくことへの決意が滲む。

様々な想いが渦巻くフロアを前に、前のめりな勢いで曲を放っていくメンバー。「全身全霊でかかってこい!」と叫ぶHiromuを支えるように、u-ya(Gt)、JUNE M(Ba)、NORI(Dr)も熱の入ったプレイを重ねていく。Glielmoが華やかに音を操っていたのに対し、Hiromuのボーカルワークはどこか泥臭さを感じる人間味の強いもの。新しいサンエルの可能性に胸が高鳴ったオーディエンスも多かっただろう。ステージから少しずつ広がっていく熱を受けて、フロアは全力の熱狂で応えていた。

「お待たせしましたー!THREE LIGHTS DOWN KINGSです!よろしくー!」と笑顔で叫んだJUNEから“イケボで自己紹介をどうぞ”と振られ、少しはにかみながら「皆さん、初めまして。新ボーカルのHiromuです!」と改めてフロアに向き合ったHiromu。『STEP BY DAYS』『MY WORLD』と最新モードを魅せつけるように次々と披露された楽曲には、彼らの強い結びつきを感じさせるサウンドが息づいていた。
急に暗転したステージをみて、興味津々に動きを待つオーディエンス。今回のワンマンでは、今までは披露されなかった新しい試みとして、アコースティックコーナーが設けられていた。シンプルな構成に心理的な距離が縮まったのか、「せっかく今日は新体制だから、聞きたいことありますか?」とフロアを交えた和やかな雰囲気で話し出した4人。自己紹介をしたり好きなものについて話したりと、自由に話していく彼らもリラックスした楽しげな表情を浮かべている。そんなくつろいだ空気の中、新しい自分たちをみせようと、今回アコースティックをすることにしたとHiromuが話す。『ONE』のメロディーを奏で出すと、細かいディテールまでしっかりと伝わる贅沢な空間で、優しい声音を響かせた。

真っ白な光が閃き、「後半戦始めようか!UPSETの床、ぶち抜いてやろうぜ!」と叫び、次々と曲を投下。アコースティックを経て緊張が解けたのか、メンバーも最初より随分とのびのびした表情で音を放っている。希望に満ちたメロディーに合わせてフロアも楽しそうに身体を揺らしていた。

限界までライブハウスを盛り上げ、「俺さ、音楽を続けてきて、辛いことがあったよ。苦しいこともあったよ。失敗しては躓いてさ」と感情の滲む声で話し出したHiromu。「それでも自分にはこれしかないって分かってたから、今ここに立っています」と強い口調で言い切り、以前のサンエルと比べられたとしても、「伝えたい想いがここにあるから、ここでサンエルとして歌い続けるよ」と真っ直ぐな決意を口にする。「辛いことだってある、苦しいことだってある。今も苦しいよ。それでも、俺にはこれしかないって思うから。皆さん、俺に力を貸してくれませんか」と、苦悩や葛藤を隠さずに言葉にした彼の真っ直ぐな想いに触れ、バンドを大切に想うが故に複雑な表情でステージを見ていたオーディエンスも、温かい拍手で応える。今思えば、あれは彼が完全にバンドの一員として迎え入れられた、そんな大切な瞬間だったように思う。少し泣きそうな表情で安心したようにフロアを見つめる姿に、思わず胸が熱くなった。

力強いシンガロングを巻き起こし、肩の力が抜けたように「最初はすっごい不安だったけど、今はすごく楽しいです」と笑顔を見せたHiromu。自分たちのことを必死だと笑う人もいるけれど、今は必死で向き合えていることが嬉しいと話し、JUNEによる愛に満ちた名前入りコール&レスポンスを照れ臭そうに受け止めると、「まだ力あるだろ?その力、全部ここに置いてっちまえよ!」と更なる彼らの最新モードがぎゅっと詰まった『デイ・ドリーマー』へと一気になだれ込む。《誰よりも強く 生きたい》という、今の彼らの願いが強いグルーヴで打ち鳴らされる同曲は、ここから先どんな困難が訪れたとしても、彼らなら笑って乗り越えていけるだろうと確信させられる、そんな生命力に満ちた1曲だった。

前回のワンマンでは、不透明な未来へと突き進んでいく3人が、また笑顔でステージに戻ってくることを願いながら聴いた『グロリアスデイズ』が、始まったばかりの新しいサンエルの旅路を照らし出す希望の歌へと塗り替えられていく。この1本のLIVEだけでも、始まった頃とはまるで別人のような成長をみせていた4人。ここから本数を重ね、様々な経験を共にする彼らはどんな景色を見せてくれるのだろうか。期待も高まる一方だが、今はまず、この言葉を最後に贈りたいと思う。おかえりなさい。そして、戻ってきてくれて本当にありがとう、と。
文/渡辺 真綾 写真/ヤオタケシ(@takeshiyao)

■セットリスト
01.フューチャーメイカー
02.Every body UP to YOU
03.NEVER SAY NEVER
04.Welcome to Splendid Light
05.STEP BY DAYS
06.MY WORLD
07.ONE
08.オモイノカタチ
09.MONSTER DiSCO
10.Just going ahead
11.ロストメロディ
12.デイ・ドリーマー
13.グロリアスデイズ