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LIVE REPORT ライブレポート

2017.2.20

今後のT/ssueが楽しみになる一夜

T/ssue「1」リリースツアーファイナル名古屋編
2017.1.6(金) @名古屋CLUB QUATTRO

名古屋を中心に徐々に全国へと活動の幅を広げつつあるT/ssue。そんな彼らが「I」リリースツアーのファイナル公演として、クラブクアトロで自主企画を開催した。1年前から温めてきたという企画の対バン相手に選ばれたのは、Shout it Out。ようやく迎えた当日は、彼らにとってもファンにとっても、忘れられない特別な夜になった。

先攻を務めたのは、Shout it Out。「Shout it Out、始めます!」と山内彰馬(Vo/Gt)が勢いよく宣言し、目の眩むような光の中からギターのクリアな音色が響き出す。気迫を込めた真っ直ぐな眼差しでフロアを見据え、『光の唄』からLIVEがスタート。若さ故の蒼く輝くようなエネルギーと経験に裏打ちされた“現場主義のバンド”としての貫禄が入り混じり、堂々とした佇まいに思わず目が惹きつけられる。

「1年前から決まっていたイベントで、1年間お互いの気持ちを温め続けたイベント」だと山内も話していたが、近いフィールドで活動しているT/ssueのイベントということで、メンバーも相当気合が入っている様子。その想いに応えるように、『生きている』では沢山の手がステージに向けて伸ばされ、この場限りの景色に華を添えていた。

耳に残るくっきりとしたメロディーに甘えることなく言葉を投げかけ続け、『列車』で鼓舞するように歌い続けたかと思えば、『ハナウタ』では細かいディテールも逃さぬように繊細に曲を歌い紡ぐ。MCで時折見せる辿々しさこそ年相応だが、演奏を聞いていると沢山の感情に触れた後のように成熟した表情を見せるのだから恐ろしい。

そんな彼らの現時点での最新曲が『青年の主張』。“今”の2人のリアルがぎゅっと詰まった歌詞を聴いていると、言葉に出来なかった気持ちの数々を代弁されているような感覚を覚えた。大人になりきれたとは思えなくて、それでも気づいたら時は流れてしまっている。そんな狭間の時期と真っ直ぐにぶつかっている彼らだからこそ、これだけ多くのリスナーに支持されるようになったのだろう。

最後の曲を披露する前、山内は「この先何があるか分からないけど、嬉しいことの倍、悲しいことがあるかもしれないけど。“今”を。明日は明日の“今”をそれぞれここから、生きていって欲しいと思います」と話していた。対バンでも、ただのゲストでは終わらせない。そんなプライドを感じさせる、彼らの意思がはっきりと示されたステージだった。

この日の彼らは、静かに意思を重ね合わせているようにも見えた。仄かなブルーに染まったステージに登場したのは、T/ssue。人肌の温もりを感じさせる声で曽根一朗(Vo/Gt)が『2次元ノート』を歌い出すと、流れ出したメロディーを勢い付けるように小澤大地(Ba/Cho)が「“1”ツアーファイナルへようこそ!名古屋、T/ssue、始めます!」と叫び、それを合図にして一瞬でライブハウスが色付いていく。

彼らにとってもこのステージは強い思い入れのあるものなのだろう。「クアトロ!」と呼びかける表情も綻んでいる。本人たちの言葉を鑑みても少しチャレンジングなステージ選びだったのだと思うが、LIVEを重ねるごとに経験を積んできた今の彼らには、由緒あるこのステージがとても良く似合う。

スピーディーに展開していくメロディーが美しい『Tomorrow』を披露し、「悩みながら周ったツアー、でもその分成長出来ました。それを感じながら最後まで楽しんでもらえたら」と意気込みを見せた小澤。“クアトロに星を降らせにきました”という言葉の後に届けられた『スターライト』では、幻想的な雰囲気の中で唄った《ここでは君は君、僕は僕》という言葉が、大勢という単語で括られがちな一人一人を優しく照らし出すようにも思えた。

“ずっと鳴らしていけるように”と祈りを込めて作られた新曲『空中散歩』は、心星を目指して歩いていく4人の姿を投影したような楽曲。メロディーが届いた瞬間から大切に受け止めていくフロアの姿に、思わず胸が熱くなる。

霧のようにふわりと音が広がった『アマテラス』を奏で、共に今日を作り上げたShout it Outへの感謝を口にした曽根。1000%埋められるようになった時、またここで自主企画をしたいと話す彼らは、何だかすっきりとした頼もしい表情だ。「何1つ裏切れない。全部引っくるめて守っていきたい」「人として、バンドマンとしても迷わず、迷っても立ち止まらず進んでいこうと思います」。温かく力強い声で《生きていく》と歌う『Re collection』は、今後の自分たちに向けた決意表明の代わりだったのかもしれない。

最後の曲に入る前、曽根は「君も僕も少しずつ変わっていく。でも、歌は変わらずに照らしていく」と呟くように漏らしていた。もし迷うことがあったとしても、作り上げて来た楽曲と、それを鎹に結ばれた関係が足元を照らしてくれるのだろう。『東京city』のしなやかな音色を聴いて、そう確信させられた。

T/ssueの楽曲は、とても優しい。それは彼らが隠れてしまいそうな光=個をしっかり見出して、そこまで音を届けてきたからこそ生まれたものだ。その優しさに惹かれて集まったオーディエンスが、道しるべとなり、今度は彼らの道筋を示していく。それは、音楽を続けていく上で理想のサイクルなのではないだろうか。今後4人はどう変わっていくのだろう。変化したT/ssueが楽しみになる、そんな一夜だった。

文/渡辺真綾 写真/前田達也(tatsuyamaedaphoto.tumblr.com)

■セットリスト
-Shout it Out
1.光の唄
2.若者たち
3.君はまた夢を見る
4.生きている
5.影と光
6.列車
7.ハナウタ
8.DAYS
9.17歳
10.青年の主張
11.青春のすべて

-T/ssue
1.2次元ノート
2.スカート
3.Tomorrow
4.スターライト
5.12HR
6.翠
7.空中散歩
8.アマテラス
9.Re collection
10.東京city
(encore)
11.イノセント
12.銀河鉄道

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