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ライター ツボイ

2019.5.30

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Mom 2nd Album『Detox』インタビュー

「やりたいことをやって、言いたいことを言った作品です」

昨年11月のデビュー盤『PLAYGROUND』からわずか6ヶ月。5月22日に早くも2ndフルアルバム『Detox』をリリースしたMom。ハイスピードでのリリースとは思えない曲数と多才なサウンドからは、今作への強い思いと意欲を感じさせる。自身の楽曲を“クラフトヒップホップ”と掲げる彼が、今作で表現したこと、そして伝えたかったこととは?Mom本人に訊いた。

―僕の中でMomさんは突然出てきた印象がありますので、まずはMomさんが音楽に興味を持ったきっかけからお聞きしてもいいですか?

Mom: 元々音楽は好きで、小学校低学年の頃はORANGE RANGEやレミオロメンなど、その時に流行っていた曲を聴いていました。小学校3年生のときB'zにのめり込み、B'zの二人はどんな音楽を聴いてきたんだろうとルーツをディグって、ハードロックやメタルなどを聴いたんですけど、全然好きになれなくて(笑)。自分はマッチョな方面じゃないんだと思って、線の細い90年代のオルタナを聴くようになりました。OASISやRadioheadなどの王道を聴いていて、自然とコピーしたいなと思い中学生の時にギターを買いました。

―中学生の頃はギター少年だったんですね。いつヒップホップに出会ったのですか?

Mom: 高校生の時に聴いたチャンス・ザ・ラッパーのアルバム『Acid Rap』が、ヒップホップとの出会いです。今までギター主体の音楽しか聴いてこなかったので、衝撃を受けました。チャンス・ザ・ラッパーの言葉のハメ方は、彼が元来持っているセンスだけでやっているラフな感じで、それはロックの人たちにはない感覚だなと。それに憧れて自分もこういう音楽をやってみたいなと思うようになって。それが高校1年の春休みで。

―日本のヒップホップアーティストの曲は聴かれなかったんですか?

Mom: BUDDHA BRANDやKGDR(キングギドラ)は結構聴いてました。カッコいいなとは思うんですけど、自分の中のヒップホップ像とはあまり直結しなくて。そこで、自分なりに日本のヒップホップを作ってみようと思い、曲作りを始めました。

―曲作りにはそれなりに機材が必要だと思うのですが、高校生の頃はどのように曲作りされていたのでしょうか?

Mom: 最初は、iPhoneに入っているGarageBandというアプリを使って打ち込みでギターを録るなどしていました。今はMacのGarageBandを使って作っています。

―Momさんはご自身の楽曲を“クラフトヒップホップ”と称されていますが、どういうヒップホップなのか教えていただけます?

Mom: 現行のヒップホップとは明らかに違うものとして受け入れられたら面白いし、僕はすごく頑固なのであまり自分の音楽を何かに属されたくなくて。ちょっと尖りつつも、ひとつのジャンルみたいな分かりやすい言葉があったらいいなと考えて、しっくりきたのが“クラフトヒップホップ”だったんです。

―その曲はどのように作られているのでしょうか?

Mom: 曲によって組み立て方は違いますが、例えばギターを弾きながら口ずさんだものをGarageBand上でビートを打ち込んだり、上物のフレーズを考えたりしています。割と断片的な情報を組み合わせて作ることが多いかもしれないです。別で作ったものを組み合わせてからメロディと歌詞を同時に書き上げていく感じですね。メロディの上に乗る言葉って自由なようで、しっくりくるのは本当に絞られると思うから、それを同時にやることですごく分かりやすく作れる。

―その曲たちが収録された5月22日リリースの2ndアルバム『Detox』は、デビューアルバムから約半年というスピードでのリリースとなりますが、曲は結構ポンポンできる方なんですか?

Mom: だと思います。今回は特に歌ものの曲が多かったので、弾き語って作った分早いのかなとは思いますけど、サブスクリプション主体になってから、日本も海外のラッパーも結構短いスパンで出すようになったと思います。その分トレンドの移り変わりも激しいですが。だから、今の時代では必然的なスピード感なのかなと思っています。

―ちなみに、デビュー盤の反響はいかがでした?

Mom: 僕が思っていたような評価は得られなかったのかなと思います。結構ひねくれた事をしようと思って書いた曲でも、意外とストレートに受け取られていたので。もうちょっと遊ばなきゃダメだなという気付きもありました。

―今作はそれを踏まえて曲作りされたと

Mom: そうですね。踏まえてはいると思います。アルバムとしてのコンセプトや構成力も前作とは違いますね。前作は1年間で出した曲をまとめたアルバムでしたが、今回はアルバムとしてしっかりコンセプトを打ち出しています。

―そのコンセプトについてお聞きしてもいいですか?

Mom: 心持ちとして、“いま自分が歌いたいことを書いて歌う”ですかね。そのスピードがめっちゃ速かったから、半年で2枚目をリリースできたのかもしれないです。

―なるほど。その作品のオープニング曲『Spike Jonze』は、落ち着いた曲調の中に皮肉っぽさがありつつもMomさんの意志を感じられます

Mom: この曲は最後の方に作りました。全体像が何となく見えてきたので、こういうちょっと毒を吐きつつも決意表明みたいな曲が頭にきてもいいのかなと。そういう歌を最初にしたらアルバムのコンセプトが分かりやすいと思ったし、今回は言葉にウェイトを置いているので、自分の歌っていることが伝わるかなと思って。曲の並びも必然的な並びになっていると思います。

―言葉という面で、<僕のため息が世界を変える>で始まる『Boys and Girls』は情報量が多いですよね

Mom: 『Boys and Girls』は今回の中で最初に作ったのですが、いま見ると結構不機嫌な曲だなと思います。その時は、言いたいことがいっぱいあったんだなと。普段あまり人に自分の思っていることを積極的に話さない方なので、その分こういう情報量になるのかもしれません。この曲と『シングストリート』は、明確に歌いたいことを歌っていて、『シングストリート』はヒップホップと自分の関係性を、恋人に向けて歌っているニュアンスで歌っています。チャンス・ザ・ラッパーを聴いた時のパッションを書いたので、気持ち良かったですね。

―それは歌詞から伝わってきます。ラップは韻を踏む印象がありますが、Momさんの曲にはそれがほとんどなく、言いたいことを吐き出している印象があります

Mom: 意識して韻を踏むとわざとらしくなっちゃうし、そこの賢さはいらないですね。今回は歌に焦点を当てて作ったので、聴いてなきゃこういう符割りはできないだろうなという部分を自然と盛り込めたと思います。ひょっとすると、直接的に今のヒップホップ的な乗せ方やトラップみたいなビートを乗せることを避けていたのかも。一緒のことをやってもあまり意味ないですから。

―なるほど。サウンドはシンプルで音数も少ないと思いました。サウンドメイクでのこだわりをお聞きしてもいいですか?

Mom: ドキッとする音は入れたいと思って作っています。入れるタイミングが重要だとは思いますが。元々ミニマルな音が好きだったし、ブラックミュージックはグルーヴで持っていく音楽だと思うから、根っこにはそういう血が流れているのかなと思います。

―シンプルな音の方が言いたいことは伝わりますしね。先ほど『シングストリート』を「恋人に向けて歌っているニュアンス」とおしゃっていましたが、Momさんの歌詞はそういうものが多いのかなと

Mom: J-POPによくある“僕がいて君がいて”という構造が、一番受け入れられやすいのかなと思っていて。だから、そういう構図をとって背景にいろんなものを感じてもらう方が伝わるのかなと。

―その僕がいて君がいてという構図ではないですが、最後の曲『冷たく燃える星の下で』は声色を変えて登場人物が2人いるような作りになっています。どうしてこのようにされたのでしょうか?

Mom: しっかりとした意思を持って生きているけど、どこかで常に不安はあるじゃないですか。そういう自分の中の二面性を表現しました。今どういう心持ちで生きていったら楽なのかというだけの歌なんですけど、自分の考え方をちょっと振り返るというか。割と歌っていることは矛盾しているんですけど、2人いることでそれを正当化しています。「そういうもんだよね」みたいな。

―なるほど。面白い曲ですよね。先ほどデビュー作品は「自分が思っていたよりも評価を得られなかった」とおっしゃっていましたが、今作は自信あります?

Mom: 自信ありますよ。結構やりたいことをやって、言いたいこと言った感じの作品ではあるので。すごくいいアルバムだと思います。

Mom『Boys and Girls』

Mom『ひみつのふたり』

■リリース情報

『Detox』
2nd Album
2019.5.22 発売
2,300円(+tax)

■LIVE情報
Mom 2nd album RELEASE PARTY
6月14日(金) 東京 Shibuya WWW

■オフィシャルHP
https://www.mom-official.jp

■プロフィール
シンガーソングライター/トラックメイカー。
2018年春、Momとしての活動を本格化。手作りCDはLIVE会場やタワーレコードの未流通コーナーで扱われ、500枚が即完。2018年11月、初の全国流通盤『PLAYGROUND』をリリース。音源だけでなくジャケットやMusic Videoなどのアートワークも全て自身でこなし、隅々にまで感度の高さを覗かせるその様は、いい例えるなら、次世代に向けた“クラフト・ヒップホップ”。全てのトラックを、フリーアプリのガレージバンドを駆使し制作しているにも関わらず、一度聴くと頭の中を支配する楽曲たちには、サウンド構築の緻密さや、あくまでポップスフィールドからはみ出さないキャッチーなメロディセンスが光る。

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