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ライター ツボイ

2019.7.10

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ADAM at New Album『トワイライトシンドローム』インタビュー

「我々インストバンドはまず興味を持ってもらうことから始めなきゃいけない」

デビューから地元の浜松に住みながら活動するキーボディストADAM atが、6月19日にニューアルバム『トワイライトシンドローム』をリリースした。パンクバンドからシルク・ドゥ・ソレイのユバイオリニストまで多彩なゲストを迎え制作された今作と、今年も自身の地元浜松で開催するインストバンドのフェス「INST-ALL FESTIVAL」について、本人に訊いた。

―今日(6月19日)リリースのニューアルバム『トワイライトシンドローム』は、ロックファンも楽しめる作品だなと思いました。ゲストミュージシャンもロック寄りの方が多いですが、元々お付き合いがあった方々ですか?

ADAM at: そうですね。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのドラマー伊地知潔さんは、PHONO TONESというインストバンドにも所属していて、以前スプリットアルバムを出させてもらいましたし、今年フェスにも出ていただきますので是非と。SECRET 7 LINEは、意外にも私がADAM atを始める前に浜松で開催していた音楽イベントによく出てもらっていて。そこからの繋がりです。セックスマシーン!!に関しては私がただのファン(笑)。イベントに出ていただきましたし、何度も対バンさせていただきました。その繋がりから、『Oi-Majika』は森田さんの声がいいなと思ってお願いしました。同じ曲でGELUGUGUのGENさんにアジテートをしていただいたのですが、GENさんとは15年の付き合いです。今回こうやって音源で絡めて嬉しく思っています。

―そんな昔からのお付き合いなんですね。意外だなと思ったのは、シルク・ドゥ・ソレイユのバイオリニストPaul Lazarさん。どのような繋がりからです?

ADAM at: なぜシルク・ドゥ・ソレイユと繋がりがあるか。実はいとこなんです。正確にはいとこの旦那さんですが(笑)。たまたまレコーディングのタイミングでシルク・ドゥ・ソレイユの日本公演があったので、無理を承知でお願いしたら快諾していただいて。佐々木弘さんのギターソロが無かったことになるぐらい素晴らしいバイオリンを弾いていただきました。そして、前回のアルバムから参加してもらっている、JABBERLOOPの永田さん、TRI4THの伊藤さん、橋本孝太くん、佐々木弘さんと今回も素晴らしいミュージシャンの方々にご参加いただきました。

―幅広い方々が参加されていますが、曲はADAM atさんが作って各アーティストさんに投げているのでしょうか?

ADAM at: 私がパソコンである程度デモを作ってお願いしているのですが、あくまで目安として聴いていただければ結構ですと。ベースライン、ギターのフレーズ、ドラムパターンは全てその専門の人にしか作れないと思っているので、基本的にはお任せしています。ここまでやるので、後は好きな色を塗ってくださいと。

―色が塗られて戻ってきた曲を聴いてイメージが変わったこともありました?

ADAM at: もちろんあります。最初は自分が作るのでそのイメージがすごく強い分、別のものがきた時にちょっと違和感はあります。でも、やっぱり専門の方が作ったフレーズは素晴らしいですね。

―やっぱりその道のプロには敵わないですよね。そして、今作のタイトルは『トワイライトシンドローム』ですが、直訳すると「黄昏症候群」。どうしてこのタイトルを付けられたのでしょうか?

ADAM at: 昔は夕焼けや夕陽を見て家に帰ると、ご飯があって好きなテレビ番組が始まってとワクワクしていたのに、歳をとった今は夕焼けを見ると切なくなる。特に日曜の夕方は最悪ですよね。そこから『トワイライトシンドローム』というタイトルを付けました。ただ、まさかホラーゲームと被るとは(笑)。これで5作目なんです。ファーストは静岡を直訳して『Silent Hill』。セカンドは、父が北海道なので札幌といえば時計台ということで『CLOCK TOWER』。サードはホームの浜松が好きなので、ホームっていいなから『スウィートホーム』にしたのですが、全て同じタイトルのホラーゲームがあって。そして4枚目の『Echo Night』は、浜松に新幹線ののぞみが止まらないんですよ。ひかりも止まる数が少なくて。浜松と言えば、「のぞみが無くてひかりが少ない街」という声がこだまするみたいな(笑)。そこからの『Echo Night』。これもホラーゲームと被ってしまって(笑)。昨年、このアルバムで最高にブレイクしたいと『サイコブレイク』というアルバムを出したのですが、そんなホラーゲームもあって、偶然にも5作続けてホラーゲームと被るという(笑)。

―ここまでくると狙っているとしか思えないですが(笑)

ADAM at: そんなことないですよ。ベストアルバムで『バイオハザード』なんてこと、考えてませんから(笑)。……すみません狙っています。

―それにしても毎回すごく考えられたタイトルですよね。ライターとして感心してしまいます(笑)。収録曲にも触れたいのですが、1曲目の『DAYS』は多幸感がありますね

ADAM at: ありがとうございます。伝わって嬉しいです。この曲は、去年広島でライブをさせてもらった時に、HFMというラジオ局のパーソナリティ近藤志保さんも打ち上げに来ていただいて「わーっ」とはしゃいだんです。その翌日、13時30分から近藤さんが担当されている番組『DAYS!』を聴きながら、機材車でずっと山陽道を帰っていたのですが、せっかく近藤さんが今話されているからとメンバーみんなでメッセージを送ったら、近藤さんが読んでくれて。その時間がすごく楽しくて、長い山陽道があっという間に感じたんです。それを思い出しながら、楽しい一日みたいなイメージで書きました。あの番組はなかったらこの曲は生まれなかったですね。

―曲の生まれ方も幸せ感ありますね。その曲とは雰囲気の違う『Your 7 Story』ですが、やっぱりタイトルはSECRET 7 LINEからきています?

ADAM at: そうです。本当は『SECRET 7 RAIN』という曲にしようと思っていたんですが、さすがに被り過ぎだなと。それで、彼らの曲に『STORY』という曲もあるので、『Your 7 Story』にさせていただきました。

―その次の表題曲『Twilight Syndrome』も含めBPMが結構早いですね

ADAM at: 早いですね。どこがジャズなんだと(笑)。メロコアやパンクの曲って、あまりピアノって入らないじゃないですか。そこをあえて入れてみたらハマりました。

―確かにハマっています。そして、次の『Moonlight Syndrome』は対になる感じですか?

ADAM at: そうです。ジャズバンドにカテゴライズされているので、1曲ジャズっぽい曲を入れなきゃと思って作りました。ニューヨーク的なジャズをイメージしたら、結構おしゃれになったと思います。ベースラインのリフは、永田さんが「この方がカッコいいんじゃないですか」とやってくれまして。最初はもうちょっとスイングしていてもいいかなと思っていたんですが、あえて「ここはこう行きましょう」と。おかげで素晴らしい曲になりました。

―提案があるっていいですよね。そのベースつながりで、イントロのベースがカッコいい『倶利伽羅峠ノ絡繰GATE』は、タイトルの語呂がいいですね

ADAM at: この語感だけで決めました(笑)。私が木曽義仲の巴御前の火牛の計も含めて倶利伽羅峠が好きで、そこから“倶利伽羅”と“絡繰”って近いな、“峠”と“GATE”ってほぼ同じだなと思って言葉を並べ替えたら、『倶利伽羅峠ノ絡繰GATE』という素晴らしいタイトルになって。永田くんのベースから始まって、そこに和風テイストを入れ、かつADAM atっぽいリズムに戻すという素晴らしい様式美になっています。

―タイトルから連想されるイメージそのままって感じです。そして、シルク・ドゥ・ソレイユPaul Lazarさんが参加された『Cure Line』。癒されます

ADAM at: 実は私電車好きでして、タイトルの『Cure Line』は広島の呉線のことで、“クレライン”からきています。その呉線が西日本豪雨の被害でずっと運休していたのですが、去年の12月に復旧したんです。その線(LINE)を治す(Cure)という意味も掛かっています。曲も呉線に乗って揺られている時に、この感じに合う曲ができたらいいなというのが漠然とありましたね。

―そういう時に曲が浮かぶんですね

ADAM at: ピアノを練習する時でたらめに弾くと、たまに「あっ」と思うフレーズがあって、そのフレーズを大事にしまっておいて、曲を作る時にそこから出す感じですね。

―このフレーズはここで使えるなとなるわけですね

ADAM at: そうですまさに。『倶利伽羅峠ノ絡繰GATE』や『Oi-Majika』のフレーズは、1回ラジオの収録時間を3時間も勘違いしてものすごく暇になってしまったので、近くにあったピアノが練習できるスタジオに入ってでたらめに弾いていたら、この2曲のフレーズが落ちていたので拾っておこうと。あの時にラジオの時間を勘違いしなければこの曲はなかったですね。

―その『Oi-Majika』は、この言葉ありきで作ったのでしょうか?

ADAM at: 完全に「おいマジか」という言葉があって作りました。これは世の中いろんなことで怒りはしないし飽きれもしないけど、「おいマジか!」と思うことって結構ありますよね。最近そう思うことがあったので。ライブでお客さんも一緒に叫べるのでいいですね。

―そして最後の曲『山猫亭捕物帖』ですが、これまでの作品にも“山猫”と入った曲がありましたので、今回も逸れずですね

ADAM at: ファーストミニアルバムを含め、今まで全て“山猫”というタイトルの曲がありました。実は最初『バニーガールとタートルネック』というウサギとカメという曲だったんですけど、これは山猫で捕物帖の方が絶対合うなと思ってこのタイトルにしました。イメージは、山猫亭という旅館にネズミが出てそれを追っかけ回している感じですね。

―トムとジェリーっぽさありますよね。それに、運動会で使えそうですね。そして、7月7日(日)には地元浜松の浜名湖ガーデンパークで今年も無料野外フェス『INST-ALL FESTIVAL 2019』が開催されて

ADAM at: そうなんです!インストバンドのみなので、“インストオール”。皆様の体の中にインストバンドをインストールしてほしいので、“インストール”というダブルミーニングになっています。インストバンドって耳にはするけど興味を持たれなくて。テレビのBGMで流れている音楽には作った人がいるし、もしかしたらアーティストかもしれない。でも興味がなければただのBGMなんです。興味を持つと、今の曲は誰だろう?ってなるじゃないですか。だから、我々インストバンドはまず興味を持ってもらうことから始めなきゃなと。そこで、まずは無料からかなと。いろんな人にインストバンドに興味を持ってもらい、好きなってもらったらツアーに来てもらおうと考えています。

―そのツアーが10月14日(月祝)から始まります

ADAM at: ちょうど今日から半年後の12月19日(木)が名古屋クアトロです。できれば音源を再現したいのですが、バイオリンどうしようかなと思っています。できれば呼びたいんですけど、シルク・ドゥ・ソレイユなのでどこにいるのか分からなくて(笑)。

―今作の曲は盛り上がりそうですね

ADAM at: 自分でいうのもアレですけどライブ映えする曲は多いと思います。みんなと掛け合いする曲もありますし、『Install』にはクラップが入っているので、みんなでやっていただけるかなと。参加型の曲になったなと思います。さらに、8月4日(日)には、名古屋パルコ店西館1Fで無料ライブをやります。

―そちらも楽しみですね。最後に今日リリースの今作を手に取る方々へメッセージをお願いします

ADAM at: インストバンドは興味を持たれないジャンルですが、興味を持ってくださってありがとうございます。まだ知らない方がいらっしゃったらインストバンドの楽しみ方を教えます。“お・は・し”です。避難訓練での“お・は・し”は、「おさない、はしらない、しゃべらない」ですが、インストバンドの“お・は・し”は、「おどる、はしゃぐ、しらない人に押し付ける」です。このインタビューを読んでいただいた方、インストバンドに興味を持ったら今からインストバンドを知らない人に押し付けてください。よろしくお願いします(笑)。

ADAM at『DAYS』 Music Video <Insert Pause Ver.>

■リリース情報

『トワイライトシンドローム』
Album
2019.6.19 発売
2,500円(+tax)

■LIVE情報
トワイライトシンドロームツアー 2019
10月14日(月祝) 神奈川 横浜F.A.D
10月27日(日) 北海道 札幌BESSIE HALL
11月22日(金) 福岡 INSA
11月24日(日) 広島 Cave-Be
11月30日(土) 東京 渋谷Veats Shibuya
12月06日(金) 静岡 浜松窓枠
12月14日(土) 宮城 仙台enn 2nd
12月19日(木) 愛知 名古屋CLUB QUATTRO
12月21日(土) 大阪 心斎橋JANUS

■オフィシャルHP
http://adamat.info

■プロフィール
キーボーディスト、ADAM at(本名のTAMADAを逆から読むとADAM atになることから命名)を中⼼に、2011年静岡県浜松のライヴハウスでインストゥルメンタル・セッション・バンドとして活動を開始。2015年1月、メジャーデビューアルバム『CLOCK TOWER』をリリース。同年NHKプロ野球放送のテーマ曲として書き下ろした『六三四』は、2015年より5年連続でテーマ曲として採用される。2017年、2018年タワーレコード年間ジャズセールスチャートで、日本人アーティストとして2年連続1位を獲得。数多くの国内外のフェスに出演する他、CM音楽なども多数手掛ける。インストシーンの普及を図るべく、2018年に地元の浜松にてインストバンドのみ集めたインストフェス「INST-ALL FESTIVAL」を主催し話題となる。そして、2019年7月7日に「INST-ALL FESTIVAL 2019」開催。

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