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ライター ツボイ

2019.11.12

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a flood of circle Mini Album『HEART』インタビュー

「素のa flood of circleはこれなのかも(佐々木)」

今年でデビュー10周年を迎えたa flood of circleが、11月6日にミニアルバム『HEART』をリリースした。今回、新たな試みとしてメンバー4人が楽曲を制作。4人それぞれの個性が発揮された4曲と、全員で作った1曲を収録した5曲入りとなっている(CDにはさらにボーナストラック10曲収録)。その今作はどのように始まり、どのように作られたのか。そして、今回の制作で見えたバンドの現在地とは?フロントマンの佐々木亮介とギターのアオキテツ2人に訊いた。

―11月6日リリースのミニアルバム『HEART』は、4人全員で作詞作曲されたとのことですが、今回どうしてそうされたのでしょうか?

佐々木亮介(Vo/Gt): 今年は3月にアルバム『CENTER OF THE EARTH』、4月にシングル『The Key』をリリースしたので、もう出さなくてもいいなと思っていたんですけど、秋にツアーをやることを決めていたのもあり、「ツアー前に何か出した方がいいんじゃないか」という話が出て。じゃあミニアルバムぐらいのサイズで、今までやっていないことをしてみようかなと。姐さん(HISAYO)はtokyo pinsalocksという自分のバンドで曲を書いているし、なべちゃん(渡邊一丘)は数年に一度a flood of circleで曲を書く。(アオキ)テツも『CENTER OF THE EARTH』の特典でサテツとして曲を一緒に作ったので、メンバー全員が曲を書けるなと。そこで、今までは外部のプロデューサーを入れたりロンドンへ行ったりしたけど、今回は中に刺激を求めてみようと思って、「外の人を入れず、それぞれが自分の曲のプロデューサーになる感じで作ってみよう」とメンバーに話しました。

アオキテツ(Gt): 前の前のツアー中にそういう話を聞いたので、そのツアー中に楽屋で作っていて。で、2曲作ったんですけど、自分の中でライブが見える方の『Lucky Lucky』を早めに提出しました。

佐々木: 「このツアー中に作った方が楽だよね」と俺が言ってたんですよ。で、テツはマジでちゃんと作った(笑)。そのおかげでじっくりアレンジも出来たから曲もかなり進化したと思います。

―テツさんは意外と真面目なんですね。その『Lucky Lucky』の前に、佐々木さんが作られた1曲目の『スーパーハッピーデイ』についてお聞きしたいのですが、ラップもあって今の佐々木さんらしい曲だなと思いました

佐々木: みんなが書く以上、自分の曲が普通と思われたくなくて自分のキャラもちゃんと立てようというのがあったからかもしれないですね。ラップも最初は入れていなかったんですけど、曲のキャラをみんなと区別したいなと思って無理やりぶち込みました。おかげで、すごくいい曲が出来たと思っています。

―他のメンバーと被らない曲を作ろうというのもあったんですね

佐々木: テツはマイナーキーの尖った曲を用意すると踏んでいて、なべちゃんは絶対に暗い曲でくるのは分かっていた。それで、姐さんがどう来てもいいように明るい曲を選ぼうと思って明るい曲を選んだんですけど、まさかの“ハッピー”と“ラッキー”で(笑)。曲のキーも一緒だから、1、2曲が流れで聴ける感じになっちゃて。たまたまでしたけど、テツとは今のフラッドに何が必要かというイメージが同じなんだなと思いました。

―そのテツさんが作られた『Lucky Lucky』ですが、確かに1曲目と同じ明るい曲です

佐々木: 似てるとはいえ、コードやメロディは俺が絶対に書かないカラッとした感じがあるなと。俺の曲は明るめでもちょっと泣きの要素が入っていますが、テツは西海岸的なカラッと感があるよね。

アオキ: 軽い感じでいきたかったので。

佐々木: 歌詞の舞台は海なのに、あまり湿度を感じないのがテツらしさなのかなと。

―その歌詞はどのようなイメージで書かれたんですか?

アオキ: 元々はアンコールでやる曲を作りたくて、アンコールソングという題材でやろうとしていたんですけど、あまりパンチがないなと思ったので、佐々木くんに歌詞の相談をして。その時に「テツ最近どう?」って言われたので、「何かラッキーラッキーという感じッスね」と。「それだ!」と言われて、「それでいいのか?」って(笑)。

一同: (笑)。

佐々木: アンコールソングというテーマもいいけど、もう一個ないかなと思って「バンドに入ってしばらく経ったじゃん。最近どうなの?」という話をして。で、一発でキャッチコピーが出てきた気がしたから、それで書いてみようよみたいな。

アオキ: <ラッキーラッキー>で走り出したら、後はそこへ辿り着くにはどんなストーリーがいいかと肉付けしていくだけでした。

―そこからは早かったということですね。この曲ではテツさんも歌われていますが、最初から歌う予定でした?

アオキ: そうですね。せっかく俺が書いて作ってるし、サテツでも歌ったから歌っちゃうかという感じで。ちょっとの間だったら歌うのも楽しいですよ。

佐々木: まるまる歌うのは嫌だと(笑)。

―(笑)。1曲目と2曲からガラッと変わる3曲目の『Lemonade Talk』は、これまでになかった曲なのかなと

佐々木: それは姐さんが狙っていたらしく、フラッドらしい曲は他の人たちが書くだろうから、敢えてフラッドらしくないものにチャレンジして書いてきて。彼女もテツと同じく2曲デモを出してきたんですけど、1曲が『Lemonade Talk』で、もう1曲はフラッドに寄せた曲という、どっちでもいけるようにしたのはさすがだなと思いましたね。

―2曲の中から『Lemonade Talk』の方を選ばれたのはなぜですか?

佐々木: もう一個の尖った方もいいですねという話をしていたんですけど、『Lemonade Talk』のデモを聴いた時に歌詞がパッと浮かんで、「この曲を選ぶならこんな感じの歌詞どうですか?」とすぐ返したんです。それを気に入ってくれたので、じゃあと。

―曲の雰囲気にレモネードという言葉が合いますね

佐々木: 曲には可愛らしさやチャーミングさがあるんですけど、ただ可愛いだけじゃないのがいいなと思って、レモンの苦い、酸っぱい味から甘いものを作るレモネードの工程を、いろいろな経験を経て大人になる感じと重ね合わせました。

―なるほど。QとAの歌詞も面白いですよね

佐々木: 姐さんは俺が書いたものに対して、自分の好きなニュアンスを伝えてくるんです。例えば、俺はレモネードだから夏の歌にしていたんですけど、姐さんが「季節はぼやかしたいな」と言ってきたので、季節が分からないようにしました。そうやって話し合いながら作っていったので、最初は『Lemonade』というタイトルだったんですけど、途中で『Talk』が付いて。そこからQ&Aの形を思いつきました。そういう遊び心がどんどん思い付いていったので、楽しかったですね。

―テツさんはこの曲に関してどんな印象を持たれました?

アオキ: tokyo pinsalocksっぽいなと思ったから、突拍子もない曲だなとは思わなかったです。とにかくギターに徹していました。

佐々木: 姐さんのデモは全部シンセなんですよ。そのスタイルで作ってきたから最初「フラッドっぽくないかも」とすごく心配していて。でも、テツがギターを入れた途端に安心してたよね。

アオキ: なんか、俺のギターである程度汚してくれみたいなオーダーがあったから、「オッケー!」って(笑)。

佐々木: 不思議なもので、最後にテツが加入したのに「テツのギターが入ったらフラッドの曲に聴こえてきた」と言っていて。だからテツはフラッドなんだよ。

―それはもう間違いないです。そして、渡邊さん作詞作曲の『新しい宇宙』は独特な世界観ですね

佐々木: この曲はなべちゃんのデモの時点でほとんど完成していたよね。

アオキ: そうですね。何も変わっていないです。

佐々木: 歌詞にある<向かう先は決めないで 気の向くままに>や<旅立つ理由は なんだって どうだっていい>は、いい意味で投げやりな感じなんですよ。この書き方がなべちゃんっぽいなとめっちゃ思います。歌詞の世界観がアタマからケツまで見事に揃っていて、なべちゃんなりのアートが完成しているなと思いました。

―ここまでの4曲はみなさんの個性が出ているなと思いました。最後の曲『Stray Dogsのテーマ』は作詞が佐々木さんで、作曲は3人となっていますが、どのように制作していったのでしょうか?

アオキ: 曲は3人でスタジオに入って作りました。楽しかったですよ。まず俺がひたすらリフを弾いて、「そのへん」みたいな感じでリフ、平メロ、サビ、ソロと作って、「1番ができたね」と。「ここから肉付けするか」という話になりかけたから、俺が「2分ちょいぐらいの曲にしよう」と言って、結構早くできました。

佐々木: この曲は、みんなでメロディも作ってくれていたんですよ。だから、本当に歌詞だけだったんですけど、そのデモはなべちゃんとテツが歌っていて。

アオキ: 平メロが(渡邊)一丘さんで、サビが俺ッス。

佐々木: その2人がめちゃめちゃ一生懸命歌っているデモが送られてきて。

アオキ: (笑)。

佐々木: こんなに一生懸命やってくれたんだと思って、送られてきたメロディを素直に聴いて出てきた言葉で歌詞を書きました。

アオキ: レコーディング当日に、「これが歌詞かぁ。。ん?」って(笑)。

佐々木: デモで「ウォー」って言っていたから、「これウォーって言った方がいいんですかね?」って姐さんに聞いたら、「WOWでええんちゃうか」って。

一同: (笑)。

―ヘビーなサウンドですが3人が集まるとそうなるんですね

アオキ: 年齢も性別もバラバラですけど、3人の共通項がオルタナやグランジやったから、どんどん薄汚くなっていってこんな感じになりました。

佐々木: すごく不思議なんですけど、フラッドがデビューする前のテンションにすごく近くて。でも、そもそもジャムってる時はテンポが速いのは無理なんですよね。

アオキ: 確かに。

佐々木: アイデアを出すにはゆっくり弾かないと思いつかないから、自然とそういうテンポになっちゃうのかなと。だからか、10年以上前のフラッドの曲を聴いてるみたいで。フラッドの初期の頃はみんなでジャムって作っていたから、なべちゃんのドラムがその時のなべちゃんになっていて、懐かしさを感じました。素のa flood of circleはこれなのかもって思います。

―この曲が一番らしい曲なのかもしれないですね。その今作のタイトル『HEART』にはどのような意味が込められているのでしょうか?

アオキ: タイトルは俺が付けました。すっげぇ恥ずかしいんですけど、心臓って部屋が4つあるじゃないですか、今回は4人で作ったので4人でひとつ的な。

佐々木: そういう気持ちを持って「HEARTがいいと思うんですよ」と言ってきたので、「いいじゃん!」と一発で決まりました。

―ストレートでいいですよね。さらに今作にはライブ音源が10曲も入っていますが、どうしてライブ音源を入れようと?

佐々木: 10年前のデビューの年にアルバムを2枚出してるから、2時間ぐらいのワンマンができるかもと9月に再現ライブをしたんですけど、すぐにチケットが売り切れたから来れなかった人にも聴いてほしいなと。それに、10年目にして全員で曲を作るという新しいトライもしているので、10年前の曲ばかりのライブ音源を入れれば、10年の一番古いところから新しいところまで味わえるかなと思って入れました。

―a flood of circleの歴史を感じられていいですね。さらに、11月14日(木)から年をまたいでツアーもやられます。どんなツアーにしたいですか?

佐々木: ミニアルバムの5曲は絶対にやりますが、5曲がバラバラなのでその点と点が遠くて。でも、それを埋める選曲は楽しかったし、今までにないセットリストになっています。これまでツアーに来たことがある人に、こんなライブもあるだというのを見せられると思います。

アオキ: ライブはいつも通りですよ(笑)。でも、今年3本もツアーしてるのかと思うと忙しないバンドやなと思いますね。

佐々木: 3本ツアーしてるけど、ひとつひとつはたいして長くないから。今まで新曲を出した後のツアーでその曲を初めてやることが多かったんですけど、「リリースする前の新曲をライブでやるのもいいよね」という話を今していて。だから、このツアーに間に合えばですが、『HEART』の曲だけでなく、どこにも出していない新曲をやりたいと思っています。曲が完成していないままやろうと思っているので、ツアーで成長させたいなと。

―それは楽しみです。今年も残り2ヶ月切りましたが、a flood of circleにとって2019年はどんな年でした?

佐々木: ツアーも含め『CENTER OF THE EARTH』が良かったのがデカかったですね。そこでフラッドの柱が出来たから、チャレンジしてもいいのかなと。以前は、チャレンジというキーワードの中に「このままじゃダメだ、海外へ行ったり全然違う刺激を受けたりして生まれ変わらなきゃ」みたいな焦りが入っていた気がしていて。でも今は、生まれ変わらなくてもいいなと思っています。バンドの良さをもっとじっくり表現して味わっていた方がいいなと。今じっくり固められれば外へ行く時にもっと堂々と出来る気がするので、そこを固めている1年だったと思います。

アオキ: 今年1年はすごく調子が良くて、戦車に乗っている気分でいろんなものをなぎ倒して行ったので、後ろには何も見えてないッス(笑)。この調子で来年もなぎ倒していきたいですね。

佐々木: 『空の青さを知る人よ』というアニメ映画に参加したんだよね。

アオキ: 主人公のギター演奏と動きをやりました。面白い体験をしたッス。

佐々木: それもすごくいいなと思っていて。ライブとリハとレコーディングをやっているフラッドの時間はたぶん100日ちょっとなんです。あとの時間で、俺はソロやTHE KEBABSというバンドをやったりテツはそういうのをやったりと、全然違う経験をすることでお互いが強くなって戻ってくるから、バンドにとっていいなと思っています。一枚岩なんだけど、一人ずつカッコいいヤツが集まっていたら最強だなと。今年、初めてそういうイメージが持てました。

―来年の活動も楽しみにしています。では最後に、ミニアルバムを手にするファンへ向けてメッセージをお願いします

アオキ: MVの評判が割といいみたいなので、これからもいい曲書いてみようかなと思います。

佐々木: 俺は逆境に燃えるタイプなんですけど、他の3人は褒められて伸びるタイプだと思っているので、これからもいいソングライターとしていられるよう応援してくれたら嬉しいです。そして、この『HEART』をみんなが喜んでくれるのが一番大事なので、CDを聴いてライブでリアクションをくれたら嬉しいなと思います。

a flood of circle『Lucky Lucky』MV

■リリース情報

『HEART』
Mini Album
2019.11.6 発売
2,500円(+tax)

■LIVE情報
a flood of circle "Lucky Lucky Tour 2019-2020"
2019年
11月14日(木) 千葉 千葉LOOK
11月29日(金) 北海道 BESSIE HALL
12月01日(日) 宮城 仙台MACANA
12月06日(金) 広島 CAVE-BE
12月07日(土) 福岡 LIVE HOUSE CB
2020年
01月11日(土) 大阪 梅田CLUB QUATTRO
01月13日(月祝) 愛知 名古屋CLUB QUATTRO
01月17日(金) 東京 渋谷CLUB QUATTRO
01月19日(日) 東京 渋谷CLUB QUATTRO

■オフィシャルHP
http://www.afloodofcircle.com

■プロフィール
2006年結成。佐々木亮介(Vo/Gt)、渡邊一丘(Dr)、HISAYO(Ba)、アオキテツ(Gt)の4人組。常にコンテンポラリーな音楽要素を吸収し進化し続け、最新のロックンロールを更新し続けているバンド。2009年にメジャーデビュー。2016年にベストアルバムのリリース、自身初となる海外ツアーを開催。デビュー10周年となる2019年3月にアルバム『CENTER OF THE EARTH』をリリースし、11月にメンバーそれぞれが作詞作曲したミニアルバム『HEART』をリリース。11月14日からツアーもスタート。

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