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ライター ツボイ

2019.8.20

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佐々木亮介 1st Full Album『RAINBOW PIZZA』インタビュー

「今これを聴いておけば間違いない」

a flood of circleのフロントマン佐々木亮介が、8月21日にリリースする1stフルアルバム『RAINBOW PIZZA』にて、ソロプロジェクトを本格始動する。シカゴと東京の2都市で制作された作品は、バンドとは打って変わり、現代のヒップホップシーンやR&Bシーンを意識した楽曲となっており、チャンス・ザ・ラッパーなどを手掛けるエルトン・チャンをエンジニアに迎えたシカゴ制作の4曲と、世界に進出しているROTH BART BARONの三船雅也氏と共同プロデュースした東京制作の4曲で構成されている。その作品はどのように生まれたのか。佐々木亮介に話を訊いた。

―1stフルアルバム『RAINBOW PIZZA』を聴かせていただきました。以前のインタビュー(アルバム『CENTER OF THE EARTH』インタビュー)でHIP HOPやラップのお話をされていましたが、まさに今のアメリカの空気を感じられる音楽だなと思いました。今回このような作品を作ろうと思った理由からお聞きしてもいいでしょうか

佐々木亮介: 今年3月のアルバム『CENTER OF THE EARTH』で、a flood of circleの武器を固められたと思っています。ただ、佐々木亮介として作っているデモの中には今作に入っているような曲が50、60曲あって、全部メンバーに聴いてもらったんですけど、あまりピンとこなかったらしく、「ソロでやってみたら」と言ってくれたので、ソロで追求していことにしました。それに、リスナーとして今のラップが好きですし、新しいポップスとしてスタンダードになる感じもしていたので、やりたいなというのもあって。別にラッパーになりたいわけではないですけど、自分の聴いている音楽とやりたいことが合致したからというのはあります。

―今回はシカゴへ行かれていますが、どうしてシカゴだったんですか?

佐々木: 普通N.YかL.Aだと思いますよね(笑)。シカゴだったのは、そもそもブルースの街だし、自分が新しいポップスだと感じているカニエ・ウェストやチャンス・ザ・ラッパーの出身地でもあって、歴史的にも今起こっている面白い音楽もシカゴにあるからです。それで、勇気を出してチャンス・ザ・ラッパーの担当エンジニアであるエルトン・チャンにメールしたら、「やろう!」ということになったので、行っちゃいました(笑)。

―エルトン・チャンさんにお会いした印象はいかがでした?

佐々木: めっちゃノリのいいファンキーな人でした。それでいて結構インテリジェンスもあって。2月の黒人歴史月間の時にシカゴへ行ったんですけど、そこで世の中のことや政治のことを語るときにバックで流れている音楽が、今売れているポップミュージックのチャンス・ザ・ラッパーやカニエ・ウェストだったことにすごく感動して。日本では美術館で政治的なメッセージのアート展をしてもJ-POPは流れないと思う。そこを一緒に語れる状況がシカゴにはあって、チャンス・ザ・ラッパーのエンジニアであるエルトンは、それを象徴している人だと思うんですよ。ノリはいいけど、真面目な話もちゃんとする。いろんな価値観をコミュニケーションで分かりあおうみたな人だったので、すごく刺激を受けました。

―エルトン・チャンさんとシカゴでどのように曲を作っていったのでしょうか?

佐々木: 家で作ったデモをシカゴへ持っていき、エルトンに整理してもらったので、そこまで曲作りには関わっていなくて、ミックスを任せた感じです。自分がMacBookで作った音とは思えないぐらい壮大な音にしてくれたし、いっぱい入っている楽器の音をキレイに棲み分けてくれたので、さすがだなと思いました。スケールはデカいけど、ちょっと一歩引いたところで展開しているのが気持ちいいんですよ。

―シカゴで楽器は弾かなかったんですか?

佐々木: 実はギターをシカゴで買ったんですよ。ノリで(笑)。加藤マニくんというMVディレクターに『Fireworks』のミュージックビデオを撮ってもらうため彼もシカゴに連れて行っていて、その『Fireworks』歌詞に<グレッチを弾いてグッチを買う>と書いていたところから、彼が「グレッチって言っちゃってるから映したい」と言うので、買うしかないと思ってシカゴの有名なギターショップへ行ってグレッチをゲットしました。せっかく買ったからレコーディングで使おうと思って、『Fireworks』と『Just 1 Thing』で弾いています。

―バンドでロックを歌うのとソロでラップするのとでは、声の出し方が全然違うと思うのですが、戸惑いはなかったですか?

佐々木: ロックバンドって、俺にとってはうるさいギターとドラムなんですよ。ライブハウスでそういう音を鳴らすと、自分の声を確認するためには大きい声で歌わなければいけなくて(笑)。それで鍛えられたところもあるんですけど、チャンス・ザ・ラッパー周りは、iPhoneさえあればいい。iPhoneのガーレジバンドというアプリがあれば曲が作れて、グラミー賞も取れる時代なんです。今は。要するに周りがうるさくないんですよ。iPhoneに向かって囁けばいいので。それが今っぽいラップの録り方だと思います。自分も誰でも使えるような機材を使っていたので、そういう環境の中で歌を試しているうちに今っぽい声の出し方ってこういうことかもと気が付きました。

―シカゴで録った曲はほぼ英語詞です。徹底していますね

佐々木: そうですね。前回メンフィスへ行った時、アメリカへ行ったのにどうして英語のリリックを書かなかったのだろうという気持ちがあったので、次はやってみたいなと思ってチャレンジしました。

―そんな中『Bi-polar Tokyo / 双極東京』は日本語も混ざっています。何となく、佐々木さんご自身のことも言っているのかなという部分もあって

佐々木: タイトルにある“Bi-polar”は「双極性障害』という意味なんですけど、ツイッターで普通のアカウントと裏垢があるように、人間にはそういうところがあるなと思っていて、裏面の自分も肯定していいんじゃないかと。自分はこうだと決めつけ過ぎなくてもいい。自分がこうだと決めつけちゃうと、人のこともお前はこうだろうと決めつけたくなっちゃう自分が嫌で。自分の両面をOKにすると、いろんな人のいろんな面もOKに見えて楽しいと思うんです。『Bi-polar Tokyo / 双極東京』は、そういうつもりで書いたかもしれない。シカゴで歌詞を書いたので、日本や自分の場所のことを書けたのもありますね。

―その曲も含めた前半4曲はシカゴで録り、後半4曲は東京で録られていますが、東京ではROTH BART BARONの三船雅也さんとの共同プロデュースです。そもそも三船さんとはお知り合いだったんですか?

佐々木: 全然知り合いじゃなかったです(笑)。アルバム制作は1人でやることもできたんですけど、誰かとコラボレーションして作ることを今回大事にしたかったし、自分も新しい扉を開きたかったので共通のスタッフに三船君を紹介してもらいました。

―ROTH BART BARONにどのような印象を持っていました?

佐々木: ROTH BART BARONって、海外の好きなアーティストを自分で探して自分でオファーして現地へ行き、レコーディングしてライブもするという見たことのない活動スタイルをしているバンドで、サウンドも海外の雰囲気がありながら日本のフォークみたいなところもあって、いろんなものが混ざっている。すごいバンドだなと思っていました。ちなみに、三船君は自分のひとつ歳下なんですよ。いたシーンはかなり違うけど、同年代だからかすごく波長があったし、チャンス・ザ・ラッパーが好きでエルトンを探して連絡したという点では三船君が先輩。そういう面でも話が合いましたね。

―その三船さんとの4曲はシカゴでの4曲とは雰囲気が変わります。三船さんとはどのように曲を作られたのでしょうか

佐々木: まず、シカゴで思いついたことを三船くんとシェアしました。彼も自分と同じで、好きな音楽の中からひとつを選ぶんじゃなくて、全部やればいいんじゃんっていう考えなので、何かっぽくするのではなく、思いついたこと全部を整えるだけですごく面白い音楽ができるんじゃないかという話をして作りました。彼の家のレコーディングブースで録っていて、奥の居間ではディレクターがコーヒーを飲んで待っているみたいな空間だったので、居心地のいいリラックスした空気感が曲にも出ていると思います。

―その中で『Snowy Snowy Day,YA!』はバンドっぽいサウンドですが、a flood of circleではやらない雰囲気だなと思いました

佐々木: 4曲しか録らないと決めていたんですけど、三船君に10曲ぐらいデモを聴いてもらって。その中から、この『Snowy Snowy Day,YA!』と『Game Over』を選んだので、三船君チョイスだからというのもあります。

―そして最後の曲『We Alright』は壮大な仕上がりですね

佐々木: 壮大にしようとは思っていなかったんですけど、なっちゃいました(笑)。この曲は『Fireworks』とつながっているところがあって、いま自然に作るとテンポが割とゆったり目で大きい感じになっちゃうんですよ。

―歌詞の内容も応援っぽくて、それが今の佐々木さんのご自身の気持ちもあるのかなと

佐々木: 普通に生きているとネガティブなことの方が多いと思うし、バンドでもっと届けたいと思っても悔しい瞬間があったりする。でも、そこにやりがいを感じてやっています。今は、まだないことをやろうとしていることに楽しみを感じているので、頑張れソングかもしれないですね。

―なるほど。その今作のタイトルを『RAINBOW PIZZA』にされたのはなぜでしょうか?

佐々木: ストレートに『Chicago / Tokyo』でもよかったんですけど、今回通訳をしてくれたアメリカでスタンドアップコメディーをしているサクヤナガワ君のコメディーライブを観に行ったら、すごく感動して。笑えるけど政治の話もちゃんとする姿勢がいいなと。その会場となっていた店の名物がシカゴピザで、それを食べながらピザってパーティーフードでみんなが食べられるし、どんな具をのせてもいい。これいいなと思って、最初『MIX PIZZA』にしようとしたんですけど、MIXじゃ足りないなと思ってRAINBOWにしました。

―さらに、今作の初回限定盤にはシカゴのドキュメント映像がDVDで付属するんですよね

佐々木: シカゴの街の感じやエルトン、フィーチャリングしたKAINAとの会話シーンもたくさん入っているので、かなり面白いドキュメントになっていると思います。一緒に旅をしている感じにもなると思うので見てほしいですね。

―そして、ツアーが9月1日(日)から始まります。弾き語りとバンドセットの2部構成の会場もありますが、どんなライブにしたいですか?

佐々木: 弾き語りはいつも通りやろうと思っていますけど、バンドセットはSANABAGUN.のドラムの(澤村)一平君と、MOP of HEADのGeorge君と『RAINBOW PIZZA』のためのバンドを組んだので、この音源の世界観をやりたいと思っています。DJセットで歌うのと生バンドのスタイルをミックスしてやろうと思っているのですが、それはチャレンジだし、アガる曲から超チルタイムもあると思うので面白いライブになると思います。

―それは楽しみです。最後に、リリースを楽しみにしているファンへ向けてメッセージをお願いします

佐々木: すごく気持ちいい作品になったので、曲に身を任せて聴いてほしいです。自分的には、2020年代に向けて今いろんなものが新しいストーリーに入ってきている気がしていて、それがこれから出てくると思っています。それを先にやってやろうと思って2019年中に作ったので、今これを聴いておけば間違いないですよ!

Fireworks feat. KAINA(Chicago Mix) 佐々木亮介 / Ryosuke Sasaki / LEO 【Official Video】

We Alright feat.三船雅也(Tokyo Mix) 佐々木亮介 / Ryosuke Sasaki / LEO 【Official Video】

Meme Song(Chicago Mix) 佐々木亮介 / Ryosuke Sasaki / LEO 【Official Video】

■リリース情報

『RAINBOW PIZZA』
1st Full Album
2019.8.21 発売
初回限定盤(CD+DVD) 3,000円(+tax)
通常盤(CD) 2,500円(+tax)

CD:
01. Fireworks feat.KAINA(Chicago Mix)
02. Meme Song(Chicago Mix)
03. Bi-Polar Tokyo / 双極東京(Chicago Mix)
04. Just 1 Thing(Chicago Mix)
05. Sofa Party(Tokyo Mix)
06. Game Over(Tokyo Mix)
07. Snowy Snowy Day, YA!(Tokyo Mix)
08. We Alright feat.三船雅也(Tokyo Mix)

DVD:シカゴへの旅のドキュメント映像. シカゴまでの道のり、
レコーディング風景など、シカゴでの数日間の旅の記録。
さらに『Just 1 Thing』のチェック映像も収録

■LIVE情報
RAINBOW PIZZA Delivery Tour 2019
09月01日(日) 京都 紫明会館 ※弾き語り
09月06日(金) 北海道 札幌KLUB COUNTER ACTION ※弾き語り
09月12日(木) 愛知 名古屋Vio ※弾き語り&Band Set(2部構成)
09月13日(金) 大阪 梅田Shangri-La ※弾き語り&Band Set(2部構成)
09月24日(火) 宮城 仙台STAR DUST ※弾き語り
09月27日(金) 長野 Live House J ※弾き語り
10月02日(水) 東京 渋谷WWW 弾き語り&Band Set(2部構成)

■オフィシャルWEB
http://www.afloodofcircle.com

■プロフィール
a flood of circleのVo.&Gt.担当。日本屈指のロックンロールバンドの中心人物であり、ロックンロールだけでなく、多種多様な世界のミュージックシーンのトレンドに常にタッチし、1stアルバム『LEO』ではブルースの聖地メンフィスで現地ミュージシャンと録音をしたブルース&ソウルフルな作品を作り上げ、前作『大脱走E.P. / The Great Escape E.P.』では逆に演奏すべてを自分で行い、世界で主流となるHIP HOP、トラップビートを取り入れた作品を制作。そして、8月21日に満を持して1stフルアルバム『RAINBOW PIZZA』をリリース。

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