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ライター ツボイ

2020.3.16

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THE KEBABS 1st Live Album『THE KEBABS』インタビュー

「リリースはオマケみたいなものだと思っています(田淵)」

デビュー作にしてまさかのライブ盤を、2月26日にリリースしたTHE KEBABS。「スタジオに入ってデカい音を出そう!」というノリで集まったという、Vo.&Gt. 佐々木亮介(a flood of circle)、Gt. 新井弘毅(ex. serial TV drama)、Ba. 田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)、Dr. 鈴木浩之(ex. ART-SCHOOL)からなるロックバンドだ。彼らの楽曲はバラエティに富み、自由。「なんだか楽しそうなことやってるぞ」感が伝わってくる。その楽曲はどのようにして生まれるのか?佐々木亮介と田淵智也の2人に訊いた。
※インタビューは2月21日に行いました。

―まずはTHE KEBABSを始めた経緯からお聞きしてもいいでしょうか

田淵智也(Ba): 一緒に下北沢でライブ活動をしていた10年来の友達の新井(弘毅)くんと、2017年の秋に「暇な時にバンドやろうぜ」とノリで言ってて、そこからドラムの(鈴木)浩之さんを引き入れ、佐々木に声を掛けてスタジオに入ったのが最初です。「バンド組むぞ!」というより、「スタジオに入ってデカい音を出そう!」というノリで集まった気がします。

―その当時は主にどのような活動をされていたのでしょうか?

田淵: 「暇な時に集まってセッション出来るような曲をやろう」と言って、スタジオに入っていました。

佐々木亮介(Vo/Gt): 何となく「ライブしよう」というのはあって、割と早い段階で田淵さんが「ライブハウスを押さえちゃおう」って動いてましたよね。

田淵: スタジオに入った日が楽しかったので、「これはもうライブやっちゃおう」と言って、2019年1月の会場押さえに動き出しましたね。

―ライブ出来るぐらい曲も作っていたんですか?

田淵: スタジオに入る度にどんどん曲が溜まっていくから、ライブやるには全然苦労しない予感は何となくありました。

―ちなみに、当時CDリリースまで考えていました?

佐々木: それは全然考えてなかったですね。最初は、「ストリーミングが普通になっている中で、あえて会場限定でCDを売ろう。そういう聴き方や音源の手に入れ方が楽しいというのもきっとあるよね」と言って、デモを作っていました。

田淵: リリースはオマケみたいなものだと思っています。集まってライブハウスへ行ってデカい音を出すところまでが僕らのバンドの目的なので、そこから先は面白がってくれる人がいるならリリースする感じですね。遊びで組んでるところもあるので、何に関してもその範疇から出ない気持ちでやっていくのが一番面白いかなとは思っています。

―そのデビューアルバムがライブ音源というのは新しいなと思いました。どうしてライブ音源にされたんですか?

田淵: そっちの方が面白そうというだけですね。メジャーデビューがライブ盤というのは、ニュースのキャッチ的にも目を引くだろうし、ウケるんじゃないかなと思って。さっきも言いましたけど、CDデビューや全国流通はオマケみたいなものだから、それをどれだけ面白くするか。それで出たアイデアが、デビューアルバムがライブ盤。それを面白がってくれる予感もあって選んだ感じです。

―確かに先にライブ音源を聴く体験って面白い

田淵: 今って大きなイベントへ行くために、YouTubeで見たりCDを借りたりして一生懸命勉強してから、その確認をしに行く楽しみ方の人が多いと思うんですよ。そんな中、ライブ音源をいきなり聴く体験ってあまりないのかなと。「ライブハウスではこんなことが起きてるんだ」というのを家で知るって、面白いかもなと思っています。

佐々木: ラジオで「新曲聴いてください」と言って、ライブ音源が流れるのってすごくいいなと思っています。ライブの空気感がある曲を新曲として世の中に出せるのって、すごく空気が変わった感じがして。

田淵: ラジオで「新曲流します」と言ってライブ音源が始まるのは新鮮だし、自分たちで聴いても面白いと思いました。リスナーの中に「何これ?」と思った人がいたら、してやったりですね。せっかく世に出すのなら、ロックバンドってこういう遊び方あるよ、こういう面白がり方あるよという提案をした方がいい。ライブアルバムを出せたことで、それがさらに広がったと思っています。

―その収録曲についてですが、個人的にノリで作っちゃいましたという印象があって…

一同: (笑)。

佐々木: ノリでやっていく良さは絶対あるのに、ちゃんとすることで損なわれる部分もあって。ユニゾン(UNISON SQUARE GARDEN)やフラッド(a flood of circle)を命がけでやってきた経験があるからこそ出せる言葉やリフをパソコンに取り込んでアレンジしていくと、しっかりしたアートになる反面、いい加減な魅力などは失われちゃうのかなと。でも、THE KEBABSはそっちに全振りしているんです。

―同じ言葉を繰り返している歌詞が多いのもそういう観点からですか?

佐々木: それは田淵さんのセンスだと思っています。超難しい曲を15年書いてきた人だからこそ、簡単にするとしたら何を書く?という大喜利だと思うんですよ。

田淵: 佐々木が同じ言葉を連呼するのは単純にカッコいいなと思って。これができるボーカリストってそんなにいないし、歌詞も簡単になって合理的じゃないですか。それに、簡単な歌詞を書ける俺に挑戦することもやったことないから超楽しくて。新しい遊び場が一個増えて出来ることがただ増えただけ、ただ人生が豊かになっただけみたいなのが、このバンドをやることでいっぱいあります。

―楽しみながらやっているんですね。収録曲はバラエティあるけど、なぜか統一感がある。それが不思議なんですよ

佐々木: みんなの15年ぐらいのスキルが出ちゃってるんですよ。どれだけシンプルにしようと思っても、どこかですごく上手かったり、プロデューサーが2人いるからプロデュース的な目線もあったりして、バラエティがあってもバランス感覚が働いちゃって筋が通っちゃう。そのおかげでTHE KEBABSは成り立っていると思っています。

田淵: ただふざけてるだけ、ウケ狙いだけだと、ただスベってるだけなので、そこは勘違いされたくないですね。ロックに対する憧れや、ロックバンドのアルバムとはという美学はちゃんとあるから、そのマナーから外れないようにはしているつもりです。そのセンスがあるから今も音楽をやれてるわけだし、遊びでバンドをやると言ってもそこを外したらすごくカッコ悪い。アルバムのまとまりがいいというのは、自分たちから溢れ出るセンスがそうさせているんじゃないかなと(笑)。

佐々木: (笑)。確かに自信を持って、いいものだと思ってやってますから。

―『ホラー映画を観よう』の喋っている歌い方もセンスですよね

佐々木: スタジオへ行ったら新井さんが「佐々木くん、歌わなくていいから喋ってくれ」と(笑)。

田淵: そこは新井くんのアイデア。Aメロはずっと喋っているという。

佐々木: 喋るということは、歌詞をたくさん書かなくちゃいけないじゃないですか。「それはちょっと辛いぞ」と思ったので、新宿駅からある場所までの道案内にして(笑)。

―そうなんじゃないかと思っていました(笑)

佐々木: ライブで新宿駅からそこへ行くまでの道案内を歌えばいいと分かっていれば、歌詞も間違えないんですよ。

田淵: 器用だな(笑)。

―リアルだからこその怖さもあるし、ウィスパーな部分もそれを助長してる感もあります。そして、個人的に気になったのが『メリージェーン知らない』。冒頭の歌詞からびっくりしました

佐々木: 俺もびっくりしました(笑)。

田淵: THE KEBABSでは歌詞を書く時に破綻を恐れないことに拘っているので、あまり考えずにやろうと。この曲は、ずっと<メリージェーンを知らない>と言ってる歌詞にして基本的に景色は展開しない方がいいなと思って書きました。2番で展開してDメロで起承転の転があって、最後のサビで完結みたいな歌詞が結構好きで書いちゃうんですけど、このバンドの歌詞は一貫して終始同じこと言う方がいいなと。

佐々木: 新井さんが作ってきたデモを歌詞なしで聴くと、すごく切ないメロディなんですよ。サビとか泣きのメロディだから、THE KEBABSとしては真面目すぎちゃうんじゃないかと思っていたんですけど、田淵さんがこの歌詞をつけてきた途端にTHE KEBABSの曲になったという(笑)。

田淵: 歌詞でバランスを取ったというのはおこがましいですけど、そういう曲を書くごとに、こんな感じがTHE KEBABS的に一番楽しいだろうとなって。それが俺らのイロになっていくだろうし、外から見ても分かりやすいだろうなと思って、だんだんシンプルでちょっとふざけてるのかと平気で言えるような歌詞に整っていったような気がするんですよね。

―それがTHE KEBABSのイロになりそうですね。そして次の曲『THE KEBABSは忙しい』では、田淵さんがリードボーカル。貴重です

佐々木: ですよね。俺がライブで喉が疲れちゃうんじゃないかと心配してくれてるらしくて(笑)。

田淵: なるべく歌の負担がない方がいいなと(笑)。僕はあまり歌うのが得意じゃないというか、人前で歌うのは恥ずかしいんですけど…。

佐々木: いい声なんですよ。

田淵: でもすぐ枯れちゃうから。THE KEBABSで唯一エネルギー使うのは歌です。

佐々木: (笑)。でもそれがTHE KEBABSのキャラにもなっている気がして。1曲目の『オーロラソース』も、最初は俺が全部歌う予定だったんですけど、一回レコーディングしてから田淵さんに「2番歌っちゃいません?」って。「嫌だよ!」と言ってたんですけど、「ライブ大変だな」って言ったら、「しょうがないな」と歌ってくれました(笑)。

田淵: 「本当は歌いたいんじゃない?」って言われそうですごく嫌だったんですけど。

佐々木: 田淵さんが歌いたいというより、俺が田淵さんの歌をみんなに聴かせたいみたいな。

田淵: そうなの?(笑)。

―そういうことなんですね(笑)。そして『猿でもできる』はライブならではの煽り曲かなと

佐々木: そういう機能もあるし、特に振り付けがあるわけじゃないから、好きに踊って欲しいなと思っていろんな人のいろんな踊りが肯定されるイメージで歌おうと。<踊れるやついるか>と16回言って、16人分のダンスの歌い方にしようみたいな気持ちが芽生えてきて歌いました。

―そうなんですね。この曲はどのように生まれたんですか?

田淵: アホっぽい曲があった方がいいなみたいな。ライブが決まると曲ができるというのがあって、毎回同じライブでもつまらないからこういうところでこういうピースがハマったら新しいライブになるんじゃないかと。この曲は、3、4ヶ月ぶりのライブの時にアホっぽい曲があったらよりアホっぽさが伝わるかなと思って作りました。

―ライブの時に曲が思いつくんですね

田淵: こういうメンバーじゃないと思いつかない楽曲ですね。佐々木は同じことを何回も言うのがカッコいいとか、ギターは「適当に弾いて」といったら弾いてくれるとか、そのお題で曲を作ってくださいと言われて作る感じに近いかもしれない。だから、演奏してる3人を見てると湧いてくることがすごくある。もちろん『猿でもできる』もTHE KEBABSでやってる画が見えたから作ったんだと思います。

―みなさんの信頼関係があるから、それが出来るんだと思います

佐々木: 確かに。その人じゃなきゃいけないわけだから。THE KEBABSのメンバーの中で大喜利してる感じ。このメンバーでやる一番カッコ良くて面白いことを探しているという。

―なるほど。今後も次これやったら面白くなるんじゃないかが出てくるかもしれないですね

佐々木: そうですね。最初集まった頃に『猿でもできる』まで辿り着くとは思ってなかったので(笑)。次のアルバムは妙にいい曲ばかり入ってたり。

田淵: (笑)。泣きのバラードだけとかね。

一同: (笑)。

―そして、最後の『枕を変えたら眠れない』だけ雰囲気が違います。これはthe pillowsの映画『王様になれ』への曲というのもあってですよね

佐々木: 最初、the pillowsのさわおさんから「映画やるから、架空のバンドで出てくれ」と言われたんですよね。

田淵: そう言われた時にはTHE KEBABSでスタジオに入るのが決まっていたので、花を添えるなら新曲の方がいいなと思っていて。その時に、<枕を変えたら眠れなくなるから>というメロディが出てきて、ぴったりだなと。僕と佐々木で作詞と作曲が連名というTHE KEBABS史上初の曲なので、実現したいという思いもありました。

佐々木: サビがある状態で全体的のデモを送ってくれたんですけど、その時盛岡にいて。でも、すぐ書いた方がいいなと思って盛岡のカラオケに1人で行って歌詞を書いてデモを送って、「どうですか?」と。

田淵: そうやって2人でやれたのはすごく楽しかったですね。the pillowsにお世話になっている2人なので、2人で作ることに意味があるんじゃないかなと思って作ったら名曲ができました。

―最後の最後にこの曲で締めるのはちょっとずるい面もあります

田淵: たまにキメるの大事だよね。「ここはしっかりしてるんだ」みたいなところがちゃんとないと。その方が統一性出ると思うんですよ。全部ふざけてたら、ただスベってるだけになると思うから、「この人ちょっと本気出したぞ感や、泣きメロ感がきたぞ」が定期的にあった方が面白い。その方がウケると思うんですよね。それがTHE KEBABSのイロになっていくんじゃないかと思ってます。

佐々木: その辺がプロデューサーっぽいですよね(笑)。

―確かに(笑)。アルバムは10曲収録されていますが、あっという間に終わったみたいな感覚があります

田淵: それは狙っていたところがあります。短いアルバムの方が絶対にいいという構想はちゃんとあったので、曲の並べ方には拘りました。

佐々木: ライブも「無駄に長くやらない」っていつも言ってるし。

田淵: そう、ライブは長くやらない。無駄なMCもしない。

―そのライブですが、3月3日からツアーが始まります。どんなツアーにしたいですか?

佐々木: 何らかの成長を刻むためのツアーみたいなカッコいいものじゃないところから、“THE KEBABS 旅行 2020”というタイトルになったので、遊びに行く前提で行きたいなと。

―名古屋は3月14日(土)にCLUB QUATTROで行われます。セットリストにはアルバム収録曲以外もやられます?

佐々木: 入っていない過去の曲もあるし新曲もありますから、おそらく。ツアー前にスタジオで練習するんですけど、小一時間余ったら「作っちゃおっか」みたいな感じでやっているうちに溜まってきてもいるし。

田淵: アルバムのリリースツアーという感じもそんなになくて、「ライブする場所が増えた、やった嬉しい。何やろうかな」という感じなので、当然この作品の曲たちはやると思うけど、別にその曲たちを披露するぞという気持ちで行くのはあまりないので、どうなるか。

佐々木: 確かに引っ提げて感はあまりないかも。

―ちなみに、THE KEBABSに対してお互いのバンドメンバーは何か言ってます?

田淵: 1回目のライブは観に来ましたけど、あまりそういう話はしないかな。ただ、観てもらう分にはいいですけど、歌ってるところを観られるのは恥ずかしいですね。あと、俺はユニゾンで「ボーカル以外が喋るのはダメだ。俺は喋らない」と言ってるけど、THE KEBABSでは喋るという。で、鈴木くんが楽屋へ入ってきた時、「ごめん喋った」って。

佐々木: 気にしすぎですよ(笑)。最初はなべちゃんが「THE KEBABSってどんな感じでやってんの?」って聞いてきたけど、出てきたものが『猿でもできる』だったんで、「やってんな」ぐらい。

―最後にライブを楽しみにしている方々にメッセージをお願いします

佐々木: THE KEBABSのライブはアルバムを表現するんじゃないので、他のライブで楽しみ方を学んだとしてもゼロから楽しんでほしいですね。俺らもこれまでのバンドの常識をなるべく入れないようにしてやっているから、いい意味で頭空っぽで楽しめると思うし、その場で新しい楽しみを作っていける気がしています。俺らも無で行くので、予習し過ぎず気軽に来てください。絶対楽しませます。

田淵: 俺も一緒で、あまり準備しない方がいいなと思っています。鳴ってるものを耳で聴いて確認する楽しみ方だけじゃなく、その音に乗っかるだけでもロックバンドって楽しめると思う。THE KEBABSは、それを体現するライブをやっていると思うので、特に準備なくきたらいいんじゃないかなと思います。

THE KEBABS『オーロラソース』 Official Music Video

THE KEBABS『猿でもできる』 Official Music Video

■リリース情報

『THE KEBABS』
1st Live Album
2020.2.26 発売
初回限定盤(CD + Bonus CD) 3,500円(+tax)
通常盤(CD) 2,000円(+tax)

■LIVE情報
「THE KEBABS 旅行 2020」の振替公演やチケット払い戻し、などの詳細につきましてはオフィシャルサイトをご確認ください。

また、ツアーグッズや会場限定発売予定だったアルバム「THE KEBABS[スタジオ録音盤]」は現在は公式オンラインショップにて販売中。

■THE KEBABSオフィシャルサイト
http://kebabsband.com/

■THE KEBABS official online shop
https://kebabsband.shop-pro.jp

■プロフィール
Vo.&Gt. 佐々木亮介(a flood of circle)、Gt. 新井弘毅(ex. serial TV drama)、Ba. 田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)、Dr. 鈴木浩之(ex. ART-SCHOOL)からなるロックバンド。2018年11月突如バンド結成がアナウンスされ、以後神出鬼没にライブを行うイカしたやつら。
デモCD『THE KEBABS#1』、『THE KEBABS#2』を会場限定でリリース、両CDともソールドアウト。2019年9月18日には『枕を変えたら眠れない』を配信リリース。(同曲は、the pillows結成30周年プロジェクトとして劇場公開された『王様になれ』の中で、THE KEBABSが本人役で出演しているシーンでも演奏されている)。そして、2020年2月26日に、1stアルバムをライブ盤でリリース。

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