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ライター ツボイ

2019.11.7

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TENDRE E.P『IN SIGHT』インタビュー

「今年のやりたいモードを表すのにすごく充実した6曲を揃えられたと思っています」

マルチプレイヤーとして独特の存在感を放つ、河原太朗のソロプロジェクトTENDRE。誰もが身を委ねたくなるような心地良い楽曲は、ずっと聴いていられる。それは、10月2日にリリースされたE.P『IN SIGHT』でも然り。TENDREの楽曲はどのようにして生まれるのか?サウンド作りから歌詞に至るまでのこだわりを本人に訊いた。

―まずはTENDREさんの音楽との出会いからお聞きしてもいいですか?

TENDRE: 両親がジャズミュージシャンだったので、よく自宅でリハーサルやレッスンなどをしていました。それに、両親は毎年クリスマス時期になるとマンションの貸しスペースで、ミュージシャン仲間を連れてきてセッションするなどパーティーも開催していました。自分が生まれた時からそうだったので、この時にこういう曲を聴いて音楽にビビッときたではなく、音楽は自分の生活の中に自然とあるものでした。

―ご両親がやられていたジャズをずっと聴いていたんですか?

TENDRE: ジャズに限らず、母親が黒人シンガーを好きだったので、ソウルやR&Bが流れていることの方が多かったです。

―J-POPや日本のバンドの曲はあまり聴かなかったんですか?

TENDRE: テレビなどで流れている曲を知っている程度でした。中学3年生の卒業間際に友達と初めてカラオケへ行った時、初めてMr.Childrenを認識したことは覚えています。高校で吹奏楽部を続けながら友達に誘われてバンドをやった時に、初めて日本のバンドのコピーをやりました。そこでちゃんと認識するようになった気がします。

―ちなみに吹奏楽部ではどのような楽器を担当されていました?

TENDRE: 最初はトランペットでした。コンクールにも出ていたんですけど、中学3年生の時に先輩から継承されてバリトンサックスというサックスの中で一番大きいものに急遽変わって。そこで、低音楽器に興味が湧きました。高校は部員が少なかったので、「いろんな楽器をやってみたら」という無茶振りから、サックス全般やバスクラリネット、ホルンなどもやることになり、同時にベースも始めたんですけど、それが今自分のやっていることにつながる根底になるのかなと思います。

―吹奏楽部で低音楽器に触れたことで今に繋がるんですね。TENDREさんはバンドも組まれていましたよね

TENDRE: そうですね。20歳ぐらいの時に高校の同級生と、自分がボーカルをとりながらベースを弾くampelというバンドを組んでいて、今もタイミングをみながらやってはいます。その活動をしつつ、下北沢のライブハウスで出会った人たちと一緒に曲を作ったり、メジャーアーティストの後ろでベースを弾く仕事をしたりしていました。

―なるほど。どのタイミングでソロをやろうと思われたんですか?

TENDRE: そもそも、大学ではDTMを使って音楽を作ることを習っていたので、ずっとPC上で曲を作っていました。ソロを何となく意識したのは3年前ぐらいですね。バンドをやりながら、自分で作っていた曲をSoundCloudに年2回ぐらいのペースでアップしていたんです。その中にあったThundercatというアーティストのカバーを聴いてくれたのが今のレーベルの社長で。それから社長にお会いして話をした数ヶ月後、レコーディングが決まりました。そして、作品をちゃんと世に出すためには屋号がいるなと思い、ひねり出した言葉がTENDREです。

―TENDREってRとEが逆ですよね

TENDRE: そこは深く意味をつけすぎずにRとEを逆にしました。字並びが若干Fenderのロゴに近いし、TENDERというワードは既視感もあるだろうから、捉えやすさとしてひねりを入れようかなと。「テンドレ」と読む方もいらっしゃると思いますが、そこは不確定であってもいいのかなと思っています。それに、RとEを逆にした意味が、もしかしたらこれから何か出てくるかもしれない。それぐらいの感覚です。

―その感覚いいですね。TENDREさんの楽曲は心地良いサウンドの中にちょっと懐かしさも感じます。サウンド作りにおいて大切にしていることを教えていただけますか?

TENDRE: 楽器ひとつひとつには意味があるんです。僕はそれが鳴っている意味を見出したいと思っていて、楽器ひとつひとつがちゃんと活きる配置を考えています。今回の作品はちょっと音数が多いんですけど、それぞれがいろんなキャラクターを持って鳴っていると思うので、お互いがちゃんと尊重しあえるような配置を考えました。

―よく聴くと細かい音も入っていますが、その音はどのように入れています?

TENDRE: ビートの中に細かい音を入れる場合は、まず足し算していくイメージで作っていて、そこから引き算した上で気持ちいいものを目指していく考え方です。そのまま残す場合も当然ありますが、そこは考えながら組み立てています。

―10月2日にリリースされたE.P『IN SIGHT』に収録されている『VARIETY』は結構足し算されている曲なのかなと

TENDRE: そうですね。デモ曲は以前からあったんですけど、曲の意味合いを考えた時に、これは色々鳴っていたらカッコいいなと。これまで音数の少ない曲が多かったから、『VARIETY』に関しては大所帯感ではないですが、賑やかさを演出して作ってみようというのは意識したかもしれないです。

―歌詞もサウンドと同様に耳馴染み良いですが、言葉選びで気をつけていることはあります?

TENDRE: 僕は自分の心模様を歌うことが多いんですけど、それを土台にしながらも聴き手の体験や想いにハマるような言葉を選んでいきたいと思っています。そういう意味で、自分の曲ではあるけどみんなの曲でもあってほしいので、そこに気を使った言葉選びもしますし、なるべく難しいことは言いたくなくて。一言で言うことより、一言で言うための背景をちゃんと作るイメージで書いています。

―リズムに合わせやすい英語を使いたくなるとは思うのですが、全て日本語詞というところがすごいですよね

TENDRE: 僕は日本語と横文字の混合があまり好きじゃなくて。「どっちなの!?」みたいな(笑)。だから、僕は日本語で歌うなら日本語、英語を使うなら英語で歌いたいですね。言葉ってリズムに頼りがちなところはあるので、などは使いやすいとは思うけど、なるべく頼らず、なるべく聴いたことあるけどこういうリズムで聴いたら新鮮だねという言葉を探していきたいというのはあります。

―今後もは使わないと

TENDRE: を使うんだったら、いいタイミングで極上のを使います。

―その時を楽しみにしています。『IN SIGHT』を作るにあたってテーマなどは設けました?

TENDRE: シングル曲やタイアップ曲はそれぞれ作った時期が違いますので、ちょっと違ったベクトルは持ちつつも、それらを踏まえた時に今年TENDREとして見せられるモードって何だろうと。去年はTENDREらしさを作ったベーシックな一年ではあったので、それを経ていろんな反響をもらったり、ライブに来てくれる人の反応を見たりした上で、2019年は今TENDREとして見えてきてるものを作品にするべきだなとは、何となくEP.を作る段階で考えてはいました。1曲目の『SIGN』は“兆し”と言う意味もあるのですけど、曲を作り出した去年の12月ぐらいからずっといい兆候、いい風があったので、1曲目にふさわしいなと。今年のやりたいモードを表すのにすごく充実した6曲を揃えられたと思っています。

―その中でタイトルにもなっている『IN SIGHT』は、ひょっとして最後に作られました?

TENDRE: まさにそうです。

―最後の広がっていく展開が感じがいいなと思いました

TENDRE: ずっと『YOU CAN SEE』というインタールードを頭に置きたいなと思っていて、その流れで『SIGN』が始まるイメージでした。それが、最後の方に『IN SIGHT』という曲を書いた時に、EP.としての表現を考えて『IN SIGHT』を歌い終えた自分が、その先に向かっていく道のりを『YOU CAN SEE』で表現して、また『SIGN』という兆しが見えてきた頭に戻るという、EP.だからこそできる6曲を作ってみようというのがありました。

―なるほど。また、『IN SIGHT』ではAAAMYYYさんのコーラスがいいアクセントになっていますね

TENDRE: AAAMYYYとは3、4年ぐらいの付き合いになります。元々KANDYTOWNというヒップホップクルーにいるRyohuが、初めてワンマンをやる時一緒に手伝ったことがきっかけでした。それから僕はTENDREを始め、AAAMYYYもソロをやっている中で、お互いを助け合えるいい仲間というのもあって、自然な形で「ちょっと手伝ってよ」と声を掛けました。AAAMYYYの声を知っているからこそでもあるとは思います。

―そういう仲間がいるのは強みですね。ひとつお聴きしたいのですが、アウトロというか余韻の長い曲が多い印象です。これは敢えてですか?

TENDRE: 余韻が好きなんですね、たぶん。サブスクで聴かれる今は「イントロがすごく大事だ」とよく言われるじゃないですか。でも僕は、曲の終わらせ方が一番大事だと思っています。それがシンプルでカッコいい時もあれば、アウトロに意味を持たせないと今まで語ってきたことが全て水の泡になっちゃうというか。そこはある種のこだわりがあって。例えば音の消え方とか。そういう意味では、今回は曲それぞれに余韻を持たせたがっていたんでしょうね。

―曲としてのストーリーがちゃんとあるということですね

TENDRE: 人間模様が音楽に現れていて、僕は基本的にそれを反映させていきたいし、それが言葉だけじゃなくて作り方でも伝わってくると思っているので大事にしていきたいですね。

―そしてツアーも始まりますが、ライブではサポートを入れて5人体制です。今後もずっとそのスタンスでやっていかれる予定です?

TENDRE: その時々じゃないですかね。今はTENDREとして自分が前に出て、信頼できる仲間に付いてきてもらっていますが、もっと大所帯になることもあれば一人でやることもあるかもしれない。それはTENDREというものを今後発展させる中で、それに見合ったことを誠実にやっていければいいなと思っています。

―では最後に、TENDREさんが今後やりたいことを教えてください

TENDRE: 妄想というアイデアはすごくたくさんありますが、大所帯をちゃんと見合ったステージでやりたいですね。TENDREという音楽性自体も日本語で分かりやすくはあるけど、結構サウンドに凝っているみたいな概念はきっとあると思いますが、僕は僕なりにちゃんと道を切り拓きたいと思っています。それはコアを意識するではなく、新しい楽しませ方があるという僕なりのエンターテインメントという意味で。今は大きい会場でビッグバンドをやりたい構想があるので、それを少しずつ展開していきたいですね。

TENDRE『SIGN』 Official Music Video

TENDRE『VARIETY』 Official Music Video

■リリース情報

『IN SIGHT』
E.P
2019.10.02 発売
1,800円(+tax)

■LIVE情報
「IN SIGHT - EP」RELEASE "ONE-MAN" TOUR
11月15日(金) 東京 恵比寿LIQUIDROOM
11月18日(月) 東京 恵比寿LIQUIDROOM ※追加公演
11月20日(水) 大阪 Shangri-La ※追加公演

■オフィシャルHP
http://kawaharataro.com

■プロフィール
ベースに加え、ギターや鍵盤、サックスなども演奏するマルチプレイヤー、河原太朗のソロ・プロジェクト。YOGEE NEW WAVESやCHARA、SIRUPなど様々なバンドやアーティストのレコーディングやライブに参加し、共同プロデュースも務めるなど活動は多岐に渡る。2017年12月にTENDRE名義で6曲入りデビューE.P『Red Focus』をリリース。2018年には、tofubeatsによるリミックスも話題となった配信限定シングル『RIDE』を含む1stアルバム『NOT IN ALMIGHTY』をリリース。2019年は国内の主要フェスにも出演。注目度が高まる中、10月2日にE.P『IN SIGHT』をリリース。

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