

T-Friends
2016.6.22
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CLUB UPSET 10th ANNIVERSARY“爆裂ヒーローショウ~階段地獄十年編~”
@CLUB UPSET
音楽を武器に進む力をくれるスーパーヒーローショウ
ヒーローと聞いた時、何を思い浮かべるだろうか。10周年を迎えた池下CLUB UPSETで、ビレッジマンズストア主催の“爆裂ヒーローショウ~階段地獄十年編~”が開催された。当日MCで、ビレッジマンズストア・水野ギイ(Vo)が「このイベントには2つの意味が込められているんだ。1つは俺が大好きなヒーローを君らに見せるっていう日って意味。あと1個、忘れちゃいけない。ここにいる間、俺たちが君をヒーローにしてやるぜって意味だ!」という言葉。その言葉通り、この日の対バンはそれぞれに個性をはっきりと持った強豪揃い。迎え撃つフロアも次々と現れるヒーロー達に負けない気合いの入った熱気で応えていた。

開演時間ジャストに照明が落ちる中、流れ出したのは鳴ル銅鑼の印象的なSE。幕が引かれて現れた蒲 信介(六弦)、グローバル徹(四弦)、リョウヘイさん(太鼓)の3人が一斉に音を鳴らし出すと、妖艶な笑みを浮かべた三輪和也(唄/六弦)が和傘をくるりと操りながら登場。「鳴ル銅鑼、開演」という囁き声から一気に『御祭騒ぎ』へとなだれ込み、ヒーローショウが堂々と開幕の時を迎えた。

華やかな空気に会場を染め上げると、威勢の良い台詞を皮切りに『夢浮橋』を奏で出す。彼らの美学を映し出したようなステージングに一瞬で魅かれるライブハウス。独特の世界観をステージ上に描き出していく彼らのLIVEは、いつもの日常が遠く離れた場所に感じられるほどに幻想的だ。続く『狂わせたいの』では、フロント3人がフロアに向けて手拍子を求め、三輪の楽しげな「もっと下さい、アップセット」の声に合わせて、クラップが巻き起こる。そして、重低音を引き継いで流れるように始まった『化学舞踊』では赤とピンクの照明が綺麗に映える中、オーディエンスは思い思いに身体を揺らして楽しんだ。

曲が終わると何やらごそごそと動きを見せる蒲。「こんばんは、岐阜県から来ました、愛と勇気を届けるプリティーセンチメンタルヒーロー、鳴ル銅鑼で御座います!」とテンション高く言い切った彼の目には“ヒーローらしい”という真っ赤なサングラスが。去年も同イベントに呼ばれとても楽しかったから、今年も楽しいイベントにしたいと話す姿からはビレッジマンズストアを素直にリスペクトしていることが伝わってくる。“モードチェンジ”と称してサングラスを光らせながら行ったC&Rでは、その想いがしっかり伝わったのだろう。『阿』の和風なメロディーに乗せて、オーディエンスからの一際大きな歌声が響き渡った。ボルテージを天井知らずに引き上げていく激しいプレイを重ね、「もっともっと僕の歌を聴いて下さい。もっともっと僕の痛みも悲しみも、ステージの上に居るときくらいは貴方がたと共有したいと思ってます」と切々とした声音で話した三輪。

『アステロイド』での全てを出し切るかのような絶唱には、思わず呼吸を忘れて聴き入ってしまうような、声を操る表現者としての懐の深さを垣間見せる瞬間も。ギタートラブルによって三輪のギターを蒲が持つというレアな展開を見せつつ、「僕らは仲間じゃない。チームでしょ?力を貸してください」とフロアに呼びかけた三輪。逆境をも味方につけるような圧倒的な存在感で最後まで観客を魅了して、彼らはステージを後にした。

二番手を務めたのはTHE PINBALLS。暗くなると同時に野太い歓声が上がり、古川貴之(Vo)がステージの真ん中で両手を広げると我慢できないというように前へと詰め寄るオーディエンス。「お前らを撃ちぬきにやって来た!THE PINBALLS、参上!」という森下拓貴(Ba)の咆哮を皮切りに、『真夏のシューメーカー』でLIVEはスタート。自由に飛び跳ねてうねりをみせるサウンドが次々とオーディエンスに突き刺さる。「今日はとことんロックを聞かせに来たんだぜー!」という言葉通りにぶっといリズムを鳴らし出していく森下と石原 天(Dr)。時に軽妙に、時にスリリングなフレーズを繰り出す中屋智裕(Gt)。そしてフロアを真っ直ぐに見据えて、全身全霊で歌う古川の熱量が絡み合って産まれる心地良いロックンロールの熱に浮かされるように次々と拳を掲げるフロア。


数曲奏で終わる頃には、ステージ上のメンバーもフロアにいるオーディエンスも、一様に汗ばみながら良い笑顔を浮かべている。「UPSET、10周年おめでとうございます。最高!今日がこんなに楽しいとは…」と口を開いた古川。彼らも10周年を迎えるバンドだということで、「僕らのための1日だと思っても宜しいでしょうか!」という問いかけにファンは拍手で応える。東京のバンドである彼らが、「名古屋でこんなホームだと思える場所に出会えると思わなかったし、名古屋のお客さんとこんなに暖かくなれると思ってなかった」と感慨深げに話しだし、「やりたいことがあったらやって下さい。諦めないでという気持ちを込めて歌います」と言葉を締めると、薄いブルーのライトが優しくステージを照らす中、『まぬけなドンキー』を愚直に未来を信じる姿を肯定するように丁寧に歌い紡いだ。

「ロックをやろうぜ!」という森下の雄叫びからラストスパートがスタート。『劇場支配人のテーマ』、『悪魔は隣のテーブルに』などロックスターとしてのカリスマ性を遺憾なく発揮しながら音をぶっ放す彼らに、負けじと全身で楽しさを表現するオーディエンス。LIVEはオーディエンスとアーティストが一体となって作り上げるものだという言葉が実感を伴って感じられる、相思相愛の熱演が繰り広げられていく。「まだまだ足りねえ!カーニバルにしたいんだよ!行けるか!」と叫んだ古川の言葉を皮切りにミラーボールが回り出すと、ロックンロール・パーティーさながらの『carnival come』、『20世紀のメロディー』と清々しいほどのストレートさでロックを鳴らしてステージを後にした彼ら。堂々とした立ち姿に憧れに近い感情を抱いたオーディエンスも多かったに違いない。

サウンドチェックから抜群の盛り上がりを見せた、真っ赤な衣装を身に纏うスーパーヒーロー、ビレッジマンズストア。颯爽とステージに現れた岩原洋平(Gt)、Jack(Ba)、加納靖識(Gt)、坂野 充(Dr)が気合たっぷりの音出しを始めると、真っ白なファーを首から下げた水野が華々しく登場。そしてフロアに向けて一言、「鳴ル銅鑼とピンボールズには申し訳ないんですけど、名古屋の夜はこれから始まるということで!君を孤独から救い出す最強の音楽を!」。フロアに飛び込みかねない勢いで歌い倒す姿に、ぐいぐいと惹きつけられていくオーディエンス。「名古屋最強のロックバンド・ビレッジマンズストアだよ!」と言い放つ彼らは紛れもなくスーパーヒーローのように燦然と輝いて見える。

次々と音を放ちながら、高い熱量で歌を届け続ける5人。人懐っこい笑顔を浮かべて、ステージの上をフロアの隅々まで届けと言わんばかりに縦横無尽に動き回り、メンバーのソロになると心底楽しげに演奏する姿を見つめている。その姿はまさに水を得た魚という表現がぴったり当てはまるようで、今この場所がとても楽しいんだ!ということがひしひしと伝わってくる。「始まってますか、爆裂ヒーローショウ!」と水野が呼びかけると、既にハイテンションなオーディエンスは弾ける笑顔で応えてみせた。『逃げてくあの娘にゃ聴こえない』で前後に揺れまくるフロアにOKポーズで「100点満点です!」と満足気に笑い、合唱を巻き起こしたかと思えば、『セブン』ではフロント4人で飛び跳ねながらオーディエンスを焚きつけていく。ロックンロールの陽性のパワーを存分に活かして聴き手を笑顔に変えてしまう魔法のよううな力は健在だ。

階段と怪談を掛けた嘘みたいに和やかなMCを挟みつつ、「もう半分しか無いんですけど!行けますか、階段地獄!」という水野のシャウトでLIVEは後半戦へ。カラフルなライトが会場を彩る中、『MIZU-BUKKAKE-LONE』、『夜を走れ』と次々と曲を披露する彼ら。水野の「楽しいね。俺は決めたんだよ。君が独りぼっちで作り上げた美しい世界を全力で肯定してあげるってね」との言葉の後に演奏された『ピンク』のはっきりと歌心を感じさせるメロディーが、火照った身体に染み込んでいく。熱演のラストを飾ったのは『夢の中ではない』。「1回しか言わんからよく聴いてね?愛してるぜ名古屋!」と叫んだ勢いのままに、「俺らと君でヒーローになることが出来ますか!?」と投げかけた彼ら。マックスボリュームのOiコールを巻き起こすと、スカッと突き抜けるようなロックチューンを放射し、汗だくで踊り狂ったフロアに投げキスを贈ると5人は堂々と熱演を締めくくった。

熱い期待に応えて再びステージに上がった彼ら。「さっき1回しか言わないって言ったけど、嬉しいからもっかい言っていい?愛してるぜ、名古屋ー‼︎」と言い放ち、フロアの想いを全て受け止めるような熱量で数曲奏でると、みんなみんな…とマイクを通さずに何度も口に出し、愛嬌たっぷりにマイクに1度くちづけを落とした。LIVEの始まりから、ダブルアンコールが終わるまで、激しく、燃えるように歌を届け続けたビレッジマンズストア。オーディエンスは彼らのストレートな言葉に素直に心を震わせて、飾らない表情で音を楽しんだ。ヒーローとはきっと、それぞれの中に存在している、自分の心を鼓舞してくれる宝物のこと。真っ赤な衣装を纏ったヒーローを中心に集まった強力なスーパーヒーロー達。彼らの音楽があれば、どこでだって戦っていける。音楽を武器に、前へと突き進むパワーに満ちたLIVEを終えて、輝く武器を受け取ったオーディエンスは頼もしい笑顔でそれぞれの日常へと戻っていった。
文/渡辺 真綾 写真/前田達也(tatsuyamaedaphoto.tumblr.com)
■セットリスト
鳴ル銅鑼
1.御祭騒ぎ
2.夢浮橋
3.狂わせたいの!
4.化学舞踊
5.阿
6.文句
7.禁断の果実
8.アステロイド
9.四季彩
THE PINBALLS
1.真夏のシューメイカー
2.ママに捧ぐ
3.アンテナ
4.十匹の熊(テンベア)
5.片目のウィリー
6.沈んだ塔
7.まぬけなドンキー
8.劇場支配人のテーマ
9.ヤードセールの元老
10.悪魔は隣のテーブルに
11.carnival come
12.20世紀のメロディ
ビレッジマンズストア
※アーティストの意向により割愛させていただきます















